群狼戦記〜ブリッツ・フリート〜   作:ヨシフ書記長

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主人公はターニャと同じ世界から来てる為
幼女戦記の小説の事を知りません


犬猿の仲

飛行場の片隅に設営されたテントの下で

クレッチマーとターニャは机を挟みながら座っていた。

 

「まさか貴様も来てるとはな…。」

 

ターニャは目の前に座るクレッチマーを睨むと顔を顰めた。

クレッチマーは軍医に傷だらけの顔を消毒してもらうと顔を引きつらせながら言った。

 

「それはこちらのセリフだ…ターニャ」

「ふむ…。随分とボロボロだな?火傷顔?」

「これは、お前のせいだろう?アホ毛女?」

「おやおや…それは貴様が避けきれないのが悪いのだろう?ちび白髪?」

 

ターニャの一言にカチンっときたのか…。クレッチマーは大きく笑うと皮肉を込めて言った。

 

「ハッハッハ!済まないね!こちとらお前の様に魔導師ではないんでね!それにお前みたくちびで小さければあんなのを避けるのは簡単だろうよ!分かったか?アヒル口!」

 

「あぁ…そうだったな。お前は魔導師ではないし…。それに、背を高くするためにわざと厚底ブーツを履いてるんだったな?それで動きづらいのか?この厨二男!」

 

ターニャの言葉にクレッチマーはニコッと笑うと言った。

 

「フッ…!確かに俺は厚底ブーツを履いてるが…。背を高くするためでなくて、U・ボートの潜望鏡を見るのに丁度いいからさ?要らぬ事言うと…お前のそのアンテナむしり取るぞ?冷徹女」

「ほう…貴様がこの私にそんな事が出来るのか?それは、楽しみだ!海軍バカ」

「ハッハッハ…。そう言えば聞いたぞ?ノルデンで敵兵巻き込んで自爆したんだってな?流石は狂犬・ターニャだ!恐れ入ったよ!」

 

クレッチマーは机を叩きながらターニャを笑った。ターニャは目を細めながら、クレッチマーをじっと見るとクレッチマーを殴り飛ばした。

 

「グッ!おうおう…。とうとう手を出したな?アホ毛女!何でてめぇが試験場なんかにいるんだ!お前は最前線でも飛んでたらいいんだ!このクソ女!」

 

クレッチマーはそう言うとターニャと取っ組み合いの喧嘩になった。

 

「そう言いたいのはこっちのセリフだ!なんで貴様もこの試験場にいる?お前の所属は北方艦隊の筈だろう?ここは陸軍の管轄だぞ?貴様は海軍だろう?貴様は早く冷たい北方海域にでも戻って!潜水艦にでも乗ってろ!この優男!」

「バーカ!ここの試験飛行場は海軍の管轄でもあるんだ!チビ女!」

 

「そこらへんにして下さい!また傷を増やす気ですか!クレッチマー少尉殿!ターニャ少尉もです!」

 

軍医に怒鳴られてターニャとクレッチマーはピタッと動きを止めると、両者は離れて服装を正した。

 

「命拾いしたな?クソ男?」

「それは、こっちのセリフだ!クソ女!」

 

ターニャとクレッチマーは吐き捨てる様にそう言うとテントから出ていった。

 

 

 

クレッチマーはイライラしながら思い出していた。

 

クレッチマーとターニャは士官学校の同期(陸軍と海軍で所属が違うが)であり、ターニャとは前から何かと腐れ縁だったが…士官学校時代にある事が原因でこの険悪な仲になった事を…。

 

「フン…!こんなに腹が立ったのは久しぶりだ!あいつに会うとろくな事が無いな!」

 

クレッチマーはそう言いながらの所長の待つ格納庫へと歩いていった…

 

 

格納庫の前に着くと大きな鉄の扉が少し開いていた。

クレッチマーはそこへ横向きになりながら入っていた。

 

格納庫の中は薄暗く、奥ははっきりと見えなかった。

入口から差し込む太陽光が入口の近くにある航空機用のエンジンの存在を写し出した。

 

「ん…。このエンジンは…どこかで…。帝国軍の戦闘機のエンジンにしては…形が違うな?」

 

クレッチマーはエンジンを見ながら何かを思い出そうとしていた。

 

「液冷エンジンのようだが…何馬力あるんだ?複葉機に載せれるものでは無いな?爆撃機用か?」

 

クレッチマーがそのエンジンを見ていると所長が近づいてきて言った。

 

「クレッチマーさん!無事だったんですね!怪我をされてないようで何よりです!」

「…!あぁ…心配かけて済まなかった…。それよりもこれは?」

 

「おっ…!それに気づかれるとは!それは最新の飛行機に載せる試作エンジンですよ!今のHe51のエンジンよりも300馬力でかいエンジンです!」

 

「ほう…!1000馬力の航空機エンジンですか…!それにしても?新型機?海軍用ですか?」

 

「ええ!海軍の新型機開発をせよとの命令ですから!」

「へぇ…それは誰の命令です?」

ヴィルヘルム・カナリス(・・・・・・・・・・・・)中将の命令であります!」

 

所長の言葉にクレッチマーは口をあんぐり開けて唖然としたが…

慌てて表情を戻すとボソッと呟いた。

(フフフ…カナリス中将…流石だ。ここまで進めてくれてたとは…)

クレッチマーはニヤッと笑うと言った。

 

「それで?所長?このエンジンを積む飛行機は複葉機ですか?」

 

クレッチマーの言葉に所長は首を横に振ると言った。

 

「いいえ?新型機は最新の技術をつぎ込み単翼機にしようかと…

しかし、何分まだ技術に不安があるので脚は引き込めませんが…。」

 

「飛行機の脚を引き込む事が出来るでありますか?」

「ええ!技術が完成すれば出来ますが…まだ不安が残っています。」

「それは…また…!」

 

所長の言葉にさらにクレッチマーは笑みを深めながら言った。

所長はクレッチマーの顔を見ながらなにかに気づくといった!

 

「そう言えば…!言っておられた物をお見せするのを忘れておりました!」

 

所長はクレッチマーにここで待つようにいうと格納庫の内の電灯のスイッチを付けに行った。クレッチマーは暗い闇の中キョロキョロ辺りを見渡していると、急にバチンっと音がして入口から奥にかけて電灯が点灯始めた!

 

クレッチマーは闇の中からゆっくりと見え始めたものを見て愕然とした!

 

「こっ…これは!まさか!」

 

電灯が全てつきその存在があらわになった物を見て叫んだ!

 

 

「ツェッペリン硬式飛行船…!」




ターニャさんとはクレッチマーはクソ仲の悪いです。
飛行船って夢ありますよね…一次大戦何か首都爆撃に使われてたとか
なぜ飛行船は海軍所属なのかは最初に運用始めたのが海軍だったかららしいですよ



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