Fate/Passionate Romancia   作:Ekeko

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パッションリップというキャラクターを見て思い出すのは、
幼少の頃に見た映画「シザーハンズ」
子供心に悲しさと切なさを感じていた事を覚えています。


FGOのデータの復元に成功しました‼
貴重な星5や限定サーヴァント達もほとんどが帰還成功です。
問題は・・・キャメロットの最初からってことだけです。
キャメロット決死行再び・・・orz


第二話 No pain, No game

 

第二話 No pain, No game

 

目が覚めると、見知らぬ天井が映っている。

上体を起こして周りを見ると、どうやら保健室の様だった。

どうやら誰にかに運び込まれたらしい。

軽く深呼吸をして、両腕を伸ばす。

そのままベッドから出て、さらに周りを見回してみると視界の、というよりも部屋の隅に目がいく。

 

「おはよう・・・ございます。」

 

可憐な容貌と凶悪な爪、相反する二つを備えた少女だった。

お辞儀をするだけで両手の爪が保健室の床を擦る音が響く。

その少女を見て一瞬で、起き抜けの頭が目覚めるのを感じる。

あの人形を一撃で刻み、屠った光景は、決して夢ではなかったのだ。

 

「君は・・・たしか、サーヴァントの」

 

「はい・・・パッションリップ・・・です。ええと・・・」

 

言い淀む姿に、こちらが名前を名乗っていない事を思い出す。

 

「始だよ。暁 始」

 

「あかつき、はじめさん・・・よろしくおねがいしますね。」

 

薄く微笑んでお辞儀をすると彼女の仕草に、一瞬瞳を奪われる。

頭を振って気分を切り替えると、聞きたいことを聞き始める。

 

「パッションリップ、聞きたいことがあるんだけど」

 

「はい?」

 

「聖杯戦争・・・って、一体なんなの?」

 

その質問は余程おかしいものらしく、パッションリップはかなり驚いた様子を見せる。

軽く動揺した素振りを見せたものの、すぐに気をとりなおして説明してくれた。

 

 

ムーンセルオートマトン。

月で発見された、太陽系最古の遺物。

神の自動書記装置とも七天の聖杯(セブンスヘブン・アートグラフ)七天の聖杯とも呼ばれるそれには、人の願いを叶える力があるとされている。

聖杯戦争とはムーンセルの所有権を巡る戦いであり、かつて聖杯を巡って地上で行われた戦いをモデルにして、参加者をムーンセルが作り出した霊子虚構世界『SE.RA.PH』に招き入れて行われる。

参加者達はサーヴァントと呼ばれる、歴史上や神話上の存在『英霊』を召喚して戦い、競い合う。

英霊には基本七つのクラスがあり、

 

剣の英霊『セイバー』

弓の英霊『アーチャー』

槍の英霊『ランサー』

騎兵の英霊『ライダー』

魔術師の英霊『キャスター』

暗殺者の英霊『アサシン』

狂戦士の英霊『バーサーカー』

 

このどれかのクラスのサーヴァントと共に、最後の一人になるまで戦う。

そして最後まで勝ち残った一人に、願いを叶える聖杯が手に入るというシステムなのだという。

ちなみにクラスは英霊の素性、『真名』を隠すのにも用いられ、基本はクラスで呼ぶらしい。

 

「ちなみにパッションリップは、どのクラスなんだ?」

「えっと・・・私はこの7つには当てはまらないです・・・」

「あてはまらない?」

「えっと・・・」

 

どういう事か説明を聞こうとしたが、どうも言いづらいようである。

困ったようにもじもじし始めた。

それを見ると無理に聞こうというのは憚られる。

 

「わかったよ。それじゃ名前を呼ぶときはパッションリップでいいか?」

「あ、はい。でも、出来ればリップって呼んでください。」

「わかった。ところでリップ」

「はい?」

「さっきから気になってたんだけど、なんで離れてるんだ?」

 

そう、先ほどから俺は保健室のベッドから話して、彼女は部屋の隅から声をかけている。

ぶっちゃけ話しづらいし、避けられている感じすらする。

何かしたかというと、心当たりが無いわけでもない。

 

(胸元見すぎとか!?)

 

そう、先ほどから彼女の巨大な胸元に視線を奪われる事が多々あるのだ。

ことあるごとに身じろぎしたり、動いたりするたびに、巨大な胸が揺れ動く。

俺とて健全な男子、言い訳するわけではないが、どうしても目移りをしてしまう事がある。

とはいえそんなのは此方の事情。

女性からすれば不愉快以外の何物でもないだろう。

罵倒の言葉も覚悟しながら待っていると、帰ってきたのは全く違う理由だった。

 

「わたし・・・不器用で、手がこんなだから、始さんのことを傷つけてしまうかもしれないです・・・」

 

そういって自分の手を悲しそうに見つめる。

あの腕は篭手のようなもので、着脱可能と思っていたのだが、どうやらそうじゃないらしい。

本人が深刻そうに考えている様だが、自分としてはそんな事よりも嫌われていなくて良かったという気持ちのほうが大きい。

 

「大丈夫だよ」

 

そう言ってそのまま、彼女を驚かせないようにゆっくりと歩いていく。

本人はビクッと体を竦ませたが、別段拒絶もされていないので、そのまま距離を縮めて、目の前に立つ。

 

「握手はできないけどさ、とりあえずこれでいいか?」

 

そのまま金色の手の甲に手を触れる。

この手には触覚があるのかないのか分からないが、リップはその光景を驚いたように見つめると嬉しそうに「はい!」と頷いてくれた。

良かった。喜んでくれたらしい。

女の子の扱いなど、これっぽっちも分からないが、失敗ではなかったようだ。

 

「よろしく、リップ」

「はい、始さん」

 

そうしてそろそろこれからの方針について考えようと思うと、リップは姿を消してしまった。

しかし、自分には彼女の存在がはっきりと感じられる。

必要でない時は姿を隠すつもりらしい。

 

「目が覚めましたか?暁さん」

リップが姿を消すのと同時に、保健室に誰かが入ってきた。

ドアの方を見て、入ってきた人物の顔を見て、驚きに目を見張る。

入ってきた少女はリップと容姿が酷似していたからだ。

 

「リップ!?」

『ち、違います!似ていますけど、この人は・・・この聖杯戦争の健康を管理するAIです」

 

驚いてサーヴァントを呼ぶ声に、入ってきた少女も驚かせてしまったようだった。

彼女「間桐桜」に驚かせた事の謝罪をしてから、聖杯戦争の運営を司る側の彼女から、説明を一通り受ける。

聖杯戦争の開始時に自分の記憶が奪われて、偽りの学園生活という予選を送らされる事。

そこから自分自身を取り戻した者だけが、本戦へと参加できること。

そして自分も名前と記憶を返却された。と彼女は言うが・・・

 

(思い出せない?)

 

学園生活を過ごした事までは覚えている。

一癖も二癖もある友人や、教師の事も覚えている。

しかしそれ以前。

この聖杯戦争に参加する前の記憶が何一つないのだ。

そのことを間桐桜に伝えると、

 

「ごめんなさい。それは私にもどうにも出来ないことなんです。

私は聖杯戦争用に作られただけの仮想人格で、そこまでの権限はないんです・・・」

 

と、申し訳なさそうに言われてしまう。

つまり、ゲームなどでいうところのNPCと言われる存在なのだろうか?

そのまま桜はもう一つ、携帯端末を渡してきた。

 

「それは聖杯戦争中に連絡事項をお伝えするものです。見落としが無いように、気をつけてくださいね?」

 

「ああ、ありがとう。間桐さん」

 

間桐さんに礼を言うと、そのまま保健室をあとにする。

 

廊下の外には学生服を着た参加者の姿が何人か見られた。

多くはこの聖杯戦争に参加したことをゲーム感覚で浮かれている。

ごく少数が、周りを注意深く観察するような目線を配らせている。

前者は遊び半分で、後者は戦う者といった所だろうか?

 

そのまま適当に校舎を眺めながら歩いていると、いつの間にか屋上まで来ていた。

扉を開けて屋上に出ると、屋上の床やら柵やらをペタペタ触っている少女を見つけた。

赤い服に黒い髪。凛とした雰囲気をまとわせた容姿端麗な美少女。

予選の頃に、学園のアイドルとされていた少女は彼女の事だろうか?

とはいえ、その瞳には強い意志の輝きが映りこんでおり、アイドルなどという生半な存在とほど遠いものだが。

その眼光の鋭さに、この聖杯戦争が『遊び』などではない事を認識させる。

自分以外は全て敵。そんな事実を思い知らされる。

 

「あれ?そこのあなた」

 

此方の視線に気づいたのか、彼女はこちらに目線を合わせてきた。

そのまま近づいてくると、何を考えたのか此方の頬に触れてきた。

 

(!?)

 

「へえ?良くできてるわね。ぱっと見私たちマスターと区別が付かないくらいに・・・って」

 

此方の動揺が伝わったのか伝わってないのか、少女はさらにベタベタと触ってくる。

何を考えているのかまるで分らない。

 

「あれ?顔が赤いし、熱くなってきてるような?」

 

さらにベタベタ触ってくる。

顔だけでなく、首、胸元、さらに下半身にまで手が伸びてくる!

 

「うわぁ!!」

「ひゃあああ!!」

 

思わず思い切り突き飛ばす。

いきなりの出来事に驚いたし、これ以上はいろいろと耐えられないと思ったのだ。

 

「え!?何、あんたNPCじゃないの!?じゃ、じゃあまさかマスター!?」

「そうだよ!いきなりなんなんだあんた!痴女ですか!?」

「ううううるさい!間違いくらい誰にでもあるわよ!痴女って言うな!」

 

痛たた、と打った尻を抑える彼女に手を貸す。

慌てていたといえ、女子に酷いことをしてしまった。

 

「突き飛ばしてごめんな。俺は暁 始」

 

「遠坂凛よ。こちらも悪かったわね。でもあなたも悪いんじゃない?

そんなぼんやりした顔で、気迫も何もあったもんじゃない。予選の記憶が抜けてなくて、大事な記憶が返ってきてないんじゃない?」

 

彼女の言葉に言葉を返せなくなる。

本人は冗談のつもりだろうが、こちらは本当に無いのだ。

 

「え?嘘、本当に記憶が戻ってないの?それってかなりまずいんじゃない?

この戦争のシステム上、ここから生きて出られるのは最後まで勝ち残ったマスターだけなのよ?」

 

「ちょっと待って!」

 

今、とんでもない事を聞かされた気がする。

絶対に聞き逃してはいけない事だ。

 

「生きて出られるのは一人?」

「そうよ。私たち霊子ハッカーは今『魂』そのものをプログラム化して『セラフ』にアクセスしている。

ログアウトは認められない。」

 

射るような視線がこちらを貫く。

その視線は言葉よりも嘘をついていない一瞬で分かった。

 

「この世界から生きて帰れるのは一人だけ。

聖杯を手にした、ただ一人のマスターのみが生還できるのよ」

 

分からない事だらけだった。

ここに来るまでの自分の人生。

いかれた殺し合いに自分が参加した理由。

そもそも自分が何者かすら分からないときている。

 

ただ一つ確かなのは、俺が魔術師であること。

そして呆然としている俺の身を案じてくれるサーヴァントと共に、この戦いを勝ち抜かなけれ生き残れないという事だけだった。

 




ようやくここから一回戦が始められそうです。
更新、大変遅れてしまいました。

ここでこの作品に関しての簡単な説明を2つほど行いたいと思います。

まず、基本的に大筋やラストは変わらないと思いますが、それまでの展開に若干手を加える。
要するに対戦相手の違いや、本編EXTRAで出なかったサーヴァントを出したいと思います。

次に、アルターエゴのクラスチェンジを行うことになるかと思います。
Fateではアルトリアにセイバーとしての側面とランサーとしての側面があったり
金時にバーサーカーとしての側面とライダーとしての側面があります。
霊基をいじってクラスチェンジするのは金時さんがやってましたし。

それに応じてサーヴァントの姿も少し変わるかと思います。
「大きい爪じゃなきゃヤダ!」という読者の方には申し訳ありません。
本来なら最初に書いておくべき事を失念しておりました。

この二つを踏まえても読んでいただける読者の方。
拙い駄文ではありますが、どうぞおつきあい下さい。
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