ダンジョンで魔法チートするのは間違ってない 作:みゃー
そして次の日。俺は早速ダンジョンに…の前に、ギルドに冒険者として登録をしなければいけないらしい。ベルが一緒についてくれるらしいので、早速行ってみる事にした。
「あ、エイナさーん!」
「ベル君。おはよう」
「おはようございますっ、エイナさん!」
にこやかに話しかけに行ったのは、ベルのアドバイザーのエイナさんという人らしい。エイナさんはベルに向き直っておかしそうに笑う。
「なんだか今日はベル君機嫌がよさそうだね」
「えへへ…実は、新しい仲間が出来たんです!」
「仲間…?って、もしかしてヘスティア・ファミリアに新しい団員が?」
「はい!ルイス、こっちだよ!」
「お、おう」
俺は前に出て頭を下げた。
「ルイス・フォレスです。よろしくお願いします」
「ご丁寧にどうも。エイナ・チュールです。ベル君のアドバイザーです。よろしくね、ルイス君」
「はい」
エイナさんはとても優しそうな、近所のお姉さんとかにいそうな感じの人だった。眼鏡の良く似合うエルフの女性だ。柔らかい笑顔で俺にそう言ってくるので、俺も元気に返しておく。
それから少しダンジョンに対する講義をエイナさんから受けて、切りの良い所で抜けて早速ダンジョンに行こうとしたら「装備も整えてないのに何ダンジョンに行こうとしてるの!?」とエイナさんに止められて、そこからさらに色々と講義を受けることになった。俺、勉強嫌い。
「いい?冒険者は冒険をしちゃ駄目。これは絶対なんだからね!ルイス君、なんか一人で突っ走るような予感がするから、しばらくはベル君と一緒に行動する事!分かった?」
「あっはい」
と言う感じで締めくくって、今日はお開きとなった。エイナさんは随分とお世話焼きらしい。
とりあえずエイナさんの言葉に従って俺の装備を簡単にそろえようという話になった。と言ってもヘスティアファミリアは非常に零細。俺が村から持ってきた残り少ないお金と合わせても最低限の装備も買えないようだ。
「とりあえずルイスの装備を揃えなきゃ…」
「俺は魔法が武器みたいなものだから、とりあえずは防具かな?」
「でもナイフ位は装備しておいた方がいいかもね。自衛できるように」
「それもそうな…でもそうなると…」
「うん…お金…が」
「…」
「…」
「…稼ぐか」
「…えっ?」
ダンジョンに行くための装備を買う為のお金を揃える為にダンジョンに潜るのである。これは必要経費、必要な試練だ。まだ時間も昼前、今から入れば数千ヴァリスは稼ぐことが出来るだろう。
「で、でもエイナさんは…」
「大丈夫だよ。換金もベルがやってくれればばれないって。それに、金が無いなら防具も買えないし、俺、ベルが稼いでくるのを何もしないで待ってるっていうのも嫌だぞ」
「…まあ、そう…かな?」
そういう訳でダンジョンに行くことになった。別に準備する暇があったらダンジョンに潜りたいとか、そんな事考えてる訳じゃないんだからね!
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「とりあえず僕が前に出てできるだけ敵を殲滅するから、ルイスは魔法で残った敵を…って、でもルイス、まだ魔法使った事ない…よね?」
「ああ。試運転くらいはしておきたい」
「そうだね。っていうか僕も魔法、見てみたい!」
「じゃあとりあえずこの辺で試してみるわ」
好奇心抑えられないウサギの様に目をキラキラさせるベル。俺は壁を目標に魔法を使ってみることにする。
呪文が頭の中に勝手に浮かんでくる。俺はそれを間違いなく口にする。
「【我が筆を伝い真実を記せ】
【この書は未だ名も無き可能性の具現】
【未熟なれどその在り方は歪みを知らず】」
そして、最後に一言。
「【顕現せよ、無名の書】」
詠唱が終わった。すると俺の手の上に光と共に黒い皮表紙の何の装飾もされていない本だ。
開いてみると中身は真っ白。全て白紙だ。
「わあ…これがルイスの魔法?」
「まあそんなもんだ。さて、ここからが本番だ」
俺は一ページ目を開いて、そこに魔法のイメージを書写するようなイメージを浮かべる。すると、白紙だったページに文字が現れていく。英語に似ているが、全く違う、今まで見たことの無い文字。だが俺はなぜかその文字が読める様だ。
「すごいすごい!ページに勝手に文字が書かれていくね!」
まるでヒーローを見る子供の様に目を輝かせるベルに俺は気を良くして、早速魔法を使ってみる事にした。
「【火よ在れ。ファイアボール】」
魔法はどうやらイメージ通りの効果を設定できるらしい。しかし消費魔力量と呪文は自動で設定される、と。
詠唱を終えると、次の瞬間、魔本から設定したページが本から離れて宙に浮き、ひゅぼっと燃えて火の球へと変化、壁へと素人が投げたボール程度の速度で迫って着弾、小規模の爆炎が噴き出した。
凄いな。本当にイメージ通りだ。本当にイメージ通りなのだが、なんというかこう、いちいち詠唱しなきゃいけないのがつらい。っていうか恥ずかしい。なんだっけ、思い出した記憶の中に、こんな感じの病気があったような気がする…中二病だっけ?
「おおおおおお!かっこいい!」
「…なんか、めっちゃはずい…」
「え?今なんて?」
「いや、なんでもねえよ」
物凄い中二病な感じだ。何が火よ在れだよ。俺の顔から火よ在れしてるよもう。まあベルがめっちゃ笑顔だから悪い気はせんが。
「ふむ…」
次に俺はもう一つ新しい魔法を作った。その名も『エンシェントノヴァ』。テイルズシリーズの魔法である。
「【咆えよ古の炎 不浄の生命を灰燼へと誘え、エンシェントノヴァ】」
先ほどと同じようにページが本から切り離され、宙に浮いて魔法が発動される。が、そのページがぴかっと光って爆発した。
そして俺の中で何かがごそっと消えていく感覚がして、眩暈に見舞われる。なるほど、強すぎる魔法は無理やり使おうとすると発動はしないし魔力もきっちりと消費されると。
見極めが重要だな。
まあ、それはさておき。
「これはいいな!」
っていうか、普通に多様性がありすぎて困る。便利すぎるだろうこれ。
「魔法は使えそうだね」
「ああ、時間取らせてわりぃな」
「ううん。必要な事だし、僕も見たかったから」
「じゃあ、そろそろ実戦に行くか。俺が支援するから、頼むぜ、先輩」
「うん!」
そうして俺はベルと一緒に敵を探しに歩き始めたのだった。
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「ファイアボール!」
火球がゴブリンに当たって爆炎を巻き起こす。ゴブリンは悲鳴を上げて燃え上がって、そして一瞬にしてその肉体を瓦解させて魔石を残して消えていった。
向こうではベルがゴブリン2体を何とか倒し終わっていた。敵がいないことを確認して一息つく。ふう、そろそろマインドがやばいな。
あれから色々と調べて見てわかったことだが、どうやら現時点では初級魔法レベルくらいしか使うことはできないらしい。魔本のページの容量っていうのかな、それもかなり低いし、そもそも俺自身の魔力が持たん。再現できるのはテイルズで言うところのファイアーボールやウィンドカッターなどと言った、消費TP10以下の魔法ばかりである。それ以上は暴発ないし魔力が枯渇する予感がして使用は避けている。
「すごい…ルイスの魔法って、本当に色んなことができるんだね。傷も治してくれたし、ヒーラーも出来るだなんて凄いよ!」
「ああ、ファーストエイドな。まあ俺のイメージがある程度固まってたら結構なんでも出来るっぽいし、かなり便利だぜ」
「僕も魔法使えるようになりたいな!シャイニングボンバー!とか、アルティメットヒートー!とか!」
「ご大層な魔法だな。ベルにはあんま似合ってないかも…」
「そ、そんなあ」
がっくり肩を落とすベル。だけどすぐに笑顔を取り戻して俺に向き直った。
「うん、でもルイスがいると心強いよ。これから一緒に頑張っていこう、ルイス!」
「おう!」
けど、そろそろマインド切れるし時間も時間だから帰ろうなって言ったら、顔を真っ赤にして頷いた。ベルって結構抜けてるところありそうだよな。
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そういう訳でギルドまで戻って換金を行う。俺も換金が初めてだったからベルにレクチャーしてもらう事に。一緒にギルドに入って魔石をお金と交換する。
それにしても、なんか忘れてる事があるような…?
「思い出せないならきっと大した事ないよ」
「そうかね…」
「そうなのかしら?」
その時、一気に場の温度が下がった。俺はゆっくりと後ろを振り返り、その声の主を見つける。ベルは顔を真っ青にして震えていた。
「やべっ…」
「るーいーすーくーん?まさかそんな裸同然の装備で、ダンジョンに潜ったとか、そんな事言わないよねぇー?」
「あっはい」
それから説教が1時間ほど追加された。なぜかベルも一緒だった。聞けばベルも冒険者になってから数週間ほどしか経っていないアマチュアだったらしい。
俺はベルと一緒にエイナさんのありがたいお説教がダンジョン講義に入って時間が長引く事をヒシヒシと感じつつ、冒険初日はこうして幕を下ろしたのだった。
装備買お。
実際は無名の書で使える魔法はTP30以下のフレイムランスとかその辺りの魔術なんですけど、今はルイス自身の魔力が少なくてこうなってます。
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