「僕の初恋、本当の本当に終わった……」
僕がそうつぶやくのには理由がある。
先週、椰子乃が康多に告白して、椰子乃と康多が付き合っている、ということがわずか一週間の間に学年中に広まった。
この情報の拡散について僕は関係していない。
そして、学年中に広まったということは香里にもその噂が伝わったということだ。
そして、僕は見てしまった……。
◆
「益伴くん、私と付き合ってほしいの……」
香里が、一年二組の駐輪場の奥でマッスーに話している。
僕は、学校で宿題を終わらせ、帰ろうと思い、体育館の横の駐輪場に来たのだが、地面がアスファルトから、大きな音のする砂利に変わる寸前で見慣れたマッスーの頭がチラッ、と見えたので慌てて急停止した。
──あんなところで立ち止まっているというのは何か不自然だ……。
そう思った僕は一度ジャンプした。すると……香里の頭まで見えた。一体どういうことなのか……。もう少し詳しく知りたい。
しかし、このままでは気づかれる可能性もあり内容も聞こえないので、地面がアスファルトで、向こうからは死角になる、駐輪場の裏に移動した。
ここからならよく聞こえるし、二人の様子も見れる。
「僕は、大丈夫だよ。でも何故だい?」
マッスーが答える。
「私が好きだったの、康多だったんだけど、なんか椰子乃ちゃんと付き合ってるらしくてね……。それで……」
そして香里は言葉を切る。
悲しみに暮れていた僕の耳に飛び込んできたのは意外な言葉だった。
「だったら、無理だ。好きな人がいるなら、最後まで貫き通すべきだよ」
マッスーは続ける。
「好きな人が別の誰かと、今、付き合っているからなんだい?人の恋愛というのは、儚く散る場合が高いんだよ。諦めずに頑張りたまえ」
僕は心の中でマッスーに盛大な拍手を送った。
しかし、香里は──
「でも、益伴くんは……」
戸惑っていた。
「僕のことは気にしなくていいんだよ。昔からファーストレディっていうしね」
さらっと受け流すマッスー。
これが帰国子女と純正日本人の違いか……。
頬を冷たい汗が落ちる。
「じゃあ、僕は帰るね」
そう言って、マッスーは自転車にまたがる。
「うん……。私、諦めないで頑張るから!!」
笑顔の香里も自分の自転車に向かって歩き始める。
というわけで僕は──
──見つからないようにさらに奥の体育館の奥へ逃げた。
一人ニヤニヤしながら。
◆
というわけで、二度目の告白ブームがやってきているな……、と実感する僕。
しかし、僕はまだ告白する勇気はない。
だって思わないかい?一年も経っていないのに、同じ相手にもう一度告白する男子なんて、絶対にウザがられるって。ね?
というわけで、僕が香里に再告白するのはもうしばらく後のお話。
どうも、音槌政旨です。
いやぁ新展開でしたがお楽しみいただけたでしょうか!!
なかなか個人的には書いてて楽しかったですけどね?
では、次の投稿もお楽しみに!!