ガールズ&パンツァー 東海の覇者 番外編   作:橘花

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過去の因縁です 2

次の日、学園艦の前方にワスプ級強襲揚陸艦が航行を始める。その艦尾からはLCACが発進して、学園艦の左舷に同速にて併走し始める。

 

「クレーンで機材を下ろして」

 

左舷に備えられているクレーンで戦車を下ろし始める。相手との取り決めで6対6の為、こちらも昨日の夜に6台を選んだ。

 

「ゆっくり下ろしてよ。壊れたりしたら大変だから」

 

私達の乗るセンチュリオンはクレーンに吊られながら最後の一台として3隻目のLCACに積み込まれた。そして、私は全ての戦車が乗っているのを確認し、梯子を降りてLCACに乗る。

 

 

 

-ブラック・フォース総合演習場-

 

「広いですね」

 

到着した私達は演習場の広さに驚く。中央に聳え立つ1500m級の山を中心に半径300km程ある巨大な島である。人が造った人工島としては世界最大。

 

「こんな島を人工的に造るなんて、一体どれほどお金が掛かったのやらね」

 

私は呆れてしまう。こんな巨大な島、造るのに莫大な額が掛かった筈だ。

 

「まあ、兆は越すでしょうね」

 

既に招待客も集まり始めている。アメリカ大統領や閣僚、軍幹部。イギリス王室、政府。世界7大国の他、中東の石油利権を持つ大金持ちなども居る。ここに集まっている人は全員、この島の建設に関った人たちなのだろう。

 

「日本の自衛隊関係者も居ますね」

 

「彼らも演習場が欲しいんでしょう。まあ、私達も大会の決勝戦に演習用地使わしてもらっているから、気持ちは分かるわね」

 

そこへ、ポモルニクが3隻島の海岸に接地する。中からは黒く塗装されているレオパルド2A6、10式戦車、M1A2、チャレンジャー2、99式戦車、ルクレール、T90が自走して現れる。世界最強の戦車達が並んで自走するというデモンストレーションが行われている。

 

「輸出を許可していない10式まで保有しているなんて、一体どんなコネを持っているんでしょう?」

 

「戦車だけじゃないわ、上を見なさい」

 

明美が驚いている所に、私は上を見るように言ってあげた。空からはジェットエンジンの音が聞こえてくる。

 

「B2が3機を先頭にF22が8機。その後ろからはT50が3機とSu-37が6機。編隊の中にはSu-47が居ますね」

 

東西両陣営の最新機、実験機をも保有するブラック・フォースは改めて各国政財界と深く繋がっているのだと実感した。

 

 

 

『本日はお集まり頂き、ブラック・フォース社の極東方面幹部であるこの私、斉藤幸男は感謝の念にたえません。本日は我が社のデモンストレーションの他に、日本から選ばれた方々が戦車戦を当演習地にて行いますので、存分に楽しんでいってください』

 

最後の現れたウニモグ製ATFディンゴに乗っていた斉藤が来賓の方々に挨拶をしてオープンセレモニーの開会式は早々に終わった。

 

「何が現地兵の訓練や補給などの後方支援が仕事よ。装備している車両はバリバリの実戦配備車両じゃない」

 

終わるなり、私は各国の軍幹部と会話していた斉藤のもとに向かった。

 

「嘘をついた事は謝ります。確かに、一般の傭兵達は後方支援が任務ですが、我が社は少し特殊でして。各国の新装備の評価等も仕事なんです」

 

「評価?」

 

「はい。実戦を経験するまで、各国軍幹部は不安なんです。自分達の装備が本当に期待している戦闘力を発揮するのかどうかをね。それを実戦にて評価するのが我が社の仕事です。自衛隊の90式戦車も湾岸戦争で試作車両を使って概ね高評価。イラク戦争でも高い評価を獲得しましたよ」

 

自衛隊の戦車を実戦テストするのも、この会社の仕事のようだ。

 

「それはそうと、そのオープンセレモニーで戦う相手は何処よ?」

 

「彼女達なら島の対岸で待機していますよ。堅苦しいセレモニーはお気に召さないようで」

 

 

 

「今日はいつもと違って偵察用のクロムウェルも強力な打撃力を持つT28、T29、トータスも居ない。居るのは1号車から6号車までよ」

 

機動力と攻撃力をバランスよく備えた重巡航戦車のセンチュリオンとそれを支援する為のコメット巡航戦車それぞれ3台で構成された計6台の2個小隊を編成した。

 

「完全な中隊ではないけど、2個小隊1個中隊編成でいくわよ」

 

各車が待機地点に待機している。あとは開始の合図を待つだけだった。

 

 

 

「本当にこんなのが開始の合図でいいんですか?」

 

エイブラムスに乗る戦車長が無線で斉藤に問う。

 

「構わん。参加者には伝えてある。どでかい音が聞こえたら、それが開始の合図だと」

 

「りょ、了解しました」

 

そう言ってエイブラムスの戦車長はハッチを閉めて砲塔内に入る。

 

「全車、タイミングを合わせろ。撃ち方用意・・・・・・撃て!!!」

 

その瞬間、7台の戦車が一斉に空に向かって空砲を発射する。その発砲音が開始の合図になった。

 

 

「まさか、戦車砲音を開始の合図にするなんて」

 

Ⅴ字隊形で中に一台を配置する防御を生かす隊列を組んだ私たちは一気に平原を疾走する。

 

「こんな見晴らしのいい場所に居るいつまでも居るんじゃ不味いわ。一気に走り抜けて岩場に向かって」

 

しかし、その平原に砲弾が撃ち込まれた。

 

「敵襲!!」

 

そう叫んだ刹那、再び着弾。

 

「敵は何処?」

 

 

 

「左2度修正。発射願います」

 

正面の岩場に上手く偽装されて待機しているM3中戦車が背の高さを生かして遠くの目標に対する着弾観測を行っていた。

 

「次、左1度修正」

 

 

 

「山なり砲撃ね。放物線を描いて飛んでくる砲弾は戦車の弱点である砲塔上部装甲を貫いて戦闘不能にさせる気だわ」

 

車内に入って朱里に指示をする。

 

「朱里、ジグザグに走って。絶対に動きを止めないでよ」

 

「りょ、了解」

 

朱里はジグザグ走行を始める。他の車両もそれに習ってジグザグ走行を始めた。

 

「麻衣、煙幕弾を装填」

 

「了解」

 

麻衣は砲弾ラックの中から煙幕弾を取り出してきて装填する。

 

「発射します」

 

明美はすぐさま発射し、周囲一体に煙幕が立ち込めた。

 

 

 

 

「煙幕・・・・か」

 

岩場の丘の上で仁王立ちする鼎巻楓は煙幕に隠れた舞阪女子を見据える。

 

「戦車駆逐隊、煙幕と敵戦車を蹴散らせ」

 

無線機を持ち、指示を出した楓は自らの乗車であるスーパーパーシングに戻る。

 

「さて、どうでる?舞阪女子」




実際の滑空砲は空砲が撃てません。
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