ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
映画もう1回見てきました。4週目の特典も欲しいのでまた行くかもです()
何度見たって面白いッス!
今回は、ヒースクリフ戦後のつかの間の時間の話です。
原作ではアスナとキリトがHPゲージを全損してボス部屋から消えた訳ですが、今回はちゃんと生き残っていますので、ログアウトするまで…のほんの数分間の会話になります。
あとがきにこれからの展開について書いてます。
さて、このアインクラッドもフィナーレです。次回が最終回となりますのでよろしくお願いします〜
○
口々にキリトの呼びながら駆け寄っていくクライン達。
キリトは剣をたずさえたまま、ぼうっと遠くを見つめている。
どすん、と駆け寄ってきていた皆がぶつかって初めてハッと我に返る。
「馬鹿野郎、1人で無茶しやがって…!」
「そうよ!どれだけ心配したと思ってるの…!」
責めるように、労わるように声をかけてきた。
「_____ごめん、皆。心配かけた」
こればかりは弁明のしようがない。実際勝てたとはいえ、2人の助けがなければとうに死んでいたのだから。
「_____キリト」
ゆっくりと歩いてくる二人。ティーゼを連れたユージオは真剣な表情でキリトを呼んだ。
「さっきは、ありがとな。ホントに助かった」
「無茶するのは君の十八番だし、別になんとも思ってないよ。ただ、無策で挑んだのは色々と小言言いたいところだけどね」
「…覚悟しとくよ」
「でも、僕よりも感謝を伝える相手がいるだろう?」
「____ああ」
キリトはユージオの言葉に頷きながら、彼女の元へと歩み寄った。
「せん、ぱい」
彼女はまだ、ぺたりと座り込んでいた。
HPゲージは全快しており、麻痺も当然ながら治っている。しかし、足は微かに震えているようだった。
しゃがみこんで、ロニエに落ち着いて声をかける。
今すぐに抱きつきたい欲望に抗いながら。
「____ごめん、ロニエ。あんな無理させて。俺がもっとちゃんとしていれば…」
「…先輩が生きていてくれて、本当に良かったです。もう、あんな無茶しないでくださいね?」
「ああ、善処するよ。ありがとう_____ロニエ」
キリトは最後にそう言って、ロニエを抱き締める。
優しく、お互いの体温を確かめるように。
「立てるか?」
「はい、先程はその…ちょっと、安心しきったせいで力が抜けちゃってて」
1分間の抱擁の後に、キリトはロニエの手を取り、攻略組のみんなの元へと向かった。
未だにお祭り状態である。
「____本当に、終わったんだな」
「そう、ですね。1年と約半年でした。長いようで短かった気がします」
「第1層の頃はどれだけかかるか見当もつかなかったけど……早い方だったか…かな」
「……それも、攻略組の皆さんのお陰ですね」
「…皆が一緒に来てくれなかったら、少なくともあと一年は長引いてただろうな。感謝してもしきれない」
未だに信じられないこのアインクラッドクリアの快挙。
このアインクラッドに生きる人々____8000人弱が生きて現実世界に戻ることが出来る。
あの日、あんなにも遠かった筈の終わりが、あと少しで訪れる。なんとも感慨深いものだ、とキリトは心の中で思った。
「____あ、そうだ。ユージオ!」
「何、キリト?」
「これ、返すよ」
キリトはユージオを呼んでシステムウィンドウを何度かタップし、ユージオへとトレードを申請した。
「___律儀だね、珍しく」
「珍しくとはなんだ、珍しくとは。俺だってこれくらいはするよ。お前の愛剣だからな。本人が持ってた方がいいだろ」
「…そうだね。ありがとう、キリト」
ユージオはそう答えてトレードを許可し、アルマスを左腰にもう一度装備した。
と、その時。
お祭り騒ぎだったボス部屋にディアベルの声が響く。
「みんな!!遂にここまで漕ぎ着けた……75層、となんとなくキリのいい数字ではないし、全クリとは言い難いが______これにて、アインクラッド…ソードアート・オンラインはクリアだ!!
皆の力と、最後のキリトの奮戦のおかげだ!おめでとう、そしてありがとう…みんな!!」
攻略組のリーダーたる彼による感謝の言葉。
わっ、と歓声が響く。
「ホントの事を言うと……俺、凄い不安だったんだ。第1層の頃からずっとここまで走り続けてきたけど、100層もあるこのアインクラッドをクリアできるか…諦めた事はなかったが、不安に思うやつは多かったと思う。いや、みんなそうだったはずだ。
本当ならもっと時間がかかってもおかしくなかった。それに、その……我が事ながら、第1層の頃はベータテスターとしての立場にすごく不安だったし、怖かった。あの時は迷惑をかけて、死にかけた。
結果的にキリト達が先陣を切って頑張ってくれたおかげで俺も生き残ることが出来た。それに……みんなが、ベータテスターである俺の事を、受け入れてくれた事が、すごく嬉しかった。あの時、俺がベータテスターであることを隠し続けてたらいつか俺は、折れてしまっていた。
そして……今の今まで、ずっと一緒に戦ってくれてありがとう。みんなに、最大級の感謝を_____!!」
ディアベルの本音、そして、心の底からの感謝の言葉。
拍手が鳴り響く。
「___さて、俺から言うのはここまでにしよう。さっきのアナウンスが正しければ、あと数分でログアウトが始まる。その前に、自己紹介をしておくといい!みんな、SAOでのプレイヤーネームは知っていても、リアルの方は知らないだろう?
知らないままじゃ、向こうで会おうにも会えないしな。別にここで俺みたいに大声でって訳じゃなく、自分が言っておきたい、知らせておいて、向こうでも会って話したい…そんな奴にだけ、名前とかを教えてやってくれ!」
ディアベルの提案。
「じゃあ、俺から名乗っておこう。俺の名前は_____」
彼にとって_____この攻略組の皆はリアルの名前を伝えてもいいと言えるほどまでに、信用出来る人達だった。
「向こうで、皆と会えるのを楽しみにしてるよ!それじゃあ、解散!」
ディアベルの言葉と同時に皆がそれぞれの散っていく。
「…本当に、終わるんだな。いよいよ、リアルの名前を言う時が来るなんて…」
「_______」
そう呟くキリトに静かに寄り添うロニエ。しかし___彼女の表情は晴れない。
「おーい、キリの字、ユーの字!改めて自己紹介といこうぜ」
「1年半ぶりに自分の名前を口にするな。おかしなことだが、懐かしいぜ。な?キリト、ユージオ」
「…ああ、そうだな」
声をかけてきたクラインとエギル。
ディアベルの話を聞いて早速キリトたちに声をかけてきた。
「んじゃ、俺から。俺は《壷井 遼太郎》ってんだ。歳は24、会社勤めだ。改めてよろしくな!」
野武士の如き侍剣士はそう名乗った。
キリトも理解していたが、やはり大人だったらしい。ナギと初めて出会った時に独身だとか何とか口走っていたのを思い出した。
「俺の本名はアンドリュー、《アンドリュー・ギルバート・ミルズ》だ。察しの通り、アメリカ人でな。東京でカフェを経営してる……まぁ、この1年半、どうなってるかは分からんがな。歳は29だ。この中じゃ1番年上っぽいか」
1番大人で、頼りになるエギル。初めからわかっていたが、外国人だったようだ。本当に日本語がペラペラなのでもしかすると日本育ちなのかもしれない。
第1層のボス攻略から世話になっていた。
「…私も、自己紹介しておくわね。昔の私なら、こんなところでリアルの情報出すなんて考えられなかったでしょうけど。私は《結城 明日奈》、歳は16歳です。向こうでまた会えたら…みんな、その時はよろしくね」
アスナはキリトとさほど年は変わらないようだ。1つ上…と言うくらいか。
第1層で初めて会った時とは比べ物にならないほど、その表情は優しいものになっている。
「……向こうでもよろしくな、皆」
ディアベルやキバオウ、ユウキ達にも名前を聞いておきたいが、それぞれ挨拶したい相手がいたのだろう。この場にはいなかった。
「おい、キリの字!お前の名前聞いてないぜ。聞かせろよ!」
「ああ、そうだな。俺は_____和人。《桐ヶ谷 和人》っていうんだ。歳は15だ。なんというか……クラインとエギルは分かってたけど、アスナって俺より歳上なんだな」
「む、なんかイラッときた」
「…また、向こうで会えたらオフ会でもしよう。改めて、アインクラッド攻略おめでとうってさ」
「お、いいな!そんじゃ、ログアウトして色々と落ち着いたらみんなでオフ会だ!」
「オフ会か。ならうちの店でやるのはどうだ?攻略組全員は無理だろうが…20人くらいなら行けるだろう」
「東京、ね。それなら私も参加出来ないこともないかも。親からの許可が降りればの話だけど」
オフ会の話で盛り上がる中、キリトは改めて安堵する。
ようやく帰ることが出来る、そして、仲間たちを帰すことが出来るということに。
「そうだ、ロニエ」
「________ぁ、はい」
「俺、ロニエの名前も聞いておきたい。ユージオ!お前もだぞ。ティーゼも」
「______ああ、そうだね。うん、当たり前だよね」
そこでキリトは、ずっと黙り込んでいるロニエとユージオ、ティーゼに声をかけた。
何故だろう。
キリトには3人が他の人達と違って、純粋に喜んでいるようには見えなかった。
「_____じゃあ、僕から。僕の名前は………うん、プレイヤーネームのままなんだ。僕の本名は《ユージオ》、ただのユージオさ」
「____私もそのままなんです。私の名前は《ティーゼ・シュトリーネン》と言います」
2人は何故か、儚げにそう答えた。
○
「へぇ、2人とも本名のままだったんだな。あんまり本名そのままは良くないぞ、ゲームの中ぐらいプレイヤーネーム考えとかないとさ」
オンラインゲームにおいて、自身の本名や下の名前を使う事はさして珍しいことじゃない。
カタカナ表示にしてしまえば、下の名前であろうと問題ない。別段、個人情報がそれだけで漏れるなんてほとんどありえない。出来なくもないだろうが、よっぽどのストーカー出ない限りやらないし、相当なインターネットやシステムなどに詳しくなければ調べることなど出来ない。
アスナのように、SAOなどのMMORPGに対し無知な人は咄嗟にプレイヤーネームが思いつかず、本名をそのまま使うこともしばしばある。
別に、問題は無い。
しかし、2人の言葉は______
「…そうだね、僕もそうしないと。今度違うゲームをする機会があったら、何か考えておくよ」
「違う名前ですか…あまり、ピンと来ませんね」
「うん、なかなかそういうのは考えたことがないから」
「____俺のプレイヤーネームも、名前のもじりだからさ。キリガヤの『キリ』と、カズトの『ト』を合わせてるんだ。難しいことなんてないぜ」
諦めとも取れる、声音。
このアインクラッドをクリアし、現実世界に帰ることが出来るというのに。
どうして、本当の名前を教えてくれない?
ユージオは『ただの《ユージオ》』と言った。
何故苗字を言ってくれない?
ただの《ユージオ》だけでは、向こうで会えないじゃないか。
それに。
なんでそんなに______泣きそうな表情なんだよ。
「_____ぁ、れ?」
その時、視界が何か白く光っているように見えた。
今までに見た事がなかったもの。ハッとして自分の手を見てみると、俺の手も白く光っている。
もしかすると、もうログアウトの時間なのだろうか。
「___キリト、その光って…」
「そ、そろそろらしい。早いな、俺」
咄嗟に周りを見るが____他に俺と同じ現象が起こっているプレイヤーはいない。
俺だけが早くにログアウトするらしい。
しかし、このままログアウトする訳には行かない。
何せ、肝心の____ロニエの名前を聞けていないじゃないか。
「ロニエ___!」
「____先輩っ!」
隣を見ると、ロニエにも俺と同じ白い光が灯っている。
不味い、ロニエもログアウトするようだ。
早く、ロニエの名前を____
「ロニエ、君の名前は______」
焦ってロニエの手を掴む。ロニエも俺の手を掴み、俺を見て何かを言おうと口を開き_____
そのまま、俺は白い光と青い光に包まれた。
これから(アインクラッド後)の展開に関してなのですが、何話か挟んでフェアリーダンス編へ移行するつもりなのですが、ALO編ではゲームキャラの誰かを登場させようと思ってます。
ただ、アインクラッド時代のゲーム…ホロウやインフィニティのキャラを入れようとすると完全に過去になかったキャラを1から入れることになります。一応辻褄合わせというか、登場させようと思えばさせられるのですが…
考えているものだと、ユージオ君を付き添いで少しの間案内しなければならないので…
その登場キャラをどうしようか悩んでます。
一応候補として
・トレジャーハンターの短剣使い
・二刀流の鍛冶師
・天才の歌姫
この3人のうち1人だそうかな〜…と考えおります。
ゲームキャラが出る時は予め言わないとパニックになりますからね()
長文で申し訳ありませんm(_ _)m