「ん〜…ウチの事務所に入りたいって人多いなぁ」
俺は只今たくさんのメールや手紙とにらめっこ中。つい先日、タレントの沖野ヨーコが、ほぼ無名のウチの事務所に移籍したのが切っ掛けだ。他の事務所と比べても、所属している人数はかなり少ない。だが、そこそこ仕事は入ってくるし、業界内では【ホワイト事務所】とも言われている。
「とは言っても、あんまり移籍させるつもりもないみたいだし」
メールや手紙のほぼ半数は、タレント、アイドル、俳優が個人的に送ってきているものだ。なので、自分が今所属している事務所には話を通していない。
「はぁ…後の事は事務所同士に任せるってか?そんな奴は除外っと」
自分で話をつけてこない人を雇うつもりは更々ない。すると、シャロンが書類を持って部屋に入って来た。
シャロン「飛翔様。例の件ですが、ようやく終わりました」
「本当に!?ありがとうシャロン。色々大変な事を押し付けちゃって」
シャロン「いえ。それが私の使命ですので」
そう言うシャロンに、俺は頭を撫でる。最近シャロン自身から、何かができた時に頭を撫でてほしいとお願いされる。それ以外にも、給金や欲しい物とかも聞くけど、基本はこれがいいそうだ。
「となると、明日から行けるわけか」
シャロン「はい。それと同時にアルバイトを数人応募しましたところ、数名が面接に来られます」
「分かった。なら、明日俺が直々に行って面接するよ」
シャロン「お願いします。お昼から夕方にかけてになりますので」
「分かったよ」
そしておれは、ワクワクしながら明日を迎えた。翌日、俺は朝から毛利探偵事務所前に来ている。だが、今回は小五郎さんや蘭ちゃんには用はない。あるのはこのビルの1階にある店。
「お待たせしました」
「貴方が前のオーナーさんですか」
「はい。今回はここを購入していただいてありがとうございます。そろそろ引退しようと思っていたんですが、中々上手くいかなくて」
「いえ。こちらこそ私の願いが叶って嬉しいです」
「そうですか。ですがいいんですか?店の名前はそのままでも」
「はい。店の名前は色々と考えてましたけど、やはりこの名前がいいかなと」
「そうですか。私が引退しても、店と店の名前が残るのは嬉しいですね」
そう。俺が今回購入したのは、毛利探偵事務所の下にある喫茶店ポアロだ。前々から喫茶店を開くのが夢だったのだ。コーヒーや紅茶を出して、のんびりとした空間を楽しんでもらう。俺自身も、喫茶店の雰囲気は好きなのだ。
「それでは、私はこれで」
「是非ウチに来て下さい」
「ええ。その時は寄らせてもらいます。それでは」
そして前のオーナーは行ってしまった。
「さて、取り敢えず中に入るか」
鍵を開け中に入る。中はすぐにでも営業できる状態だ。なんと前のオーナーさんが、椅子やテーブル、食器等前まで使っていた物を全て譲ってくれたのだ。理由は、余生を過ごすのに充分過ぎる程の金を払ったかららしい。
「後は、仕入れ業者とかだな」
それは既にシャロンが行っている。相変わらず仕事が早い。つまり俺は、面接する以外する事がないのだ。
(あれ?俺って…駄目人間?もしかして)
店の事も業者の事も、全てシャロンがしてくれてる。俺は与えられた物で店を開く…
「駄目じゃん…俺」
俺は1人ショックを受けるのだった。
「すみません。今日面接に来た者ですけど」
そうだ!俺には面接をするという大事な任務がある!決してダメ男じゃないぞ!!
「いらっしゃいませ。では、あちらにお座りください」
そして面接が始まった。あれからも面接を行い、ようやく後2人になった。
「ん〜…なんかイマイチだな」
面接に来る連中が、どうもイマイチなのだ。ヤル気がありすぎる者。なさすぎる者。極端な人しかいない。
「取り敢えず、残りの2人をやるか」
そして次に来たのは女性だった。俺と同じくらいか?
「それでは面接を始めさせてもらいます。この店のオーナーの高橋飛翔です」
「よろしくお願いします。榎本梓さんです」
「ご年齢は…23歳。学生…」
梓「いえ、今はアルバイトで生計を立ててます。そこで、ここで社員として働けると書いてまして」
「はい。暫くの間は私も出ますが、長い事働いてくれたり、仕事内容次第では店長を任せたいと思っていまして」
梓「はい」
なるほど。元気もいいし落ち着いた雰囲気もある。これは採用かな。
「それでは榎本さん。合否ですが…来週からウチに来てください」
梓「それじゃあ…」
「はい。採用させていただきます。本来なら、後日合否をお伝えするんですが、私の独断で決めさせていただきました。ですので、来週からよろしくお願いします」
梓「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします!!」
そして榎本は帰っていった。さて、次がラストか。
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします。えっと、まずはお名前を」
「香坂夏美です。年齢は25歳です」
「香坂夏美さん。えっと…履歴書を見た感じですが、パティシエをされていたそうですが、どうしてウチの店に?」
夏美「はい。前まではパリで働いていたんですが、そろそろ日本で活動しようと思っていたんですが、流石にお店を出せなくて。ですが、私の作ったお菓子を多くの人に食べてほしくて」
「なるほど。確かにウチの募集にはお菓子作り出来る人歓迎と書いてましたが」
夏美「はい!お店の雰囲気も素敵なので」
「分かりました。では香坂さん。来週から店に来てください」
夏美「ありがとうございます!」
こうして、ポアロで働く人を2人採用が決定した。さて、後は来週の新規開店に合わせて知り合いとかを呼ばないとな。そしてそこから一週間俺やシャロンは大忙しだった。そして一週間後、いよいよ新生ポアロの開店だ。今日はシャロンも手伝いに来てくれている。すると早速1人目の招待客がやって来た。
「いらっしゃいませ」
ヨーコ「飛翔さん、ポアロ開店おめでとうございます」
「ありがとうございますヨーコさん。とはいえ、元々していた店の新しいオーナーになっただけですけどね」
山岸「おめでとうございます高橋さん」
「山岸さんも今日はありがとうございます」
梓「奥の席へどうぞ」
すると次の客もやって来た。
目暮「やぁ飛翔君」
「目暮さん。今日は来れないって言ってませんでしたっけ?」
目暮「少しだが時間が出来てな。佐藤くんや宮本くんも来ているぞ」
すると、目暮さんの後ろには美和子さんと由美さんがいた。
美和子「新規開店おめでとう飛翔君」
由美「これ、ありきたりだけど開店祝い」
「ありがとうございます。空いてる席へどうぞ」
目暮さん達を空いてる席に案内する。
蘭「飛翔さん!」
園子「来ましたよ!」
小百合「へ~、感じのいい店ね。毛利さんが中学生の時に家庭訪問で、場所は見た事あったけど」
「やぁ蘭ちゃん、園子ちゃん、小百合さん、いらっしゃいませ」
元太「おっす飛翔の兄ちゃん!」
歩美「こんにちは飛翔お兄さん」
光彦「今日はお招きありがとうございます」
阿笠「じゃが、まさかポアロの新しいオーナーになったと聞いた時は驚いたのぅ」
コナン「ホントだよね」
博士や新一達子供達も招待してある。
夏美「空いてるお席にどうぞ」
そしてあっという間に店の席は満席になった。今日は完全貸し切りだ。他にも今日来れない人からも花束なんかが届けられている。ミネルバや秋庭怜子等、ウチの事務所の所属してる連中からも届いている。まぁ、名前を見た瞬間驚いてる連中がいたけどな。ま、これからこの店でどんな客がくるのか楽しみだ。
主人公の年齢が20~22歳付近をイメージしている為、佐藤美和子や香坂夏美等の年上キャラを年齢近くしたかったため、25歳とさせて頂いています。
妃英里と工藤有希子のアンケート結果について。片方+両方の合計がヒロイン無しより多かった為、ヒロイン化は決定しました。なので次は片方、または両方のアンケートを取らせていただきます。
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妃英里
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工藤有希子
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両方