マトウの狩りを知るがいい《完結》   作:照喜名 是空

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第九話「暴力は暴力を生むが最後にはこうなると決まっている」

どうよイスカンダル?そっちの調子は。え?やばい?行って良い?良い返事だ!オッケー行くよ。

え、アサコさんもついて行くの?できれば死んで欲しくないし待ってて欲しいんだけどなー。

何、家を守るのは嫁になってから?むしろ隣にありたいし、死ぬときは一緒が良い?足手まといで申し訳ない?

はっはっはっ。そこまで言われたらついてきてもらうしか無いな!オッケー、一度言ってみたかったんだ。

 

必ず君を守るよ。

 

オイオイオイ泣かなくってもいいじゃない。今夜の俺たちは最高に絶好調なんだ。生きて帰れるさ!

よーし行くぞ!

 

鐘でテレポートして行った先は広大な砂漠だった。何これ?固有結界?すげえ。

何この軍勢、宝具で生前の部下全員召還?すごいな。

 

おお、いい感じで騎士王が前衛してくれてるね。あの聖剣やばいわー。

 

「おのれ、おのれおのれおのれ!かくなる上は・・・・・・貴様の出番だ!乖離剣・エア!」

 

あー、この間のあれか。あれ空間ごと裂く奴じゃない?相性悪くない?マジで?しょうがねえなあー。

 

「エヌマ・・・・・・なに!?なぜ作動しない!我の体が透けていくだと!?馬鹿な!魔力切れ!?ええい時臣は何をしている!パスが、切れている?なぜだ!」

「ああ、そのパス?令呪だろ?ここにあるんだわ。時臣なら俺がぶん殴ってぶんどってきた。

で、これはこうする。あんたをこの世につなぎ止めるもんはもうないな?」

 

俺は時臣から剥いできた手の皮をあっさり燃やして灰にする。

 

「あの痴れ者が!おのれ、おのれおのれ認めんぞ!こんな、終わり方など・・・・・・!」

「まあ、マスターが悪かったね。あいつ頭おかしいけど、ぶっとんでないもん。面白くなかっただろ?そこの差じゃねえかな。

次はいいマスターに召還されるといいな!召還なんてするのは魔術師って時点で多分無理だろうけど。じゃあさっさと成仏しちまえ」

 

おっ、イスカンダルがため息ついてる。

 

「のう英雄王よ。貴様も王を自称するのであれば潔くせい」

 

おっ、イスカンダルがヘタイロイになんか命令したら英雄王の魔力がとりあえずってくらいには戻った。

まあ宝具は使えないだろうけど、普通に武器取って戦うくらいはできるだろう。

 

「個の力、己自身しか信じぬ貴様に我が絆という王道を見せてやろうと思ったが・・・・・・

これでは弱い者いじめだ。それは王道では無い。

故にヘタイロイ共にはすまんが、彼らは立会人とする。

つまり、将同士での一騎打ちで勝負をつけようではないか。どうだ?騎士王もかまわんな?」

 

騎士王がアホ毛をゆらして大きくうなずく。やっぱいろいろ思うところあったみたいだね。

 

「是非もありません。この男に一発くらいは拳をたたきつけてやろうと思っておりましたが、もう十分でしょう。お任せしてもかまいませんか、征服王」

「うむ!さあどうする英雄王!」

 

英雄王がうつむいてめっちゃ震えてる。屈辱か?でも自業自得じゃん。

大きく息を吸って、顔を上げたらまあそれなりには見れる表情になっていた。

 

「癪どころの話では無いが、よかろう。上奏を聞き入れよう。乖離剣など無くとも、ウルクの格闘術は最強であることを知るが良い!」

 

英雄王が鎧を脱いで上半身裸スタイルで拳を握る。

征服王も剣を納めて馬から下りて指をパキパキ鳴らしながら近づいていく。

 

「ステゴロか。刀剣を使って一騎打ちかと思ったが・・・・・・まあ、男同士が雌雄を決するならば最後はこれだわなあ。

行くぞ英雄王!カリヤ、ウェイバー、手出しは無用だ!」

「さえずっておらぬととっとと来い、征服王!」

 

二人は砂漠の上を走り出して叫びながら殴り合う。

英雄王お前武器使わない方が強いんじゃん。まあ能力とか手数は減るけどさ。

英雄王の怪力がマジでヤバかった。英雄王がイスカンダルをホールドしたときはちょっとヤバいんじゃねえのって思ったくらいだもん。

 

なんだか途中から二人とも笑い合ってたよ。まあ気持ちは解る。

 

「疾く倒れぬかこの筋肉達磨が!」

「貴様こそ息が上がっておるぞ!ご自慢の剣を出さなくとも良いのか!ああん!?」

「ほざけ!我が手ずから相手をしてやる栄誉を知るが良い!」

 

うわー、人体が出して良い音じゃねえよ。でも殴り合う姿は一種すがすがしいな!

最終的にはお互い心臓狙い、人体を切り裂けるタイプの抜き手を繰り出し合った。

イスカンダルがパリィしてど派手に内臓攻撃を決めてくれたけどな。

潜ってて良かった呪われたトゥメル!

 

「認めよう・・・・・・貴様に一時この島を貸してやる・・・・・・!せいぜい暴れ回り座にいる我を楽しませることだ・・・・・・!」

「おう!向こうでせいぜい楽しみにしておるが良い!此度もまた、心躍る遠征であった!」

 

案外いい笑顔で英雄王は消えていった。そこにはお互いを認め合った男の友情があった。

 

「すごい・・・・・・王よ、僕もあんな風になれたなら・・・・・・いや、なれる。ならなきゃいけない。今はまだでも、いつか・・・・・・!」

「ウェイバーよ。立ち会い大義であった。なにそう謙遜するな貴様もすでに益荒男よ。

あとは機会が巡ってくるのを待つだけだ。なあに案ずるな、世の中というものはな、力を持つ者にふさわしい舞台を用意するものだぞ」

 

イスカンダルがウェイバーの頭をわしわし撫でてる。

 

「さて、騎士王よ。貴様さえよければここで決着をつけよう。

案ずるな、此度も一騎打ちでかまわんぞ?

ただし武器を使うならこちらも相応の武具を使うがな」

 

騎士王はしばらく考えていたが、すぐに凜々しく聖剣を構えた。

 

「良いでしょう。ここで引いたとてあなたはまたこの宝具を展開する。

ならば一騎打ちが出来る今のこの場が最大の好機!ここでならば遠慮無く聖剣を解放できる・・・・・・!」

「うむ、正々堂々とこの戦争を締めくくろうでは無いか!」

「勝った気になるのはいささか早いぞ征服王!」

 

いやーすごかったよ。本気のチャンバラって見応えあるね。

イスカンダルは最初は初期装備の両刃剣、ほらキュプリオトの剣だっけ?あれ。

まああれを使ってたけど、そのうち獣肉絶ちとかいろいろ使い始めたし。

 

「なんと禍々しく野蛮な剣だ・・・・・・!人々の希望を編んだこの聖剣で絶てぬ道理は無い!」

「ほう、実は余も最近聖剣を手に入れてな?借りるぞルドウィーク!」

 

砂漠に、月の香りがした。イスカンダルの取り出したのはやばいでかさの大剣。

形はシンプルでスタンダードだが、表面がヤバイ。

まず緑色に光ってる。明らかに神秘を感じさせるヤバイ色だ。

なんか模様も描いてあるけどあれじーっと見てると啓蒙ちょっと上がるんだよね。

あからさまにこれ上位者関係の何かですよね?ってものだ。

 

「月光の聖剣と言う。さあ、踊ろうか騎士王!」

「そのような異形の聖剣にエクスカリバーは負けはしない!」

 

うん、やばかったね・・・・・・なんで二人とも剣持っててビームの打ち合いになってるんだよ!

あとどっちもビーム出すときすげえうるせえ!ヘタイロイ若干引いてるじゃねえか!

 

「私の、負けか・・・・・・」

「うむ、余の勝利である」

 

結局、ビーム打ち合ったりチャンバラしたりした結果征服王が勝った。

致命傷を負って騎士王が消えていく。

 

「無念だ、私の、私の聖杯・・・・・・ああ・・・・・・すまない、皆・・・・・・」

「次にまみえるときはその未練、断ち切れておると良いのう」

 

首が飛んだ。ああ、これでこの馬鹿祭りも終わりか?

 

「終わった・・・・・・のか?」

「終わったのう」

「ははは、やった!僕たちの勝ちだ!やったぁ!」

 

イスカンダルが剣を掲げて勝利をアピールする。

 

「此度の遠征、我らの勝利である!喝采せよ!」

 

ヘタイロイが槍を掲げて歓声を上げる。すごい迫力だ。っていうかうるせえ。

まあ、皆喜んでいるからいいか・・・・・・

 

 

「ヘタイロイよ、ろくな活躍をさせてやらんですまんな!大義であった!

また会おう我が友らよ!おっと、帰る前に紹介しておこう」

 

イスカンダルがウェイバーを前に出してヘタイロイに見せる。

 

「こやつはウェイバー・ベルベット!此度の戦で新たに我が臣下に加わった狩人にして魔術師である!

すぐれた戦士でもあり、なかなかに多芸な奴よ。いずれそっちに行くであろうから、良くしてやってくれ!」

 

ウェイバーが狩人らしく一礼する。

 

「この度、王に見いだされ皆様の末席に加えていただきましたウェイバー・ベルベットです。

まだまだ未熟の身ではありますが、王のため、皆様のため励んで参ります!」

 

歓声が上がる。なんか認められたみたいだね。

え?なに?俺は誰?って?

 

「こっちは間桐雁夜とその情婦アサコだ。

さきほどの聖剣を融通してくれた者であり、此度の同盟相手だ!

見たとおり貴様らと比較しても遜色ない勇者である!」

 

えっ、アサコさんはそれでいいの?いいんだ・・・・・・

 

「あ、どーも。間桐雁夜だ。あんたらの王様には世話になってるよ。まあ、よろしく」

「百科のアサコでございます」

 

適当に手を振っておいた。まあ、それなりの歓声はくれたよ。

 

「此度の遠征まこと愉快なものであった!いずれ遠くないうちに貴様らともこの時代での快悦を分かち合おうではないか!彼方にこそ栄えあり!(ト・フィロティモ)」

 

イスカンダルが剣を掲げるとヘタイロイもウェイバーも剣を掲げる。

俺らもなんかノリで金槌と短剣を掲げておいた。

 

『彼方にこそ栄えあり!(ト・フィロティモ)!!』

 

それが解散の合図だったらしい。砂漠の風景は消え、アインツベルン城が見える。

ほー、ここがアインツベルン城かー。豪華だなあ。

おいアレ聖杯じゃね?なんか床抜けて浮いてるけど。

ん?あれなんか出てない?血みたいなのあふれてない?

 

「うむ、そうだのう。なあカリヤよ。ああいうのは見覚えがないか?」

「うん、思いっきり呪われてるねあれ。言ったじゃん、あんなもん絶対エンストするって」

「どうやらそのようだのう・・・・・・やはりこんなものに頼ってはいかんな!

カリヤよ感謝する。保険をかけておいて正解だった!」

 

あれ、床に開いた穴からなんか出てきた。だれこのおっさん。

衛宮切継?魔術師殺しの?こいつが?えー、だってこいつ目が死んでるじゃん。

あのときのキレイくんと同じって言うかもっと腐った目じゃん。ないわー。

 

「聖杯は・・・・・・そうだ聖杯は呪われている。これは願望機などではなかった・・・・・・

間桐雁夜、頼むこれを破壊してくれ」

 

どうしようかなあ。呪われてる聖杯はヤーナム的にはありがたいんだけど。

でもこれそういう使い方できないんでしょ?

よし解体しよう!

 

「うんまあこれは駄目なシロモノだわ。でもいきなりぶっ壊したら多分爆発オチになるよ?

だってこれ原子炉みたいなもんだし。まあ、慎重に無力化していくよ」

「ああ・・・・・・すまない、任せる」

 

でも俺こういう細かい工芸品苦手なんだよね。ウェイバー、どうするよこれ。

調べてなんとかする?そうだね。

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