ガールズ&パンツァー 東海の覇者 番外編   作:橘花

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親善試合です 4

-国道一号線-

 

「敵は雄踏に向かっているようです」

 

無線機で先行させていたクロムウェルと連絡を取っていた麻衣が言ってくる。

 

「了解。雄踏かあ。そこが、決戦の地になるのね」

 

「向こうはそこを決戦の地に定めていたそうですね」

 

こちらも全車で追撃を開始し、国道を東に向かって走る。そして、県道49号線に着く。

 

「11号車と12号車はこの先の県道65号線を使って雄踏に入って。途中の橋が貴方達の車重じゃあ渡れないから」

 

『了解です。悲しいけど、その分防御力が高いって事ですから構いません』

 

11号車のトータスと、12号車のT28はそのまま直進する。私達は国道一号線を左折し、県道49号線を北上する。

 

 

 

-つるが丘団地-

 

「隊長、お待ちしておりました」

 

到着した斉藤率いるパンター戦車とヘッツァーが到着する。

 

「敵は向かってくる。準備はできてるの、高坂?」

 

ヤークトパンツァー隊指揮官の高坂信美に聞く。

 

「問題ありません。指定されたとおり、全車配置についております」

 

「そう。貴方の指揮するヤークトパンツァー隊が持っているヤークトパンターは私達の中では最強の攻撃力を持っている。その戦いっぷり、期待しているわよ」

 

「お任せ下さい。中隊長(コンパニー・フューラー)」

 

「ドイツ語はいいの」

 

敬礼した後、高坂は自らの乗車であるヤークトパンターV01号車に乗車する。

 

「もうじき敵が到着する各自備えよ」

 

高坂は無線で指示を出し、双眼鏡でつるが丘団地入り口を警戒した。

 

 

 

 

県道325号線に入った舞阪女子は、そのまま道なりに北上する。

 

「敵は何処かに潜んでいます」

 

無線で各車に警戒を促す。

 

「明美、突然の攻撃に注意して。朱里、攻撃を受けても落ち着いて指示に従って」

 

すると、正面に見えている林の中から3つの光があった。

 

「不味い。待ち伏せ!!」

 

その瞬間、周囲に砲弾が着弾する。

 

「全車、反撃開始。撃ち方用意」

 

麻衣が徹甲弾を装填し、明美が狙いを定める。

 

「朱里、停車して。明美、停車したら攻撃」

 

「「了解」」

 

指示通り、朱里がブレーキを踏んで車体を停車させる。そして、明美が微調整の後、攻撃する。他の車両も、各車が一斉に攻撃した。

 

「ヤークトパンター1台。ヘッツァー2台」

 

私は双眼鏡で確認し、車内に入る。

 

「各車、敵は林に身を潜めています。もう一度、一斉攻撃したら前進します」

 

『『了解』』

 

「明美、相手はまた塗装が変わっている」

 

「また、マグネットシートですか?」

 

「恐らくね。車体がオリーブグリーンを基本色にした森林迷彩。ああいうの、うちも採用できる技術があればね」

 

「デザイン部にでも依頼しますか?」

 

「うちの学校にあんなの作れる技術のある子は居ないわよ」

 

 

 

「各車、攻撃容易」

 

住宅地を挟んだ反対側の林からは、残ったヘッツァー3台とヤークトパンター5台が狙いを定める。

 

「撃て!!」

 

高坂の指示で、各車が一斉に攻撃する。

 

 

 

「別の方向からも」

 

3号車のセンチュリオンに命中し、白旗が挙がる。4号車のコメットにも命中して白旗が挙がった。

 

「2号車と7、8号車は右から撃ってきた相手を狙って攻撃!!」

 

センチュリオンとコメット2台が右に砲身を向け、砲撃した。

 

 

『ヘッツァーがやられました』

 

「了解。こちらは一気に攻撃をかけます。援護をお願いします」

 

『了解しました』

 

斉藤は指揮下のパンター4台を率いて325号線を南下する。そして、カーブを曲がった所で舞阪女子と相対した。

 

 

 

「指揮官自ら出てくるとは、感心だね」

 

クロムウェルがフラッグ車の左右をカバーしているから、正面の敵にのみ集中すれば良い。だから、正面に現れたパンター5台とヘッツァー2台、ヤークトパンター1台が当面の脅威であった。

 

「各車、後退しながら攻撃」

 

しかし、後ろの交差点にヘッツァー3台が現れる。

 

「回り込まれた!!」

 

しかし、ヘッツァー2台が攻撃を受けて白旗が挙がる。

 

『すみません。11号車と12号車、只今到着です』

 

「遅いわよ」

 

残った1台のヘッツァーは私達のセンチュリオンで撃破する。これで、退路を得た。

 

 

 

「させないわ」

 

しかし、豊橋北も必死である。ここまで追い詰めて、逃げられればもう戦いようが無かった。

 

「全車、決死の覚悟で突入。刺し違えてでもフラッグ車を仕留めて」

 

坂を駆け下りてくるパンター5台に舞阪女子は気圧される。

 

 

「正面のパンターに攻撃集中」

 

残った全車が攻撃して牽制しようとするが、豊橋北は勢いを緩めない。

 

「側面からヤークトパンター4台の攻撃です!!」

 

明美が叫んだ。

 

「4台!!。じゃあ、残りの1台は?」

 

正面の林に1台居る。つまり、残った1台の所在がつかめない。

 

「やられた。後ろに回りこんでいる。11号車、反転してヤークトパンターを仕留めて」

 

『了解』

 

トータスが反転したその時、325号線にヤークトパンターが現れた。

 

 

 

「撃て!!」

 

ヤークトパンターとトータスはお互いを狙って同時に攻撃した。着弾もほぼ同時。両方とも白旗を挙げた。

 

 

「後ろに気を取られた」

 

ヤークトパンターに意識を集中したその一瞬の隙を突き、豊橋北高フラッグ車のパンターFが私の横に並んだ。狙いは勿論、私の後ろに居る2号車。つまり、フラッグ車。

 

「させない」

 

砲塔を旋回させ、狙いを付ける。相手はフラッグ車。撃破すれば私達の勝ちである。

 

「「撃て!!」」

 

お互いが命令したのは同時であった。そして、その瞬間私の視界は真っ白になった。

 

 

 

-表浜-

 

表浜には今切れ口に船を誘導する為の小さな赤い灯台がある。そこに私は居た。近くで砲撃を受けた為、そのショックで私は気を失ってしまった。

 

「結局、勝てたには勝てたけど、危なかった。相手がもっと初速の速い砲身を使ってたら、こっちが負けていた」

 

結局、最後は零コンマ何秒まで撮影できるカメラの写真解析で勝敗が決まった。攻撃を受けたその差は零コンマ4秒。人間の目では誤差に入る部類だった。

 

「ここに居たんですね」

 

すると、豊橋北校の隊長である斉藤が後ろに立っていた。

 

「試合は残念でしたけど、この町はいいですね。漁業が盛んですし、こちらでは感じられない潮の匂いを含んだ風が感じられます」

 

「でも、その漁業は年々廃れている。私達の学校には、漁業科という科を設けているけど、年々後継者が減っている状況よ」

 

「何処もそうですよ。でも、この町はどんな形であれ、今後とも残っていくんですね。私の学校は今年の夏には他の学校と統合です」

 

「じゃあ、東海大会には?」

 

「でれませんね。残念ながら。でも、もう良いんです」

 

「え?」

 

「だって、最初で最後の試合でこんな強い相手と戦えましたから」

 

私は振り向くと、斉藤は確かに泣いていた。

 

 

-渚園-

 

「本当にここでいいの?」

 

トランスポーターで戦車と生徒を運んだ私達は指示された場所が駅ではなく渚園と言うことに驚く。

 

「ええ。もうじき迎えが来ますので」

 

すると、エンジン音が空から聞こえてくる。不審に思って空を見上げると、空中を飛行船が真っ直ぐとこちらに向かってきていた。

 

「あれが、新しい学園艦?」

 

「はい。まだ統合はしていないけど、少しずつ機材をこちらに移していますので」

 

渚園に着陸した飛行船の側面には『D-Lz129』と描かれている。

 

「統合した学園艦、縁起が悪いわね。爆発するんじゃないでしょうね?」

 

「ちゃんと気嚢には水素じゃなくヘリウムを入れているから大丈夫よ」

 

某飛行船と同じ機体番号なだけに不安となったが、ヘリウムならとりあえず安心だった。

 

「それじゃあね。またいつか戦いましょう」

 

そう言って飛行船の中に入っていった。飛行船は全員収容を確認した後、渚園を離陸する。

 

 

 

-戦車道部部室-

 

『先日の親善試合はありがとうございました』

 

ハルペからの連絡があり、私は応答していた。

 

「いえいえ。こちらも楽しめましたし。それに、いい練習にもなりました」

 

『はい。斉藤も喜んでました。あと一年復活が早ければもう一度戦えたのにっと、嘆いてましたよ』

 

「統合とは残念ですね。国が造った学園艦と違い、私達は町が造ったものですので。維持管理等は全て町が行っております」

 

『はい。それでは、東海大会を頑張ってくださいね。それに優勝すれば全国大会ですので』

 

「ええ。去年負けた黒森峰には今年こそリベンジしますよ」

 

『あそこは強いですからね。でも、油断しないで下さい。知り合いが教えている戦車道で、最近頭角を現した大洗女子学園という学校と戦ったそうですが、ここが強敵だったそうです』

 

「知り合い?聖グロリアーナですか?」

 

『良くご存知ですね』

 

相手は驚いていた。しかし、こちらは必要な情報を集めるのが専門の科があるから事前調査は万全となっている。

 

「聖グロリアーナの隊長とは話した事があるので。詳しく聞いてみましょう。それでは」

 

『はい。また、練習試合を依頼する事があるかもしれませんので、その時はよろしくお願いします』

 

そう言って電話が切れる。私は机の上に置かれているお茶を飲んだ。

 

「お茶か。今度暇があれば、紅茶でも持ってダージリンに会いに行こうかしら」




以上、豊橋北高校編でした。


この小説を考えてくださいました方にお礼を申し上げます。



作者「ありがとうございました。最後まで書く事が出来て良かったです」


池田麻美がダージリンさんと会う話は本編の方で書く予定です。
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