群狼戦記〜ブリッツ・フリート〜   作:ヨシフ書記長

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なかなか更新出来ず申し訳ありません
最近は、色々と忙しく実習などに行く機会が多く忙しいです

また更新が遅れそうです
すみません!

クレッチマーの階級を大幅に変えました


勲章授与式

クレッチマーは椅子に座りながら困惑していた

 

(何で?何でなんだ?何でこんな場所に俺はいるんだ?)

 

クレッチマーは俯いていた顔を前に向けると

そこには帝国軍の有力者が座っていた

 

右横に座っているティルピッツの前には

帝国陸軍元帥・ヒンデンブルク

帝国の軍人というイメージを絵で書いたような人だ

立派なカイゼルひげがティルピッツ元帥と同じくあるが…

目つきが怖い…。すっごい睨んでる…。

さらに、ヒンデンブルクの横に座っているのは

参謀本部参謀次長・ゼートゥーア准将…。

目が細く髪を真ん中で分けてる初老の人だが…

何処と無く狐のようにずる賢そうな人だ

 

(さっきから…チラチラとゼートゥーア准将に

顔見られてるがなんなんだろう…。)

 

ゼートゥーアはクレッチマーを見るたびに

細い目をさらに細めてこちらを見ていた

 

(目を合わせない様に…しておこう)

 

クレッチマーは前を向きながらゼートゥーアの横を見た

そこにはゼートゥーアと同じく参謀次長のルーデンドルフが片目を閉じながらもう片目でこちらを見ていた

 

(気づいていないフリ…。気づいていないフリ…。)

 

クレッチマーの横には

大洋艦隊司令官・エーリッヒ・レーダー提督

いつもニコニコ笑っているおじさんのような人だ

そして、レーダー提督の横には空白の席があった

 

クレッチマーは思った

(何で?誰も喋らないんだ!物凄く気まずい!

喋らない上に人の顔を値踏みする様に見やがって!

喋ろうぜ?気まずい!この険悪なムードを誰か止めてくれぇ!)

 

そう考えていると、ヒンデンブルクが喋り出した

 

「おい!ティルピッツ!カナリスの奴はまだ来んのか!」

 

「仕方ないだろう?彼にだってやる事があるのだ…

色々と役職についておるしな!」

 

「それにしても遅すぎる!いつもそうだ!

海軍は何かと問題を起こす!」

 

「問題?いつ?我々がか?問題を起こすと言えば

この戦争を安請け合いで始めた陸軍の方にも

問題があるのではないか?」

 

「なんだと!大した活躍もお前の海軍はしていないくせに!」

 

「いいや?今回は、ちゃんと活躍したぞ?パウル?」

 

「名前で呼ぶな!名前で!」

 

からかう様にティルピッツは

ヒンデンブルクと机挟んで罵りあっていた

その様子を見てクレッチマーは思った

 

(やっぱり…この狸ジジイについて来るんじゃなかった)

 

「大体活躍とはどんな活躍だ?

ただ協商連合国の民間船を沈めたごときでは活躍とは言えんぞぉ?」

 

ヒンデンブルクはティルピッツを蔑むように言うと

ティルピッツは嘲笑の表情を浮かべながら言った

 

「ほう…。この船は民間船と言えるのかのぅ?

ヒンデンブルク?」

 

ティルピッツはヒンデンブルクの前に写真束を出した

そこには協商連合の輸送船団が沈みゆく写真だった

 

「こ…これは!」

 

「そうじゃのう…。

そこに沈んでいっている輸送艦の数はざっと12隻ぐらいじゃのぅ…!

兵員と兵器合わせて一個師団以上じゃろ?」

 

ティルピッツの言葉にヒンデンブルクは写真を

持つ手がプルプル震えだした

 

「パウル?どうじゃ?今回は、それなりに手を貸してやったぞ?」

 

「ぐっ!グゥぅぅぅ!」

 

「これは一つの貸しじゃの?パウル?」

 

ヒンデンブルクはティルピッツを睨むと

今にも険悪なムードを漂わせた

 

(何処の世界でも陸軍と海軍は相容れない仲か…。)

 

「ティルピッツ元帥…。それまでにしておいてください」

 

っとレーダー提督がティルピッツを制した

ヒンデンブルクもゼートゥーアに宥められていた

鼻息荒くビスマルクはクレッチマーを見ると言った

 

「ふぅー!ふぅー!

そこに座っているあいつは何者だ?ティルピッツ!」

 

「む?誰のことかね?」

 

ティルピッツはわざと誰のことか分からないような表情

浮かべて周りを見渡した

ヒンデンブルクはその事にさらに腹を立てティルピッツに叫んだ

 

「おまえがこの会議に遅れてきた時から一緒に入ってきた!

貴様の横に座っている子供のことだ!」

 

ティルピッツは勿体ぶるようにクレッチマーの方を見ると言った

 

「おお!クレッチマー少尉のことか!いいだろう

紹介しよう!この子こそ、貴様の軍を助けた張本人だ」

 

ヒンデンブルク達はクレッチマーの正体に目をぱちくりさせると

クレッチマーをさらに見た

 

「まさか…。輸送艦を沈めたのが…。

そんな子供だとは言わんよな!?」

 

「その通りだ…!こう見えてもこの子は

最年少で潜水艦の艦長しているのだ」

 

ティルピッツは誇らしげにヒンデンブルクに言うと

ヒンデンブルクはさらに顔を歪めた

 

「ほら、お前も挨拶せんか…!」

 

ティルピッツは笑いながらクレッチマーをつつくと

挨拶をするように促した

 

(てんめぇ!この狸じじい!絶対自慢したいから連れてきただろ!)

 

クレッチマーは椅子から立ちがあると言った

 

「おくればせながら挨拶をさせて頂きます!

北方艦隊所属U-426の艦長をしている

クレッチマー少尉であります!」

 

クレッチマーがヒンデンブルクに向かって敬礼をすると

ヒンデンブルクはクレッチマーを見ながら言った

 

「貴様…歳はいくつだ?」

「本官は今年で12であります!」

 

「12だと?まだ子供ではないか!」

 

ヒンデンブルクはティルピッツを睨むが

ティルピッツは飄々と笑うと言った

「だが、才能はある。

そこらの士官学校を卒業した者と違ってな。

あのカナリスもそれを評価してこのわしに推薦してきたのだからな!」

 

「ふん!」

 

「この子はワシの虎の子なのじゃよ…。分かるか?

パウル?この子は切り札なのだ!」

 

ヒンデンブルクとティルピッツのムードが

また険悪な雰囲気になりかけた頃…。

 

急に扉の外が騒がしくなった

 

『へ…!陛下!お待ち下さい!』

 

『そちらは!ただ今会議中でして!』

 

次の瞬間!

扉が勢いよく開かれた!

 

そこには金色の髪でオールバックにし、口にはカイゼル髭を蓄え

白い軍服に身を包み、軍帽をかぶった男が立っていた

 

その人こそ、帝国の最高指導者にして国家元首

帝国皇帝・ヴィルヘルム二世だった!

 

ヴィルヘルム二世の姿を見た

ヒンデンブルクやティルピッツ達は立ち上がり最敬礼をした

 

ヴィルヘルム二世はその様子をニコニコと笑いながら

敬礼に答えると言った

 

「よいよい…。そう固くなるな!余はただ見に来ただけぞ!」

 

ヴィルヘルム二世はクレッチマーの前に近づくと言った

 

「ほう…。敵軍の輸送艦隊を撃滅させた男にしては小さいのぅ?

じゃが、余は嬉しいぞ!

こんな小さい子供でもこの帝国の為に働いてくれとるとは!」

 

クレッチマーはこの状況に混乱していた

 

(アイエエエエ! コウテイ!? コウテイナンデ!?)

 

「皇帝陛下…。お会いできて光栄であります!」

 

クレッチマーは混乱しながらも最敬礼のままそう呟いた

ヴィルヘルム二世はクレッチマーの言葉にさらに笑うと言った

 

「ティルピッツ!今回、この者に授与する勲章を持っておるな!」

「ハッ!持っております!」

「余に寄越せ!」

「ハッ!」

 

ティルピッツは胸ポケットから赤い箱を出すと

ヴィルヘルム二世に差し出した

 

「小さな英雄よ…。この度の活躍…見事であった!

その活躍にこの1級騎士鉄十字章を与えよう!

これからも帝国に尽くしてくれたまえ!」

 

「ハッ!ありがとうございます!皇帝陛下万歳!」

 

(あぁ…もう疲れた…帰らせてくれ)

 




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