アイディアが思い付いたので何とか書き上げました。
ちょっと無理な展開かも知れませんがご了承下さい。
『さぁ遂に来たぜ、決勝戦! 選手入場だぁっ!!』
「「「うぉおおおおおおお―――!!!」」」
うるさく鳴り響くプレゼントマイクの実況、雄英体育祭も残すとこ決勝トーナメントの決勝戦のみとなり、会場は声を上げて盛り上がっていた。
「遂に決勝だな!」
「爆豪対造理、どっちが勝つのかな?」
「俺、爆豪に賭けるぜ」
「乗った! 俺、造理に賭ける」
「俺も造理」
「じゃあ俺は爆豪」
観戦しているA組一同も試合開始を心待ちにしている様子。そしてこの男も・・・・。
「(かっちゃん、・・・・造理くん)」
無言で試合会場を見つめる緑谷。爆豪に造理、緑谷にとってはどちらも気に成る人物であり、緑谷もどっちが勝つかは分からないで居た・・・・。
『さあ、選手入場だ! 先ずは体育祭開始前に一位宣言をしてここまで勝ち上がって来たクレイジーキッド! 爆豪 勝己!!』
「うっしゃあああああああ!!」
爆豪が声を上げながら姿を現す。そして反対側から・・・。
『そしてもう一人は優勝候補だった轟を降し、圧倒的な力を見せてきたスタイリッシュボーイ! 造理 練!!』
「・・・・・」
造理が姿を現した。
爆豪のように声は上げては居ないが、とても落ち着いた様子を見せていた。
『さぁ、さっさと始めようぜ! 爆豪VS造理! 試合開始だ!!』
「スタートっ!!」
活きよい良く開始された決勝戦、すると・・・・。
「死ねぇええええええ!!」
真っ先に動いたのは爆豪、スタート開始直後に飛び出し、造理に向かって爆破を繰り出した。
爆破は造理に命中したように見え、爆煙が立ち込めるが・・・・。
「フン!」
「食らうかっ!?」
造理は爆豪の爆破を難無くと回避しており爆煙に紛れて爆豪の真横に現れて攻撃を繰り出すが、爆豪はを両手でガードし防いだ。
「食らえぇ!!」
「フン!」
爆豪は至近距離まで近づいてきた造理に向かって再び爆破を繰り出したが、造理も再びそれを躱して爆豪と距離を置く。
「おらおらおらおらっ!!」
造理に向かって猪突猛進に攻撃を繰り出す爆豪、造理はそれをひたすら回避し、爆豪との距離を置いていく。
『爆豪の怒濤の連打が炸裂してるぜ!! あまりの猛攻に造理は逃げてばかりだぁ!!』
爆豪の猛攻に騒ぎ立てるプレゼントマイク、更に会場の他の場所でも・・・・。
「爆豪凄え!」
「造理を圧倒してやがる!」
「これこのままいっちまうんじゃねえか!?」
試合を観戦していたA組一同は爆豪の戦いっぷりに驚きの声を上げていた。
爆豪が造理を押している試合展開、会場の誰もが爆豪が勝利をするのでは無いかと思っているようだった。
――そんな中。
「(・・・・おかしい)」
緑谷、この男は違っていた。
分析を得意とする緑谷は目の前で繰り広げられている爆豪と造理の試合に違和感を感じていた。
そして他にも・・・・。
「(何やってるんだ造理?)」
プレゼントマイクの隣に座っていた相澤先生も試合の違和感に気付いていた。
他にも会場いる殆どの人間が盛り上がっている中、何人かの人間は試合の違和感に気付いていた・・・・。
――その時。
「おい、錬金野郎!!」
「?」
爆豪が唐突に造理に向かって声を上げた。
「てめぇ、巫山戯てやがるのかぁ!!」
「何のことだ?」
爆豪の一方的な責め立てに造理は声を上げる。どうも爆豪は苛立ちを見せているようだが、それも仕方が無い。
何せ造理はここまでの試合に置いて・・・・。
「何で"個性"を使わねぇんだ!!」
"個性"を全く使用していなかったのだから・・・・。
◇◇
「何で"個性"を使わねぇんだ!!」
・・・・流石に気付いてきたか。
現在俺は爆豪と決勝戦を繰り広げて居るのだが、個性は一切使用しないで居た。
別に個性が使えなく成った訳では無いが、使わないのには理由があった。
――それは。
「自己アピールの為だ」
「!?」
この雄英体育祭が始まってから一次予選と二次予選、・・・・そしてこの決勝トーナメントで俺の個性の強さは十分にアピールすることが出来た。
しかし俺は"個性の強さ=その者の強さ"と言う考えは好きでは無い。
個性でしか物事を捕らえることしか出来ないヒーロー達の目に止まった所で何のメリットも無いし、ならば個性抜きの俺自身の力を示して、理解あるヒーロー達の目に止まった方が良いと言うものだ。
そして、この決勝戦で、もし個性を使用せずに勝利することが出来ればこの上ない実力アピールに繋がる。
「俺のアピールに付き合って貰うぞ爆豪?」
「!? ふざけんなぁっ!!」
「フン!」
「!? のわぁっ!!」
俺の言葉を聞いて怒りに狂ったのか爆豪は急接近して来て右手をかざし個性を発動してくるが、俺はそれよりも早く動き爆豪の右手をそらしてその拍子に腕を掴み爆豪を反対側に投げ飛ばした。
「右の大振り、・・・・弱点を直して来なかったようだな?」
「ぐっ!」
弱点を突いてステージに叩き付けたが、爆豪は即座に立ち上がり体制を整える。
「ハッキリ言ってやる。お前じゃ俺には勝てない」
「ざけんなっ!! 何を根拠に言ってやがんだっ!!」
「根拠ならあるぞ。主に三つな?」
「!?」
決勝が始まる前、爆豪の試合は一回戦から観察していたが、こいつには大きな欠点が三つあった。
「巫山戯やがって!! 『閃光弾(スタングレネード)!!』」
「!?」
急接近してきた爆豪は俺の目の前で閃光を放っってきた。
目くらましをされたことで爆豪の姿が見えなくなったが・・・・。
「甘い」
「なっ!?」
俺は背後に回った爆豪の攻撃を交わして距離を置いた。
「何で避けられた!?」
「予想出来たからだ」
「!?」
これが一つ目の理由、――爆豪の攻撃はとても読みやすい。
爆豪の攻撃は爆破の個性に寄る物が殆どでありその威力は大した物だが、掌からしか発動できない個性の攻撃はとても分かりやすい。
威力が強い故に変則的な攻撃はし辛い為、手の向きや肩の動き等を見ればどう攻撃してくるかが、簡単予測できてしまう・・・・。
「お前の攻撃方法は分かりやすい。見た目が派手なだけで、例え目くらましをされても回避なんて造作も無いことだ」
「うるせぇっ!!」
爆豪は声を張り上げ、俺に向かって個性を発動してくる。
だが。
「遅いな?」
「ぐふっ!?」
俺は爆豪が個性を発動する前に爆豪の懐まで接近し、爆豪の腹部に拳を繰り出した。
「ぐ、うぉ!」
「思いのほか打たれ弱いな?」
コレが二つ目の理由、――爆豪は意外と打たれ弱い。
爆豪は爆破という強力な個性による近接戦闘で相手を蹂躙するのが主な戦法だが、爆破によって相手を寄せ付けない事が多かったのか、自分にダメージを受けると言う事があまり無かったようだ。
現に腹部に直撃を受けた爆豪は苦しそうに腹部を押さえている・・・。
「げほっ! おわぁ!」
「大丈夫か爆豪? よかったら今すぐ降参するか?」
「ぐっ! ・・・巫山戯んな!」
俺の言葉にいきり立った爆豪は再び俺に向かって来て個性を発動しようとする。
――だが。
「遅い!」
「!?」
俺は即座に動き、個性を発動してきた爆豪の右腕を掴んだ。
「く、クソが!」
「分かりやすいな?」
「!?」
爆豪は更に左腕で個性を発動して来たが、俺はそれも防いで爆豪に左腕を掴んだ。
「捕まえた」
「クソ! 離れねぇ!?」
俺はガッチリと爆豪の両腕を掴み爆豪を拘束する。
そして爆豪の両腕を引っ張って伸ばして行き・・・。
「ふっ!」
「ぐふぉ!」
爆豪の腹部に膝蹴りを入れ、そして・・・。
「はっ!」
「ぐはぁっ!」
爆豪を大きく蹴り上げた。
蹴り上げられた爆豪は宙を舞ってそのまま場外に落ちていく・・・・。
――と思ったが。
「く、クソがっ!」
爆豪は爆破の個性を使って自分の身をギリギリの所でステージに止まらせた。
「上手く場外を逃れたな爆豪? だがこれ以上はやめておいた方が身のためだぞ?」
「うるせぇ錬金野郎! 俺は負けねぇ!!」
「なら仕方が無い」
「くっ!」
俺は再び爆豪に急接近する。
流石に学習したのか爆豪は要撃はせず、俺から距離を置こうとした。
「逃げられないぞ?」
「くそっ! ぐわっ!」
しかし、動くスピードは俺の方が上のため簡単に追いつくことが出来、再び爆豪に攻撃を仕掛ける。
「もう諦めろ爆豪。お前じゃ俺には勝てない」
「巫山戯るな! まだ勝負は付いてねえだろうが!」
「お前と俺とじゃレベルが違う」
「!?」
俺はハッキリと爆豪にそう告げる。
そしてコレこそが三つ目の理由であり、爆豪が俺に勝てない理由の一番の理由。
――爆豪では戦闘能力での根本的な実力が俺より低いと言う事だ。
コレは爆豪に限った話では無いのだが、雄英の一年生・・・・ヒーロー科を含めたその他のクラスの殆どの人間全員は、ハッキリ言って"弱い"のだ。
特にヒーロー科の奴は派手で強力な個性が持っている者が多く居るため気付いていない奴が多いが、その実力は高い訳では無く、寧ろ低い。
中には例外も居るが、爆豪はその例外には含まれては居らず、爆豪がやたら強く目立っているのは爆豪が強い訳では無く、周りにいる連中が弱いから目立っているに過ぎない。
「ハッキリ言ってやる。・・・お前は弱い!」
「!?」
爆豪の試合を観察していて思ったのだが、爆豪が決勝まで勝ちの上がってこれたのは単純にくじ運が良かったに過ぎない。
一回戦では個性は強力だが一撃必殺を気取りあっという間に戦闘不能に陥った上鳴。
二回戦ではノーガードで猪突猛進に単純攻撃を繰り返した切島。
・・・・俺ならば居眠りしながらでも勝てる相手だ。
準決勝での常闇との対戦は単純に個性の相性が良すぎたに過ぎない。
もし轟や飯田、そして緑谷辺りと対戦していたら、ここまで勝ち上がって来る事は出来なかっただろう・・・。
「お前が決勝まで来れたのは相手が弱かった事と、くじ運が良かったからに過ぎない。お前の実力じゃ、俺には決して勝てないぞ?」
「!!? ほざきやがれぇ!!」
俺の言葉を聞いて完全に頭に来ていた爆豪は叫びながら俺に向かってもう突進して来るが・・・。
「分かりやすい行動だ」
「!?」
俺は向かってくる爆豪の動きを利用してクルッと爆豪の背後に回る・・・・・爆豪の右腕を掴んだ状態で。
「な!? ・・・ぐわっ!!」
爆豪の右腕を掴んで背後に回った俺は更に爆豪の後頭部を掴み地面に押しつけた。
「ぐっ!!」
「決まったな? もう逃れることは出来ないぞ?」
「クソがっ!」
「降参しろ爆豪。出なければこの右腕をへし折るぞ?」
爆豪の右腕を掴み頭を地面に押しつけ完全に爆豪を拘束した俺は、爆豪に脅しを掛けて降参を催促した。
だが爆豪は・・・・。
「巫山戯るなクソがっ!! 俺は負けてねぇ!! 例え右腕を折られてもテメェをぶっ倒してやるっ!」
「そうか・・・・・・」
何とも往生際の悪い男だ。
ここまでされているのに未だに勝つ気で居るとは、その神経は呆れる物だ。
――ならば俺も容赦はしない。
俺は爆豪の右腕を拘束している腕に力を入れ・・・・。
『グギッ!!』
爆豪の右腕をへし折った。
そしてそれと同時に。
「ぐわぁあああああああああああ!!」
爆豪から悲鳴が上がった。
「ぐわっ! がぁっ!」
右腕を折られた事で痛みもがく爆豪。
俺は爆豪から距離を置き、離れたところから見つめる。
『うわぉっ!! て、あれマジで折れてねえか!? ヤバくねぇ!!?』
「ミッドナイト。直ぐに確認を・・・」
実況席のプレゼントマイクが声を上げ、それに続き相澤先生が指示を出す。
そして、主審のミッドナイトが爆豪の近づいて行き様子を伺う。
「右腕が完全に折れてるわ。これ以上は無理ね」
これ以上試合を続けるのは不可能と判断したミッドナイトは試合を終了させようとした。
――だが。
「待って下さいミッドナイト」
「!? 造理くん?」
俺はそれに口を挟ませて貰った。
「そいつはまだ降参していません。試合はまだ継続中です」
「これ以上は危険よ。この状態で戦えば障害が残るかも知れないわ」
「それがどうしました?」
「!?」
俺はミッドナイト言葉を一喝した。
爆豪は右腕が使えないだけで他はダメージこそは負っているが戦えないようなレベルでは無い。
そもそもヒーローを目指して居る者が骨の一本~二本へし折れたぐらいでへこたれているようじゃ話に成らないし、そんな軟弱な奴がいざヒーローに成ったとしても直ぐに辞めるか殺されるのが落ちだ。
「まだ爆豪は戦うことが出来ます。本人が負けを認めない限りは試合を続行すべきです」
「大事なのは生徒の身の安全よ。危険が伴うと分かりきった事を見過ごす訳には行かないわ」
「なら、俺が先に降参して負けを認めます」
「えっ!?」
「「「「えっ!!?」」」」
俺の言葉にミッドナイトだけでは無く会場に居た全員から驚きの声が上がった。
『おい造理。どう言うつもりだ?』
実況席に居た相澤先生がマイク越しに俺に尋ねてきた。
「俺は曖昧な事が大嫌いです。爆豪自身が負けを口にした訳でも無いのに第三者に勝ち負けを決められるのは納得がいきません」
『そんな身勝手な我が儘が通じると思ってるのか?』
「思っていませんよ? ・・・・だからルールに則って、俺が負けを認めて気持ち良く試合を終わらせようと思っています」
『・・・・・・・』
正論をぶつけた為、相澤先生は黙ってしまう。
そして俺は再び爆豪の方に目を向けた。
「さっさと立て爆豪。それが出来なければ、早く降参しろ」
「・・・・・」
「おいおい、たかだか骨が一本へし折れただけで戦意喪失か? 普段から威張り腐ってくせに、意外と根性が無いんだな?」
「・・・・・」
俺の言葉に対して無言を貫く爆豪。
・・・・・どうやらこいつは、骨折などの重傷を負った経験が無いようだな。
こう言う経験をしてしまうと身に怪我に対する恐怖が生まれてしまう物であり、そうなってしまえば身体は無意識に危険を回避しようとしてしまう。
一度こうなってしまうと中々立ち直れず、踏み出すのに躊躇してしまう物だ。
――しかし、命が掛かっている訳でも無いのに、これでは話に成らない。
「呆れた物だな。良くそんなんでヒーローを目指したものだ」
「・・・・・・」
俺の挑発紛いの言葉を聞いても爆豪は無言を貫き顔を下に向けている。
こいつはヒーローに夢でも見て他のだろうか? ヒーローに幸福でも抱いていたのだろうか?
死と隣り合わせであるヒーローを目指しているのならば当然、覚悟ぐらいは持っているだろう思っていたが、情けないにも程がある。
「残念だよ。・・・・・お前には"緑谷"のような根性は無かったようだな」
「っ!?」
USJでヴィランに襲われたときに見た緑谷の姿はまさにヒーローの塊みたいな物であった。
己を身を顧みず、死ぬ覚悟を持ってヴィランと対峙しようとした緑谷には確固たる信念があった。
プロのヒーローでさえ中々持ち合わせない本物の信念が・・・・・。
残念ながら爆豪にはそれが無かったようだ。
――その時。
「・・・・巫山戯んな」
「ん?」
「巫山戯んじゃねぇ!!」
爆豪は怒りの声を上げながら立ち上がった。
「俺が弱ぇだと! 俺が情けねぇだと! 巫山戯んなっ!! 俺はデク何かに負けちゃいねぇ!!」
俺に向かって怒号をぶつけてくる爆豪。
どうやら緑谷を引き合いに出したのが相当イラついたのか、戦う意思を取り戻したようだ。
「ミッドナイト!! 試合は続行だ!! 例え手足がもがれても勝利してやらぁっ!!」
「落ち着きなさい爆豪くん! 少しは冷静になって・・・・」
『試合続行だ』
「!? イレイザーヘッド!」
ミッドナイトが爆豪を窘めていたが、実況席に居た相澤先生が試合続行を宣言してきた。
『こいつらはヒーローに成るためにここに居るんだ。そしてその覚悟を見せようとしている。この試合はどちらかが負けを認めるか戦闘不能に成るまで継続する』
「・・・・・・」
相澤先生の言葉にミッドナイトは黙ってしまう。
――そして。
「・・・・試合続行よ!」
試合は続行された。
「ここまで煽ってやったんだから、少しは根性を見せろよ爆豪? 俺に個性を使わせたら、お前に勝利をくれてやる」
「黙りやがれ、錬金野郎!! てめぇをぶっ倒して俺が勝つ!! そんで俺が一番だっ!!」
俺と爆豪は再び構え、試合を再開して行った・・・・・。
◇◇
「「「「(・・・・・・・・・・強い)」」」」
場所はヒーロー科A組がいる観客席、そこに居たA組一同は造理と爆豪の試合を見て、声が出ないほどの驚きを見せていた。
彼らにとって爆豪は自分たちよりも上を行く存在・・・・・"強者"として捉えていたが、その爆豪を圧倒・・・・・それも個性を使わずに圧倒する造理の存在が信じられずに居た。
彼らは全員、優れた個性を持つ者であり、その個性の強さにこそ自信を持っていた。
個性を使わずに爆豪を圧倒する造理の存在は彼らの常識を覆すのには十分な出来事であった。
そしてこの男も。
「(かっちゃん、造理くん・・・・・)」
幼なじみである爆豪が個性を使わない造理に圧倒される姿を目の当たりした緑谷は、造理の戦いを真剣に考察していた。
「(個性だけが強さじゃ無い。僕も鍛えれば造理くんのようにやれるのかな・・・・?)
かつて無個性であった緑谷は個性に頼らない強さを真剣に考え始めた。
さらにこの男・・・。
「(ここまで差があるのか・・・・)」
準決勝で造理と対決した轟。
「(戦闘技術は俺よりも明らかに高い。俺が善戦出来たのは個性の相性に寄る物か・・・)」
造理の強さを改めて思い知らされたようであり、造理の戦いから目を離さないでいる。
A組一同それぞれが違う形で試合を考察する中、造理と爆豪の試合は・・・・・・。
「はっ!」
「ぐわっ!!」
佳境を迎えていた。
試合が続行され、戦い続ける造理と爆豪だが結局は造理が圧倒する状態が続いていた。
爆豪の意気込みは大した物であったが、右腕を骨折している状態では所詮は付け焼き刃、多少は善戦するも殆ど無傷の状態であった造理に対抗することは出来なかった。
「ハァ! ンアッ! ハァ・・・」
「動きが止まってるぞ爆豪?」
既にフラフラの状態であり立っているのがやっとである爆豪。
それでも倒れないのは並々成らない爆豪の意地とプライドによる物だが、既に戦う力は殆ど残されていない。
「・・・・・・・・」
「(・・・限界だな。決めるか!)」
手は既に下がっており視線も合わず棒立ちの状態の爆豪。
造理は勝負を決める為に爆豪に向かって行った。
そして。
「はっ!」
『決まったぁ―!! 造理の拳が決まったぁ――!!』
爆豪の顔面に向かって造理の拳がヒットする。
そして爆豪はそのまま場外にまで吹き飛ばされる・・・・・・。
――と思われたが。
「・・・・・・・・・捕まえたぜ錬金野郎!!」
「!?」
爆豪は造理の腕を掴んでいた。
「(これは麗日の時と同じ!)」
腕を掴まれて驚く造理。
爆豪は造理の拳が当たる寸前、爆豪は姿勢をほんの僅かだけ下げて造理の攻撃が額に当たるように仕向けたのである。
これは一回戦で造理と対決した麗日がやった事と同じであった。
「(不味い、これは!)」
「逃がさねぇ!!」
「!?」
爆豪は残された力を振り絞って動き出し、掴んだ造理の腕に両足を絡めてガッチリとホールドした。
「これなら避けられねぇだろ? 錬金野郎!」
「くっ!」
造理を捕らえる事に成功した爆豪は無事であった左腕を造理に向かってかざし、そして・・・・・。
「ぶっ飛びやがれぇっ!! 榴弾砲着弾(ハウザー・インパクト)!!」
爆豪から強力な爆破が放たれ、造理は閃光に包まれて行った・・・・・・。
――――
決着は次回に・・・・。