魔法科高校の“劣等生” 作:ちゅうにびょう
最近、嫌な夢をよく見る。
中学生にもなって何を、と自分でも思う。だが、夢の内容をあまり覚えていない以上どうしようもないのだ。ただ一つ分かるのは嫌な夢である、ということ。だって、そうでなければ汗なんてかかない。
だが寝ないことにはどうしようもない。明日の訓練に支障をきたす。
あぁ、怖い。それでも、とりあえずは、おやすみなさい。
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最初は、小学六年のときだった。
初めて、走りで負けた。小学校での勉強は簡単だったからテストで誰かに勝つなんてことはざらだった。だからこそ運動などの科目で差ができる。それまで負けたことがなかったからこそ、初めて負けた時の悔しさはまだ、こびり付いている。
必死に練習した。自分の走り方を確認し、お手本を見て、自分に合う形に変えていった。
陸上部に入り、ハイレベルな人々と競い合った。
そして、全国大会。男子の部、優勝。金メダルが誇らしかった。
───────別に、才が無い訳ではない。努力が足りなかったわけでもない。負けることはどうだっていい。それでもアイツに出会うことだけは、避けるべき事だった/避けられなかった。
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中学二年のころ、転入してきた奴がいた。そいつが言うには俺のことを追ってきたらしい。いわく、あの陸上大会での執念に満ちた顔、駆け抜けた時の雄叫び。あれらを見て、感じた時、体とともに心が震えた、と。
とても、嬉しかった。もう走らない、と言って少し残念そうな顔をしたが、今後も共に競い合ってくれると言ってくれた。
テストでの、成績での勝負。負け数の方が多かったが楽しかった。
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高校になって、弓道部に入った。1年上の衛宮先輩にはもはや勝てない、という諦めがあったがそれでも、アイツとの勝負を続けた。
高校一年の最後の大会。アイツに負けた。どうしようもなく悔しかった。それまでは良かった。
─────そのあと事故にあった。幼馴染みの救出に左腕を犠牲にした。それのせいで、弓を引けなくなった。そして気づいた。思った。解ったんだ。あの勝負が最後のアイツとの戦いだったんだって。
理解した。あの敗北は─────
其れは、変えようのない、確定された敗北だった。
2週間程入院することになった。左腕は利き手ではないので生活への復帰は難しいものではなかった。そして入院途中、半狂乱状態のアイツに言われた。問われた。
──────私は、貴方を負かすことに生き甲斐を感じていたんです!最も白熱するのが弓道だった!この一年、もう朽ち果てても良かったと思えるものだった!あれ以上のものを感じれない確信がある!私は、今後何を理由に生きればいいんですか!?
その後──高校二年進級後──、彼女は行方不明、その後自殺した死体が確認された。彼女に家族はいなかったらしく、本当に、俺を負かすことが全てだったらしい。
俺は心に深い傷を負った。アイツともう戦えないことよりもなにより、アイツが俺に会いに来た理由が、“俺を負かすことだった”からだ。俺は、勝負に楽しさを覚えていた。
だがアイツは、アイツのその理由は、俺との戦いに喜びを、楽しさを感じれなかったということを表しているのが何より辛かった。
幼馴染みがこの辛さを分け合ってくれたが、それでも立ち直ることは出来なかった。
俺の青春は、ここで終わった。
今日中に続き出したい。次の最初辺りで(ある意味)回想は終わりにしたい