マトウの狩りを知るがいい《完結》   作:照喜名 是空

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警告!

雁夜おじさん救済魔改造オリ主化、世界観多重クロス、メアリー・スー展開、アンチヘイト展開です。
地雷要素満載の地雷原です。そこを納得してご覧ください。
合わないと思ったらすぐに読むのを止めて戻ってください。
警告はあらすじとタグとプロローグとこれで4回目です。どこかで眼に入るはずです。


第一話「魔術師狩りの夜」

「雁夜お主、随分……鍛えなおしたな」

 

玄関開けていの一番に親父が言ったのはそれだった。まあ眼帯してて髪真っ白になって顔傷だらけだもんね。

 

「そうかい?解るかな?まあ世間の荒波にもまれたってことだよ」

 

おお、なんか親父が引いてる。まあ今の俺かなり筋肉ついたからね。

 

「しかし今更なぜこの家に帰った?魔術を嫌うお前にこの街で用などあるまい。

ああ、それともあれか?葵の娘に情でも湧いたか?」

 

相変わらず嫌味ったらしいな。年取るとゲスい事にしか興味なくなるのかね。

年はとりたくないわー。まあこんな家業してたら体動かなくなる前に死ぬだろうけどな!

 

「いやいやいや、腹の探り合いっこはなしにしようぜ。ほらなんか面白そうなイベントあるだろ?聖杯戦争。

俺もまざりたい。っていうかこの際だから時臣殴りたい。合法的にあいつ殴れるチャンスなんか今回くらいじゃん」

 

うんまあそれも理由の一つにしかすぎないんだけどね!なんかまた親父が驚いてる。こいつこんなにリアクションよかったっけ?

 

「雁夜お主……くくく、そうか。これもマキリの血か……そうじゃな。ようやくわかったじゃろう。

甘さが抜けてよい顔になった。魔道に生きる者の顔じゃ」

「間違ってないけどうれしくないな」

 

うんまあ、そろそろ俺がどういうやつになったのか解ったらしい。まあそうだよ、魔道だよ。

魔術師だの獣だのを狩るくせに、そいつらが飯のタネっていうどうしようもないヤーナム野郎だよ。

 

「くくく、わしの血というのはそういうものよ。お主が一人前の男になったのであれば、よかろう。入るがいい」

 

だけどここからが面倒なんだ。ジジイに俺の正体がばれたってことはお互い油断なしでいつ殺しにかかってきてもいい態勢で話すってことだから。

リビングについて、とりあえずジャブとばかりにお土産を渡す。酒だ。

 

「えっとこれがお土産ね。黄金の蜂蜜酒と匂い立つ血の酒」

「ふむ、少しは気が利くようになったか。酒とな?ほほうこれは……」

 

上位者の血からわざわざ作ったやつに美津里からもらったやつの1本だ。

そんなに上位者の世界にいきたいならぜひこれを飲んでいってくれ。

小さい虫よりデカブツのほうが殺しやすいしね。

 

「くくく、お主の変わりようが少しわかったかもしれん。それで?他に何を求める。桜か?」

 

ああまあ、時臣殴りたいだけじゃ信用できんわな。

俺は座らずに自然な感じで返した。

 

「いやまあそれは今はいいとして、まあ今俺が何やってるか、から言ったほうがいいかな。

今俺トレジャーハンターみたいなことやってんだよね。遺跡とか、魔術師の工房とかにつっこんでいって火事場泥棒してるみたいな。

ぶんどってきたお宝を知り合いの魔術師に売って暮らしてるんだ。後はだいたいわかるだろ?

聖杯戦争で集まってきた魔術師を倒してお宝を奪う。そのために来たんだよ」

 

まあ、お前を殺しにも来たってことはわかるだろうけどな!

 

「ふん、それだけではあるまい。だがまあいい、わしの邪魔さえしなければな。

それで聖杯戦争にはマスターとして参加するのか?」

「しないよ。まあ令呪が出たらしてもいいけど。あんたは参加しないのか?」

「今回は見送る。じゃがまあ、お主が参加して、なおかつ聖杯をわしに捧げるというのであれば取引してやってもいい。協力もしてやろう」

 

聖杯かー。ここのもダンジョンとか作れるのかな。まあ、どうせろくでもないものだろうから、売れる奴に売って、悪用しそうなら殺せばいいか。

 

「ふーん、まあ手に入ったら売るよ。ああ、そういうわけで適当に部屋を使わしてもらうよ。対価はさっきのお土産で」

「まあいい。好きにするがよい」

 

よし、自然な感じで切り上げられたぞ。さーて、殺すか。

 

 

ここからは時間勝負だ。走らず、しかし最短で書庫を目指す。

とにかく急ぎで片っ端から本を回収。次は虫蔵だ。

 

途中でヤーナムの狩り装束に着替える。やはりこれでないと。そして今のうちに鐘をならしておく。

接続先はあいつだ。「ワルプルギスの魔女」「幻燈館店主」美津里。

 

虫蔵についた。うわあ、相変わらず趣味悪いな!桜ちゃんがいる。だけどごめん。優先することがあるんだ。

ここだ、ここが一番遺志が強い。啓蒙上げておいた甲斐があったぜ。今の俺なら怨念も見えるようだ

俺は虫蔵の一角にあるゴミ捨て場に近づいて語りかけた。

 

「ただいま、母さん。それから、ご先祖様。

俺には洒落た呪文なんて思いつかないから、こういう言い方になるけど、許してくれ。

ゾウケンが憎いかい?あいつを殺したいよな?なら、力を貸してくれ」

 

ぞわ、とゴミ捨て場に捨てられた遺骨の欠片たちから遺志が立ち上る。よかった。呼びかけに答えてくれたようだ。

俺は懐から穴の開いた骸骨を取り出して地面に近づける。

 

「いいものをもらったんだ。母さんたちの恨みも、呪いも、あいつに届けることができる道具があるんだ。

これだよ。呪詛溜まりっていうんだ。

母さんたちと同じように、身勝手な魔術師に殺された人たちの作った呪いの道具なんだよ。

これに、あなたたちの無念を、恨みを、怒りを、呪いを分けてくれ。俺が必ず奴に届けてやるから」

 

赤黒い煙のようなものが呪詛溜まりに集まってくる。これでいい。

 

「……ありがとう。来たかゾウケン」

 

俺は爆発金槌を取り出して呪詛溜まりを首にかけ左手には火炎放射器を持つ。

仕掛け作動。景気のいい音を出して金槌に火がともる。

 

「雁夜よ。やはりそうなると思っておったわい。ずいぶんと調子のいいことを言っておったが……どれ、経験の差というやつを見せてやろう」

 

俺はただ一言だけ返すことにした。

 

「マトウの狩りを知るがいい」

 

まず真っ先に爆発金槌を振り上げてたたきつける。避けるか。そうだろうな。

虫をけしかけてくる。それもわかっていた。前に避けて、火炎放射器だ!

ひるんで少しだけ下がった。だが狩人相手に下がるのは愚策だ。

今だうなれ爆発金槌!思い切り上からたたきつける。

 

「おおお!」

 

ジジイの頭が砕け散る、だけど奴は足を止めずに逃げては虫をけしかける。

まだ学習せず距離をとるか。ちょうどいい、哭いてくれ、呪詛溜まり!

投げられた呪いが手榴弾のように爆発する。

 

「馬鹿な!?これはなんだ!ただの呪い、恨みごときでわしが削られるはずがない!」

「貪欲な血狂いめ。報いの時だ。俺が貴方達と共に哭こう。さあ、呪詛を」

 

距離をとれば呪詛を投げ、虫をけしかければ火炎放射器、近づけば金槌の餌食だ。

じわじわとゾウケンの体が、魂が削れていく。

まあ種を明かせばゾウケンの被害者を取り込むことでパスというか縁ができたのでよく効くんだ。

 

「待て!桜がどうなってもいいのか!?お前が近づく前にわしは桜を殺せるぞ!」

 

ああ、だから協力者を頼んでおいた。俺は狩人呼びの鐘をならしていた。ヤーナムが滅んだ今でも、携帯電話代わりには使える。

そして距離を無視して場所をつなぐこともできるし、協力者にはしっかり対価を渡してある。

 

「美津里、俺は鐘を鳴らしたぞ!今だ!対価は支払った、契約を果たせ!この子をお前のもとに呼んでくれ!」

 

どこかからか、ため息のようなものが聞こえた。しょうがないねえ、とでも言わんばかりだ。

 

『おーい』

 

すぽん、と吸い込まれるように桜が消えた。後には手品のように煙が残るばかり。

美津里の魔術の一つ、呼び出した相手をテレポートさせるひょうたんだ。

これで桜は安全圏に逃した。あいつの家を安全とは言いたくないがな!

 

「さあ、これでお前を守るものはもう何もなくなったな」

「ま、待て!」

「問答無用だ!」

 

俺は爆発金槌を叩きつけ叩きつけ叩きつけて。呪詛をありったけ浴びせてやり、火炎放射器で念入りに焼いた。

虫蔵も燃やしてしまおう。油壷を投げまくって火炎瓶で燃やす。地下から出るときに教会砲で入り口を崩しておく。

 

「ふう……」

 

よしこれでいい。母屋に燃え広がるまでは少々の時間があるはずだ。

息を一つ吸って、喜びのジェスチャー!天を仰いで……

 

「母よごらんあれ!俺はやりました、やりましたぞおおおお!

このゴミ虫野郎を潰して潰して潰して、汚い色の絨毯に変えてやりましたぞ!

どうです素晴らしいでしょう!これで母さんたちの恨みも晴らせた……

俺はやったんだあああ!くくく、はははは!」

 

笑いが、笑いが叫びが止まらない。ひとしきり馬鹿みたいに笑って、そして俺は深く息をついた。

 

「……はぁー」

 

なんでだろうな、涙が出てくる。

だが奴もこれでくたばったとは思えない。とりあえずの勝利だ。

それに、まだやることはたくさんある。アルフレートのように自殺はできないんだ。

 

炎が広がる前にいそいで狩人帽と覆面を脱いで、とにかく家じゅうの資料を片っ端からもっていく。

金目の物、魔術礼装、本から日記から全部だ。間に合わないものはとりあえず庭になげだしておく。

 

よし、お宝はいただいた。あとは通報だ。

 

「あっ、もしもし消防ですか?いや実は地下室で父が突然焼身自殺しまして……はい、そうなんです。

最近ボケが始まってたからかも。急なことで……はい、なんかあらかじめ準備してたのか、地下室ごと爆薬で埋まっちゃって。

今は母屋まで燃え広がっていないんですけど、お願いします。すいません……」

 

さあ逃げよう!警察に捕まったら面倒だ。逃げよう。

 

 

俺は隣町で取ったホテルで事後処理をしていた。

まず美津里。古い魔女で人もバケモノも食うやつだが契約すればとりあえずしばらくは裏切らない確率が高い。

あいつに桜ちゃんをまかせたままだとヤバい。いきなり食われる可能性もゼロじゃないし、まず教育に悪い。

いそいで確認しないと。

 

「ああ、美津里か。どうだった?無事保護してくれたか?」

 

いつもの呑気で下世話な調子で返事が帰ってくる。とりあえず桜ちゃんは無事らしい。

ゾウケンの本体がいたから、事前の契約通りもらっておいたとのことだ。

 

「ああ、悪いな手間かけさせて。あいつのことだから間違いなく桜ちゃんにはバックアップを残してると思ってさ。

ああ、いいよ。桜ちゃんに危害を加えなければゾウケンはどうでもいい。煮るなりや焼くなり好きにしてくれ。

でもできればそれを使って一般人に害を加えるのは遠慮してほしい。悪い、俺のわがままだ」

 

そう、俺は桜ちゃんの体内から虫を取り除かなきゃいけないからそれも美津里に依頼していた。

契約の対価にはジジイから奪った全財産をまるごと奴に渡すことになっている。

 

「桜ちゃんの手術はうまくいったか?ああ、そうかそれはよかった……ありがとう。

ああ、せいぜい死なないようにがんばるさ」

 

どうやら桜ちゃんは手術も無事に終わって元気らしい。まあ、これから先誰が面倒みるのかとかいろいろあるが、まあそれは後で考えよう。

 

次に教会と協会に電話をかける。

 

「どうも、間桐雁夜だ。実は今回ゾウケンからマキリを簒奪した。俺が間桐家当主になる。

というわけでこれからもどうぞよろしくね。あと聖杯戦争の時はよろしく。ぶん殴りに行くからうらみっこなしな」

 

まあ、俺は魔術師になる気はさらさらないが、名目上だけでも継いでおく。

こういう時コネとかパイプはあるに越したことないからな。

いろいろ言ってくるが適当にはぐらかしておく。

 

さてと、ゾウケンからぶんどったお宝を整理して美津里に送らなきゃな。

その前に内容をきちっと読んで調査しておかないと。

 

あっ、なんか手がいてえ。なんかカレル文字刻んでるときみたいな……

ああ、令呪か。まいったなー選ばれちゃったなーしょうがないな、戦おう。

いやーしょうがないよね、これで時臣とかそのへんの魔術師なぐってもしょうがないしょうがない。

 

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