ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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お待たせ致しました、クロス・アラベルです。
新章突入致します。

初回は、ユージオ君の現実世界での生活の一部を切り取ってみました。
次からALO編の本編に入れるかと思います。

後、ALO特別ゲスト選出のアンケートも致しますので、是非!


妖精の国編
現在(いま)を生きる


 

 

 

 

懐かしい、幼かったあの頃。

キリトとアリスと3人で遊んでいた時のこと。

 

森の中を駆け回り、当たり前の日常を過ごす。

天職であるギガスシダーの木こりの仕事を中程に終え、少し休憩をしよう…なんて、言い訳をして子供らしく遊んだ。

 

もう戻れないであろう光景。

 

僕はそれに、別れを告げる。

僕は_____今を生きているから。

 

立ち止まる。

黒い大木の下。

僕は意を決したようにその言葉を絞り出した。

 

「______さよなら、アリス」

 

アリスとキリトは僕の言葉を聞いて立ち止まり、僕の顔をじっと見つめる。

きっと、今までにないくらい、泣きそうな顔をしているんだろう。

 

けれど。

思い出の中の二人は____

 

『うん_____頑張ってね』

 

『頑張れよ_____ユージオ』

 

 

笑顔で、僕を送り出してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚める。

 

「_____ん」

久し振りに見る夢だった。

上半身を起こし、体を伸ばす。

身体の重さに未だ慣れないな、と感じながらベッドから立ち上がる。

 

とある一室。

《病院》と呼ばれる施設、そのカーテンで遮られた空間で目を覚ました。

 

8月27日、火曜日。

時間は____5時を過ぎた所。

いや、5時2分か。

 

僕は小さな高めの机に置いてある()()を見た。

 

「_____ふわ、ぁ……」

身体が癖で早い時間に目が覚めてしまう。普段はもう少し遅くて、6時前くらいに目が覚めるのだが、今日は特に早い。

 

この部屋は個室ではない。このカーテンを開ければ、他の人も寝ているのであまり声は出せない。

欠伸をひとつしながら隣を見る。

 

そこには________眠っている紅い髪の少女がいた。

彼女の名前は《ティーゼ・シュトリーネン》。僕が、永遠を誓った人だ。

 

「_____日課、済ませてくるね」

小さな声でそう言って彼女の頭を撫で、着替えを持ってカーテンの外へと出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

病室にいる他の人達を起こさぬように抜き足差し足忍び足で病室から廊下へと出て、とある場所へと向かう。

真っ白で清潔感のある長い廊下を静かに歩く。明かりはほぼついていない廊下の先に、明かりが見えた。

そこには、病院の職員さん____看護師さんがいる。着替えるにはそこを通らなければならない。

 

「______おはようございます」

「ん?あぁ、おはようございます。ツーベルクさん、今日は特に早いですね」

そこにいた看護師さん数人に朝の挨拶。すると短い髪の白衣を着た女性に笑顔で返される。

 

彼女は《王滝 美羽》。僕のリハビリを担当し、ティーゼの部屋の担当をしている看護師さん。

 

「いえ、ユージオでいいですよ。王滝さん」

「ツーベルクさんも私の事苗字で呼ぶじゃないですか。なら、私もそうしてるんですよ」

「あ……一本取られましたね」

彼女にはかなりお世話になっているので、世間話(ほとんど分からないことばかりだけど)をするくらいには仲はいい。

 

「今日も日課ですか?」

「はい。無理はしない程度に、ですけどね」

「その通り、リハビリが終わったからと言って無茶はしないようにお願いしますよ?」

「先生からもキツく言われてるので大丈夫です。散歩と変わりませんから」

これは、リハビリが終わってからの日課。身体を動かさないとすぐ鈍る。今やアンダーワールドの時のあの肉体には遠く及ばない。早めに取り戻さなければ。

 

「散歩はもうちょっと遅く行くものですよ?おじいちゃんじゃないんやから…」

「あはは………朝早くに起きて、体を動かすのが癖でして。1時間ほど病院周りを歩くだけですよ」

「うーん……やっぱり若いわぁ」

「王滝さんも十分お若いじゃないですか」

王滝さんは、他の人とはちょっと違うイントネーションで話すことがよくある。僕らと話す言葉は一緒なのに、彼女の喋り方は何故か温かい。

この喋り方は、確か……アインクラッドで何度も聞いたことのある______

 

「じゃあ、行ってきます」

「はい、気を付けてくださいね」

看護師、という職業は忙しいという事を聞いたことがあるので、会話はこれくらいにしてその場を離れ、トイレへ向かう。

寝巻きとして使っている服で外に出るのも変な話だから、トイレの個室で着替えた。

 

 

 

 

「______おはようございます、本多さん」

「ん、ああ。ユージオ君か。おはよう、今朝も早いねぇ」

階段を降りてスタッフ用の出入口へとやってきた。この時間帯はまだ病院の診察は当然始まっていない。

正門……表側の入口は閉じられており、空いているのはそこだけだ。

 

本来なら看護師さん達が使うそれを僕は1週間ほど前から特別に使わせてもらっている。

その入口では、本多さんという方が門番……現実世界でいう警備員として滞在している。

この1週間ほどで顔見知りになった人。歳は50代前半くらいだろうか。

 

「今日もウォーキングかい?あんまり無理しないようにね?」

「はい、ありがとうございます」

そう会話をして、透明なガラスで出来た扉____なんと、扉の前に来ると勝手に開くという不思議な代物____を通って外に出る。

 

「______よし、無理しない程度に…ね」

そう心の中でも復唱して朝日が昇り、日が照り始めた街を歩き出す。

 

 

ここはリアルワールド。

__________キリトの故郷だ。

 

 

 

 

 

 

 

現実世界についての情報はユウキとランから聞かせてもらっていたし、ある程度は知っているつもりだったけれど、()()よりも実際に()()方が分かりやすいな、と思う。

 

建ち並ぶ高い何かの建物。

小さな二階建ての家らしきものもあれば、三、四階建てのアンダーワールドでは考えられない高さの建物が並ぶ。セントラルカセドラル程ではないけれど。

 

道は黒や灰色の不思議な石で舗装され、真っ平らにされており、そこに白い線がいくつも引かれている。

そして、その黒い道を通るのは、白や黒、青や緑、赤、紫と言った色とりどりの大きな鉄塊。

誰にも押されていないし、馬が引いている訳でも無いのに、馬のお株を奪うほどの凄まじい速さで道を駆け抜けていく。

『自動車』、と言うらしい。

 

初めて外に出た時は、あまりの情報量に頭痛がしたくらいだ。

分かっていはいたけれど、アンダーワールドとは天と地の差があった。文明の進み方が違う。

 

現実世界(リアルワールド)には、神聖術は無い。

アインクラッドでは絶対であったシステムも存在しない。

その代わり_____この世界では《科学》というものが発展しているらしい。

もはや、神聖術など必要ないのではないかと思うくらいには、科学がその代わりを担っていた。

 

そして、ここ特有の規則やルールも存在する。

アンダーワールドの絶対の法たる禁忌目録のような拘束力は無いが、ありとあらゆる事柄に、より緻密に定められている。

 

この世界にとっての当たり前を知らない僕は、道を歩くだけでも不安になってしまう。

 

 

 

 

 

今より、2ヶ月前の事。

 

僕が現実世界にて初めて意識を取り戻してから、2日後。黒い服を着た男がやってきた。

『菊岡誠二郎』という人だった。《総務省SAO事件対策本部》というギルド…ではなく、そういうグループに所属していると言った。

よく分からないけど、このアインクラッドについての事件を担当している役人___現実世界での《警察》…というのだろうか?に、所属しているらしく、アインクラッドでの情報を僕から聞き出したいらしかった。他にも何人か情報提供を頼んでいる人もいるが、情報は多ければ多いほどいいということで、僕にも白羽の矢が経ったらしい。

 

彼によると、アインクラッドに閉じ込められた事件_____後にSAO事件と呼ばれる_____において、事件解決に乗り出した彼らは被害者達を一刻も早く現実世界に戻すために試行錯誤しようとしたが、残念ながら何も出来なかったとか。

確か、始まりのあの日茅場晶彦はこう言っていた。『警告を無視し、ナーヴギアを取り外して強制ログアウトとなり、後に死んだ人間が少なからず出た』…そんな感じだっただろうか。

 

下手に触れば、死人が出る。相手はあの天才中の天才である茅場晶彦。彼らは為す術なく、現実世界からアインクラッドの様子をログというものを通して見ることしか出来なかった。

一応この方法では、誰がどの層のどこの街に、どこのダンジョンにいるかは辛うじてわかったらしいが、そこで何が起こっているのかは分からない。

 

その頃僕は、身体の検査などで忙しかったこともあり、その場で情報を教えることは出来なかったが、条件付きで了承することにした。

情報はいくらでも話そう。けれど、あの子_____ティーゼの居場所や今の状態を僕にも話してもらわなきゃ、こちらに(メリット)が無い。

 

すると彼は、『君もか』と言いながら了承してくれた。

()()』という台詞が少し気になるけれど検査後、彼は約束通り、僕にティーゼの情報をくれた。

 

彼女はこの施設_____病院の違う階の病室にいるということだった。

 

直ぐに向かおうとしたけれど、流石に看護師(と言うらしい白衣の女性達)に止められてしまったので、その数日後、車椅子で彼女の病室へと向かった。

病室に向かう中、何やら見た事のある顔をチラホラ見た気がする。

 

そして、僕は目覚めて5日後、ようやく彼女と再会することが出来た。

 

 

「______ふぅ」

病院の敷地を超えて道路を渡り、病院から20分程離れたとある公園へと辿り着く。

 

それなりに広い公園。こんなにも早い時間故に人影はない。

公園の時計を見れば、まだ5時50分を過ぎたところ。

いつもなら、これくらいの時間に目を覚まし、日課の運動の準備をしている。

いつも、と言ってもたったリハビリが終わってから1週間しか続けていないけれど。

 

ここでは、朝早くに体操をする行事が夏に毎日あるらしく、僕はそれに参加している。いつも6時半頃からなので、あと40分待たなければいけない。

 

しかし、その『ラジオ体操』というものも今日が最後らしい。

リアルワールドの学院_____学校は、夏と冬、春に長期間の休みが設けられており、このラジオ体操は夏にのみ開催されている。そして、夏の長期休暇真っ最中な訳だが、それが今日までらしい。

 

その最後のラジオ体操が始まるまでの時間を、僕は公園をぐるりと回るように歩きながら周りの景色を堪能した。

 

僕にとっては全て、《未知》。

見たことの無いものばかり。

キリトの記憶を見ることはあっても、アレは意図して見れる訳じゃないし、その時に起こることしか見ることが出来ないので現実世界の事を知ることは無かったが故。

 

でも、僕にとってこの世界は____輝いて見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音のなる黒い金属の箱_____アレがラジオというらしい_____から聞こえる音楽と声に合わせて、体を動かす。

激しくなくそれでいて体全体を満遍なく動かす。

アンダーワールドにはなかったものだが、朝早くにこうやって身体を軽く動かすのは悪くない。

子供やお年寄りだって出来るだろう。

 

「ありがとうございました。楽しかったです」

 

「いやいや、いいのよ。あなたみたいな中高生は中々来ないから新鮮でよかったわ!」

体操後、1番前で体操していたおばさんに一声かける。何せ飛び入り参加させてもらってたんだ。礼ぐらい言いたい。

 

「最近はねぇ、こういう行事に参加しようって人も少なくなっちゃったから……あ、そうそう。そういえば、景品まだ余ってたわよね?」

 

「余ってるッスよ。10本無いくらいですけど」

おばさんがなにかを思い出したかのように、もう1人前で体操していた20代位のお兄さんに声をかける。おばさんの話にお兄さんは返事しながら小さな箱の中に入っていたペンを数本取り出して見せる。

本来なら他の子供たちにあげるつもりだったらしいが、人数が少なくて余ってしまったようだった。

 

「そんなに余っちゃったの?去年より数減らしておいたのに……じゃあはいお兄ちゃん。これ今まで来てくれたお礼にあげるわ!」

 

「えっ?い、いいんですか…?」

 

「いいのいいの!ただの百均で買ったペンだし、大丈夫よ。どうせまたこれも捨てられるかもしれないんだから。というか、後二、三本くらい持ってって!」

はいっ、と勢いよく渡されて逆らえず5本のペンを受け取る。

ペンの側面には《早寝早起き朝ご飯!》とか、《早起きは三文の徳》など、色んな言葉が書かれていた。

 

「…本当にありがとうございました」

 

「こちらこそありがとね。気をつけて帰りなさい」

貰ったペンをポケットにいれておばさんに頭を下げて、その公園を後にした。

 

 

贅沢を言うなら剣の素振りもしたいけど、剣は無い。

元より、剣を振ること自体無くなっているのだとか。

競技として残っているものがいくつかあるけれど、僕らが知っているものとは違うらしい。

 

手持ち無沙汰になって左腰に手を当てる。

当たり前だけどあれだけ愛用していた剣は無く、手は空を切る。

 

「………」

すこし寂しいけれど、同時にあの世界が終わって、人々にとっての日常が戻ってきたことを実感する。

例え、僕の知らない場所だとしても。

 

「____じゃあ、帰ろうか」

僕は病院への帰路に着く。

愛する人の元へと、帰る為に。

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅ」

病院に帰ってきた。

ティーゼのいる部屋に入ると、まだ起きている人はいないようで静かなものだった。

誰も起こさないように、静かにティーゼの眠るベットがある1番奥の窓際のカーテンの中へ。

すると、

 

『____おはようございます、ユージオ先輩』

 

既に、彼女は起きていたらしい。

笑顔で僕を迎えてくれた。

 

「____おはよう、ティーゼ。起こしちゃったかな」

 

「いえ、私も今さっき起きたところですから」

僕の、最愛の人。

 

僕と同じく逆行してSAOへ辿り着き、現実世界にやってきた。

僕は彼女の存在を確かめるように彼女を抱き締める。

 

 

 

ああ、ティーゼもこちらに来たのならば、僕もがむしゃらに頑張ってきた甲斐があったというものだ。

 

そして僕らは誰にも見られないこと狭い空間で________

 

そっと口付けをした。

 

 

ALO編に突入致しました。このALO編にて特別ゲストとしてテレビゲーム版のキャラクターを登場させる予定です。もし登場させるなら…?

  • 鍛冶師の二刀流使い《レイン》
  • 天才科学者のVRアイドル《セブン》
  • 自称トレジャーハンター《フィリア》
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