暖かい日差しに当てられ、起き上がるとそこは、思い出したくもない程の感傷と思い出で溢れ返った教室だった。
全てを燃やし尽くしてしまうのではないかというくらいに赤く染まった夕日は、教室内全てを照らしだし、先程見ていた悪夢が俺の脳裏を過ぎる。
いっそ、記憶も思い出も、俺の存在毎燃やしてくれたらどれだけ楽だろうか。眩しすぎる夕焼けは、俺の願いを聞き入れてはくれない。それどころか、見たくないものまで眼球に焼き付ける始末だ。
「...久しぶり。元気?」
「あぁ...。ぼちぼちだ」
あの頃となんら代わり映えのしない教室に立つ二人の影。明日もきっとこんな風に他愛ない話を繰り返すのだと、本気で思っていたが、今となってはそれも絶対に叶わない夢だ。
後悔したってもう遅い。どんなに手を伸ばそうとも届かない。失ってから気づくものもあるんだと、俺はあの時嫌という程実感した。
どうして彼女は俺の前から姿を消したのか。その答えはいつまで経っても見つけることができなかった。
「なあ、お前はどうして...居なくなったんだ?」
「なんでだろうね...。私もね、ずっと後悔してるんだ。こうなるってことが分かってたら...ううん、分かってたとしてもこうしてたかな」
柔らかな笑みを浮かべ彼女は俺を見た。
真っ直ぐに、ただただ真っ直ぐに俺を見て笑っていた。
いつも赤点ばかりで馬鹿なヤツだと思っていたが、本当に馬鹿なヤツだよ。
こんな時でさえ、誰かのために、俺のためにヘラヘラ笑って、悲しくないはずなんてないのに、辛くないはずなんてないのに。
それでも俺は、そんな彼女に何も言えなかった。
「ここで、君とこうして話すのはもう何回目かな。もう何回君に久しぶりと、言ったかな」
笑顔のまま告げる。
「いつまで経っても君は私を迎えに来てはくれないんだね...」
言わなければ。
俺の本当の気持ちを。
あの時伝えられなかった思いを。
「いいんだよ...。わかってる。君も
待って、待ってくれ。
俺はお前に言わなきゃいけないことがあるんだ。
頼む。
「何も、言ってくれないんだね...」
彼女の瞳には薄ら涙が浮かんでいるように見えた。それを確認する術も、どうやらもう残されていないらしい。
俺の声は、彼女の耳に届いてはいなかった。
いや、正確には俺の口から言葉なんて発せられていないのかもしれない。
もう自分の声さえも聞こえない。そんな静寂の中、最後に彼女の言った言葉だけが脳裏に焼き付いて離れなかった。
俺の
「サヨウナラしようか、シンタロー」