ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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こんにちは!クロス・アラベルです!
16話ができました。今回はそこまで重要じゃないような回です…多分!
それではどうぞ!


もーもー天国

私の剣が見つかって3日後、私達はフィールドボス攻略に向かいました。

 

「キリト、僕らは何すればいいの?」

 

「俺たちは湧きmobの相手をするらしいな。本隊に邪魔が入らないように俺たちが他のモンスターをおびき寄せて戦うぞ。」

 

「分かりました……キリト先輩、私たちが相手をするモンスターってどんな感じなんですか?」

 

「いや、別にフィールドボスと変わらない、牛モンスターだ。ボスより少し小さいだけだけどな。」

 

「……キリト先輩、この第二層に来てから牛ばっかりな気が……」

 

「仕方ないだろ?だってこの層のテーマは牛がうじゃうじゃいる岩場と草原なんだから……」

 

そう言葉を交わしている内にフィールドボスの全貌が見えて来ました。30メル向こうにいるのは、トレンブリング・オックスやカウより一回り大きい黒い毛皮を持った巨大な牛でした。

 

「お、大きい……」

 

「……他の牛よりも大きいね……迫力ありすぎだよ。」

 

「…また牛……」

 

「パターンはわかってるよな?最初の牛みたいに足を狙ってくれ。」

 

「……了解。」

 

みんなが一斉に武器を構え、戦闘態勢をとって牛モンスターを見据えた直後、その牛モンスターは私たちに気づいて雄叫びをあげながら突進して来ました。

 

「みんな、行くぞッ!」

 

そして、牛めがけて走り始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ぶ、ブモォ……』

 

あれから数分後、四体もの牛モンスターを倒しました。

 

「よし、これで本隊も集中して戦えるだろ。」

 

「そうですね……今、前線はどうなっているんでしょうか?」

 

「大丈夫だと思うよ。なんたってアインクラッド初のレイドリーダー…ディアベルがいるんだから。」

 

ユージオ先輩がそう言って、フィールドボスの方は視線を向ける。

 

「ほら、やっぱりね。」

 

そして、前線ではディアベルさんの指揮の元、キバオウさんやリンドさん達がフィールドボスを相手に奮戦しているのが見えました。

 

「……HPケージはもう赤くなるのね…予定より早いじゃない。」

 

「まあな、俺とディアベルの情報があったから思いの外早く進んでるんだろ。」

 

『ブモオオオオオオオオオオッ‼︎』

 

とその時、フィールドボスの『ブルバス・バウ』が雄叫びを上げ、パーティに突撃を仕掛けて来ました。

 

「A隊スイッチ!B隊、ブロック!」

 

「「「「オオオオッ‼︎」」」」

 

ディアベルさんの掛け声と同時に、軽装の攻撃班のパーティが後ろに下がり、重そうな鎧を身体中に身に纏った重装備の防御班が盾を構えて雄叫びをあげ、突撃して行きました。そして、数秒後。

 

ガァァァアアンッ‼︎

 

激しい衝突音を出しながら、ブルバス・バウの突進を止めました。

 

「A隊、アタック!」

 

叫んで、ディアベル自身もボスに斬りかかって行きました。

 

 

 

その一分後、第二層のフィールドボス『ブルバス・バウ』はディアベルさん達が討伐しました。

 

「凄い息ぴったしでしたね!」

 

「ああ。あれも、ディアベルの指揮力の賜物だな。俺には到底届かないな……」

 

「これからの攻略リーダーもディアベルに任せられるね。」

 

「………なあ、みんな。聞きたいことがあるんだけど……」

 

「……何?」

 

アスナさんが疑うような目でいきなり真剣な顔になったキリト先輩に聞きました。

 

「いや、さ……フィールドボス討伐組のリザーブパーティ……あの玉ねぎみたいなバシネット被った奴がいるあの三人のこと、知ってるか?」

 

「ばしねっと?」

 

「どういうこと、キリト?」

 

「……ば、ばし……?それって赤ちゃん用のベットのことじゃないの?」

 

「……えっと、てっぺんが尖ってる兜だよ。あれあれ。」

 

そういって相手に気づかれないように指を指すキリト先輩。

 

「……知りませんね…あの人たちがどうしたんですか?」

 

「知ってるわよ。あの三人、フィールドボスの偵察の会議中に自分たちも入れてくれって言ってきたんだから。」

 

「……本当か⁉︎」

 

「ええ。」

 

「プレイヤー名とか分かるか?」

 

「えっと……確か、真ん中の人がオルランド、左の槍持ちの人がクフーリンで、両手剣持ちがベオウルフだったかしら……」

 

「オルランド……大層な名前だな…確かフランク王国の騎士だったか…クフーリンが伝説上の英雄で、ベオウルフが……」

 

「確か、イギリスあたりの勇者か何かでしょ?」

 

「ああ。」

 

知らない単語ばかりで、全然わからない……

 

「あの人たち、ギルド名も先に決めてるみたい。えっと…《レジェンドブレイブス》…だったかしら…」

 

「そうか……うーん……どうなんだろうな……」

 

「あの人達、レベルは攻略隊の平均より少し下だけど、武装がかなりしっかりしてるらしくて……いきなり一軍は無理としても、リザーブ……予備隊なら十分だろうって……」

 

「そうか……なるほどな……うぅーーーーん‼︎……」

 

それを聞いてさらに唸る先輩。

 

「何?はっきり言いなさいよ。」

 

「……多分…あいつら、昨日の……ロニエの剣を詐取した鍛治師……ネズハの仲間だ。」

 

「えっ⁉︎」

 

「……そういうこと……」

 

「な、なんでそう言えるの?」

 

「……俺、店を閉めた後のネズハを尾行したんだよ。そしたら、ある店の中に入って言って……」

 

キリト先輩、尾行なんかしたんですか?あんまり危険なことはしないでほしいですね…

 

「……そこに彼らがいたってことね…」

 

「……ああ。」

 

「あ、あの人たちがあの鍛治師さんの……」

 

「「よし、行きましょう。」」

 

「「待て待て待て待て‼︎」」

 

ティーゼとアスナさんがいきなり剣を鞘から抜こうとするのをキリト先輩とユージオ先輩が止めにかかりました。

 

「お前ら、今行ってどうする⁉︎まだ証拠も詐取方法もわかってないんだぞ!」

 

「今行くのは危険すぎるって!二人とも!」

 

「わ、私は大丈夫ですから!お、抑えてください⁉︎」

 

「……甘いわ、ロニエちゃん。」

 

なんだか、黒い……どす黒いナニカを体から放ちながら、アスナさんが言いました。

 

「そうよ、ロニエ!今行かなきゃ、次いつ出くわせるか分からないんだから!」

 

「で、でも……あの鍛冶屋さん……ネズハさんは、私たちが剣を強化しようとした時、『メンテですか?それとも、買い取りですか?』って聞いてきて……なんだか、強化はしたくないって思ってるみたいに……」

 

「まあ、確かにな……自分から喜んでやってるようには見えなかったな……なんというか、やらなきゃいけない…そんな感じでやってるような感じだった。」

 

「それでも、許されないものは許されませんっ!」

 

手をブンブンと降って憤慨しながら訴えるティーゼ。

 

「今は証拠も詐取方法もわかってないって言ってるでしょ?今行っても、否定されたらそこまでだよ?しかも、それが原因で排斥されかねないし……」

 

「で、でも……」

 

そして、ユージオ先輩は少しおどおどしながらも

 

「そ、それに……てぃ、ティーゼには…まあ、なんて言うか、その……みんなに排斥されるのを、僕は……見たくなんかないし……」

 

そう言った。

 

「⁉︎/////」

 

あ、ティーゼが赤くなった。ティーゼが赤くなるのって珍しいよね……

 

「……わかったわ……(まぁ、ティーゼちゃんの可愛いところが見られたからね…)」

 

「ちょ、アスナさん⁉︎」

 

「ふふふ…」

 

「どうしたの?」

 

「な!なんでもありませんッ⁉︎」

 

「……?そうならいいんだけど……これからどうするの?」

 

「フィールドボスが倒せたから次の街『タラン』に行けるからな……ま、そこで色々準備してから迷宮区行くか。」

 

「もう迷宮区に行くの?」

 

「ああ。出来るだけ『あれ』には慣れててほしいからな。」

 

「あ、あれ?」

 

「えっとだな、ロニエ。ボスの使う特殊技に『ナミング・インパクト』って言うのがあるんだ。」

 

「な、なび……え?」

 

「あ!確か、インパクトが衝撃って意味ですよね⁉︎」

 

ティーゼがすかさずキリト先輩に聞く。

 

「お、おう…そうだ。ナミングっていうのは、『麻痺』だったかな……まあ、それがかなり厄介だからな。それを先に練習しておきたいから…」

 

「でも、先輩。ボスの使う特殊技をどうやって練習するんですか?」

 

「大丈夫だよ、ロニエ。迷宮区のモンスターも使うやつだから……まあ、そんなに多くは出てこないけど、一体一体がまあまあ強いからな…」

 

「じゃあ、迷宮区に行くんですね?」

 

「その通りだ、ティーゼ。よし、迷宮区の最寄り街、『タラン』へレッツゴー!」

 

「「おー!」」

 

「お、おー!」

 

ユージオ先輩がレッツゴーの意味がわからないのか、戸惑いながらも返事をしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「嫌っ……来ないで……!近づかないで……‼︎」

 

栗色の長い髪を揺らしながら逃げる少女。

 

「ひゃぁあ⁉︎い、いやぁっ⁉︎」

 

左に焦げ茶色の髪に青い瞳の少女。

 

「来ないでよっ!このバケモノっ⁉︎」

 

右には燃えるような紅葉色の髪と瞳の少女。恐怖に怯え、悲鳴をあげる三人。

 

『ブモォォオオオオッ‼︎』

 

大きな足音を立てながら、近づく大きな影。2メルはある赤銅色の肌をした巨体に、頭には二本の角。服は腰に薄い布しか巻いていない。片手には不恰好な両手用の槌。

 

そして、その槌を振り下ろそうとするバケモノ。普通なら次の瞬間、少女達の命は無くなった……と予想するだろう。

 

が、少女達はそのバケモノに向かって右手に持っていたそれぞれの剣を閃かせる。

 

「来ないでって…言ってるでしょッ‼︎」

 

「ああ、もうっ……このッ‼︎」

 

「や、やめてくださいッ‼︎」

 

ズガッズバッザシュッ‼︎

 

爽快な音を立てて少女達の剣はバケモノの強靭な肉体を切り裂き、貫いた。

 

『ブモォォォォ……⁉︎』

 

そして、バケモノ…正式名称『レッサートーラス・ストライカー』は一瞬膨らみ、ガラスのように砕け散った。

 

息を切らしながら少女達は同時に言った。

 

 

「「「あ、あんなの、牛じゃないでしょ(ないですよ)ッ⁉︎」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ!」

 

「はっ!」

 

キリト先輩とユージオ先輩が二連撃ソードスキルを放つ。

 

『ブモォォオオオオッ⁉︎』

 

切り裂かれ、体を仰け反らせ、四散。

 

「ふぅ、みんな、『ナミング・インパクト』には慣れたか?」

 

「確かに慣れたけど……なんだか、あのモンスターには慣れそうにない気がするよ…」

 

「『ナミング・インパクト』には慣れたわ。けど……な、なんなのよ!あのモンスター‼︎気持ち悪いっ!」

 

「そうですよ!何なんですかあの装備っ⁉︎せめて上着を羽織るぐらいしたらいいのにっ!」

 

「そう言う問題なのかな、ティーゼ?」

 

「やっぱり、あのモンスターは……む、無理ですっ!」

 

あんな、体が牛なのに何で、立つんですか⁉︎あれだけは……嫌っ‼︎

 

「……まあ、女子からしたら…キツイものがあるかもな…でも、数をこなせば慣れるだろ。」

 

「いやいやいや、数をこなしてもキツイよ。」

 

キリト先輩の言葉にすかさずツッコミを入れるユージオ先輩。

 

「でもな……ミノタウロスってRPGゲームじゃお約束の敵キャラなんだけど……ほら、ミノタウロスって迷宮『ラビリンス』に閉じ込められたバケモノで、後々勇者テセウスに殺されるだろ?そこが、いかにもゲームらしいって言うか…タウロスのところを英語読みするからトーラス族なんだけどさ…」

 

「……ミノタウロス?でも、それっておかしくない?」

 

目を少し輝かせてそう聞くアスナさん。

 

「え、何で?」

 

「……だってミノタウロスのミノはミノス王のミノなんだから、それはボスに付けられるべきじゃない?」

 

「……じゃあ、雑魚モンスターのトーラス族をミノって省略するのは不適当?」

 

「当たり前じゃない。だって、ミノス王って死んでから地獄の裁判官になったって言うし、怒ると思うわよ。」

 

「ま、マジか……」

 

先輩達の会話についていけないのが、もどかしいですね…

 

「……じゃ、次のブロック行きますかー」

 

「ええ……次行くんですか⁉︎」

 

「当たり前だろ?ボスの特殊技に慣れるにはこいつらしかいないんだよ。」

 

「……」

 

あっ、アスナさん不機嫌過ぎて黙っちゃった…

 

「よし、行くぞー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その2時間後、私たちはあの牛人…トーラス族との戦闘を終了し、拠点である街『タラン』に戻ってきていました。

 

「ふう、戻ってきたね…なんだか、ホッとするよ。」

 

「ああ。そう言えば俺、アルゴの奴に会う約束があるんだけど……みんなはどうだ?」

 

「行っていいんなら行かせてもらうよ。」

 

「じゃあ、行かせてもらっていいですか?お邪魔はしませんので…」

 

「もちろん私も!」

 

「…私もアルゴさんに用事があるから一緒に行くわ。」

 

「お、おう…わかった。それじゃあ…」

 

アルゴさんと約束してる店まで行こう、そう言われて歩き始めた、その時。

 

 

カァアン!カァアン!カァアン!

 

 

金属を叩くような聞き覚えのある、音が響いてきました。

 

「「「「「⁉︎」」」」」

 

全員が驚き、その音の出所に直行しました。

 

「…あれは……ネズハ…」

 

「…あの人が、ネズハ…」

 

「ロニエの剣を詐取したって言う…」

 

「……堂々としたものね…詐欺がバレたって言うのに、こんなところで……」

 

「で、でも、警戒した証拠じゃないですかね?一時的にこのタランの街で商売をするつもりとか…」

 

「それで、また人の剣を詐取しようってこと?」

 

「いや、一時的に控えるはずだと思うぞ。あと、攻略組の奴らの武器は詐取しないはずだ。」

 

「なぜそんなことが言えるの?」

 

「多分そのレジェンドブレイブスの奴らは攻略組に仲間入りしたいはずだ。なのに、そんな奴らの武器を詐取なんかしたら攻略組に入れないだろ?」

 

「…確かにそうだけど…」

 

「現時点で証拠もトリックもわかってないんだ。今はやめておこう。」

 

「わかりました。証拠とかが諸々わかったら問い詰めに行きますよ⁉︎」

 

「分かった分かった…さあ、アルゴのところに行くぞ。」

 

 




次回『新たな出会いは唐突に』

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