魔法科高校の“劣等生”   作:ちゅうにびょう

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切るところが分からなくなり結果長くなった。
本当に、申し訳ございません…


夜が、明ける

 

 

 

夜、一時半を過ぎた頃。士朗は玲の部屋から魔力の集まりを感じる。

 

「どういうことだ…?このパターンは…霊脈?だが、霊脈は聖杯に。……!あぁ、うん、なるほど。そういうことか。これは、聖杯の活性化の不安はしなくて良さそうだ」

 

士朗は苦笑しながら言う。そして。

真夜中に聖杯の光が爆ぜた。

 

───────────────────

 

 

 

 

ランニングを開始する。

まるで風になったようで。景色がとてつもない速さで変わっていく。空気が体に溶けていく。走る走る走る。何故か懐かしい感覚に駆られる。

ふと、落ち着いて周りを見ると、あまり見慣れない場所に来てしまったことがわかる。時間も時間だ。早く帰ろう。そう、疾く。

嗚呼、早く、闘いたい。

 

───────────────────

 

階段にさしかかったと思ったら、既に門の前にいた。驚きつつも門をくぐると師匠が待っていた。

「おはようございます、師匠。」

 

「……あぁ、おはよう。」

 

「……?では、今日もよろしくお願いします。」

 

 

「ちょっと待ってくれ。今から組み手をするんだろう?始まりの合図は俺がやっていもいいか?」

 

士朗が唐突に申し出る。玲からしてみればとても有難いことだったが、スカサハからしてみれば邪魔者以外の何でもなかった。

だが、士朗はそれを宥め、合図をすることになった。すれ違いざま、スカサハに玲が聞こえない程度の声で一言。

「今日はひと味違うと思うぞ。油断してると、死にはしないかもだが、数撃食らうかもな」

 

「煩い、早く始めるぞ」

彼女の、燻りを抑えられないような声音に士朗は苦笑する。

 

さぁ、これより始まるは一世一代の大勝負。齢十二の少年が、師に牙を剥くささやかな反抗。それでは、

 

「始めッ!」

 

───────────────────

 

まず第一に、まともにやっても勝てない。ならば、勝つためにはどうするか。一瞬の空白を作り、そこを突くしかない。幸い、彼女に見せていない技がたった二つ存在する。それをうまく利用し意表を突き続けて、勝利への道を切り開く。また、確か師匠は俺の姿を追う時気配を辿っていた。それは詰まり、師匠にとって僕/俺の速さが厄介であるということ。さて、思考始めること3秒、どう動こうか。

「ハハハハハ!避けているだけでは何も出来まい!それともなにか?避けるので精一杯か!」

 

高速の突きが襲いかかる。右へ左へ、しゃがみ跳び。どうにかこうにかしている状態である。そろそろ動こうか。

 

「…!?………」

 

おぉ、困ってる困ってる。そりゃそうだろう、当然困るさ。正面で己の突きを避けている男が突然風と共に消えたんだから。

動くことはやめない。止まったら体に空気が馴染む感覚が消えてしまう。

──食らえ、奇襲だ…!

 

「!?」

「………クク」

バレていた?いや、直前まで周りを見渡し、警戒を怠っていなかった。だが師匠/スカサハは、奇襲をいなされ、増しては反撃までされた。避けはしたものの当たっていれば即おしまい。まさかとは思うが、俺の行動が彼女を本気にさせたとでも…?

 

「本当に、分からなかった。だがな、直前。そう、奇襲のほんの少し前。首元がチクリとしたのさ。そこからは無心よ。喜べ、これより私は、本気だ…!」

…やるしかない。正面からぶち当てる。

駆ける(縮地 B)。目前。右足でしっかりと踏み込み、放つ…!

 

 

手が、腕が、痺れる。スカサハから何のアクションも見られないが嫌な予感がした以上は仕切り直しだ。

遠目から見てようやく分かる。彼女の周りに張られた薄い膜のようなもの。あれは、まさか?

「現代、魔法?」

 

「あぁ、そうだとも。確かに私は大体のものがルーンでどうにかなるため使う理由はない。だが最近のものは面白くてな。使ってみるのもいいと思っていたところなのさ。」

不味い。こちらが奥の手を準備しているというのなら彼女もそうだということか。もはや、1個ずつ小出しにしている暇は無いな。

ある程度、遅く。槍では捉えられないが広範囲の魔法、魔術なら行ける程度に。ヒットアンドアウェイを繰り返す。膜を抉りとるように。

「えぇと、こうだったかな?」

正面に、氷と炎が入り混じる壁のような現代魔法が発生した。

────今しかない

魔力殺し、展開。生存本能、全開。もう、誰も追いつかせない……!

内部に展開されていた魔力殺しを表面に押し出す。行くぞ…!─────────

 

一歩引く。左足に力を込め、放つ(縮地 B+)

音を超える。氷と炎を超え、スカサハの前に辿り着く。勢いは弱めない。完璧に彼女はこちらを捉えている。次は追撃が来るはずだ。

 

思った通り地から蔦が飛び出し襲いかかる。空に跳ぶ。蔦は追いかけてくる。もはや避ける術はない。

そんな訳は無い。自らそっちに逃げたんだ。対応策くらいある。さぁ、驚けよ?

イメージしろ、この空を自らのものとする翼を。この背に在るのは、ゴチャゴチャと刻まれた傷なんかじゃない。この空を翔る、れっきとした翼だ…!ガクリと力が抜ける代わりに背に大きな力を感じる。スカサハは目を見開き、俺はそのうちにスカサハの正面まで翔ぶ。

「フゥッ!」

「ゼァアッ!」

クロスカウンター。もういちど、元の位置まで。きっとこの次が決め手となる。そんな予感がする。ならば出し惜しむ必要は無い。

 

 

地を踏みしめ、神速へ(縮地 A+)。度を超えた勢いを、踵を地につけ殺す。反転。イメージを固め、彼のような槍を生成する。

 

スカサハもこちらに迫る。その手には今まで見たことのない、訓練時とは違う、血のような赤い槍。まるで、彼のような。

 

彼の動きを真似ろ…!あの夢で見たんだろう!?そう、あのとおりに。

真名、擬似解放──────────!

 

「ゲイ・ボルグッ!」

 

「────────」

 

交錯

 

一秒────────一層光が強くなった俺の槍は弾かれ、彼女が踏み込む。

 

二秒────────彼女の槍を右肩に受ける。もはや彼女にこれ以上の追撃はさせない。俺は右足を大きく、彼女の懐まで押し込み踏み込む。

 

三秒───────────彼女は身を引く。そして。

 

「く、ぅううおおおああああああああ!」

 

光り輝く、魂を懸けた左腕の一振り。だが其れは虚しく空を斬る。

 

 

瞬き

 

チクリ

 

「…!?お主ッ!」

スカサハの太腿に刺さる金色の光り輝くクナイ。それは彼が振ったあの左手から投げられたものだった。

 

「駆けろ…金獅子…!」

彼女の体を雷光が走る。ようやく、漸くだ。ここまで、追い込んだ。

 

 

 

 

 

「フ……フハハ、ハハハハハハハ!まさか、ここまで来るとは、あぁ、嬉しいさ、嬉しいとも!さぁ、次で終わりにしよう!全身全霊の一撃で!」

 

彼女が本当に弟子思いで良かった。

スカサハは理解しているんだ、この次が俺の限界であることが。俺の奥の手が、彼女に届き得るということを。

「あぁ、決めよう。じゃあスカサハ。先に倒れた方が負けだ、そして負けた方がこの廃墟のようになった広場の整備をしよう。」

 

「そうだな、そうしよう!」

 

二人で笑い合う。笑い声は段々と小さくなり、やがて。

 

静寂

 

刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルグ)…!」

赤い槍がジワリと力を放ち出す。

 

「─────────!」

彼の左手に柄が掴まれる。形成されるは無形の剣。

 

覗いた夢。衛宮士朗が、岸波白野が繋いでくれた。あの二人と駆け抜けた記憶が、興奮が、喜びが、剣に溶ける。あの二人は、俺だって、当然記録に残るような人ではない。そもそも(うつつ)に生きた証が残るか分からない。それでも確かに、彼らと駆け抜けたそれは、この身を焦がす──!

 

真名、()()…!

白紙の銘刀(Name less)

 

 

───────────────────

 

「──よく、ここまで踏みとどまった。まさか、弟子に扱き使われる時が来るとは。あぁ、士朗、早めに起こしてくれよ?片付け、面倒だからな──────」

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ………ッ!勝った、勝ったぞ!この野郎っ、勝ったんだ、あぁ、クソ、嬉しいのに。もう、もたない、とか──」

一瞬遅れで玲が倒れ込む。

 

 

「勝者、雅ノ玲!……まぁ聞いてるの、一人しかいないんだけどな」

 

 

 

「ありゃりゃ、気づいてたんなら早く言ってくれよなー、逃げる準備出来ねえじゃねえか」

 

「何故来た。この子に力を与えたのだってお前だろう?」

 

「力を与えたんじゃない、取り戻させたのさ。理由なんてないようなもんさ。今出来たけどな。そいつに死んでもらっちゃ困るのよ。一応肩入れした身だし?だから彼に付いてる死の呪い欲しいナー、なんて?」

 

「……ゲイ・ボルグか。全く、早く起こせとはこういう…。」

こちらを気にせず、黒い影はそこにしゃがみこみ傷がある胸元をぺちぺちと叩く。

 

 

いやー美味いわー、と元々黒い体に黒いモヤを吸収していく光景はシュールだったと後に士朗は言う。

 

───────────────────

起きると、既に奴の呪いは消えていた。ことの経緯を聞いても誤魔化すばかりだったので蹴りを入れてやった。

あの試合(死合)の翌日。疲労か、力の使いすぎかでまだ奴は起きていない。訓練もできず、長らく暇なので誠に遺憾であるが、奴の看病をしている。

「……まだ、起きませんね」

「ん、あぁ、そうだな」

「……スカサハさんはこれからどうするんですか?」

「………そう、だな」

「…これは私の予感です。気にしないでくれて、構いません。……彼は、マスターはきっと、これ以上強くなるなんてことはあまりないと思います…。スカサハさん、あなたはどう、するんですか…?」

静謐のがこちらに問う。もう、答えは決まっている。

「もう少し、待つさ。この男が私を殺せるようになるまで」

「…でも」

「分かっている。その上で待つと言っているんだ」

「…?」

あぁ、クソ、恥ずかしい。顔が熱い。表情に出ていないだろうか。小っ恥ずかしいことを言うのは久しぶりだ。あまり噛まないといいが。

「わ、私は。コイツが限界に近づいているのを理解していて待つと。それは何年でもだ。あぁ、待ってやる。いつまでも。強くなれないというのなら最後まで付き添ってやる。────この想いが、お前と同じものか、はたまた親愛かなんてどうでもいい。私は、ただ、コイツが行き着く先が見たい──」

よし、全て言えた。フフ、静謐のが息を呑んでおる。では、と静謐のが退出していく。

 

────それにしても、今日は、妙に、暑い

 

───────────────────

 

 

 

 

四月。

あれから二年。沖縄旅行は色々なことがあったと、振り返っている場合ではない。あの兄妹との待ち合わせ時刻から大幅に遅れている。メールが届く。──既に学校に着いている!?分かっている。だから急いでいるというのだ!

 

「───ふぅ。おはよう達也、深雪」

 

 

 

「あぁ、おはよう。玲。とりあえずネクタイを直そうか」

「ふふっ、私が直しますよ?玲さん?」

「いいって!」

 

 

波乱の幕開けだ。




不可解な所がありましたらキャラ、世界の設定の方をご覧下さい。
ちなみに流れを言うと、
3日後目が覚める→沖縄旅行→なんかヤバイミサイル来てるから乱入して助けてくるー→邂逅
となっております。
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