俺の妹がこんなに優等生なはずがない   作:電猫

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第9話

 ゴクッ、俺の喉を、飲み込んだ唾が胃に向かい流れていく。

 前に突き出した右手の人差し指がプルプルと震え、インターホンとお見合いをしている。

 すぅーーはぁぁー

 

「早く押しなさいよ!」

「うわっ!?」

 

 ピンポーン♪

 お見合いしていたはずの人差し指とインターホンが接吻していた。

 一度の出会いで、なんて不純な奴らだ!

 緊張感から意味不明のことを考えてしまう。

 

「貴方、本当に大丈夫?」

「お、おう、もち、ろんだ」

「京介氏、カチコチ過ぎでござるよ」

 

 俺の背後にいる黒猫と沙織の二人が心配そうに声をかけてくる。

 パンッ!! 俺は両頬に手の平を叩きつけた。

 痛ぇ、気合い入れ過ぎた。しかしこれで目が覚めた。俺がこんなんじゃ、こいつらはもっと不安になっちまうよな、しっかりしねえと!

 俺が気合いを入れた直後、カチャッという音と共に玄関の内側からドアが開いた。

 

「待ってた。……お父さんが待っているから入って」

「ああ、お邪魔します」

「お邪魔するわ」

「お邪魔するでござる」

 

 桐乃が出てきて片手でドアを抑え、俺たちを中に招き入れる。

 桐乃の強張った表情が、俺たちの姿を見てホッと緩んだ。

 正直ちょっとだけ、俺たちが来る前に高坂家の問題が解決しており、桐乃が明るく出迎えてくれる姿を期待したのだが、現実はやっぱり甘く無いようだ。

 玄関を潜り、すぐ左手にある部屋へ桐乃が先導する。

 部屋は畳の敷き詰められた和室だった。おそらくは客室なのだろう。部屋の中心には冬場はコタツになるだろう木のテーブルが置かれている。

 そしてそこに桐乃の親父さんが、和装姿で両腕を組みムッツリとした顔で鎮座していた。

 怖ぇーなんだよ、この親父!? 絶対職業サラリーマンじゃねぇ!? 眼光鋭すぎるから!

 親父さんは俺らの姿を見て少し驚いた後、ジロリとこちらを睨みつけ口を開いた。

 

「桐乃、帰ってもらいなさい。今日はお前がどうしてもと言うから話し合いの席をもうけたが、その席にそんなふざけた格好で来る輩と話し合うつもりはない」

 

 今回俺たちが親父さんに挑むにあたって、選んだ格好は普段通りのものにした。

 黒猫はゴスロリ姿のコスプレ、沙織はリュックサックこそしてないものの、グルグルメガネは健在だ。俺はジーンズにカットシャツでまあ無難なものだが。

 ちゃんとした格好で、好印象を与えるのがきっと正しい選択なんだろう。けど桐乃とはただの友人でなく、オタク友達として付き合っているというのを隠して相対したら駄目だと桐乃とも相談して、俺達はいつもの格好でのぞむことにした。

 俺たちの選択は間違っていたのか? いやその常識を破るために来たんだ。最初から挫けてどうする。

 俺は気合いを込めて、声を張り上げる。

 

「待って下さ……」

「待ってお父さん! この人達はあたしと会うときにいつもこの格好であってるの! それをお父さんに知って貰うために、同じ姿で来てもらったの!」

 

 俺が張り上げた声を遮るように、桐乃が力のこもった声で父親へ説明する。

 桐乃の気合いの入った声に驚いたのか、しかめっ面をした親父さんの眉がピクリと動く。

 しかし冷厳な調子で反論してくる。

 

「むっ、しかしそれは、そいつらが普段からふざけた格好をしているということだろう?」

「そいつらなんて言わないで、この人達はあたしの大事な友達なの姿形だけで判断しないで!」

 

 桐乃が叫んだ。

 桐乃がここまで怒ると思わなかったのだろう、親父さんは態度を改めこちらに向かい頭を下げた。

 

「ふぅー、客人に失礼な態度だった。申し訳ない。そこに掛けたまえ。桐乃の父の高坂大介だ。いつも桐乃がお世話になっている」

「お邪魔します。高坂さんの友人で、新垣京介です。高坂さんにはいつもお世話になってます」

「五更瑠璃です」

「槇島沙織と申します」

 

 挨拶をして、俺たちは親父さんの対面に座った。

 挨拶だけで一苦労だ。

 それにしてもこのオッサン声にも迫力ありすぎる! 本当にカタギの人間か?

 今回黒猫と沙織には厨二言語とござるは封印してもらった。オタク部分は格好で十分伝えられるだろうし、姿が奇抜でも中身はきちんとできるというのは、桐乃の説得に役立つと思う。

 しかし黒猫と沙織の本名を今頃になって知ることになるとはな、まさかこんなことで知ることになるとは思わなかった。

 内心でボヤいたとき、向こうから今回の本題に触れて来た。

 

「今回君たちは桐乃の趣味について話にくると聞いたが、それでいいかね?」

「はい、ただ今回僕たちは高坂さんとお父さんが話されるのを見届け、お二人の橋渡しが出来ればと思いお伺い致しました」

「むっ?」

 

 それは聞いていなかったのか、親父さんは桐乃の顔に視線を移し確認をとる。

 桐乃がコクリと頷いて応えた。

 

「お父さん、あたしともう一度話をしてちょうだい。そしてあたしの趣味を許してお願いします」

「「「お願いします」」」

 

 深々頭を下げて、お願いする桐乃。

 俺達三人も頭を下げてお願いする。

 親父さんもいきなりこのような形を取られるとは思わなかったのだろう、言葉に詰まったような気配が感じられた。

 部屋の中が、しんと静まり返る。

 数秒たったろうか? 静寂を親父さんが破った。

 

「頭を上げなさい桐乃、君たちもだ」

「それじゃあ」

「勘違いはするな。君たちに頭を下げられても困るというだけだ。それに桐乃、お前には一度言っただろう。趣味は認められない」

 

 返ってきた返答は完全な拒絶だった。

 まあこれは想定内だ。そもそも俺達が頭を下げたくらいで意見を翻す相手なら、最初から苦労はしないのだ。

 なので予定通りに桐乃が食い下がる。

 

「あたしは納得していない。だからなんでダメなのか納得するまでお父さんと話したい!」

「親が禁止すると決めたことだ。納得などしなくていい、ただ従いなさい」

「ただ従えなんて……それこそ納得できない! なんで禁止するのか理由を教えて!」

 

 桐乃の眼光が一歩も引かないとでもいうように強い光を放つ。

 根負けしたのか親父さんが答えた。

 

「ふぅー、わかった。お前がいましている趣味はお前に悪影響しか及ぼさないくだらない趣味だ。そんな趣味は親として認められない。趣味はたくさんあるだろう? 何も将来不利益になる趣味をすることはない」

 

 完全な拒絶だった。

 その言葉にそれまで力強く言葉を発していた桐乃が言葉を失くし、顔色を青ざめさせる。

 本来はここから皆で話し合った内容で、桐乃が普通の趣味もオタク趣味も大きな違いは無いという反論していく筈だった。

 しかし桐乃は青ざめまま硬直してしまっている。

 たぶん桐乃の親父さんは尊敬できる人なんだと思う。少し話を聞いただけだが、堅物であるが真面目に桐乃のことを考えている父親の印象を受けた。

 そんな父親からの完全な拒絶、父親とすれば一つ趣味を減らせ位の気持ちの発言だったのかも知れない。しかし俺達は桐乃はオタク趣味が好きなことを知っている。いやあのアニメやゲームに対する情熱は、愛していると言ってもいいだろう、それを尊敬する父親から否定されたのだ。

 桐乃にとって親父さんの言葉は、例えれば、愛する恋人と別れろと言われる。信仰する宗教に対してその教えはくだらないものだから止めるように言われる。桐乃が感じた衝撃はそういうものではないだろうか?

 動けなくなってしまった桐乃に代わり、俺が反論しようとするが、その前に茫然と青ざめ佇む桐乃の姿を見てしまった黒猫がキレた。

 

「何も知らないくせに、勝手に決めつけないで! 貴方が言う悪影響は世間一般の愚者達が流布した根拠のないものでしょうが! 貴方は父親でしょう何故娘が選んだ物を信じられないの? 関係ない他人の価値観といままで一緒に暮らしてきた娘のどちらを貴方は信じるの? 何故娘をわかってあげられないの! いまの桐乃の姿を見て、いま貴方の言葉は千の刃になって桐乃を斬りつけたのよ!」

「むっ」

 

 黒猫の剣幕に親父さんは口籠る。

 親父さんは桐乃の姿を確認し、ばつの悪い表情を浮かべる。

 

「すまない、悪影響しか及ぼさないといった言葉は訂正しよう。たしかに私はそれらのことは世間一般的にしか知らないのだから。知らないものをくだらないと決めつけてしまったようだ。そして桐乃、悪かった。知らずにお前を傷つけていた」

「お父さん……」

「ただしだ。それでも認められんものは、認められん」

「何でだよ!? 世間一般の価値観より娘が選んだ物を信じるんじゃ無いのかよ!」

 

 思わず俺は立ち上がってしまった。

 これで認めないんじゃ、本当に桐乃を信用しないことになっちまうじゃねぇか!

 

「娘はまだ中学二年生だ! 選ぶ物を間違ってしまうこともある。それを正しく選んでやるのも親の勤めであり、それが躾だ」

「アニメやゲームの何処が間違いなんだよ! たくさんの人間が見てるしやっているだろ? その人達全員間違ってるなら正しいってなんだよ? 勉強だけ出来れば構わないのかよ!」

 

 事前にいろいろと考えていたことは全て頭からすっ飛んでしまった。

 説得は桐乃に任せるつもりだったが止まれない。

 ただどうしても家族なのに桐乃の価値観を拒絶するのが悔しいのだ。

 

「若造がしったような口をきくな! 勉強だけなんてことはもちろん言わん。勉強しか出来ない奴が社会で通じないこともあると知っている。趣味の大事さも、もちろんわかっている」

「ならなんで!?」

 

 親父さんは苦悶の表情を浮かべ、仕方ないと言うように喋り始めた。

 

「アニメやゲームはともかく……R-18というのか? あれは18歳以上でなくてはならない筈なのだろう? 先ほど言ったように私はアニメやゲームのことはわからない。しかしこれは法律で18歳以上じゃなければならないと決められている物だろう」

「……えっ?」

 

俺の脳裏に【妹と恋しよっ♪】を借りたときのことがよぎる。

やっぱり18禁持っていやがったこの女!?

なんとかなりそうっていう場面で、最悪のカード持っていやがった!

俺ら三人は思わず桐乃に視線を送る。視線の先で桐乃が必死に首を捻って目を合わさないようにしている。

さっきまでの緊張感が一気に吹き飛んだ。

 

「娘を信じてやりたいが、そんな物を持っている娘を盲目的に信じる訳にはいかん」

「……それはそうですよね」

 

 思わず親父さんに同意してしまった。

 とたんいままでそっぽ向いていた桐乃が俺に噛み付いた。

 

「京介あ、あんた、あたしを裏切るの!?」

「う、裏切る訳ないだろ!? ただもし自分の娘がエロゲーやってたらって思ったら、ついつい頷いちまったんだよ」

「それが裏切りなのよ! ギャルゲーがいいなら、エロゲーも同じじゃない!」

「そんな訳あるかぁ!?」

「そもそも桐乃お前なんで、皆で相談中にエロゲーの相談しねーんだよ! 前提条件変わっちまうじゃねぇか!」

「そ、それはなんてーの、乙女の恥じらいみたいな?」

「エロゲーやる乙女が何処にいる!?」

「ここに居るわよ!!」

 

 シリアスな雰囲気は完全に吹っ飛んでしまった。

 親父さんの前なのに、いつものように桐乃と罵り合ってしまった。

 しかし幸いなことに親父さんは、目をパチクリさせてフリーズしている。

 しかしそれにしても桐乃の猛攻が酷い、きっとここ数日溜め込んだものが一気に爆発したのだろう。

 

「京介いまいくつ?」

「16だよ、それがどうした?」

「エッチな本とか持ってる?」

「ぶっ、も、持ってねぇよ」

 

 この女なんてこと聞きやがる!?

 ふざけているのか? と思ったが、桐乃の表情は真面目だった。

 

「嘘つかないで、大事な事なの!」

「……持ってるよ」

 

 はぁーー中学生にエロ本持っていると告白することになるとは、俺の人生わからないものだ。

 ようやく硬直が解除したのか親父さんが桐乃に問いかける。

 

「桐乃お前、さっきからいったいなにを……」

「お父さん、これから私が聞くことに嘘をつかないでお願い!」

「……わかった約束しよう」

 

 桐乃が親父さんの言葉を遮って、約束を取り付ける。

 桐乃の真剣な表情に親父さんも頷く。

 こいついったい何を聞く気だ?

 

「お父さん、いま京介はエッチな本を持っているって言った。京介がお父さんの息子だったら、それを取り上げるの?」

「こいつが息子!? いままでのやりとり!! 桐乃まさかお前!? 許さんぞ!!」

 

 突然起こった予想もしない事態に混乱していたのだろう、とんでもない勘違いを親父さんはした。

 俺の胸ぐらを掴みあげる親父。

 まて仮定の話だ! 取り乱すなおっさん!? い、息が出来ない。

 黒猫と沙織が慌てて、おっさんから俺を引き剥がす。

 ふぅ、死ぬかと思った! こんなアホな勘違いで死んだら死んでも死に切れねぇ!

 こんな奴はおっさんで充分だ。

 黒猫と沙織がおっさんに説明している。口調がいつものあいつらに戻っていた。

 

「親父殿、仮定の話でござる」

「そうよ、あくまでの話よ。勘違いしないで」

「む、そうか?」

「そ、そうよお父さんどうするの? エロ本取り上げるの? 嘘はつかないでね!」

「む、むむぅー、……いや、きっと見て見ぬ振りをするだろう」

 

 嘘をつかないと約束したおっさんは数秒ほど悩み正直に答えた。

 ああ、たぶん俺でも同じように答えただろう。

 誰だって思春期はあるのだ、おっさんにだって中学や高校の頃はあったのだ。

 それを考えれば息子に対して、18になるまで一切のエロを禁止し、取り上げて手に入らないよう監視することを選ぶ親は少ないのではないだろうか。

 桐乃がおっさんをさらに問い詰める。

 

「お父さん、息子なら良くてなんで娘は駄目なの?」

「お前それは……18歳以上じゃないと悪影響が」

「息子ならその18歳も免除されるの?」

「いや、しかし女の子がそんな……」

 

 おっさんの言葉がどんどん小さくなる。

 それに反比例するかのように桐乃の主張は力を増していった。

 

「女の子は、エッチな物を持っていたらいけないの? エッチな事に興味を持ったらダメなの? お父さん」

「……いや、……いや、……それは違う」

「お父さんあたしはいままで自分で言うのもなんだけど、良い子だったと思う。勉強もしっかりやっているし、部活も熱心に参加してる。モデルのバイトだってちゃんとしたところで、真面目に働いている。でもエロゲーをするだけで、お父さんから否定される人間になっちゃうの?」

 

 桐乃の声に不安感が混じる。

 しかしその不安感はすぐに解消された。

 

「いや、お前は自慢の娘だ。私はお前の父親で良かったと思っている。むぅぅ……だが桐乃お前はそんなにもあれが必要なのか?」

 

 おっさんが疲れたように桐乃に問いかける。

 それに桐乃は満面の笑みで応えた。

 

「お父さんあたしはエッチなことが目的で、エロゲーをやるわけじゃないの。その中の女の子達の可愛さとストーリーが好きなの、いえ愛してるの! エロゲーが無いとあたしがあたしじゃなくなっちゃうの。エロゲーが無いと生きていけないの。お願いお父さん、許して下さい」

「……………………そうか」

 

 おっさんは頭を下げる桐乃の姿を見つめ、長い沈黙の後、ポツリとこぼした。

 おっさんは最初にあったときから10は老けて見えた。

 おっさんにしてみれば、まさか娘にエロゲーが無いと生きていけないなどと聞かされることになるとは夢にも思わなかっただろう。

 おっさんは気力を振り絞り、俺達に向きなおり頭を下げた。

 

「桐乃をよろしく頼む!いざという時、間違った道に進まないよう止めて欲しい」

「「「わかりました。任せて下さい」」」

 

 親父さんの真剣な声に応えるべく、俺たち三人も力を込めて唱和した。

 心の中で桐乃を止めるのは凄え大変だろうなと思ってしまったのはナイショだ。

 

 無事? 説得も成功? して桐乃の家から出て、今は駅に向かいながら喋っている。

 桐乃も助けに来てくれたお礼にということで、見送りについて来た。

 

「まさかあそこで京介が裏切るとか、酷くない⁉︎」

「うるせーあそこでエロゲーが出てくるとは思わねーよ普通」

「えぇ、本当に! 貴女の業の深さを見誤っていたわ!」

「本当にもう駄目かと思ったでござるよ、拙者」

 

 まったく本当に大した奴だよ! こいつは結局自分の力で全てひっくり返しちまうんだから!

 結局あまり力になれなかった俺は、力不足を桐乃に詫びる。

 

「すまねぇーな、結局あまり力になれなかったな」

「そんなことない、……凄く嬉しかった」

 

 桐乃がボソッと何かを言った。

 声が小さく聞き取れない。

 

「なんだ? もう一回言ってくれ」

「な、なんでもない。あっウヒヒ、そんなことより京介って、どんなエロ本持ってんの?」

「なぁっ、お、お前!?」

「それは拙者も気になるでござるなぁ」

「べ、別にどうでもいいけど、参考までに聞いてあげるわ」

「い、言えるかぁぁぁぁ!?」

「あ、こら逃げんな!」

「待つでござるよ」

「待ちなさい」

 

 駅までダッシュすることになった。

 後ろから迫る連中に捕まると男の尊厳が踏みにじられるだろう。

 なんて恐ろしい連中だ!

 早く帰ってあやせの顔見て癒されたい!

 前に妹に萌えるなんてあり得ないと考えた。その考えは今も変わっていない。

 ただし最近の俺はこう思う。

 妹って奴は癒しだねと!!

 

 




シリアスとはなんだろう?
というわけでこんな感じになってしまいました。
原作一巻分完結です。
しかしもし娘のエログッズを見つけてしまったお父さんは実際どのような対応をするのでしょうか?

次はあやせメインの原作二巻、あれをどう書いていくか……
深く考えず、楽しんで書いて行こうと思います。

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