ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
今回は、妖精の国突入と、とある人との再会です。
さて、次の次には戦闘描写が入る予定なので、頑張っていきたいと思います。
因みにユージオ君は
では、本編どうぞ〜
突然だが。
僕は高い所が苦手だ。
セントラルカセドラルを登っておきながら何を、と思うかもしれないが、アレは別だ。何せ、窓が無かった。高所だと言うことを自覚する暇さえなかったあの頃は、高さを気にする事はなかった。
アインクラッドでは多少高いところに登ることもあったが、それにも限度はある。
ましてや______こんな、大空から落ちる、なんて言う死を覚悟するような事はなかったんだ。
「____うわぁぁぁぁああああああ!?」
ティーゼに事情を説明し、ナーヴギアを使った。
病院の看護さんからはナーヴギアを使っていると多分叱られると思うので、ティーゼに僕がナーヴギアを使っている間は布団を被せてもらい、頭を隠すことにした。看護師さんには『先程出掛けて少し疲れてしまったので仮眠をとっている。あまり起こさないで欲しい』と説明してもらうことになっている。
…これだけでは気付かれるだろうが、これ以外上手い言い訳が見つからない。僕から後で看護師さんにSAOをやっている訳では無い事を説明することになるだろう。
そして、アルヴヘイム・オンライン、通称《ALO》と呼ばれるゲームにログインし、自分の容姿や種族を決定して6秒。
僕は、何故か大空へと投げ出された。
光は無く、その暗さから少なくとも太陽が出ていない事は確かだ。
真下には林。
このままだと、その林の中に墜落する。
「不味い不味い不味い!!」
僕は止まることなく、落下し続けている。
掴まるものも無い。
この世界における落下ダメージというのがどれ程なのかは知らないが、かなりの高さだ。このまま落ちれば落下ダメージだけで即死もありえる。
というか、アインクラッドではこの高さだと確実に即死だ。キリトがバカやった迷宮区の塔駆け上がりの時の倍、それ以上の高さ。
死。
始まって数秒で死ぬなんてゴメンだ。
けど、解決策がない。
SAO時代、転移結晶が片手にあれば別だが、今はアイテムも無い。
けど少し待て。
確かこの世界では______
「______空を飛べるんだっけ!?」
そう、エギルによるとこの世界では空を自由に飛ぶことが出来るとか。
なら僕にだって出来るのでは無いか。
「でっ、でもどうやって空を飛ぶの!?」
失念していた。
空を飛べるという事は聞いていたが、どうやって飛ぶのかは聞いていない。
羽がある、というのはエギルが言っていたが、羽の出し方も知らない。
没。
羽で空を飛ぶ作戦は却下だ。
後は_____もう落ちるだけ。
「覚悟を決めるしかない!!」
落下は止められない。
なら、落下ダメージを最小限に抑える。
幸運なことに、下は林だ。なら、木を使って落下速度をギリギリまで落とすことも出来るはず。
林の周りは砂漠のようだったので、下手をすると砂漠のど真ん中に落ちる可能性もあった訳だ。
林に突っ込むまで、あと数秒。
「__ふぅ」
深呼吸。
呼吸を整え、暴れる心を落ち着かせる。
「ッ____!!」
林の木に突っ込む。
木の枝に掴まり速度を落とそうとするが、1本目は呆気なく折れた。
しかし、枝はまだある。他の枝が体に当たっているが、それも利用してなるべく速度を落とす。
2本目、へし折れる。
3本目、一瞬耐えたかと思ったが、音を立てて折れた。
迫る地面。
努力はした。速度もかなり落ちているはず。
「___っ!!」
足から着地する。
そして、前へと転がる要領で落下の衝撃を分散させる___!
足先、脛の外側、お尻、背中、肩。
強い衝撃の後、視界はぐるぐると回る。
僕の体もそのまま勢いを止められず、転がり続け_____何かに背中から激突した。
「いだっ!?」
背中に不快感が走る。
痛い、というのも間違いだが、大空から落ちたと想像するだけでゾッとする。
この世界では痛覚がないらしいので、代わりの不快感が凄まじい。
明滅する視界の中で、自分のHPゲージを確認する。
「…よかったぁ、死んでない」
ほっと一息。
流石に来て直ぐに即死は笑えない。例え現実世界でも死ぬ事がないとしても、だ。
背中合わせになっていたのは大木だったらしい。
座ったまま、辺りを見回す。
暗い。
おおよそ月明かりに照らされているおかげで完全に真っ暗という訳では無いようだ。
背中に残る不快感を押しのけ立ち上がり、月明かりの元へと出る。
見上げれば、綺麗な夜空が広がっている。
「……さて、色々確認しておかないと」
僕はこのALOは初めてだ。ゲームシステムについてはまだ知らない。
アインクラッドの時とあまり変わっていないといいんだけれど。
先程、諸々の設定をし終わった後、チュートリアルという説明があった。そこでこのALOでのシステムの詳細を聞くことが出来た。
この世界でのメインメニューは、SAO時代と違って左手を下へと振る動作で出てくると言っていた。
説明通り左手の指を振ると小気味よい鈴の音と同時に半透明のウィンドウが標示される。
「えっと…………ボタンの位置とかは、あんまりSAOと変わりないみたい」
ざっと確認すると、アインクラッドの時と差程変わりはないようだ。
と、言うより。
「SAOと、同じ…?」
配置やそのデザインがアインクラッドの時の物に酷似している。僕はシステムやゲームに詳しくないからキリトなら分かっただろうか。
一つ、違うところがあるとすれば____
「…ログアウトボタンがある」
SAO時代には無かったログインボタンが白く明るい表示になっている。
SAOの時はここが暗くなって押しても反応しなかったのだが、今目の前にあるこのボタンは、そうでは無いのだろうか。
恐る恐る、そのボタンに触れてみる。
すると、何やら警告文と共に本当にログアウトするかどうかを再度確認を求められた。
「本当にログアウト出来るんだ…」
ログアウトの意味はもう既に知っている。
まぁ、
とりあえず、これでいつでもティーゼの元に帰ることができるという訳だ。
「……ほっ」
あの悲劇は繰り返されない事を知っただけでも安心する。
その後も色々と確認をする。
例えば…プレイヤー情報について。
ステータス等はかなり低い筈だ。この世界に来て5分も経っていないのだから当然の事。
と、思ったけど…
「…何、これ…?」
ステータスが凄いことになっている。
スキルの所が特に。
「……釣りスキル782、投擲895、疾走954、軽業699…片手直剣
初めて五分でこれは無い。
僕は今、空から落っこちただけでスキルを取得する事も、熟練度を上げることもしていない。
という事は、これは元から僕が持っていたという事になる。
「これ、どこかで見たことが…」
どこかで見覚えがある。これとほぼ同じ数字を、どこかで_____
「____アインクラッドだ」
思い出した。
ステータス画面自体がSAOの頃とほぼ一緒だったが為に、既視感を覚えたんだ。
という事は、僕はSAO時代のステータスを引き継いでいるんだろうか。
ユニークスキルである《青薔薇》は見当たらないけれど、それ以外は大体あった。
「アイテムは?」
さっとステータスを閉じて、アイテム欄へと移動する。アイテムも全てこちらに引き継いでいるのなら、かなり楽になる。
アイテム一覧を開くと、目が点になった。
______読めない。
「…………これ、なんて書いてあるんだろう」
変な文字がぐちゃぐちゃに並べてある。
アイテム一つ一つ数えられているし、分けられてはいるけれど、全く読めない。試しにアイテムの一つを押して詳細を見ても、変な文字で書かれていて読めない。
「壊れてるのかな?」
下へ、下へとスクロールする。
しかし、どれもこれも正体不明のアイテムばかり。
詳細をいくつか見ても説明書きすら意味不明。
では、こんなものあっても使えない。装備も出来なかった。
どうしようか悩んでいた、その時。
「…あれ?」
一つだけ、僕に読める文字で書いてあるアイテムがあった。
そのアイテム名は_______《MHCP-000》
「__________!!」
即座にアイテムを実体化させる。
僕の予想があっているとするならば、彼女は_______あの子は。
両手の上に、菱形のクリスタルが実体化される。
薄い紅色の宝石が、そこにあった。
思わず、目が熱くなる。
その宝石は生きているかのように小さく、トクン、トクン、と鼓動しているように思えた。
「_____おいで」
そう言って、宝石にそっと指で触れる。
願いは一つ。
《再会》
宝石の奥に光が灯る。
僕の声に、想いに答えるように。
光は次第に強くなり、そして______宝石は僕の手を離れて空中へと飛んだ。
僕より少し高いくらいでピタリと止まり、一層輝いた。
カッ、と眩しい光が辺りを照らし、爆発した。
僕も思わず腕で目を覆う。
光はすぐに止んだ。
恐る恐る腕を退けるとそこには______一人の少女がいた。
長く白い髪。真っ黒のワンピース。
ああ、ようやく会えた。
「_______?」
少女が目を開けた。
「ぁ_______おとうさん?」
「_____うん。そうだよ、シャーロット」
「…おとうさん……おとうさん…!!」
宙に浮いていた少女は、僕目掛けて飛び込んできた。
会うのは、約2ヶ月振りとなる。
彼女は、最後にみせた寂しそうな笑顔ではなく、喜びの笑顔を見せてくれた。
そっと優しく抱きしめる。
「_____おかえり」
「ただいま、おとうさん!」
僕は、愛娘に再会することができた。
○
「…わたしのこと《シャル》って呼んでね、おとうさん」
しばらく抱きしめあった後、僕らは切り株に座り込むと、彼女はそういった。
「え?どうして…?」
「だって、わかりにくいでしょ?おねえちゃんがいるんだし…」
「…お、お姉ちゃん…?」
「うん、ね?おねえちゃん」
シャーロットは僕と彼女以外誰もいないはずの林でそう零した。
お姉ちゃん、というのは誰の事だろうか。ユイの事?しかし、ユイは彼女の後に生まれたとのことなので、どちらかと言うと妹だと思うのだが…
彼女はゆっくりと目を閉じた。
次の瞬間。
『_____あまり、表には出ようと思ってなかったのだけれど、シャル』
幼い声ではあるが、声音の感じが変わる。目を開けた彼女の雰囲気も何処か大人っぽく見える気がする。そして、先程青かった筈の彼女の瞳は___紅く染まっている。
理知的なそれは_____
「_____シャーロット?」
『…ええ、そうよ。久し振りね、ユージオ』
「ま、まさか、あのシャーロットなの!?」
さすがに驚いた。
もしかして、入れ替わっているのだろうか。
『…ごめんなさい。私は元より顔を出す予定は無かったの。何かあった時に
「…す、凄いね」
『……この子、正直と言うか、思ってることを隠そうとしないから。邪魔だろうから黙っているつもりだったの』
「そ、そんな、邪魔なんかじゃないよ!君も生きててよかった」
『生きててよかったっていうのも言い方が変だけど……これからもあまり顔は出さないつもりをしてるから。シャル?』
シャーロットは彼女____シャルを呼びかけて、瞬きをする。
すると既に彼女の瞳は蒼くなっていた。
「もう、おねえちゃんったら照れ屋さんだね、おとうさん」
「……そうかもね」
「そういうことだから、わたし…シャルロットのことは《シャル》、
今までどうしていたのかは知らないが、二人が僕の知らないうちに話し合っていたようだ。
なら、僕はそれを尊重しよう。
「…分かった。じゃあ_____改めて、おかえり。シャル」
「うん、ただいま、おとうさん!」
SAOで別れていた、僕らの愛娘と再会を果たした。
新たな世界、そして、愛しい人との再会。彼は意気揚々とその世界に足を踏み入れた。
しかし、彼は知らない。
この世界____ひいては本物のVRMMOゲームを。
ALO編に突入致しました。このALO編にて特別ゲストとしてテレビゲーム版のキャラクターを登場させる予定です。もし登場させるなら…?
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