ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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遅くなってしまいました、クロス・アラベルです!
今回はプログレッシブ原作の幕間?のはなしです。
ロニエ目線で始まります。
どうぞお楽しみください!!


第二層 己の心の剣
秘密の体術獲得クエスト


 

 

 

 

広く続く草原。

 

私たちの世界でもあまり見られないような大自然。

 

私たちのパーティはその光景に見入っていた。

 

ロニエ「うわぁ………すごい……」

 

ティーゼ「………中々見られない光景ね……」

 

私の親友のティーゼ。

 

ユージオ「凄いね………ルーリッドの村より、広い………」

 

私達の先輩でこの世界に時空を超えてきた、ユージオ先輩。今はついさっきラストアタックボーナスというもので手に入れた、外套……ではなく、紺色のコートを着ている。確か名前は………『コート・オブ・ダスク』。意味は、『夕闇のコート』、かなりいいアイテムらしそうです。

 

ナギ「オオー………замечательный!(素晴らしい!) とてもキレイですネ!」

 

たまに謎の言葉を使う白髪の少女、ナギちゃん。

 

ベル「……ボス戦頑張った甲斐があるっスね………」

 

茶髪に少し赤い瞳を持つ、ベルさん。

 

アスナ「……綺麗ね………なかなか精密に造られてるのね……」

 

栗色の髪のフェンサー、アスナさん。

 

キリト「………うん、βテストの時と変わりないな……」

 

そして、私の一番敬愛し信頼する先輩………キリト先輩。ユージオ先輩と同じく、ラストアタックボーナスを手に入れたらしくて、『コート・オブ・ミッドナイト』という真っ黒なコートを着ている。意味は、『真夜中のコート』。キリト先輩はやっぱり黒いものが好きですね……

 

ロニエ「キリト先輩、早く街に行きましょう。」

 

キリト「ああ、そうだな……そうしないとモンスターが湧くかも……まあ、ボスを倒した後だから湧きがかなり少なくなってる筈だ。」

 

ユージオ「早く行くに越したことはないね。」

 

キリト「まあな。よし、みんな、行こう!」

 

キリト先輩の言葉と同時に攻略組の皆さんが歩き出した。

 

ベル「キリトさん、二層はどんなとこなんすか?」

 

キリト「んーと……一言で表すなら『草原』だな。それもただの草原じゃない。この層でPOPするモンスターは大抵牛系モンスターだ。扉のレリーフを見ただろ?」

 

ティーゼ「えーと……確か、牛の絵が描いてあったような……」

 

キリト「その通りだ、ティーゼ。嫌と言うほど牛を見る羽目になるぞ。牛嫌いなやつは覚悟しといた方がいいな……料理も全部牛肉使われてるかもしれないし…………」

 

ベル「いいっスね!牛肉食べ放題なんて最高じゃないっスか!」

 

キリト「……すぐに飽きると思うけどな。」

 

ロニエ「キリト先輩、ここで出てくるモンスターは何ですか?」

 

キリト「ええっと……トレンブリング・カウとかトレンブリング・オックスかな……まあ、ほとんどトレンブリング・オックスの方だとは思うけどな。」

 

またキリト先輩の口から聞いたことのない名前が出て来た。

 

ロニエ「………とれんぶりんぐ……かう、と、とれんぶりんぐ・おっくす……ですか?」

 

キリト「ああ、名前の通りの姿だ。」

 

どんな姿?名前だけじゃ分かりませんよ………

 

ユージオ「キリト……分からないよ。」

 

キリト「………そうか……トレンブリングっていうのは震えるとかいう意味で、カウが雌牛、オックスが雄牛だ。どっちも凄いでかくてな……ビビると思うぞ!」

 

 

 

 

 

シュワンッ!

 

 

 

 

 

その時、何か不穏な音が聞こえました。モンスターが現れた時の音……

 

思わず立ち止まってしまう私。ティーゼとユージオ先輩も同じように感じていたのかピタリと止まる。

 

止まった私達を通り越して街を目指す他の攻略組の皆さん。

 

ロニエ「………キリト先輩、どんな牛何ですか?」

 

嫌な予感がしてキリト先輩に聞いてみる。

 

キリト「んー?どんなって……とにかくデカイんだ。二メートルくらいの高さで、横の長さは三メートル超えだ。」

 

キリト先輩は私達に合わせ立ち止まって説明してくれた。

 

ロニエ「………」

 

ティーゼ「ロニエも、同じ……よね?」

 

ロニエ「……うん……」

 

ユージオ「……僕も……だよ…」

 

キリト「?どうした?」

 

キリト先輩は気付いていないみたいだ。

 

ロニエ「…………せーので振り返りましょう。」

 

ティーゼ「賛成。」

 

ユージオ「………分かった。」

 

キリト「?」

 

ロニエ「……キリト先輩もですよ!」

 

キリト「うおう、俺もか…」

 

ベル「じゃあ、俺もっスね……分かったっス!」

 

ナギ「ナギも振り返るんですよネ?分かりました!」

 

アスナ「……どうしたの?」

 

ロニエ「とにかく、お願い、します!」

 

アスナ「………分かった。」

 

 

「「「「「「「せーのっ!」」」」」」」

 

 

息を合わせて振り返ってみた。

 

 

そこにいたのは………巨大な、牛。

 

闘牛……よりも大きく、迫力がありすぎて恐怖を覚えちゃいますよ……

 

ベル「……あっ(察し)」

 

ユージオ「………こんなに、大きいなんて……」

 

ティーゼ「……聞いてませんよ……」

 

アスナ「……なにこれー………」

 

ナギ「………丸焼きにしたら、美味しいですかネ?……………オワタ☆」\(^o^)/

 

ベルさんは悟り、ユージオ先輩とティーゼは呆然とし、アスナさんに関してはおかしくなっちゃってます……ナギちゃんは天然が発動ですね。

 

次にすることといえば……

 

ロニエ「………逃げるんですね、分かります。」

 

『ブモオオオ……‼︎』

 

威嚇する牛。

 

キリト「………全員、街に逃げろおおおおおおおおお‼︎⁉︎」

 

キリト先輩の言葉を聞く前に走り出す私達。

 

ユージオ「言われなくともッ‼︎」

 

ティーゼ「何でこうなるんですかッ⁉︎」

 

キリト「知るかッ!喋る暇があるなら全力で走れッ⁉︎」

 

ナギ「逃げるんだよぉ〜ッ‼︎」

 

ベル「ナギさん、ジョジョネタはいいっスから、走ってくださいっス‼︎」

 

アスナ「モンスターの湧きが少なくなってるって言ってたのは、誰よッ⁉︎いるじゃないのッ⁉︎」

 

キリト「俺は『モンスターが湧かない』とは言ってないッ‼︎」

 

『……?どうした?なんかあった………ってなんじゃありゃァァァァァァァァァァアアッ⁉︎』

 

キバオウ「な、なんでや⁉︎あんなデカイモンスターがいるねん⁉︎全員走れええええええええええッ‼︎」

 

前の方にいた攻略組の皆さんが私達の騒ぎに気付いて走り出した。

 

ロニエ「皆さん!早く街へ走ってください‼︎」

 

ユージオ「結構早く走ってるけど、もう撒いたか……」

 

『ブモオオオオオオオオオオオオオオオオッ‼︎』

 

ユージオ「速ッ⁉︎あの巨体であの速さが出るの⁉︎」

 

ロニエ「どうにか出来ませんか、キリト先輩⁉︎」

 

キリト「無理だ!あいつ、攻撃力もHP量も多いし、ターゲットの持続時間、も距離も長過ぎるんだよ‼︎」

 

キリト先輩は衝撃の事実を言いました。そ、それって、逃げ切れるんですかね……

 

ユージオ「ええッ⁉︎………仕方ない、僕とキリトで迎え撃てない⁉︎」

 

キリト「………行けるとは思うが……キツイ、ぞ!」

 

ユージオ「大丈夫、だよ!覚悟なら、もう出来てる!」

 

キリト「……よし!みんな、戦えるか⁉︎」

 

ロニエ「…頑張れば行けます!」

 

ティーゼ「大丈夫です!」

 

ベル「俺も行けるっスよ!」

 

ナギ「大丈夫だ、問題ない。でス!」

 

アスナ「……できるだけやってみる!」

 

キリト「よし………足を狙うぞ!出来るだけ、関節を狙うんだ!……カウント5秒前、4、3、2、1……GO‼︎」

 

キリト先輩の指示の瞬間、パーティのみんなが牛モンスターに向かって走り出しました。

 

キリト「ハッ‼︎」

 

ユージオ「ッ‼︎」

 

『ブモオッ⁉︎』

 

先輩たちの一撃が前足の関節に入ると、牛モンスターは一気に体勢を前に崩しました。その直後に私たちが後ろ足の関節に、一撃を……

 

ロニエ「入れる!………ハアッ‼︎」

 

ティーゼ「セアッ‼︎」

 

『ブモオオオッ‼︎』

 

私達の一撃で牛モンスターは完全に倒れ込んで行きました。

 

ベル「オラッ‼︎」

 

ナギ「ヤッ‼︎」

 

アスナ「フッ‼︎」

 

3人の攻撃で牛モンスターが立ち上がるのを遅れさせ、

 

キリト「よし、今のうちに、逃げるんだよぉ〜‼︎」

 

あれ?なんか、ナギちゃんの台詞がうつったような……

 

ユージオ「これで、間に、合うよねッ⁉︎」

 

キリト「言って、る暇がある、なら、走れッ‼︎」

 

 

そういってる間に牛モンスターが立ち上がり、私達めがけて走ってきました。

 

『ブモオオオオオオオッ‼︎』

 

ロニエ「そう言っている間に、ききききき来ましたよッ⁉︎」

 

ティーゼ「はあッ⁉︎速すぎよッ‼︎」

 

キリト「もうすぐだ!頑張れみんな!」

 

もうすぐ……って言っても、あと50メルはありますよッ⁉︎

 

牛モンスターが猛スピードで走って来る。さっきよりは速さは落ちているものの、速い事には変わりない。

 

私達は速さの方を優先的に振っているのでキリト先輩とユージオ先輩より少しだけ速い。少しずつ私達が追い越して行きます。

 

先に街に入る私達。まだ走り続けるキリト先輩とユージオ先輩。

そして、もうすぐ後ろに迫って来る牛モンスター。

 

 

 

 

 

キリト・ユージオ「ま、間に合ええええええええええええええええええええええええええッ‼︎‼︎⁉︎」

 

 

 

 

 

 

叫びながら走る先輩。

 

牛モンスターが先輩に当たる前に先輩は滑りこめました。ギリギリで街に入れました。

 

その瞬間に門の両脇にいた騎士のように鎧を着た人がいきなり腰の鞘から大振りの両手剣を抜き、牛モンスターを斬りつけた。

 

牛は一撃で死んだ。

 

汗だくになっている先輩たち。

 

ロニエ「だ、大丈夫ですか⁉︎」

 

キリト「……ああ………ま、間に合った……」

 

ユージオ「………死ぬかと思ったよ………」

 

ティーゼ「よ、良かった……」

 

ディアベル「大丈夫か?なかなかギリギリのところだったが……」

 

キリト「ああ……」

 

ディアベル「それじゃあ、早く転移門もアクティベートしに行こう。」

 

キリト「ああ、始まりの街でプレイヤーたちが待っているだろうからな。あっ、みんな。アクティベートが終わったら自由行動な。」

 

キリト先輩、苦笑いして、あんまり行きたくなさそうですね……やっぱり目立つのは苦手なんですね……アンダーワールドでは何千人の前で踊ったりしてたのに……

 

街の中央に門のようなものがありました、転移門と呼ばれる瞬時に別の層に行き来出来るものらしいです。キリト先輩に説明してもらいました。

 

ディアベル「よし……キリトさん、アクティベートしてくれ。」

 

キリト「ええッ⁉︎」

 

ディアベル「キリトさんがみんなを率いてくれなかったら、レイドは崩壊していた。だから、頼んだ。」

 

キリト「で、でも……」

 

ユージオ「良かったね、キリト!頼んだよ!」

 

キリト「ユージオェ……」

 

アスナ「……やってよ。」

 

ベル「キリトさん!」

 

ナギ「キリトがすれバ、いいんじゃないですカ?」

 

キリト「……ろ、ロニエ!」

 

キリト先輩が『頼むッ!』って言ってるみたいに見て来ました……なんだか、可愛い……?

 

ロニエ「いいんじゃないですか?断る理由も無いですし……」

 

キリト「ッ⁉︎」Σ(・□・;)

 

すごいびっくりしてる……絶望って感じですね……

 

ユージオ「さ、キリト!早くしてよ。」

 

キリト「………分かった。アクティベートするよ……」

 

キリト先輩は諦めたのか、門に近づいて触ろうとする。

 

しかも、なんだか逃げ腰です……

 

キリト「アクティベー………トッ‼︎」ε=┌(; ̄◇ ̄)┘

 

転移門に触って、『アクティベート』した途端にキリト先輩は恥ずかしいのかそこから走り去ろうとしてる⁉︎

 

ユージオ「はい、予想通り。」ガシッ!( ・ω・)ʃ

 

キリト「エェッ⁉︎」∑(゚Д゚)

 

さすがユージオ先輩。キリト先輩の考えることはお見通しですね……

 

どこからか音楽が流れ、転移門からたくさんのプレイヤーが出て来ました。

 

ユージオ「みなさん!この人がボス戦で大活躍した人ですよー!」

 

キリト「や、やめろおおおおおおおおおおおおッッ⁉︎」

 

叫ぶキリト先輩と面白がるユージオ先輩。

 

ロニエ「ねえ、ティーゼ……なんか、先輩達の優劣が前と反対になってない?」

 

ティーゼ「確かに……」

 

なんだかんだでとても温かい光景(?)でした。

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

キリト「………くそぅ………してやられた……」

 

ユージオ「あははははははははは……面白かったよ、キリト。」

 

キリト「う、うるせぇッ⁉︎」

 

あれから十分後、キリト先輩は他のプレイヤー達に何度も声をかけられた。

 

疲れたのか、少しぐったりしたように見えました。

 

キリト「……そういえば、ロニエとティーゼは自由行動しないのか?ユージオも……」

 

ユージオ「僕はどこも行くとこないし、分からないし……ね。」

 

ロニエ「私達は先輩達の傍付きですから、一緒にいるのは当たり前です!」

 

ティーゼ「もちろん、私もですよ。」

 

キリト「そうか……」

 

ちなみにベルさんとナギちゃんとアスナさんは別行動中です。

 

キリト「じゃあ、メンテの方をしておくか……………な?」

 

その時、キリト先輩が何かを見つけたかのように転移門の方を見ました。

 

ロニエ「どうしたんですか、キリト先輩?」

 

キリト「……三人とも、あれを見てみろよ。」

 

真剣な表情でキリト先輩は転移門の方を指差して、疑問に思っていることを言いました。

 

ユージオ「?………どうしたのさ、キリト?…………ん?……あれって、アルゴ?」

キリト先輩の指差す方向には、転移門から出てきてすぐに逃げるように走る砂色のローブを着た、情報屋『鼠のアルゴ』らしきプレイヤー。

 

そして、それを追うように人混みの中を走る二人の怪しいプレイヤー。

 

ティーゼ「追われ………てる?」

 

キリト「……みたいだ…………行くぞ…!」

 

キリト先輩の提案でその三人の跡を追うことに。

 

しかし、もうその三人の姿は見えなくなっていました。

 

ロニエ「キリト先輩、どうやって探すんですか?」

 

それとなく聞いてみると、

 

キリト「大丈夫だ、問題ない。」

 

と言って目を閉じてこう言いました。

 

キリト「索敵スキル発動しとくか…」

 

キリト先輩はメニューを開いて何かの操作をしました。

 

そして、目を開けた時にはキリト先輩の瞳は漆黒に黄緑がかっていました。

 

ユージオ「キリト、それは…………」

 

キリト「これなら後で説明するさ…………俺に着いてきてくれ。」

 

その時のキリト先輩は頼りがいがあって、とてもかっこよかった。私はキリト先輩の真剣な表情を見ると、いつもドキッとしてしまいます………

 

はっ、と我に帰った時には、三人は先に走り出してしまっていました。

 

 

わ、わたしったら何考えてるの!?

 

 

先に走り出してしまった三人に早く追い付こうと、私は走り始めました。

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

キリト「よし、ここで様子を見るぞ。」

 

ユージオ「分かった。」

 

私達はキリト先輩を追いかけて、五分後。

 

たどり着いたのは街の外の崖の岩場。そこから下を見てみると、アルゴさんが二人の怪しいプレイヤーが何か言い合っていました。

 

ロニエ「………何かあったんですかね……」

 

ティーゼ「……でも、女の子一人に男二人でだなんて……サイテー……」

 

キリト「………」

 

 

アルゴ「あーもウ‼︎だから、この情報は売らないって言ったロ‼︎」

 

 

アルゴさんが二人のプレイヤーに向かって、そう叫ぶと二人のうちの一人が叫び返しました。

 

『では何故教えないのでござるか!?拙者らは情報料金も払う前提で、交渉を持ちかけているでござる!早く教えるでござる!エクストラスキル【体術】スキルの獲得方法を!!』

 

キリト「何!?エクストラ……スキル、【体術】!?」

 

え、えくす……『えくすとら』の意味は分からないですが………今、『体術』って…………新しいスキルですかね?

 

キリト先輩は妙に驚いてますね………

 

アルゴ「駄目ダ!これだけは……教えたら恨まれること間違い無しでゴザル………間違い無しなんダ!!」

 

『持っていると言ったにも関わらず、何故交渉に応じてくれないでござるか!?これは明らかに情報料金を引き上げるのを狙っているのも同然でござるぞ!!』

 

このまま言い争いを続けたら、あの二人が腰の曲刀を抜いてしまいそう………ま、まずい!

 

キリト「……みんな、ここから飛び降りるぞ。」

 

ロニエ「ええッ!?」

 

ティーゼ「この高さからですか!?」

 

今、私達は約30メルくらいの高さの岩場の上にいる。ここから飛び降りるとなると、少し天命が…………いや、HPゲージが少しなから減ってしまう。

 

キリト「いいから行こう!早くしないと状況は悪化する一方だぞ………………はっ!」

 

そう言ってキリト先輩は飛び降りて行きました。

 

ユージオ「……まったく、君って奴は………考えるより先に行動しろってことか……分かったよ、今行く!」

 

ユージオ先輩もそう言って飛び降りて行きました。

 

やっぱり、飛び降りないとダメ……かな?

 

ロニエ「行こう、ティーゼ!」

 

ティーゼ「そうね、行きましょう!」

 

私達は覚悟を決め、飛び降りました。

 

「「痛っ!?」」

 

声をあげながらもなんとか着地出来ました。

 

『……何者だ!?』

 

私達が来たことに気付いてとても驚いているようで……上から来るなんて思ってなかったでしょうから……

 

キリト「あんたら、何してるんだ?」

 

ユージオ「外から見たら、弱いものいじめをしてるようにしか見えないんだけど………どうなんですか?」

 

『お主たちには関係のない話でござる!』

 

『首を突っ込むな!』

 

キリト「………あんたら……どっかで見たことが………」

 

ロニエ「えっ?知ってるんですか、キリト先輩?」

 

キリト「あ、ああ………なんて言ったっけな……フードじゃなくて……フーガじゃなくて………」

 

『拙者たちはふうm』

 

キリト「ま、どうでもいいか。」

 

『『良くないでござる!?』』

 

き、キリト先輩……それは流石に酷過ぎるんじゃ……

 

ユージオ「酷過ぎない?」

 

キリト「いいだろ、別に。」

 

『お主達、何用だ?』

 

キリト「………俺たちとしては、お前らの悪行は見逃せないな。」

 

その言葉と同時にその二人を睨み付けます。私達からすれば、あの二人は『女の敵』です!許せませんよ!!

 

と、次の瞬間。

 

『『まさかお主ら伊賀者か!?』』

 

「「「「ッ!?」」」」

二人がいきなり鋭く爛々と目を光らせ、少し殺気に似たものが込められた言葉をいい放った。

 

キリト先輩の台詞に何か殺気立たせる原因になりそうな言葉があったでしょうか……あっ……イガモノってところですか。

 

キリト「……………なあ、あんたら……」

 

『何でござるか!』

 

キリト「…………後ろ。」

 

『その手には引っ掛からないでござるよ!』

 

キリト「……いや、後ろ見た方がいいと思うぞ。」

 

ユージオ「……あっ(察し)」

 

ティーゼ「……うわぁ………ご愁傷さまです……」

 

『……何を言って…………』

 

ロニエ「あ………」

 

キリト先輩が何故そう言うのか、今分かった。

 

この状況、前にもあった気が………

 

キリト「だから……後ろ。」

 

有無を言わせぬように威圧をかけ、キリト先輩が二人に言いました。

 

『『…………?』』

 

二人が振り向いた、その後ろにいたのは………私たちが散々追い回されてきた巨大な牛型モンスター、『トレンブリング・オックス』がいた。

 

『ブモオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

『『ござるぅぅぅぅううううううッ!?』』

 

二人は尻尾を巻いて物凄い逃げていきました。牛も驚異の速さで追いかけていきました。

 

キリト「……ぷっ、あははははははははははははははははははは!」

 

ユージオ「ふふふ……あははははははははははははははははは!」

 

先輩達はそれをみて大笑いしました。でも、あんまり笑い事じゃないんじゃ………

 

ロニエ「せ、先輩……」

 

キリト「ははは………あー、久しぶりに笑ったな………ごめんな、二人とも……」

 

ロニエ「あまり笑うところじゃないですよ、先輩!」

 

ティーゼ「笑えてくるのは分かりますけど……ダメですよ、先輩!」

 

先輩達を叱っていると、

 

『相変わらず仲がいいネ、キー坊!』

 

聞き覚えのある声が聞こえた。

 

ロニエ「アルゴさん!」

 

アルゴ「久しぶりだネ、ローちゃん、ティーちゃん。」

 

キリト「大丈夫か、アルゴ?」

 

アルゴ「おかげさまでネ!助かったヨ、ありがとネ!」

 

ユージオ「それより、何があったの?あんな剣幕で言われるような理由があるの?」

 

アルゴ「………仕方ない、キー坊達だけ特別に教えてやるヨ。」

 

キリト「ああ、あのとき話してたエクストラスキルのこともな。これは助けた対価として、だ。いいか?」

 

アルゴ「………じゃあ、その代わりに条件があル。」

 

ロニエ「……条件とはなんですか?」

 

キリト「その心は?」

 

アルゴ「絶対にオレっちを恨まないこと、ダ!」

 

ティーゼ「……恨まないこと?」

 

キリト「何言ってんだ?エクストラスキル獲得方法を教えてもらって恨むって、おかしいだろ。」

 

アルゴ「違うんだ、キー坊。だいたいの恨みっていうのは一晩寝れば忘れるサ。けど、これは違う………間違えれば一生続くんダ!!」

 

キリト「一生?」

 

アルゴ「アア。でも、これを受ければ、オレっちのトレードマークのこのヒゲの秘密が解けるゾ。」

 

キリト「マジで!?」

 

ユージオ「ええッ!?あの百万コルっていう恐ろしい値段のするあの情報が!?」

 

ティーゼ「ユージオ先輩、あんまり女性の秘密は暴いちゃダメですよ?」

 

ロニエ「そうですよ、キリト先輩!!」

 

キリト「よし、買った!恨みもしないし、後悔もしないさ。」

 

ユージオ「恨みなんかしないよ。いつもお世話になってるからね。」

 

「「後者に同意です!!」」

 

キリト「えっ?俺には同意してくれないの?」

 

アルゴ「分かったヨ。ついてきナ!」

 

そして、話がまとまり、そのエクストラスキル獲得クエストが受けられるところに向かいアルゴさんについていきました。

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

アルゴ「ここだヨ。」

 

数分後、着いたのはとある岩山。そこには、一人のお爺さんがいました。

 

キリト「あのNPCだな?」

 

アルゴ「そうだヨ。」

 

私達四人はそのお爺さんの前にいって話しかけてクエストを始めようとしたとき、お爺さんの方が先に話しかけてきました。

 

『………試練を受けに来た者達か?』

 

キリト「……はい。」

 

『…………修行は厳しいぞ?』

 

ユージオ「大丈夫です、覚悟はできています。」

 

『………そうか……それでは、修行者の証を付けよう。』

 

キリト「……証?」

 

キリト先輩がそう聞いた時、お爺さんはどこからか手のひらサイズのツボを左手でとりだし、右手の筆を中に入れていました。

 

あ………嫌な予感……

 

と思った時にはお爺さんは目にも止まらぬ速さで、私達の頬に何かを書いてきました。

 

「「「「ッ!?」」」」

 

『それでは我が弟子よ、それは修行が終わるまで取れんぞ。修行が終わるまでこの岩山から出ることは一切禁ずる。試練はこの大岩を割ることじゃ。健闘を祈る。』

 

キリト「そうか、アルゴはこのクエストがクリア出来なかったからずっとそのヒゲを付けてたのか……んでトレードマークになっちゃったもんだから、そのまま付け続けてた……そういうことか!?」

 

アルゴ「流石はキー坊、鋭いナ……その通りだヨ!得したな、キー坊!」

 

ユージオ「ええー!?じゃ、じゃあ僕達もアルゴと同じヒゲが付いてるの!?」

 

じゃあ……わ、私も!?は、恥ずかしい……キリト先輩がいるのに……

 

アルゴ「同じじゃないゾ。ローちゃんとティーちゃんはかわいいナ!子猫みたいダ。」

 

「「か、かわッ!?」」

 

キリト「俺達は!?」

 

アルゴさんは少し悩んで、

 

アルゴ「『キリえもん』と『ユージえもん』って感じだな!」

 

「「ええッ!?」」

 

アルゴ「にゃはははははははははははははははは!!」

 

耐えきれなかったのかお腹を抱えて笑い始めるアルゴさん。

 

ロニエ「……ぷっ………あははははははははははは!」

 

ティーゼ「ユージえ………もん………ふふっ……あははははははははははははははは!」

 

私達も耐えきれずに大笑いしちゃいました。

 

「「……………」」

 

「「「あははははははははははははははははははは!!」」」

 

それから私達は三分ぐらい笑い続けました。

 

………もう、耐えられません………あはははは!




次回『謎の詐欺事件』
※本文に訂正入れました。アルファささみさん、ありがとうございます!

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