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part1 ええぇぇ〜!?なんで!?
「康多と広樹〜今度の日曜日、空いてる〜?」
『えっ!?』
香里の思わぬ発言に僕と康多は声が揃う。
──どうして僕を?
「ああ、俺は空いとるよ。広樹は?」
僕の疑問にはまったく気づかずに、康多は方言まる出しで答える。僕も正直に答える。
「基本暇人だから空いてるけど……」
「あ、じゃあ児童センターに来て〜」
『OK牧場!!』
声を揃えて答える。
香里が去った後、康多と声をひそめて話す。
「これ、夢?」
「んなわけないやろ」
「夢にしか思えんとばってん……」
「広樹、頬ばつねってやろうか?」
「いや、いい……。痛そうだし」
「じゃあ現実だと思っとけ。でも、困ったなぁ」
「ん?」
「いや俺が行くと広樹と香里の邪魔に──」
「なるわけない!!っつーか俺と香里がいつ恋仲になった!!しかも男子一人になるとか気まずすぎやろ!」
ここまで小声で話していたのについつい大きな声が出てしまう。うさぎ小屋の前で話していたせいでうさぎたちが慌てて巣穴に戻っていく。
ちなみにここのうさぎはあなうさぎである。
うさぎさん、ごめんなさい。
「さて、帰りますか。まあ康多、日曜日来てよ!!絶対に」
「おぅ!」
僕は康多と別れ帰路につく。
「ふぅ」
「意外と来ないな」
今は児童センターの前で香里と春歌を待っているところだ。
チリンチリン
ベルの音が聞こえ、顔をあげると自転車に乗った香里と春歌が見えた。
「おっ来た来た」
『やっほ〜』
香里達が駐輪場に自転車を止め、僕らと一緒に室内へ入る。
「さて、まず何する?」
ここではバドミントンやフリスビーバスケットボールなどが借りれるのである。
「う〜ん……僕は何でもいいよ」
「じゃあ、バドミントンやりたい!!」
香里が元気よく答える。
「OK牧場」
康多がそう言いカウンターでバドミントンを借りる。
「よし、遊戯室へGO!」
僕ら四人は遊戯室へ向かう。
「まずは香里と春歌がやれよ〜」
「は〜い」
しばらく羽根を打つ音が遊戯室に響く。
羽根を打つ音が途切れた。
「疲れた〜。代わって〜」
「広樹行ってこいよ春歌の仇を討ってやれ!!」
「了解!!」
パコーン
「ぎゃぁ、届かねえ」
パコーン
「あ、飛びすぎた……」
パコーン
スカッ……。
「広樹!!交代だ、お前の仇は俺が討つ!!」
別に死んではないけどな、というツッコミを飲み込み、康多にラケットを渡す。
パコーン
パヒョッ……ポトッ。
パコーン
スカッ……。
パコーン
パーン。
「あっ……」
つられて上を見ると康多が打った羽根がバスケットゴールの上に引っかかっている。
ふぅ。
「ここの人呼んでくるよ」
「俺も行くよ」
「サンキュー」
まったく何やってんだか……。
「すいませ〜ん、この人がバドミントンの羽根をバスケゴールの上に引っ掛けてしまって……」
康多をカウンターの前に突き出しながら言う。康多は抵抗して横に移動するが職員用の通路があったため、すぐによける。長い棒をもってきた係の人が羽根を落としてくれる。
「ありがとうございました〜」
しかし再開しようとしたらもう貸出時間が終わろうとしていた。結局誰も香里に勝てなかった。運動神経いいもんな。
冬の夕暮れは早い。まだ五時にもなっていないのに早くも空は夕焼けに染まっていた。
「帰ろっか」
誰かが呟いた。
香里と春歌は小声で何かを話している。
館内を出たところで、
「はいっ友チョコ」
「私からも友義理チョコ」
『んっ?』
「いや、今日バレンタインでしょ?」
『あ、サンキュー。お返しをお楽しみに』
「あくまでも友チョコだからね?」
「分かってる分かってる」
これは一体……。──なぜ僕なんかに。お金と時間の無駄遣いじゃないか、とこれまで家族や親戚以外からチョコをもらったことがない僕はそんなことを考える。
まあ、返すのは失礼だからありがたくもらっておこう。
続く