IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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~前書き劇場~

雪兎「前回も結局ちゃんとあらすじやれなかったな」

幻徳「・・・・」

気にするな!という文字のTシャツ。

雪兎「だから喋れや!」

幻徳「・・・・」

ジャケットに隠れていた「だから」という文字を見せる。

雪兎「・・・・もう、やだコイツ。何で前書きだとこんなんなの?」

幻徳「・・・・」

気にするな!を強調してアピールしている。

雪兎「だから「・・・・」じゃないっつうの!」


148話 誓いと決意 兎、ホクホクする

仮面ライダーローグこと氷室幻徳との接触から2日が経ち、雪兎は再びあの喫茶店を訪れていた。店内には既に幻徳の姿があり、雪兎もその席に着く。

 

「よぉ、幻ちゃん。待たせたな」

 

「げ、幻ちゃん?」

 

妙にフレンドリーな雪兎に少し困惑しつつも、幻徳は雪兎に訊ねる。

 

「それはともかく、例の物(専用機)は?」

 

「そう急かしなさんなって・・・・ほら」

 

そう言って雪兎が取り出したのは(ローグカラー)カード型端末(storage)

 

こいつ(storage)に収納してある。学園に残ってたデータである程度はフィッティングとかの調整は済ませてあるから直ぐにでも使えるだろうよ」

 

「それは助かる」

 

紫のstorageを受け取ると、代わりに幻徳は先日提示していた記憶端末を雪兎に渡す。

 

「データを確かめても?」

 

「構わん」

 

端末からデータを呼び出してサラッと確認した雪兎はそれが本物である事を確かめると端末を懐にしまった。

 

「確かに、これで取引成立だな」

 

「ああ」

 

「なら少しだけその専用機の説明をしておこうか」

 

そう言って雪兎は幻徳にだけ見えるように空間投影ディスプレイを展開する。

 

「全身装甲・・・・フルスキンというやつか」

 

「ああ、コンセプトは『重装甲による敵陣の強行突破と突破し切れなくとも1対多数で戦い抜ける戦闘力』だ。装甲は表面に対光学兵器コーティングを施し、耐物理攻撃の為に複層構造になってる」

 

そのISは重厚な全身装甲に肩のシールドブースター、背面に大型のスラスターを二基装備している。

 

「肩と背面のユニットにはそれぞれサブアームが内蔵してあり、最大6本腕になる。武器もそれぞれ6本分ある」

 

「なるほど・・・・このメインアームのやけにナックルガードは?」

 

「そいつはインパクトナックルと言って、殴った際に内蔵した弾薬を炸裂させて追加ダメージを発生させるものだ」

 

「ほう・・・・うん?このメイスは?」

 

「バイトメイスの事か?こいつはこうやって相手を挟んで締め付けたり、内部に仕込んだ(バイト)をチェーンソーみたいに高速で動かして切断したり継続ダメージを与える装備だ。勿論、メイスとしても使える」

 

「面白い」

 

バイトメイスの元ネタは勿論あの鉄血のオルフェンズに登場したあの鬼畜武器レンチメイスである。

 

「このIS、名は?」

 

「決めてない。というか、試作した段階で普通の人間じゃ扱えない事が判ってな・・・・直ぐにお蔵入りしたもんだから名前決めてないんだ。好きに名付けてやってくれ」

 

「そうか・・・・」

 

そう言われ、少し考えた末に幻徳が付けた名は・・・・

 

「【バルドローグ】そう呼ばせて貰おう」

 

こうして、幻徳は兎印の否常識IS【バルドローグ】を手にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、学園に戻った雪兎は葛城に幻徳から入手したデータをコピーして提供し、食堂にてシュテルの事を待っていると、たまたまこの世界の楯無と遭遇した。

 

「あら?雪兎君じゃない」

 

「ども」

 

「ごめんなさいね、色々巻き込んじゃって」

 

「いえ、俺もトラブルには慣れてますから」

 

この時、雪兎はとある事を思いつく。

 

(そういや向こうの楯無さん用に作ってたアレ(・・)があったな)

 

自身の世界にて一夏らが大幅にパワーアップをしてしまった影響で実力差が埋まりつつある楯無用に雪兎はとあるものを開発していた。そして、丁度その試作品と言えるものを持っていたのだ。

 

「そういえば楯無さんのIS、拡張領域(バススロット)の空きあります?」

 

「拡張領域?少しなら余ってるけど」

 

「是非とも楯無さんに試してもらいたい装備があるんですよ」

 

せっかくなのでそのテストをこちらの楯無にして貰おうというのだ。その後、楯無の了承を得た雪兎はシュテルとも合流し、アリーナへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが試してほしい装備?」

 

それは長い柄の石突きの部分に飾り布を持ち、複数のパーツで構成された大型の刃を持つ変わった形状のランスだった。

 

「ええ、試作武装・メリクリウス。そのミステリアス・レイディの機能を強化する目的で開発した装備です」

 

このメリクリウスは以前にあちらで開発したパッケージ・ミストラルにも使用したアクア・クリスタルの強化版とも呼べるアクア・スフィアを搭載しており、その内部の拡張領域にアクアナノマシン入りの水を大量にストックしており、水分の少ないフィールドでも存分に力を発揮出来るようになっている。また、アクア・スフィアによりアクアナノマシンの制御能力が向上し、アクアナノマシン入りの水をまるで生き物のようにコントロールする事も可能にしてしまうという装備なのだ。また、刃のパーツは複数に分離し、それらをアクアナノマシン入りの水で繋ぐことで蛇腹剣のように伸ばしたり、刃全体を覆って巨大な刃にしたりする事も可能なんだとか。飾り布もただの飾りではなく、特殊な合金繊維で出来ており、防御や相手の拘束にも使えるのだ。

 

「なるほどね・・・・でも、こんな装備、本当に貰ってもいいの?」

 

「あくまで試作品ですし、データ収集に協力してもらうお礼ですよ」

 

当然それだけではない。楯無のミステリアス・レイディは一夏達より実戦経験豊富なIS。それがメリクリウスのアクア・スフィアという外的要因によって刺激を受ければ二次移行の発生がし易くなる。それにより二次移行したミステリアス・レイディの能力がどうなるのか?そのデータが欲しいのだ。要は「同じISに同じような武装を与えた場合、同じような進化をするのだろうか?」という平行世界ならではの貴重なデータを取るつもりなのだ。

 

「まあいいわ、パラレルボトル奪還作戦も近い事だし、有効利用させて貰うわね」

 

楯無は雪兎に何らかの思惑があるのは察したものの、損は無いと判断し有り難くメリクリウスを戴く事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その翌日、葛城が例のデータを精査した結果、現在難波重工が拠点にしていると思われる研究所を特定する事に成功した。その後、主要メンバーを集め、パラレルボトル奪還作戦の作戦会議が行われた。

 

「雪兎君が提供してくれたデータにより、難波重工がパラレルボトルの解析を行っていると思われる拠点が判明した」

 

「そこで我々はパラレルボトル奪還の為、この拠点へ突入する事を決定した」

 

奪還作戦に参加するメンバーは葛城、一海、三羽烏、一夏達専用機持ち、楯無、そして雪兎とシュテルの14名の突入部隊とサポートに更識の暗部や千冬や真耶が加わる事になる。

 

(・・・・雪華は奥の手として温存しておいて、俺は引き続きクロスでいくか)

 

既にグリスコート・ヴォルフのテストでシュテルがルシュフェリオンを使用しているが、あれはジャミングフィールドをアリーナに展開していたからであり、未だに雪兎達がISを実戦投入するのは不味い。また、雪兎自身もまだ雪華を使うタイミングでは無いと判断し、引き続きレプリカライダー・クロスを使用することにした。

 

(となると、もう少しくらい戦力を増強してもバチは当たらんよな?)

 

作戦会議後に雪兎は一海を1人呼び出した。

 

「で?わざわざ呼び出してどうしたんだ?」

 

「ちょっと渡しておくもんがあってな」

 

「?」

 

首傾げる一海に雪兎はグリスと同じ黒と金のカラーリングのstorageを手渡した。

 

「そいつには完成させた新型ナックルと成分の定着に成功した属性元素ボトルが一式入ってる」

 

「えっ!?」

 

「もしもの時の備えってやつだ。武器は多いに越した事ねぇだろ?」

 

「それはそうだな・・・・」

 

試しに一海がナックルを取り出すと、カラーリングや中央のマークがクローズナックルとは異なるナックルが現れる。

 

「取説はstorageで確認出来るようにしてある。どう使うかはお前次第だ」

 

「サンキュー」

 

「それと、こいつはオマケだ」

 

そう言って雪兎はもう1つクリアブルーのフルボトルを一海に投げ渡す。

 

「おっと・・・・これは、フルボトル?」

 

そのフルボトルにはロボット、キャッスル、スタッグ、オウルのマークが描かれている。

 

「ちょっとした御守りみたいなもんさ、無くすなよ?」

 

「御守り、ねぇ・・・・」

 

御守りなんて雪兎らしくないと思いつつも、一海はそのフルボトルを胸ポケットにしまう。

 

「さて、用も済んだし、食堂でカツカレーうどん定食でも食うか」

 

「お前、好きだな、あのメニュー・・・・俺なんて雪兎が頼むまであんなメニューあるなんて知らなかったぞ」

 

「俺もこっちにもあるとは思わなんだわ」

 

そんな事を話しながら二人は食堂へと向かうのであった。




色々とフラグ蒔いて次回、ようやく奪還作戦です。


次回予告

ついに始まったパラレルボトル奪還作戦。しかし、雪兎が正面から襲撃なんてする訳もなく・・・・


次回

『パラレルボトル奪還作戦・序 兎、やっぱりやらかす』

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