ガールズ&パンツァー 東海の覇者 番外編   作:橘花

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学園祭です 4

文化祭の前日になり、作業は急ピッチに進められる。

 

「あそこの4台を移動させて。まだまだ来るから」

 

次々とトレーラーで運搬されてくる為、誘導する係りの人は大忙しだった。

 

「お疲れ。調子はどう?」

 

私はその子に近づいて話しかけた。

 

「どうもこうも無いですよ。車両は次々と来ますからね」

 

すると、一台のドラゴンワゴンが停車する。

 

「おい、このファイアフライはどうすれば良い?」

 

窓を開けると、乗っているのは大河原さんだった。荷台にはファイアフライVCが積まれている。

 

「ああ、それは向こうの13番展示です」

 

誘導員が慌てて場所を指示する。大河原さんは指示通りに13番展示に止める。

 

 

 

「久しぶりにドラゴンワゴンに乗ったが、もう段々と乗れなくなってくるな。荷台がどう動くか読めなくなってくる」

 

ドラゴンワゴンを降りた大河原さんはそんな事を言う。ファイアフライには朱里が乗り込んで降ろし始める。

 

「いよいよ明日か。さっき鼎巻から電話があってな。孫娘、楓が向かったそうだ。明日の学園祭には間に合うそうだよ」

 

「どうして明日?」

 

「乗っている車がDUKWだそうだ。タイヤとタイヤの間に車輪を取り付けられるタイプだそうで、電車の運行時間外に線路上を走ってくるそうだ」

 

「なるほど」

 

その時、急に電話が鳴り出した。画面を見ると田辺翔子と表示されている。

 

「もしもし?」

 

『大変よ!!。雪穂さんの容態が悪化したそうなの。今、病院から電話があって。それで、それで』

 

「落ち着いてください会長。それで、状況は?」

 

『詳しくは分からない。こっちも行きたいけれど、どうしても抜けられなくて。申し訳ないけれど、行ってくれない?。終わったら、直ぐに行くから』

 

会長は泣いている様だった。声も震えている。

 

「・・・分かりました」

 

私は急いで駆け出す。そして、停めてあるハンバースナイプに飛び乗った。

 

「大河原さん、すみません急ぎますので。朱里、後は頼むわよ」

 

エンジンを掛け、アクセルを踏み込んで発車した。グラウンドに入って来たトレーラーとぶつかりそうになったが間一髪避けて病院に急いだ。

 

 

 

 

-舞阪総合病院-

 

「あの、雪穂さんは今どちらに!?」

 

病院に駆け込むなり、受付に聞いた。駐車場からなのにもう息が上がっている。

 

「お、落ち着いてください。今担当医を呼びますから。御掛けになってお待ち下さい」

 

私は椅子に座る。そして呼吸を整え、落ち着く。すると、白衣を着た男性医が近づいてくる。

 

「沢木先生、雪穂さんはどんな状態なんですか?」

 

「現在、集中治療室に居ます。実はお話していなかったのですが、彼女は交通事故であばら骨を2本折っているんです。その内の一本が肺を貫通し、背骨にまで達しかけているんです。何とか抜くことはできましたが、肺は機能を失っていっているんです」

 

「そんな」

 

肺が機能を失う。即ち、呼吸をする事が出来なくなるということだ。

 

「補助器具がなければもう既に亡くなられていたでしょう。補助器具のお陰で何とか持っていましたが、限界です」

 

「会えますか?」

 

私はそう、沢木医師に聞く。

 

「今は集中治療室に居ます。面会は。」

 

「直接じゃなくていいです。マイク越しでも何でもいいです。話させて下さい」

 

「しかし」

 

「お願いです!」

 

私は少し強い口調で言う。

 

「わ、分かった。用意させるよ」

 

医師は少し気圧された。少し待つように言われ、私は待った。

 

 

 

-集中治療室管理所-

 

数分待った後、私は沢木医師に続いて関係者以外立ち入り禁止と記されている部屋に入った。ここは集中治療室に居る患者を24時間体制で監視する場所である。

 

「こちらで会話が出来ます。声はスピーカーで流れますので」

 

私はマイクを受け取る。

 

「聞こえますか?私は池田です」

 

『戦車道の?』

 

「ええ、そうです。田辺会長から連絡を貰って来ました。会長を仕事を終わらせて来るそうです」

 

『そう。あの人はいつも多忙な人。私がこんな状態でも仕事を優先する』

 

「そんな事はありません!!。会長は病院から容体悪化の知らせを聞いて、私に電話してきた時に、泣いていました。声も震わせて」

 

『でも、ここには来ていないんじゃないですか。あの人が来た回数よりも代理が来る回数の方が圧倒的に多いじゃないですか』

 

「会長は、不器用な人です。恐らく医師から症状を聞かされて、どうやって接すればいいのか分からなくなってしまったんでしょう」

 

『嘘よ!!』

 

「嘘じゃないわ!!」

 

扉が開けられ、叫んだ。扉には会長が居た。そして、私からマイクを取る。

 

「彼女の言うとおりよ。私は、言葉を失った。どう接すればいいのかも分からなくなった」

 

『でも、貴女は。貴女は』

 

「でも苦しい思いをさせたのは謝るわ。お詫びにお願いを聞いてあげる」

 

『・・・・乗りたい。戦車に乗りたいです。小さい頃から、私は戦車道を履修したかった。けど、このままだと戦車に乗れない。せめて、最後に乗りたい』

 

会長はマイクを握り締める。そして、立ち上がる。

 

「沢木医師、明日に彼女の外出許可をお願いします」

 

「し、しかしとても彼女は外出できるだけの体力はない」

 

「お願いします。彼女は死を覚悟して必死に訴えました。彼女も分かっている筈です。もう残り少ないと」

 

沢木医師は暫く考える。

 

「・・・・分かった。病院側には説得してみる」

 

そう言って沢木医師は出て行く。会長は次に私を見る。

 

「彼女の願いをお受けできるかしら、戦車道部部長さん」

 

私は笑みを漏らす。

 

「はい。お引き受けします」

 

 

 

「じゃあ、明日にここで。でも担架は普通の車じゃあ運べないわよ」

 

「明日、整備を終えたセンチュリオンを運搬する為にSdKfz9がここを通るので。その荷台に載せます。スペースは十分ですので」

 

私はハンバースナイプに乗り込む。会長もロールスロイスファントムⅡに乗り込んだ。

 

「苦労をかけるわね」

 

「慣れてますので」

 

私はエンジンを掛ける。会長もエンジンを掛けた。

 

「それじゃあ、明日」

 

私は発車させ、帰路に着く。

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