東海道事、国道一号線を走行する私達は、周囲を警戒しながら部隊を進めていく。
「各車、周辺の建物に注意。何処に居るかわからな」
その瞬間、砲撃を喰らって5号車事コメットが白旗を挙げた。
「敵は右の建物に潜んでいます。あのガソリンスタンドです、攻撃開始」
右にはガソリンスタンドがあり、そこに潜んでいたヘッツァーに攻撃されたのだ。
「塗装が変わってる?」
そのヘッツァーは浜を走っていた時のサンドイエロー塗装ではなく、市街地様の白や灰色など幾何学的パターンで組み合わされた塗装に変化している。
「こんな短時間で塗り替えたの?」
砲撃を喰らい、ヘッツァーは白旗を挙げた。その被弾痕には、元のサンドイエロー塗装になっている。
「成程ね。安価で取替えが簡単なマグネットシートを上からくっ付けているだけね」
「敵も考えますね。これなら、一々塗り直す手間が省けますし。今回の様に、浜から市街地へと戦場を変える時には便利ですね」
明美がハッチを開けて言ってくる。私も、敵の擬装技術の高さには驚いた。
「隊長、それでどうします?恐らく、街中の至る所にもう敵は潜んでいますよ」
その瞬間、キーンと言う音と共に砲弾が中央に着弾した。
「またパンター。各車、攻撃!!」
狙える位置に居る車両は全てそちらに砲身を向け、攻撃して撃破した。
「これでようやくこちらも流れに乗りましたね」
「そうね」
前進し、静銀舞阪支店と交番の間にある道路に入り、往還通りに移動した。
「各車警戒、私達はフラッグ車の後ろにつきます」
私達は往還通りを右折して、フラッグ車が左折するまで待機する。
「このまま前進。町内に潜む残りの敵車両を捜索します」
しかし、往還通りの丁度戦車道ショップ『おおかはら』の曲がり角に着いたその時、フラッグ車であるセンチュリオンの少し前に砲弾が炸裂したのだ。
「な!?」
私は驚き、急いでフラッグ車に連絡を取る
「何があったの?」
『ひ、左側面に豊橋北のフラッグ車です。こっちを狙ってます!!』
全員が混乱し、その場に停車して動けなくなってしまう。これでは、フラッグ車である2号車も動けない。
「大チャンスよ。敵は身動きできない。攻撃用意」
フラッグ車であるパンターFに乗る斉藤は動けなくなった舞阪女子のフラッグ車に狙いを定める。
「援護車、同時に攻撃するからね。タイミング合わせて」
堀江商店の駐車場に待機しているヘッツァーが狙いを合わせて、待機する。
「攻撃、か。駄目、中止中止。攻撃中止!!」
「助けられたわね」
おおかはらの飼い猫であるテツがフラッグ車に飛び乗って、戦車のエンジンパネル上で昼寝を始めてしまった。
「これでは巻き込まれる。向こうも撃とうに撃てないわね」
そう言って車内に入り、明美と麻衣に指示を出す。
「明美、砲塔を左に旋回させて。麻衣、徹甲弾を装填」
「了解しました」
明美はそう言い、砲塔を旋回させる。
「2号車、敵フラッグ車は大体どの辺?」
『大体、戦車道ショップ入り口の少し後ろ。丁度、倉庫の前辺りです』
「了解」
私はそれを聞き、明美に微調整を指示する。
「撃つのは構わないですけど、このままじゃあ、家ごと撃ち抜きますよ」
「後で謝っとくわよ」
「了解しました。それじゃあ、発射!!」
発射した瞬間、おおかはらさんの家の窓ガラスを突き破り、隣の戦車道ショップを突き抜け、倉庫前に居るパンターFに命中。・・・・とはならなかった。
『フラッグ車は外しましたけど、その向こうに居るヘッツァーに命中して、白旗が挙がってます』
2号車からの報告で、戦果を確認した。
「了解」
「すみません。外してしまいました」
「今頃、おおかはらさんは『うちの家と店がー!!』とでも叫んでいるのかな」
-海浜公園-
「うちの家と店がー!!」
案の定、店の店主である大河原修さんは叫んでいた。愛車のシャーマンファイアーフライのエンジンルームの上で胡坐をかいて見ていた映像で、自分の家が吹き飛ばされたのを目の当たりにする。
「大河原さん、いいんですか?家と店が吹っ飛ばされましたけど」
「まあ、良いんじゃないか。茨城県の大洗町じゃあ、マチルダⅡの突っ込んだ旅館が大繁盛しているそうだし。これで、うちの店も大繁盛するだろう」
先ほどの叫びとは打って変わって、常連客の言葉に笑って答える大河原さんであった。
「猫には悪い事したわね」
大穴を空けられた家と店からは、飼い猫がびっくりして外に逃げ出してきた。
「向こうのフラッグ車にも乗っちゃったみたいだし。これじゃあ、お互い撃てそうにないわね」
「仕方が無い。予定を早めて、つるが丘団地へ向けて移動する」
パンターFは後退して国道一号線に入り、西進を始める。残っている豊橋北の車両も西進を開始し、雄踏町つるが丘団地目指して走り始めた。