ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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遅くなりました!クロス・アラベルです!
今回は戦闘シーンはありません(多分みなさんも察してると思いますが……)

それではどうぞ!


砕かれた剣の行方

『す、すみません!すみませんッ‼︎手数料は全てお返ししますので…』

 

「いや、ちょっと待ってくれ!武器の強化失敗はプロパティ入れ替えと強化素材のロスト……悪くてもプロパティ減少の3つだろう?」

 

『えっと…正式プレイで追加されたのかもしれません……僕も一度、武器の破壊があったんです……』

 

「なっ……」

 

今、私の剣が、砕け散った……そんな……

 

『本当にすいませんでした‼︎今、アニールブレードの在庫が無くて……だから、グレードは下がるかもしれませんが……ブロンズソードがあるんです…それを代わりに使いますか……?』

 

「いや…」

 

先輩が何か言っているけれど、あまりよく聞こえない……剣が、砕けちゃった………!…武器のない今じゃ、キリト先輩についていけないかもしれない……き、キリト先輩と、一緒に、いられない……の?あの剣は、キリト先輩にもらった…剣なのに……

 

「……ニエ、ロニエ!行くぞ。」

 

「…ッ」

 

先輩に腕を掴まれ、歩く。

 

「……こ、こんな所に、ベンチがあるぞッ!」

 

「……」

 

先輩らしくない、けど今の先輩らしい言葉、慌てよう。いつもの私ならそんな先輩を笑ったり、しただろう。けど、今はそんな気も起こらない。

 

「……残念だったな……でも、あのアニールブレードは3層の後半までしか使えないんだ。ロニエがまだ先に進むつもりなら、4層に来たらすぐに武器を更新しなきゃいけないし……このソードアートオンラインはそう言うゲームなんだよ…」

 

キリト先輩が私に励まし?の言葉をかけて来る。

 

「……そんなの、嫌………私、教えてもらったんです。剣は丹精込めて使って行けば、いつか剣の声が聞こえるって……あのアニールブレードならそれが出来るんじゃないかって……あの子は私の思う通りに……いえ、それ以上に私を助けてくれました………なのに、弱くなっちゃったからもう、要らない…なんて、そんなの嫌です……!」

 

「……でも…」

 

「それに、あの剣は………キリト先輩にもらった大事なこの世界に一本しか無い剣なの…に……!………う、あ……!」

 

「……ッ‼︎」

 

分かってる。こんな私が先輩達と一緒に行こうだなんて、ただの甘えだって、分かってる……だから…

 

「……私のことは、置いて言って、ください……こんな状態じゃ、一緒に行けませんから……」

 

俯き、先輩の手を離して、キリト先輩にそう伝えた。これで、いい。これで……

 

「……来てくれ。」

 

「……」

 

キリト先輩が私の手を取って、どこかに行こうとする。さっきとは違う、力強く手を引いて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キリト先輩に連れられて、着いたのはとある宿屋。

 

先輩は一部屋を取り、連れて行かれる。そして、その部屋の前まで来て、扉を開けて私を中に入れようとする。

 

「ありがとうございます……もう、いいですから…」

 

そう言った後に先輩は私の手を一層強く握って、ボソリと話す。

 

「……これは、俺の自惚れかも知れないけど……」

 

そして、私の手を離し、私の顔に面と向かって、こう言った。

 

「……置いて行ったりなんか、しないからな。」

 

「……っ‼︎」

 

その瞬間。何か、胸の奥から爆発するような感情があった。

 

もう視界は歪み、何も見えない。最後に見たのは、キリト先輩の何かに耐えるような苦しそうな表情だった。

 

扉が閉まった瞬間、もう我慢はできなかった。

 

「うっ、うううっ…うあああああああああああああああああああっ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、1時間が経ったか経っていないか……

 

泣きに泣いた。多分目が腫れているだろう。

 

ベッドの上、私は寝間着姿で丸まって寝ている。

 

「………」

 

あの先輩の言葉は、本当なのかな……?やっぱり、私なんかが一緒に行けなんかしない、よね……

 

そう、自分に落胆して自己嫌悪に陥った。

 

ドンドンッ!

 

強く扉を叩く音。ここの扉は叩かないと、部屋の中に声が入らないと前、キリト先輩に教えてもらった。誰だろう、と思ったその時だった。

 

 

 

 

「ロニエッ、俺だ‼︎入るぞッ‼︎」

 

 

 

 

 

よく知る声が扉の外から聞こえたのは。

 

「……へっ?」

 

ガチャッと扉を勢いよく開けて来たのは、1時間程前に会っていた黒髪黒衣の剣士、キリト先輩だった。

 

「ッ⁉︎きゃ、キャアアアアアアアアアアアアアアアッッ⁉︎」

 

なんっ、なんでキリト先輩がっ⁉︎

 

「落ち着いて聞いてくれ!超絶緊急事態なんだ‼︎」

 

「おおおお落ち着けって言われても出来ませんよっ⁉︎」

 

「メニューウインドウを開いて、可視モードにしてくれ!早く‼︎」

 

「えっ⁉︎は、はい!」

 

言われた通りメニューを開き、可視モード……他の人が見ても見られるようにする。

 

「せ、先輩!私、扉の鍵は閉めたはずなんですけどっ⁉︎」

 

「ロニエは俺達とパーティ組んだままだろ!宿屋の部屋のドアは一番最初の設定は『パーティメンバー、及びギルドメンバーは開錠可なんだよ!」

 

「ええっ⁉︎さ、先に言ってくださいよ⁉︎」

 

「すまんっ!……第一条件は……よし、クリアッ!時間は……」

 

「じょ、条件?」

 

「くそッ、時間がない!まずはストレージ・タブ!」

 

「は、はい!」

 

先輩の鬼気迫るその勢いに押され、言う通りにメニューを操作する私。

 

「次は、セッティングボタン!……サーチボタン……そこのマニュピレートストレージって言うボタン……」

 

「わ、分かりました……」

 

先輩の言う通りに後三つか四つ押していくと最後のボタンが出て来た。

 

「そう、それだ!《コンプリートリィ・オール・アイテム・オブジェクタイズ》!ゴー‼︎」

 

そう言われてそれを押すと、最後に確認のイエスとノーのボタンが出てくるなり、

 

「イエーーーーーーーーーーースッッ‼︎」

 

と、先輩は叫んで来ました。

 

 

ぽちっ

 

 

そのボタンを押すと私のストレージにあったアイテムの欄が全て消えてしまいました。

 

「……な、なんでストレージのアイテムが消えたんですか?私、出したりなんかしてませんけど……」

 

「さっきのはストレージの中にある全てのアイテムをオブジェクタイズ……目の前に出すんだ。」

 

「……全部?」

 

「そう、コンプリートリィに。全て、あまねく、何もかも!」

 

と、キリト先輩は私の質問に答えてくれました。

 

「……えっ、ぜぜぜぜぜ全部ッ⁉︎」

 

ちょっと待ってくださいよ!ストレージには、私のドロップアイテムも防具も服も……私の………⁉︎

 

そう、頭の中で大混乱を起こしていると、私の目の前に私のストレージの中にあった全アイテムが多種多彩な音を立ててまとめて出て来ました。

 

 

 

ガランゴトンドスンガチャンチャリーンボサットスッバサッパサリフワフワ…

 

 

 

「ッ/////⁉︎⁉︎⁉︎」

 

そのアイテムの山のてっぺんにあるのは……私の、『下着』。

 

もう、何も考えられない……⁉︎

 

私が思考停止に陥る寸前、キリト先輩は、

 

「……失礼っ!」

 

と言って、私のアイテムの山を漁り始めました。

 

「せせせせせせせせせせ先輩///⁉︎ななななな何してるんですかッ//////⁉︎」

 

「ちょっと待ってくれ!ここに、有るはず…」

 

先輩は私の言葉を跳ね飛ばして、アイテムの山を漁り続けました。そして、

 

「ッ‼︎あ、あった‼︎‼︎」

 

そう言って私の方に何かを渡して来ました。

 

「な、なんです……ッ⁉︎…こ、これは……‼︎」

 

先輩が私に渡して来たのは、約1時間前に砕け散ったはずの私のアニールブレードでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後私はキリト先輩に、なぜ砕け散った剣がここにあるのかを聞いた……と言うより、問いただした。

 

キリト先輩によると、1時間前のあの鍛冶屋はアインクラッドで初めての詐欺師だ、とのこと。剣の詐取方法の推理、その他武器などに関する情報をもらいました。

 

「……でも、キリト先輩。あの人が詐欺をするなんて…そうは見えないんですが……」

 

私は、戻ってきたアニールブレードを両手で握り締めながら聞いた。

 

「ああ、確かに、やりたくてやってる訳じゃないって感じだったな……でも、詐欺のトリックは確信って訳じゃないからな。これから情報を集めていこう。」

 

「そうですね……明日みんなにも知らせましょうか?」

 

「ああ、そのつもりだ。でも、明日は情報集めは先送りだな…」

 

「えっ?何でですか?」

 

「明日はフィールドボス攻略戦があるだろ?」

 

「あっ……確かにそうですね。」

 

「まあ、フィールドボスの方はそこまで手こずる相手じゃないだろ…まあ、問題はフロアボスの方だな……」

 

「理屈から言っても、一層のボスより強いってことになりますからね……どんなボスなんですか?」

 

「んー……攻撃力はそこまでだけど、ちょっと特殊なスキルを使うんだよな。迷宮区の時間湧きMobで対処法は練習出来るから、それさえやっときゃいいんだけど……」

 

「じゃあ、明日はその練習に当てるんですね?」

 

「ああ。」

 

「キリト先輩、明日の朝7時にウルバスの南門で良いですよね?後でみんなにも知らせておきますから……」

 

「うん、分かった。」

 

「……こ、今夜は夜更かししないで、すぐ寝てくださいね?」

 

「分かってるさ。」

 

「……あ、あと……今回の件はありがとうございました。でも、……勝手に部屋に入ってきたことと、私の……その………下着を見たことについては、許しませんからね?////」

 

そう、絶対に許せませんから……例え、キリト先輩であっても……///!

 

「えっ、いや、その、お、俺はみみみみ見てないぞ⁉︎」

 

往生際悪く誤魔化そうとするキリト先輩に向け、顔を真っ赤にしながらも睨みつけて言う。

 

「……見・ま・し・た・よ・ね・⁉︎////」

 

「…す、すいませんでしたああああッ⁉︎」

 

すると、キリト先輩も観念したのか、悲鳴のような声で土下座をしました。

 

 

 

 

 

 




次回『もーもー天国?』
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