『全校生徒皆さん並びに来賓の皆様。この放送を聞いている全ての皆様。こんにちは。本日は学年別タッグトーナメントが行われているわけですが、トーナメント期間中に起きる事態は全て生徒会に任せております。全て任せております。それでは』
放送の声が誰であるかなんてのは分からない。少々歳のいった男の声だってことだけ分かる。
俺には関係にない。
ただ勇気を出して飛び出せばいいんだ。それだけで全てが動く。動くと信じている。
幸い見つけたんだ。
オリ主なんて都合の良い配役じゃない。
でも、今は嘘でも勘違いでも自分がオリ主だと信じたい。
というか信じないととても精神的にやっていけない。
手が震える。
恐いさ。
恐くて何が悪い。
こっちは今も昔も争いなんて無縁だったんだぞ。
ちょっとした喧嘩はしたけど、命のやり取りなんて高度なことしたことない。
無茶してくれる。
深呼吸か。
深呼吸すれば収まってくれるか。
VTシステムの下りは知ってんだけど、まさかラウラじゃなくて箒の打鉄に仕掛けられているとはさ。
原作だけじゃ分からない。
あの二人が仕込んだか。
そんなことできないか。学園側で厳重に管理されてんだぞ。
ああ、学園側で仕込んだんだ。
そりゃあ簡単だ。
いやいや、学園側も敵じゃあ誰も信じられないだろ。
あ、でも織斑先生と山田先生なら信じられそう。
あとは楯無先輩とか生徒会メンバーくらいか。
大丈夫だ。
現役は引いたがブリュンヒルデと、学園最強がいればなんとか大丈夫なはずだ。
楯無先輩は原作だと強いんだか弱いんだか分からないけど。
うん。
大丈夫だ。
大丈夫、大丈夫。
大丈夫だから、いざ出陣。
「っしゃあ!!」
視界に映り込むのは一夏と箒だ。
VTシステムによって操られている箒と、その攻撃をなんとか凌いでいく一夏。
攻撃が原作通りに織斑先生のコピーならば、一夏が防ぐのは凄い。俺には無理だ。
俺がするのは簡単。
ニヤニヤと下種な笑顔を浮かべているシャルをタックルでぶっ飛ばす。
油断大敵。
シャルは抵抗もできずにぶっ飛んだ。
「ほう。木端が出しゃばるか」
こっからが問題。
ラウラとぶっ飛ばしたシャルの二人を相手にしなきゃいけない。もちろん勝ち目はない。
楽観視できるわけもなく。
「ちょっと驚いた。女の子にタッチなんてヘンタイさんだよね」
前門のラウラ、後門のシャル。
ラウラのワイヤーブレードとシャルの銃撃。どっちも手練れだから避け続けるしかないじゃないか。
一夏に助けてもらいたいけど見るからに手一杯だ。
「ああ、守落くんだっけ。学園の練習機で勝てるなんて思ってないよね」
「打鉄などキサマ如きでは扱えまい。そらそら」
「知ってらぁ!!」
近接ブレードを適当に振り回してワイヤーブレードを弾く。弾ききれず、肩のアンロックユニットが破壊されたけど気にしてらんない。
「テロしてんじゃないよ。迷惑極まりないってことを分かれ!」
テレビでしかテロなんて知らないんだ。日本に持ち込まれても困るんだよ。
「して悪いかな。こうさせる世界が悪いんじゃない」
シャルは妾の子と蔑まれ、実の父からは駒の様に扱われて、ここにはスパイとして送り込まれた。
確かに同情すべき点だけど。
「ボクをボクとして扱ってくれる世界を作る。そのための行動。悪いことなんて一つもないと思っているよ、ボクはね」
自分勝手言いやがって。俺と変わんなくないか。
「弱い奴など考えるだけ無駄だ」
人工的に作られたアドヴァンスド。遺伝子強化された個体。ISの登場で優秀から落ちこぼれと言われ、織斑先生のおかげで這い上がったドイツの軍人。
原作も、選ばれた人間気取りの問題児としか見えない。意外に好きになれんぜ。
「軍人だろ。武器を持たない民間人を守ってこそだ」
日本の自衛官を見習え。災害救助とかしてくれてんだぞ。力一辺倒の軍人なんて映画でしか通じんだろ。
「知らんな」
本当に知らない顔してる。こんな奴を軍人にして。
ラウラを無性に殴りたくなった。
実力的に無理だけどな。
それに限界が近い。
五分と保っていられなかった。
時間稼ぎにもならない時間稼ぎ。
セシリアでも鈴でも来てくれればと。
のほほんさんや虚先輩でもいい。
楯無先輩でも。
織斑先生や山田先生。
他のどの教師でも良かった。
でも誰も来てくれない。
俺がこれたのに。
俺以外にこれないって。
無駄だったのかよ。
「残念。犬死って言うんだよね、日本では」
おっしゃる通りですよ。
「弾はいっぱいあるけどね。貧乏性だから」
ブレード構えて接近してくるシャルに一言言ってやりたくなる。
よく見ろ馬鹿、とかな。
実際は言えないけどさ。
一年四組、守落杏地。
関りは少しだけ。
同じ男子だからと話したことある。
一夏としては話しやすい相手だ。
冗談も通じるし、馬鹿話に花を咲かせられる。
やっぱり女子ばかりの世界は肩身が狭く、日常会話が制限されてしまう。日常会話なのに。
千冬姉のバッタもんみたいな姿になった箒の攻撃をなんとか受け流していく。受け流すだけで精一杯で、とてもシャルとラウラに目を向けられない。
三人で攻撃されたら一瞬で負ける。
そんなピンチに現れたのは杏地だった。
杏地はシャルに突進すると、アサルトライフルを二丁構えて攻撃を開始する。
仲間がいる。
一夏の気持ちを引き締めてくれる。
なら、一夏がやることは一つ。
目の前で囚われている箒を救い出すことだ。
クソッタレなバッタもん千冬姉を倒す。
幼馴染と姉を汚す奴。
「負けるかよ!!」
されど、仮にも千冬姉を模しているだけあって攻撃の鋭さに手も足も出せない。剣一本で世界最強に輝いた存在と、ISも剣も未熟な一夏では差は大きい。
緊急的な連戦にエネルギーも少ない。無茶の一つが限界だ。
杏地も二対一の、それも共に代表候補生を相手にして段々と追い詰められている。
不味いとは思うが一夏は目の前の箒から逃げ出そうとは考えない。
ファースト幼馴染。
箒とは剣道仲間という印象が強い。
千冬姉に連れられて剣道をしたときに知った仲。
最初はただの練習相手。
でも、アイツが苛められているのを助けてから変わった。
再会した時は正直に嬉しかった。
だから助けたい。
助けたいから逃げ出さない。
箒の攻撃を弾いて距離を取ると、杏地がラウラの攻撃で吹き飛んでいた。そこをシャルが追撃をかけようとするが、また乱入してきたISの体当たりに吹き飛ばされていた。
ああ。
最強の助っ人が来てくれた。
百人力だ。
俺にとっては最も頼りになる存在だ。
一夏は笑う。
「待たせたか」
打鉄を纏った千冬姉。
「一夏。ソイツは任せる」
千冬姉の信頼を受け、一夏は改めて箒を見る。
千冬姉の姿を模倣して千冬姉の技を真似る。
対して一夏は、篠ノ之流の剣術を扱うが極めてはなく、ISも訓練しているが未熟の一言で一蹴できる程度。
現にラウラにも圧される始末。
バッタもんとは言えど千冬姉に勝てる要素はない。
下手に攻めては切り捨てられる。
一太刀浴びれば終わる。
千冬姉の戦い方は零落白夜の一撃で敵を黙らせる。
一撃浴びる前に……一撃浴びせる。
俺の零落白夜で攻撃すれば。
千冬姉と同じ武器、同じ力を持つのだ。
一夏は尊敬する千冬姉と同じ力を持つ。
そして目の前の箒も同じ力を持つ。
本当に?
再現できるのか?
太刀筋は真似られるだろうが。
真っ向勝負では勝てない。
だけど、千冬姉であって千冬姉を真似しきれていないとすれば。
千冬姉と同じ戦い方で勝つのは無理だ。
なら俺なりの勝ち方をすればいい。
一夏は構える。
両腕を水平に広げ胴を晒す。
打ち込んで来い。
防御を解き、ただ打たれるだけの構え。
エネルギーも残りわずか。
箒が剣を振り上げる。
一夏は構えを続ける。
馬鹿者、だがそれでいい。
千冬姉からのプライベート・チャンネルが届いた。
斬られる。
「勝った!!」
斬られると同時に一夏が動き出す。
身体で剣を受け止め箒の腕を掴んで全てを塞ぐ。
攻撃、防御、回避。
全部防いだ。
密着されれば剣は触れない。
それは一夏も同じ。
だが箒と一夏では違いがある。
箒には千冬姉の太刀筋を再現できたとしても、零落白夜は再現できない。
一夏には千冬姉の太刀筋を再現できないが、零落白夜を使用することができる。
「肉を切らせて骨を断つ。零落白夜!!」
相手のエネルギーを奪う。
零落白夜の刃を押し当て泥を固めたような装甲に食い込ませる。
「千冬姉なら絶対にやらない。だからできる」
泥の装甲が溶け出した時、一夏は箒の救出と姉の名誉を守った。
学園で最強の戦力。
自分自身のことを指している。
馬鹿馬鹿しい。
真耶は愚かしい答えを口にしていた。おそらく他の教師や生徒でさえも同じ認識をしていることだろうか。
笑うしかない。
千冬はすぐさま此度のトーナメントに用意された打鉄を装着する。幸いなことにドアのロックは解除されていた。
急がなければならない。
私が逃げたことで真耶があの二人に命令しているかもしれない。一夏を鎮圧してISを奪取せよと。
時間が勝負だ。
真耶の妨害も考えられたがそれはない。足止めされなかったことに若干の違和感を感じつつも、千冬は一夏の元へと急ぐ。
アリーナでは一夏がVTシステムに囚われた箒をなんとか抑えている。
まだ無事だ。
ホッと胸をなでおろすが、ならばとあの二人を見てみれば、守落杏地が墜落し止めを刺されそうになっていた。
なるほど、頼もしい助っ人がいたものだ。
馬鹿にしたわけでもなんでもなく素直にそう思った。
守落杏地は今まで一般人だったのだ。
一夏の様に非常事態に遭遇した経験もなく専用機持ちでもない。
そんな人間がISを纏って必死に抵抗していた。
捨てたものじゃない。捨てられるものでもない。
おかげで千冬は間に合ったのだ。
瞬時加速を伴った体当たりでデュノアを弾き飛ばす。
油断し過ぎだ馬鹿者め。
「待たせたか」
へたり込む守落は目に涙を浮かべつつも、精一杯強がってくれた。
「よく見ろ馬鹿」
極度の緊張状態の中であってもデュノアに向かって何とか勝利宣言といったところか。
担当クラスではないが、期待に応えてみせようじゃないか。
「一夏、ソイツは任せる」
所詮は紛い物のVTシステム。
勝ってもいい、負けてもいい。
ただ一夏に任せる。
「守落。下がれ、お前は十分過ぎるほどに働いてくれた。後は任せろ」
事実だ。
「もう……二度とやりたくありませんけど」
軽口叩けるならば大丈夫だ。
守落がピットへと戻るのを確認してからラウラへと目を向ける。
「教官。まさか貴女来るとは。山田は足止めできなかったということですか」
「見ての通りだ。ボーデヴィッヒ。言い訳は聞かん。やり過ぎたんだ、弁論が意味をなさないことは理解しているな」
「……教官、なぜこのようなところで教鞭を振るっているのですか」
会話のキャッチボールができていない。
学園生活で少しは変化が出るのかと思えば、何も変わりはしないということか。
「このような場所では貴女の腕を生かせません。私と一緒に亡国企業へと来ていただけませんか。貴女が加われば全てが上手くいきます。脆弱な奴らを排除して、真に強いものだけがISという力を得られる」
ラウラは力説する。
「……真に強いものか」
「そうです。強さことが全てです」
「部隊長に居る人間のセリフとは思えんな」
「隊員であろうが関係ありません。アイツらは弱いくせに群れることしか知りません。だれも私に並び立てないくせに口だけは達者な連中です」
ラウラが隊長を務めるシュヴァルツェ・ハーゼ隊。
千冬が少しの間訓練を施した部隊だ。仲間意識が高く、部隊内での連携が上手いと認識している。
「私は貴女のおかげで強くなれました。貴女がドイツで私に力を教えてくれました、強さを教えてくれました」
違う。
千冬は呆れかえってものが言えなくなる。
「貴女がいなくなった後も訓練を重ね、私は貴女が知るころよりも強くなりました」
その訓練の結果がコレか。
「そして私は貴女すら超えました」
ニヤリと笑うラウラ。
知っている顔だ。
かつて見た顔だ。
IS適合移植手術の失敗によって部隊内で落ちこぼれたラウラ。奴が再び部隊トップへと返り咲いた時と全く同じ顔なんだ。
千冬からしてみれば、ドイツで教えてきたことが力という部分以外何一つ花咲かなかったことの証明にしかならなかった。
無駄だったのだ。
「伝わらなかったか」
ラウラがIS学園にやってくる前日に連絡があった。
クラリッサ・ハルフォーフからだった。
隊長をお願いします。申し訳ありません。
たった二言だけの連絡。
「お前は変わらなく強いよ」
「理解していただけましたか。ならば武装解除してこちらへ」
「あの時と同じだ。私が指導した頃から何一つ成長していない」
「……教官もこのようなだらけきった空間で判断が鈍ったみたいですね。私の力を理解できなくなったとは」
ワイヤーブレードが蠢く。複雑な軌道を描いて向かってくるのだが遅すぎる。
全てのワイヤ―ブレードを切断。無力化するのは訳なかった。
「ほう、そこまでは鈍っていないみたいですね」
気が付かないか。
気が付けないか。
「当たり前だ。背負っているものが違う」
家族だ。
守りたいと思うことだ。
自分自身の為じゃないからこそ強くなれる。
「背負っているもの?」
デュノアが合流する。二度の体当たりを受けて怒りに顔をゆがめているのだが、千冬には知る由もない。
「ああ、家族を守りたい。私が力を振るうのはそれだけでいい」
近接ブレード葵を構えて二人を見据える。
「家族を守る。家族なんて何の足しになるの。家族が理由なんて馬鹿なんじゃない!!」
「くだらない。吐き捨てたくなるほどくだらない。絶対的な力だ。貴女が知らせた。貴女がそうだ。それを取ってつけたような理由で綺麗事にして!!」
デュノアとラウラが動き出す。
連携らしい連携はない。
ただ二人して襲い掛かってくるだけだ。
「綺麗事だな。お前たちにしてみれば」
ラウラに接近。切り伏せる。
デュノアが援護に入れないように常に射線上にラウラが重なる様に動く。
気が付かないか。
所詮は強い強いと選ばれた人間気取りの孤独の強さだ。仲間との息がまるであっていない。
デュノアの方はある程度分かっているみたいだが、父親にスパイの真似事をさせられ、また亡国企業に一員として欺き続けた生き方が原因でパートナーを信頼しきれていないのがよく分かる。
どちらも所詮は個々としての中途半端な強さ。
「教師として学ばなければな」
力が全てではないことを。
オータムには何がなんだか分からなかった。
衝撃が突き抜けていった。
整備室の天井が見える。
おかしい。
さっきまで目の前に更識簪がいたはずだ。
見えるのは天井だけ。
四肢から力が抜け自分が立っているのか浮いているのかも分からず、オータムは時間をかけて自身に起きたことを考える。
整備室に開発中のISが一機存在することを受けてその奪取に自分が派遣されたこと。
学園内はハッキング担当によってあちこちのドアがロックされて真面な防衛も望めないということ。
整備室には更識簪というガキが必死こいてISを組み立てていること。
更識簪は、学園最強と呼ばれ対暗部用暗部というカウンター組織のトップ更識楯無の出来の悪い妹でしかないということ。
葬るのは容易いということ。
結果は、簪に襲い掛かろうとしてオータムが天井を見上げているということだ。
「にゃろぅ!!」
四肢に力が行き渡る。
足裏に力を入れ仰け反った身体を正面に引き戻せば、鉄の棒を構えた簪がいた。
怯え竦んでいるかと思えば、どこまでも冷静な瞳がオータムを射貫いていただけ。
鉄の棒で顎を打ち上げられたことを思い出したオータムが拳銃を取り出すが、簪は巧みな棒捌きで弾き飛ばす。
「遅い」
鉄棒をオータムへと投げれば、簪は未完成の打鉄弐式へと向かう。
「調子くれてんじゃねえぞ!!」
亡国企業の実行部隊として略奪者として登場しておいて、小娘に出鼻挫かれたことが感情を爆発させる。
ISアラクネを装着し、生意気な体躯を八つ裂きにしてからでないとISは回収する気になれなくなったオータムが見たものは、出来損ないのままのISを装着して動き出す簪だった。
「出来損ないが、戦い方を教えてやる」
万全な状態でないくせに戦えるものかとオータムはブレードを構える。
対して簪は手刀を作って徒手空拳で立ち向かう。
普通であれば武器を持たずISも本調子ではない簪が不利だ。
オータムもそれが分かるのでニタリと醜悪な笑みを浮かべる。
が、その笑みはすぐさま驚愕に変貌する。
簪はパワーアシストされた四肢で床を蹴り、壁を蹴り、天井を蹴り、ISが戦うには狭い整備室を跳び回る。
「なんだありゃ。バッタか!?」
空間戦闘がISの十八番であり簪は推進器を使用せずにやってのける。
正確にはスラスターの調整が終わっていないが為に、四肢だけを使って跳び回るしかないのだ。
苦渋の行動でしかないというわけだ。
ただ、ISらしくない動きにオータムが翻弄されていることから怪我の功名とも言えなくはない。
「やあ!!」
狙いを定められないアラクネの機械の節足を蹴りでへし折る。
動きを止めることをせずに通り過ぎざまに攻撃を加えていく。
「くそ、ピョンピョンと鬱陶しいじゃねえか。身体が動かなくなるまで切り刻んでやらぁ!!」
残された節足と両腕のブレードで簪を追うが飛び回るオータムが跳び回る簪に追いつけなかった。
否が応でも認識を改める必要ができた。
更識簪は姉である楯無には劣るが十分な脅威になり得る。
ただの学生の強さではない。
舌打ちする。このままじゃあ勝てやしないと。
「逃げたければ逃げればいい」
簪は淡々と告げる。
「でも……私は逃げない」
逃げることは、自分の組み立てている唯一楯無を超える為のISを否定することになる。
「逃げたきゃ逃げろぉ? ガキのくせに馬鹿しやがって。殺すぞ、ぶっ殺してやる!!」
勝ち目がないことは既に察している。
だが感情が素直に撤退の選択をさせない。
オータムは怒りに身を任せた攻撃しかできず、簪は氷の様な冷静さで追い詰めていくだけだった。