ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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遅くなりました、クロス・アラベルです。
これから諸事情(卒論、就職活動etc…)で投稿スピードが遅くなりそうです。申し訳ない…
今回はゲストの登場です(名前は出てないけど)
比較的短めになりました。
次回は戦闘シーンを入れていこうと思っています。なのでかなり文量が多くなると思われます。
では、どうぞ〜


世界の洗礼

 

 

ALOの大きな特徴として、《種族》があることが挙げられる。

 

火属性魔法を得意とし、全体的に武器の扱いや攻撃に長けた《火妖精族(サラマンダー)》。

回復魔法と水中活動に長け、水属性魔法が得意とする《水妖精族(ウンディーネ)》。

飛行速度と聴力に長け、風属性魔法が得意な《風妖精族(シルフ)》。

俊敏性に長けて、モンスターの《飼い慣らし(テイミング)》を得意とし、全種族の中でもトップクラスの視力を誇る《猫妖精族(ケットシー)》。

耐久力と金属等の採掘に長け、土属性魔法が得意な《土妖精族(ノーム)》。

暗視・暗中飛行に長けた《闇妖精族(インプ)》。

トレジャーハントと幻惑に長け、幻影魔法が得意とする《影妖精族(スプリガン)》。

歌唱や楽器演奏に長け、それを使ったバフ掛けが得意な《音楽妖精族(プーカ)》。

そして______ 武器生産及び各種細工を生産することに特化した《工匠妖精族(レプラコーン)》。

 

この9種族が、それぞれの領地を中心に活動する。

そして、それぞれの領地内ではその種族に合ったクエストがシステムによって生成される。

ウンディーネは水辺でのクエストを、スプリガンはダンジョンへのトレジャークエストを。

それぞれの種族別に様々なクエストが存在する。

 

その中でも_____レプラコーンのクエストは生産系のクエストが多く、戦闘を必要とするものは比較的少ない。

鍛治を得意とする種族であり、戦闘をあまり得意としないのである。

 

全種族の中でも戦闘を得意としないが_____他全種族から1番交流があるであろう種族がレプラコーンだ。

何故、というのも愚問だ。レプラコーンは全種族の中でも唯一、古代武具(エンシェント・ウェポン)を作ることが出来る。それはあらゆる武具の中でも高性能で、そのほとんどがプレイヤーメイドとなっている。

故に、彼らと敵対しようものならその古代武具の入手はほぼ不可能となる。なので他のどんな種族も彼らと敵対しようとはしない。

 

しかし、難点がある。

費用の問題だ。

古代武具、なんていう大層な名前がついているが故に、製造するための素材や金のコストが驚く程高い。最高品の古代武具の値段は、豪華なギルドハウスが一件建てられるレベルだ。

とてもじゃないが、手を出す者は少ない。

がしかし、古代武具を抜いても、レプラコーンの武具は他と比べて高性能だ。

 

全プレイヤーが喉から手が出る程欲しいその古代武具(エンシェント・ウェポン)は、プレイヤーメイドでしか手に入らず、作るのにも莫大な金と素材がかかるとなって、誰もがいつか古代武具を手に入れるのを夢見て金策をしていた。

 

 

しかし、つい1ヶ月前。

妖精の国にとある情報が流れた。

 

『レプラコーンのとあるお使いクエストをやっているプレイヤーをキルすると、低確率で古代武具(エンシェント・ウェポン)がドロップする』

 

というもの。

その情報は本物で、実際に件の方法で古代武具を手に入れたプレイヤーがいた。

大金を使わなくとも、最高級武具が手に入る。可能性が浮上した。

そこからというもの、地獄のレプラコーン狩りが始まった。

 

とあるお使いクエストというのは、レプラコーンの首都の街の鍛冶屋NPCからいくつかのアイテムを預かり、世界樹のある街《アルン》へと届けるという物。

レプラコーン専用クエストとなっており、報酬では超低確率で古代武具が手に入るというものだった。特に初心者には人気だ。ただお使いをするだけで中級または上級の武具が手に入るのだから。

 

なので、レプラコーンで始めたプレイヤーは大抵そのクエストを受けるのだが、そのほとんどが『レプラコーン狩り』の餌食となった。

レプラコーン側の対策といえば、パーティを組んでその狩り手を追い払うくらいなのだが、それだげでは防ぐことはほとんど出来なかった。

 

 

 

 

 

そんな事が現在のALO内で起こっていたのだが_____当の彼女は、まだこのゲームを始めて1週間も経っていない為、知らなかった。

 

林の上空を飛ぶ、一人の妖精。

レプラコーンの少女。彼女もまた、例のお使いクエスト受注者だ。

現在進行形で、レプラコーン狩りのプレイヤー達に追われていた。

 

「______待ち伏せされてたなんて、思わなかった…!」

 

つい先程街を離れ、アルンを囲む山脈の前にある林に入った直後、サラマンダーのパーティに襲撃を受けたのだ。

魔法による広範囲攻撃に彼女は寸前で気付き、回避することに成功した。

しかし、追手の攻撃は止むことは無かった。

その後も攻撃を何とか避けつつ逃走を続けていた。

本音を言えば、レプラコーンの首都に戻って仲間に助けてもらいたいが、相手パーティは首都方向から追ってきている。Uターンするのは自殺行為だ。

 

しかし、飛行時間は余裕がある。まだ飛び始めて3分程度。あと五分程度で山脈にたどり着くだろうが、その先の洞窟はモンスターがポップするし、洞窟内では飛ぶことは出来ない。

どちらにせよ、詰みだ。

 

「戦ったって詰みだけどね…」

 

チラリと後方を盗み見る。

後ろからは計7人のサラマンダーが飛んできている。

彼女が軽量系妖精ならサラマンダーより早く飛んで振り切る事も出来たかもしれないが、彼女はそうではないので不可能だ。同じ速度で飛んでいる為、捕まる事もないが、振り切る事も無い。後は_____飛行限界が訪れて落ちるのみ。

 

相手は7人のフルパーティ。

一人で立ち向かうにも限界がある。モンスター相手ならまだしも、プレイヤーとなればほぼ不可能だ。

しかも、彼女は初心者(ビギナー)。それに対して相手はそれなりに経験を積んでいる。

()()()()

 

「パーティを組んでもらうんだったなぁ!」

 

パーティを組んで行った方がいい、と先輩プレイヤーにアドバイスされたのだが、組んでくれそうな人はおらず、彼女自身そこまでパーティに入っての戦闘が得意ではなかった為にそれを無視してソロでこのクエストに挑んだ。

その結果がコレだ。

アドバイスを無視した過去の自分に愚痴を零しながら、飛行時に使うコントローラーのスティックを強く前へ倒し、より加速しようとした____その時。

 

「____えぅっ!?」

 

背中に鋭い何かが突き刺さった。

直後、身体中に痺れるような感覚が走り、身体の動きが鈍くなったのを感じた。

勿論、羽もその機能を停止し、レプラコーンの少女は林の中へと落ちていったのだった。

 

 

 

 

 

鈍い音と共に不快な衝撃が走る。痛みでは無いものの、それに近い感覚。

そして、身体に流れる不快な痺れ。

 

彼女が目線を自身のHPゲージに移すと、ゲージは落下ダメージにより3割も減っており、ゲージの下には黄色の雷マーク。

麻痺状態(パラライズ)

一定時間動けなくなる、ゲームの中ではポピュラーな状態異常。

背中には未だに何かが刺さっている。

 

ゆっくりと背中を振り返ると鋭利な刃物が見えた。その刀身には、黄緑色の何かが塗られている。

投げナイフに麻痺毒を塗りこんだ、投擲武器。

 

少女はやられた、唇を噛んだ。

この麻痺毒がどれだけレベルが高いのかは知らないが、レベルが低いものを使うとはあまり思えない。

自身を確実に仕留める為に、それなりに高いレベルの毒を使っている筈。

 

「______!」

 

必死に地面を這いずって逃げようとするが、追手が既に彼女を視界にとらえてしまった。

 

「______っと、鬼ごっこは終わりか?」

 

大剣を持った全身鎧に身を包んだサラマンダーが降りてきた。

彼のパーティメンバーであろう他の六人も同様に降りてくる。

 

逃げ場も逃げる手段()も失った。

 

「へぇ、女じゃん!それに結構可愛いし……うっひょォ、いいねぇ、アガってきたねェ!」

 

しかも、相手にはゲスいプレイヤーもいたようだ。

よりによってこんな奴らに捕まった事に彼女も思わず悪態の一つもつきたいと柄にもなく思ってしまった。

 

「…さて、ガチャタイムだ。何が出るかはお楽しみってな」

 

「なァ、コイツはオレに殺らせてくれよ!いいだろ?」

 

「…アイテムの分配は俺だぞ。投げナイフで落としたのは誰かを忘れるな」

 

「分かってるって______よっしゃ、楽しくなってきたァ…!」

 

下卑た笑みを浮かべながら彼女へと近付く男。

レプラコーンの彼女は諦めて、その目を閉じる。

あんな男に殺されてしまうところなど、お世辞にも見たくない。

 

彼女に凶器が迫る______その時。

 

パキパキ、と何かが折れる音がした。

 

「……?」

 

サラマンダー達には聞こえていなかったのか、レプラコーンの少女のみが辺りに視線を移す。

音の発生源は_______少女から見てサラマンダー達の右にあった大木だった。

 

おいそれと折れそうにない大木が、少し傾いているように見える。

 

直後、轟音が森中に響き渡った。

 

「は!?」

 

「____なんだ!?」

 

サラマンダー達もその音に驚き、少女から離れて辺りを見回す。

そして、その大木は明確に傾き始めた。

根元からではなく、根元より少し上から、サラマンダー達のいる方へ。

その直後、もう一度轟音が響いた。

 

「な、なんだってんだよ!?」

 

「____お前ら、左だ!!」

 

一人のサラマンダーが少女から見て右を指差す。

反対側へ倒れ込むはずの大木は逆側____サラマンダー達に向かって倒れこもうとしていた。

 

「うおおおおおおお!?」

 

パーティ全員が後ろへ下がり大木を避ける。

大木は少女の足元スレスレに凄まじい音とともに倒れ込んだ。

サラマンダーとレプラコーンの少女を隔てるように。

 

「_____だ、れ…?」

 

砂煙の中、歩いてくる一つの影。

それは少女の目の前で止まった。

砂煙が収まる。

 

そこには_______一人の男が立っていた。

 

水色の髪に青を基調とした服、薄いボディアーマー。

左腰には控えめな一振りの片手剣。

 

水妖精族(ウンディーネ)》だ。

 

ウンディーネの領地はスプリガンの領地を挟んだ向こう側。レプラコーンの性質上、鍛治が得意なのもあって直接直談判に来るプレイヤーもごく稀にいるそうだが、ウンディーネは高位の回復魔法が使える。どちらかと言うと魔法メインのメイジが多いのだが、目の前に立つ彼はそのメイジとしての特徴を持たない。というより______彼の装備は初期装備に近い気がする。

 

いや、あれは初心者(ビギナー)だ。

武器も服装も鎧も、全て初ログインで貰える初期装備に違いない。

 

「____逃げ、て」

 

麻痺した身体にムチを打ち、眼前に立つ彼にレプラコーンの少女は言う。

しかし、麻痺状態で喋ろうとかすれ声にしかならない。

 

するとそのウンディーネは振り向いて少女の瞳を見て言った。

 

「_______大丈夫、任せて」

 

そう言って、彼は短い片手直剣の柄に手を当て、サラマンダー達を見据えた。




妖精の国を旅する、アルヴヘイム・オンライン。
本当の意味でのゲームの世界。
それはある意味、彼の世界よりも残酷である事を

_______彼はまだ知らない。

ALO編に突入致しました。このALO編にて特別ゲストとしてテレビゲーム版のキャラクターを登場させる予定です。もし登場させるなら…?

  • 鍛冶師の二刀流使い《レイン》
  • 天才科学者のVRアイドル《セブン》
  • 自称トレジャーハンター《フィリア》
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