女ってのは、凄えな。最初の店から3件目、時間にして二時間以上も服を選び続けている。それでいて、買ったのは最初の店の分とTシャツが一枚だ。ほとんどの時間を洋服選びと試着に使っている。
最初の方は良かったよ、妹の可愛い姿が見れるんだから。でも一時間も経つと、何が良いのか判断出来なくなってくる。なので色々と問題が出てきた。
たとえば、
「兄さんどっちがいいですか?」
「こっちかな?」
「私はこっちの方がいいと思ったんですが……」
「そうか? ならそっちでいいんじゃないか?」
「…………」
無言でため息吐いて、去って行くなよ。お前がいいと思った方にすればいいんじゃ無いのか? というか、自分でいい方が決まっているなら、俺に聞く意味は無いんじゃないだろうか?
もしくは、
「兄さんどうですか?」
「ああ、似合ってるよ」
「……兄さん、さっきから似合ってるしか言って無いんじゃないですか?」
「そうだったか?」
「そうですよ。じゃあさっきの服と、今はどっちが似合ってますか?」
「うーん、さっきも良かったし、今のもいいしな。お前ならどちらも似合うよ」
「…………」
やっぱり無言でため息吐いて去って行く。あやせなら本当にどの服を着ても似合っているんだけどな、実際にいままで着た服全て似合っていたし。
しかし困った。時間が経てば経つほど、あやせの機嫌が悪くなっていくし、俺も疲れから対応がおざなりになっていく。何か新しい変化でも無いものか?
「あれっ? あやせお前も来てたんだ。偶然じゃね!」
神様が俺の願いを叶えてくれたのだろうか? あやせに話しかける少女が現れた。髪をツインテールにした小さな小学生位の少女だ。あれ? こいつ何処かで会ったことがあったような……
「か、加奈子?」
「なんだよ、水臭いな! ララポ来るなら誘ってくれればいいじゃん!」
あっ、思い出した。前に家に桐乃と遊びに来ていた娘だ! ということはこいつも中二か、小学生なんて思って悪かったな。しかし私服姿だと、この娘には申し訳ないが小学生にしか見えない。加奈子が俺の視線に気付いたのか? 俺とあやせ交互に視線を走らせ、顔を歪める。
「ちっ、なんだ男連れかよ。……あやせの彼氏ショボくね? こんなんがいいの?」
「ち、違いますよ加奈子、兄さんですよ!? 前に一度会ったでしょ!」
「会ったっけー?」
首を傾げる加奈子。こいつ完全に忘れていやがる。まあ俺も最初思い出せなかったから人の事いえないけど、初対面ならなおさらショボイ言うんじゃねーよ、このクソガキ! さっき小学生と勘違いして悪いなと思った俺の気持ちを返せ!
「あっ、思い出した! 将来係長やってそうなショボ兄貴だ! なんだ久しぶりだな、元気だったか?」
「あ、ああ、久しぶりだな……」
思い出せた事が嬉しかったのか、加奈子が俺の肩をパシパシ叩く。加奈子の余りの評価に俺の頬が引きつる。
「加〜奈〜子〜」
あやせの声に加奈子がビクッとする。よしいいぞあやせ、このクソガキにビシッと言ってやれ!
「兄さんは確かに地味ですし、将来係長やっていそうな気がします。でも本当の事でも胸に秘めておくのが大人の女性というものですよ、加奈子」
「あ、あの、あやせ?」
「何ですか兄さん?」
あやせがニッコリと微笑む。あれ、す、凄く怒っていらっしゃいませんか、あやせさん? あれか体重の件、まだ根に持っていらっしゃる? それとも洋服選びの時の態度が気に入らなかったのか?
「お、おい兄ちゃん、あやせに何やった? 凄く怖いぞ」
「お、おう、心当たりはあるが、たぶん俺の力じゃ、もうどうしようもねえ」
「なんだよ、使えねーな」
「すまん、何とかあやせの機嫌を回復させてくれ」
「おい、それは無茶振り過ぎだろ、兄ちゃん!?」
「何を二人で、こそこそ話しているんですか?」
ビクッ!? 俺と加奈子が同時に硬直する。二人一緒にゆっくりと振り返る。やべえ何故だかわからないが、さっきより怒っていらっしゃる!? たのむ加奈子、何とかしてくれ!
「あ、うん、それはな……兄妹で買い物なんて羨ましいって話だぜ」
「そうそう」
「あやせの様な妹と一緒に買い物に来れて、兄貴が嬉しいって話を聞いてたんだ」
「……本当ですか兄さん?」
加奈子の必死のフォロー、これを無駄にする訳にはいかない。俺はぶんぶんと頭を縦に降る。しかしこんな嘘で信じてくれるだろうか?
「私と買い物に来れて嬉しかったんですか兄さん……」
確認というより呟くようなあやせの台詞だが、ここはしっかり肯定しておく。おお、何とかなりそうだ! というかなってくれ!
「ああ今日は一緒に来れて、ラッキーだったよ!」
「…………」
どうだ? 加奈子と二人でゴクッと唾を飲み込み、あやせの動向を見守る。
「まったく兄さん、友達にそんな恥ずかしいこと言わないで下さいよ」
あやせが俺を叱る。しかし怒りは感じない、言葉通り恥ずかしいだけの様だ。どうやら無事に乗りきったようだ。加奈子と顔を見合わせ頷きあう。よし、良くやった加奈子、凄いぜ! あやせが見ていなかったら、きっとハイタッチを交わしていただろう!
機嫌が戻ったあやせに、加奈子が話しかける。
「それにしても兄貴かよ。彼氏だったら面白かったのによ!」
「何が面白いんですか、加奈子?」
「そりゃ、あのお堅いあやせが、彼氏作ったっていったら、学校の話題独占しょ!」
「……加奈子はその中で、どんな立ち位置なんですか?」
やめろ加奈子、そこでやめておくんだ。あやせの口調がまた冷たくなっていくが、さっきの恐怖から解放され、気が抜けている加奈子は気が付かない。
「そりゃあれでしょ! 面白可笑しくみんなに話すに決まってるじゃん!」
ああ馬鹿。俺は片手で顔を覆った。
「加〜奈〜子〜!!」
「ひっ!?」
加奈子はようやく自分が口を滑らした事に気付いたが、手遅れである。あやせが加奈子の頬っぺたを両手で引っ張る。
「いひゃい、いひゃい、あやへごみぃんて」
「許しません。いつも人の秘密をばら撒いたらダメですって、言ってるじゃないですか!」
「ゆるひぃて、ごみぃんなしゃい。にいひゃんたしゅへて」
加奈子が俺に助けを求めてくる。加奈子は先程救って貰った恩人だ。俺も助けてやりたい、だがしかしもう一度あやせの機嫌を損ねたらと思うと、立ち向かう勇気が湧いてこない。すまん、ヘタレな俺を許してくれ。俺はそっと加奈子から目を逸らした。
「こにょ、うりゃぎりゅもにょーーーー!!」
「加奈子、今日という今日は許しませんよ。だいたい、いつもいつも……」
あやせの説教は5分位懇々と続いた。その間、加奈子の頬っぺたはグニグニ引っ張られ続けた。
「うー、加奈子様の美貌が崩れたらお前のせいだぞ、ショボ兄貴!」
頬を抑えて、涙目で加奈子が睨みつけてくる。怒りの矛先を俺に向けてくる。自業自得な気もするが、助けてもらいながら見捨てた罪悪感から、俺は加奈子の頭を撫でながら謝る。
「悪い悪い、ええっと名字なんだっけ?」
「来栖加奈子様だ! ショボ兄貴」
頭に置かれた手をパシッと払いのけ、加奈子が宣言する。
「いい加減、ショボ兄貴はやめろ。新垣だとあやせと被るし、京介でいいから」
「ふん、ならあやせの兄貴だし、あたしを特別に加奈子様と呼ぶ事を許してやるぞ、京介!」
「へいへい、わかりましたよ加奈子様」
「声に敬いが足りねーぞ、京介!」
年上に対してこの態度、助けて貰った恩があるからいままで我慢してきたが、そろそろ我慢しなくていいんじゃ無いだろうか?
「はっ、がきんちょを敬うはずねーだろ」
「だ、誰ががきんちょだし、お前の目は節穴か?」
「生憎と両眼とも1、0ですけど、なにか?」
「う〜〜このヤロ!!」
加奈子が殴り掛かってくるが、俺は右手で頭を抑える。はっはぁ、がきんちょのリーチで届くわけねーだろ、悔やむなら自分の小ささを悔やむといい。
「ふ・た・り・と・も」
ビクッ!? またか? またなのか? しかしおかしいぞ? 今回はこのクソガキを相手にしてただけだぞ、あやせが怒る理由は無いはずだ。恐る恐るあやせの顔を見る。なんだろう? 怒るというよりムクれているといった感じだ。
「ずいぶんと仲が良くなりましたね。この短時間で?」
「はあ? どこをどう見たらそうなるんだ? こんながきんちょと仲良くなる訳ないだろ?」
「そうだぞあやせ! こんなショボ兄貴とあたしが仲良くなるはずがねえ!」
「ショボ兄貴言うんじゃねーよ、クソガキ!」
「あたしはクソガキでも、がきんちょでもねーぞ!!」
うー、と二人して睨みあう。ほら、どっからどう見ても仲が悪いだろう。しかしあやせはそんな俺らを見て、呆れてはぁーとため息を吐く。
「もういいです。二人が仲良いのはわかりました」
「「だから仲良くねー!!」」
二人一緒にあやせに抗議する。だがそんな俺らの態度を見て、あやせは額に手を当て、より深いため息を吐いた。
「……それで加奈子、今日はどうしたんですか? 桐乃も一緒じゃないみたいですし」
「家に居ても暇じゃん! だからぷらぷらしに来た。桐乃も何か用事あるって、最近あいつ付き合い悪くね?」
「桐乃も部活やっていますから、しょうがないんじゃないですか?」
「え〜、前はそんなでもなかったじゃん、……それこそあれじゃね? おとこ!」
「もう、また憶測で物を言って、怒りますよ」
あやせの発言に加奈子が、両手をわたわたさせて後ずさる。
「ち、違ぇーし! ちゃんと理由あるし、ほら最近付き合い悪くなったのは、ほんとじゃね」
「……まあそうですね。春になってから、忙しそうですね桐乃」
「だべ、前より明るくなったろ、あいつ」
「たしかに最近の桐乃、楽しそうですね」
「付き合いが悪くなって、明るくなったって、ほらこれもう彼氏出来たが正解じゃね!」
「…………」
お、おう、この流れは不味いのでは無いだろうか? 桐乃が付き合い悪くなって、明るくなったのは、おそらくオタク趣味の為だと思う。……もしかしたら本当に彼氏を作ったのかもしれないけど。
俺の脳裏にオタク趣味に没頭する桐乃の姿が浮かび上がる。……やっぱり無いだろうな、あの猛者に立ち向かえる勇者はそうそう現れないだろう。桐乃の彼氏になるにはメルル、妹と恋しよっ、シスカリなど多くの強敵を乗り越えないといけないのだから。
違う違う、桐乃の彼氏になる為の手順を考えてどうする俺。不味いのは、このままだと桐乃が友人にオタクバレしてしまうんじゃないか? という事だ。桐乃の彼氏を見てみたい、尾行してみる、アキバもしくは黒猫達からオタクバレ。なんだろう一連の流れが予想できてしまう。……はぁー、仕方ねえ、出来るかわからないけど、なんとか誤魔化してやるか。
「……そうなんでしょうか? ……それならなんで桐乃は親友の私に話してくれないんでしょうか? 桐乃が私に隠し事をしてる?」
俺がなんとか桐乃の彼氏疑惑を誤魔化そうと考えていると、あやせがぶつぶつと呟いている。あ、あやせさん、なにか雰囲気が凄く怖いんですけど。
「あ、あやせ?」
「なんですか兄さん。いま私は親友に隠し事をされてるかもで悩んでいるので、話しかけないで下さい」
「そう、それだよ。その親友に彼氏が出来たら不味いのか?」
「……いえ、別に彼氏が出来てもいいんですけど……私に話してくれないのが嫌なんです」
「友人に隠し事をされるのが、嫌だということか?」
「そうです。親友なら話してくれるのが、当たり前じゃないですか!」
「え〜、別に隠す奴もいんじゃね?そういうのを暴くのが面白れーし!」
「加奈子は黙っていて下さい!!」
「は、はい」
にしし、と笑う加奈子に、あやせが怒鳴りつける。あまりの迫力に直接怒鳴られてない俺も背筋がピンとなる。恐ええ、でもここでやめる訳にもいかないよな。まったくなんで桐乃の為に苦労しないといけないんだか。
「あやせ、例えば、本当に例えばだぞ、その桐乃だっけ? そいつに彼氏がいて、その彼氏が教師とかだったらどうする?」
「そ、そんな教師だなんて!?」
「待て、待て、だから例えばだ! 例えば! 漫画とかドラマで良くあるだろ!」
「そんなの止めるに決まってるじゃないですか!」
「まあそうだよな、でも桐乃がそいつを好きで好きでどうしようもなくて、止められるのがわかっているから隠すとかは、仕方ないんじゃないか?」
「……それはそうかもですけど、教師は止めますよ。不潔ですよ!」
「そうだな、じゃあ他の例えで、桐乃の相手が女だったらどうだ?」
「か、彼氏の話でなんで女性になるんですか!? 桐乃は変態じゃ有りませんよ」
いや、二次元に限定すれば、全然有りえそうな過程なんだがな……あいつならたぶん、メルルのキャラに『大好きなの、付き合ってお姉ちゃん』なんて言われたら、二つ返事でOKしそうな気がする。
「……だから例えばだ。相手も桐乃の事が好きで両想いだったとして、結婚するんじゃなくて、付き合うだけなら、法律上とかは問題無いよな」
「法律上は問題なくても、女同士なんて……不健全ですよ」
「そうだよな、だから桐乃はお前に隠すかもしれない、いや隠すんじゃないか?」
「何が言いたいんですか、兄さんは」
「うん、親友同士でも、隠し事があってもいいんじゃないかって事」
「でも……」
「納得できないか? まあでも、親友なら相手が隠したいと思っている事を暴くのは、俺は良くないと思うぞ」
「…………」
「というか、そもそも桐乃に彼氏がいるって前提で話しているが、見当違いの可能性もある訳だし、あまり深く考えんなよ」
「そうですね。いつの間にか彼氏がいるものって考えてました。勝手に考えて、桐乃に隠し事をされてると思い込んで……駄目ですね私」
彼氏はいないと思うが、桐乃があやせに隠し事をしてるのは事実だからな。バレた時はどうなっちまうんだろうな? あやせも桐乃も傷つかないといいんだが……考えてもどうしようもないか。とりあえずいまは落ち込んでるあやせを慰めよう。……加奈子には悪いが犠牲になってもらうか。
「あんま、落ち込むなよ。だいたい桐乃に彼氏がいるって邪推したのは、そこのがきんちょなんだから」
「がきんちょ言うんじゃねー! ってそこであたしに振るのかよ!?」
「……そういえば、そうでしたね」
「あ、あやせもちょっと待った。あれはちゃんとした推理で……」
「加奈子、これは決して八つ当たりとかじゃないですからね」
「嘘だぁぁぁぁ!!」
にこりと笑顔であやせが加奈子に近寄っていく。すまん成仏してくれ。お前の犠牲は忘れない。
あやせに頬っぺたをつねられている加奈子を見る。……この後の飯、こいつも誘ってやるか。奢ってやるのが、せめてもの詫びだな。財布的に痛いけど仕方ない。俺は自分の財布を取り出し、三人分の飯代が足りるか確認した。
☆
目の前で加奈子が頬を押さえて唸ってます。さすがにやり過ぎてしまったでしょうか? でも加奈子の所為で、桐乃が私に隠し事をしているって疑ってしまいましたから、自業自得です。兄さんにも説得されてしまいましたし、でも何か論点をずらされたというか? 上手く言えませんが、とりあえず完全に納得は出来ません。親友の事を知りたいというのは、間違いなんでしょうか?
「おーい、もうお仕置きは終わったか? 終わったなら、飯にしないか?」
加奈子とお話ししている間離れていた兄が近づいて来ます。いつの間にか結構な時間が経っていました。ちょっと長く買い物をしすぎてしまいました。まあでも、夕御飯にはちょうど良い時間ですね。
「そうですね。ちょうど良い時間ですし、どこに行きますか?」
「ララポ内ならいろいろあるだろ? 食べたい物あるか? 高いところは無理だけどな」
「そうですね? イタリアン、中華、何がいいですかね、迷ってしまいます!」
「おう、考えておいてくれ。おーい、加奈子、大丈夫か?」
私が何処にしようか悩んでいると、兄さんが加奈子に話しかけます。
「うう〜、あたしを売りやがって、このクソ兄貴!!」
加奈子が兄さんを睨みつけます。それにしてもこの二人、仲良くなり過ぎな気がします。まだ会ったの二回目ですよ! 兄さんは私の友人に対して、馴れ馴れし過ぎじゃないでしょうか? 加奈子はまあ……加奈子ですから、仕方ないですけど。私の心にモヤッとした物が生まれます。
「悪い悪い、加奈子はこの後どうすんだ?」
「なんで京介に教えなきゃなんねーんだよ!」
「まあそう言わず、教えてくれよ加奈子様」
「……仕方ねえな、特別だぞ。つっても、あたしも適当にどっか寄って喰うってだけだけどな!」
「そうか、なら俺達と一緒に食べないか?」
「えっ!?」
兄の発言に慌てます。兄さん、何を勝手に決めてるんですか!? 今日は私にご馳走してくれるって話だったでしょ! しかもちょっと仲良くなったからって、気軽に女の子を食事に誘うなんて、いつから兄さんは、そんなに軟派になったんですか!? 最近兄が女の子の扱いにこなれてきた様な気がします。
「あたしは構わねーぞ!」
「そうか、あやせもいいか?」
ズルイですよ。これじゃあ断る事なんて出来ないじゃないですか。別に加奈子と一緒に食事をしたくない訳じゃあないんです。加奈子は問題もいろいろと多いですが、一緒にいると楽しい私の大事な友人です。ただ今日は兄と一緒に外食の予定でしたから、それに他の人が入ってくると……何かが微妙に納得出来ないんです。
「……わかりました」
「そっか良かった。加奈子に詫びをしてやらなきゃと思ったんでな」
「詫びですか?」
「おう、ちょっと助けてもらってな。あとお前も最後のちょっと八つ当たりしたろ?」
「……そうですね」
加奈子に聞こえない様に小声で兄が囁きます。そう言われると、今回は理不尽に怒ってしまった部分もあったかもしれませんね。仕方ありません、兄さんとの外食はまた次の機会に期待しましょう。
「京介、あたしを誘うんだから、もちろん奢りなんだよな?」
「ああ、奢ってやるよ」
「ちぇっ、やっぱりか、ケチ臭いな〜。って、ちょっと待った、いま何て言った!?」
「奢ってやるって言ったんだが、やっぱり辞めるかな〜、何せケチ臭いからな~俺」
「だ、誰もそんな事言ってないし、さすが京介、太っ腹、よっ、お大臣!」
「調子がよすぎですよ、加奈子」
加奈子の変わり身の早さに、兄と二人して苦笑します。加奈子は、やっぱり加奈子ですね。
「そうと決まったら、早く行こうぜ! タダ飯があたしを待ってるぜ! ヒャッホーウ!!」
「あっ、おい、高いところは無理だからな。おい、話を聞けよ!」
加奈子が兄さんの腕を掴んで走り出します。まあたまには、こういうのもいいかも知れないですね。私は微笑みを浮かべて、二人の後について行きます。
デート?編終了です。
久しぶりに加奈子登場です。
加奈子書きやすい。上手く表現できてるかは別ですが……
加奈子を妹にして書いてみようか?
まあそんな余裕が無いので、気が向いたら書くかもです。