学園祭から2週間後、ようやく元の学生生活に落ち着きを取り戻したところだった。
-大河原-
「それで、本当に珍しいな。お前さんが帰ってくるなんて。電話貰って驚いたよ」
「ええ。来なくなって5年ですかね。まだ、池田や会長達と地元に居た時でしたから」
訪ねて来ていたのは帰郷した佐藤佳樹だった。
「まだ、引きずってるのか?」
大河原さんは佐藤に尋ねた。
「まあ、引きずっているといえば引きずってます。まだ、小5でしたから」
すると、店先にハンバースナイプが停車する。
「大河原さん、前に止まってるパッカード12は?」
っと、入ってきた池田が足を止めた。
「「あ!!」」
佐藤と池田はお互いに驚いた。
「やっぱり、帰ってくるのは貴方だったのね。でも、パッカードに乗ってるのは驚いたわ」
黒猫のテツの喉元を擽(くすぐ)りながら池田は言う。
「そっちこそ、スナイプに乗ってるとは驚きだ」
この店の看板猫のミーコも池田の下にやってきて、喉元を擽ってくれるよう強請る。
「君はこっち」
佐藤はミーコを持ち上げてレジの隣に置く。
「みゃ~!!」
すると、ミーコに頬をビンタされました。
「めっさ痛いです」
頬を擦りながら言う。
「血が出なかっただけ良いと思え」
「酷いですよ、大河原さん」
「それより貴方はどうするの?」
池田は立ち上がって佐藤に言う。
「数日は余裕があるから、学園艦で借りてる家に住むよ。あれを動かさなきゃいけないしね」
「なら行きましょう。もうじき連絡船が出るから」
「そうだな」
店を出ようとしたら、ミーコとテツが付いて来る。
「ついでだで、その猫達も連れて行ってやってくれ」
「パッカードのボンネットで寝てるトメもですか?」
佐藤は駐車してあるパッカードのボンネットに寝ているトメを見つける。
「寝てるのか?ついでに連れてってやってくれ」
「わかりました」
そう言って佐藤と池田は乗車する。ミーコはハンバースナイプに乗る。テツはパッカードに乗った。佐藤は寝ているトメを抱っこして助手席に乗せる。
「それじゃあ、また来ます」
アクセルを踏み、隣の駐車場を使って方向転換をし、往還通りを西に向かって走った。
-学園艦 居住区-
「相変わらず、敷地は大きいわね」
「周りの家の2倍程度だけどね。けど、駐車場横のガレージが大きくて広いと感じることは少ないな」
家の前に駐車場が設けられているが、殆どをガレージが占有していて車は4台しか留められない。
「このガレージが無いときは余裕で10台程留められたのだが。ガレージを作ってから無理しても4台ほどしか留められないよ」
佐藤はガレージの扉の取っ手を掴み、左右にスライドさせる。
「まだ、8年前の事故の原因を調査してるの?」
「ああ。ともに遊んだ友とその家族の命を奪った火事の原因をな」
ガレージ内には2台の戦車があった。片方は黒焦げになったパンター戦車。もう片方は綺麗に整備されていたM38(M24軽戦車砲塔搭載モデル)があった。