IS―兎協奏曲―   作:ミストラル0

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今回はアンコールディスクの後半のお話がベースです。
次でアニメ二期に入る予定です。会長は次章です。


32話 紅の舞と夏の花 兎、夏祭りにいく

シャルロットside

 

リヴァイヴの改修作業を始めて数日。雪兎は朝練や食事の時以外は部屋で作業をし続けるようになった。それだけ雪兎はリヴァイヴの改修に気合を入れているということなんだろうが、僕は少し心配になっていた。

 

「はぁ・・・・」

 

「なんだ、雪兎はまだ部屋に籠っているのか?」

 

そして僕はラウラに電話で相談していた。

 

「うん、僕が頼んだことでもあるから無理はしないでって言い難くて」

 

「そういうことなら教官や嫁、それにあいつの姉に相談したらどうだ?」

 

「うん、そうしてみるよ」

 

ラウラの提案を聞き、僕はまず雪兎のお姉さんである雪菜さんを訪ねた。

 

「あー、ゆーくんがまた何かしてると思ったらシャルちゃんのIS弄ってたのかぁ」

 

雪菜さん曰く、雪兎は時々ああなることがあるらしく、前は無理矢理モデルの仕事に同行させて気分転換させたらしい。その時出会ったのが僕の服を見繕ってくれた千春さんなんだとか。

 

「この時期なら・・・・やっぱり。シャルちゃん、実は今日、篠ノ之神社で夏祭りやってるんだ」

 

「篠ノ之神社?もしかして箒の?」

 

「そっ、ほーきちゃんの実家だよ。今は叔母さんの雪子さんが管理してるはずなんだ」

 

そこで夏祭り・・・・確かに気晴らしにはいいかもしれない。

 

「でも、今のゆーくんだと、シャルちゃんに誘わせても出てくるとは・・・・よし、いっくんに連れ出させよう!それに夏祭りだったら浴衣だよねー。よし、家に私のお古があったはず」

 

そんなことを考えていたらあっという間に僕は雪菜さんに拉致され天野家へと連行されるのだった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「雪兎、夏祭り行こうぜ」

 

「はぁ?」

 

リヴァイヴの改修作業をしていると、一夏が突然部屋に戻ってきてそんなことを言い出した。

 

「今日、篠ノ之神社の夏祭りなんだよ。久しぶりに一緒行かないか?」

 

「いや、他の女子達を誘ってやれよ」

 

「セシリアとラウラはまだ帰ってきてないし、他の皆も都合がつかないんだとさ」

 

「箒は?」

 

「多分、手伝いに行ってるんじゃないか?近いうちに顔出すって言ってたし」

 

鈴辺りなら暇してそうなのだが、前の騒ぎのせいでしばらく寮で謹慎なんだとか。せっかくのチャンスを・・・・自業自得である。

 

「仕方ない。俺も世話になってたし、顔くらい出すか」

 

「シャルロットは誘うのか?」

 

「そうだな・・・・ん?姉さんからメール?」

 

『シャルちゃんはちょっと借りてくから』

 

どういうことだってばよ?

 

「シャルは姉さんに拉致られたらしい」

 

「雪菜さんならそこまで心配しなくても大丈夫なんじゃないか?シャルロットのこと気に入ってるみたいだし」

 

そう、臨海学校の後くらいから雪菜はシャルロットを「シャルちゃん」と呼び、えらく気に入っているみたいなのだ。雪兎としては姉と彼女が仲が良いことはむしろ歓迎なので良いのだけれど。

 

「作業詰まってる感もするし、気晴らしがてら行くとしますか」

 

ということで雪兎は一夏と共に篠ノ之神社へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは夢だ!そうに違いない!」

 

「・・・・忘れてた。夏祭りはこの話だったんだ」

 

一夏と一緒に篠ノ之神社の夏祭りに訪れた雪兎は箒の叫びでこの話は箒メインの話だったことを思い出していた。ちなみに、箒が叫んでいる理由は自分の和装を一夏に似合ってると言われて錯乱しているのだ。

 

「一夏、後はお前に任すわ」

 

「ちょっ!?逃げるのかよ、雪兎!」

 

面倒になってきたのと、箒の邪魔をして馬に蹴られたくない雪兎は一夏を残しその場を離脱した。

 

「まったく、一夏はもう少し女子の気持ちを理解するべきだな」

 

「そう言う雪兎は僕の気持ちを理解してほしいかな?」

 

「えっ?」

 

聞き覚えのある声が後ろからして雪兎は後ろを振り返る。

 

「しゃ、シャル?なんでここに?ってか、その浴衣は・・・・」

 

そこにいたのは雪菜に連れて行かれたはずのシャルロットだった。しかも着ているのは紺色の浴衣でよく似合っていた。

 

「ふふ、似合う?雪菜さんが昔着てたのくれたんだ・・・・わっとと」

 

「危ない!」

 

慣れない下駄で一回転したせいか、シャルロットがバランスを崩して転びかけるも、雪兎がシャルロットの手を掴み抱き寄せる。

 

「ゆ、雪兎!?」

 

「慣れない格好でそんなことするからだ・・・・ったく、せっかく似合ってる浴衣汚れちまうだろ?」

 

「う、うん」

 

抱き寄せたことと、似合ってると言われたことでシャルロットは顔を真っ赤にして雪兎にしがみついていた。

 

「姉さんのやつ、シャルを拉致ったのはこういう訳か・・・・ってことは一夏の誘いも姉さんの仕込みか。はぁ、何やってんだよ、あの姉は」

 

「雪菜さんは悪くないよ!僕がーー」

 

「わかってる。俺を心配して姉さんに相談したんだろ?まったく俺ってやつは学習してないな・・・・」

 

自覚症状があったのか雪兎は申し訳なさそうにシャルロットに謝る。

 

「心配かけてごめんな?どうもこういう時は周りが見え難くなってな」

 

「ううん、元はと言えば僕のリヴァイヴの問題だし」

 

「それでもだ。彼女に心配かけさせるようじゃ彼氏としてまだまだだよ、俺は」

 

そうやってしばらく互いに謝り続けるが、きりがないということで最後に互いにごめんなさいと謝って終えることにした。

 

「さてと、せっかく夏祭りに来てるんだ。一緒に回ろうぜ」

 

「うん!」

 

屋台や出店を回ったりしていたところで蘭を探す弾に出くわしたりもしたが、特に問題もなく二人で祭りを回った。

 

「そろそろ神楽舞か」

 

「神楽舞って、神様に踊りを奉納するっていうあれ?」

 

「それさ。今年は箒が舞うんだってさ。見に行くか?」

 

「うん」

 

神楽舞が行われる舞台へと向かうと、既に多くのお客さんが集まっていた。その中には一夏の姿もある。

 

「始まるぞ」

 

子供の頃にも一夏や雪兎は箒が舞うのを見たことがあるが、今舞っている箒はとても綺麗だった。神楽鈴や扇もしっかり扱えており、幼馴染という贔屓目を除いても目を惹かれる舞だった。それは同性のシャルロットも同じようで、舞う箒の姿をうっとりと眺めていた。

 

「雪兎、ちょっと想像以上だった」

 

「ああ、俺も小さい頃の箒の舞を見たことあったけど、別物だったよ・・・・シャルが彼女じゃなきゃ惚れてたわ」

 

雪兎にとってはシャルロットの浴衣姿の方がインパクトがあったようだ。

 

「そろそろ花火の時間だな」

 

「オススメの場所とかあるの?」

 

「あるにはあるが・・・・今日はあいつらに譲ってやろうか」

 

「そうだね。今日は箒頑張ってたもんね」

 

「おっ、始まったな・・・・」

 

幼馴染同士が知る穴場があるのだが、雪兎は今日は幼馴染二人にその場所を譲ってやることにした。それに、シャルロットの浴衣姿の方が気になって今日の雪兎は花火に集中出来そうになさそうだからだ。

 

(どうしようもなく惚れてんな、俺)

 

当初はそんなつもりは全くなかったのだが、今では隣にいる愛らしい恋人にすっかり夢中になっていると雪兎は自覚し、花火を楽しそうに見るシャルロットの横顔を見つめる。

 

「雪兎、どうしたの?」

 

見つめられていたことに気付いたシャルロットが訊ねる。

 

「いや、ちょっとな。例年通りだと次は連続だぞ」

 

そう言ってシャルロットに前を向かせる。その横顔を見ながら雪兎はあることに気付く。

 

(あれ?そういやシャルが再転入してきた時に頬にキスされてから俺の方は何もしてなくね?)

 

そう、この二人、付き合っているというのにキスはその時の一回きりなのだ。

 

(タイミング今までなかったけど、この雰囲気って絶対そういう雰囲気だよな?)

 

恋愛経験のない雪兎でもそれくらいはわかったようだ。そうこう考えている間に花火は最後の大連続に入っていた。

 

(流石にここは人目あるから帰りにしよう)

 

雪兎にシャルロットのように人目のある場所でキスはまだハードルが高いらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花火も終わって、二人はシャルロットの着替えの関係もあって今日は雪兎の家に向かっていた。

 

「綺麗だったね、花火」

 

「あ、ああ、そうだな」

 

シャルロットばかり見ていたため、雪兎は花火なんてちっとも見ていない。

 

「来年もまた絶対に来ようね」

 

「おう、今度は俺から誘うよ」

 

家も近くなり人気も少なくなってきたところで雪兎は繋いでいたシャルロットの手を引き再びシャルロットを抱き寄せた。

 

「えっ、雪兎!?なーー」

 

突然のことにシャルロットも驚くが、雪兎は少し強引にシャルロットの唇にキスして言葉を遮る。

 

「・・・・悪い、さっきやられっぱなしなの思い出してやり返したくなった。嫌だったか?」

 

「・・・・嫌じゃなかった」

 

腕の中で顔を真っ赤にしてそう言うシャルロットは反則なくらい可愛かった。

 

「けど、ズルいよ、雪兎・・・・もう一回して」

 

「えっ?」

 

「もう一回ちゃんとキスしてほしい・・・・だめ?」

 

もう一度と言うシャルロットのおねだりに雪兎は黙って唇を合わせることで答えた。




という訳で夏祭りネタでした。
一夏達のオマケ感が半端ない・・・・

そして、雪兎がとうとうやりました。

次がこの章の最後のエピソードかな?

次回予告

夏休みもあと僅か・・・・最後の思い出として皆でプールの縁日に出掛けることに(当然ながら一夏の発案)
夏の最後を満喫する雪兎達だが、その一方で動き出す者達がいた。

次回

「夏の日の最後の思い出と暗躍する者達 兎、再びプールへ」
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