ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
第三層、オリジナル要素ぶっ込み回到来です!
ごちゃごちゃかも知れませんが、どうぞ、よろしくお願いします!
それでは、どうぞ!
○
「これからどうするの、キリト?」
第三層に辿り着いて、何をするかを全く考えていなかったからキリトに聞いてみると、言いにくそうにキリトは答えた。
「……それなんだけど…………みんながこれからやる事ないし、メンテも必要ないなら……主街区に行く前に一つ、受けておきたいクエストがあってさ……良かったら……」
「……なら、そうしようか。みんなはどうかな?」
一応聞いておくと、
「大丈夫だけど……」
とアスナも了承し、みんなも行くと言ってくれた。
「……なら、行くか。」
本格的に森の中に入ると、いきなり霧がかかって、視界が悪くなった。
「き、キリト先輩!」
「大丈夫だ。ここの森は《
「は、はい!」
キリトからの注意にロニエは何度も頷き、キリトの近くに寄ってくる。
「でだ。ここのモンスターは基本的に森の奥へ誘い込もうとしてくるから、隙を見せたからって突進攻撃ばかりしてると道に戻れなくなる。だから基本的にパーティメンバーからは離れないでくれ。」
……と話をしている間になんか、キリトの後ろに何かがいるんだけど……なんか、木なのにそれっぽく感じない……
「……じゃあ、君に見せてもらおうかな。」
「?」
アスナの言葉に首をかしげるキリト。やっぱり気づいてないらしい。
「……キリト、なんか後ろから見てるよ?」
「へ?」
とキリトが後ろを向くと一本の木がある。左右に一本ずつ枝があり、周りの木と比べると細めの幹に二つくぼみがあって、まるで目のよう。そして、ミシミシと言いながら動き出した。二つの穴の下に一つ大きめの穴が空き、そこから不気味な声が響く。
『モロロォォオッ‼︎』
「「貴様、見ているナ!」」
「二人ともふざけないの!」
ユウキとナギがおふざけで木の声に合わせてその不気味な声を翻訳する。
「よし、みんな行くぞ!」
キリトの指示で一気に戦闘態勢にはいる。
「了解、このモンスターは……」
「『トレント・サプリング』だ!こいつも、森の奥に誘い込もうとしてくるから、あまり追撃はするな!」
「よーし!あの枝は無駄だから、伐採しちゃうよー!」
と言って、ユウキが飛び出してソードスキルを一撃食らわせる。すると、簡単にその枝は切れてしまった。
『モッ、モロロォォッ⁉︎』
モンスターが悲鳴を上げ怯んだ隙に、ロニエとティーゼが後ろに回り込む。すると、キリトが二人に注意を飛ばした。
「ロニエ、ティーゼ!回り込んでも無駄だぞ!」
「「へっ?」」
ポカンとして、首をかしげる二人。
「そいつには特殊能力があって……」
次の瞬間、目のような二つのくぼみに宿っていた光が消えた。
「え、えええええ⁉︎」
「う、うわあああ⁉︎」
「そいつ、後ろに回り込むと正面が移動するんだ!」
「「さ、先に行ってくださいよーっ⁉︎」」
叫びながら、跳びのき不意打ちを回避する二人。
「いやな特殊能力だね………っと‼︎」
しみじみと感想を言いながらソードスキルを発動させ、もう一方の枝を斬る。
『モッ、モロッ⁉︎』
「ラスト、貰うわよ。」
そう一言呟いて、アスナがレイピアを閃かせ、木のモンスターに風穴を開ける。ズガッ、と言う音を立ててソードスキルが当たったようで、HPゲージがどんどん減っていき……
その攻撃でHPゲージを全部削れたようだ。
『モロロロォォォ……』
「………出番、無かったですネ…」
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「さて、本題のタスクを済ませて置こうか。」
初めて見たモンスター『トレント・サプリング』を倒して、3分後。キリトがそう言った。
「クエストなんでしょ?なら、村の方に……」
「いや、クエストNPCの位置がランダムなんだよなー、これが……」
「…キリト先輩、らんだむってどう言う意味ですか?」
「……ランダムっていうのは……」
と、キリトとアスナとロニエが会話している時、何か、変な音が聞こえた。
この音はこの森では聞こえないはずの金属音。金属同士を打ち付ける、剣と剣のぶつかり合いの音。ここに金属でできたモンスターがいるまたは、剣を持ったモンスターがいるとは考えにくい。ということは………
プレイヤー同士の争い⁉︎
音のした方を振り向いてみると、ティーゼも聞こえていたらしく、同じ方向を向いている。ティーゼはこっちを見て頷いた。
そして、僕とティーゼは音の発生源に向かって走り出した。
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走って行くとどんどんその金属音は大きくなり、回数も増えている。よくみると、剣と剣がぶつかった時の火花による光が見える。
「ティーゼ!止めにかかるよ!」
「分かってます!」
そして、辿り着いたのは森の拓けた平地。そこにいたのは優美なデザインが施された鎧を身に纏った騎士のような二人のプレイヤーだった。
「(僕は右を行くよ!)」
「(じゃあ、左を!)」
目で意思疎通し、僕は右を、ティーゼは左のプレイヤーをソードスキルで止めにかかる。
「はああああ‼︎」
「いやあああ‼︎」
気合いと共にその二人のプレイヤーの間に入って、相手のソードスキルを止めた。
『『⁉︎』』
そして、二人の間に割って入り、剣を中段に構えてそのプレイヤー二人を牽制する。
『人族がこの森で何をしているのですか‼︎』
『邪魔立て無用!今すぐ立ち去れ‼︎』
二人のプレイヤーが口々に怒鳴る。それに負けじと反論する。
「立た去れるわけなんかない!こんな無意味な争い、止める以外に何があるのさ‼︎」
「そうよ!今、私達は団結して戦わなきゃならないのよ!争いあってる暇なんかないわ‼︎」
そう反論してから二人のプレイヤーの容姿を見た。
後ろ、ティーゼが相対しているプレイヤーはキリトの好きそうな色……即ち黒、そして、紫に統一した軽装鎧を纏っている。緩く弧を描く曲剣と凧盾はかなり強力な武器らしく、異彩を放っている。
それに対して、僕が相対しているプレイヤーはこの森を彷彿とさせる緑色と純白、そして煌びやかな金色の軽装鎧に身を固めている。右手に持っている長剣や左手の円楯を見れば一目で強力だとわかる。
そして、その二人のプレイヤーに共通するのは……ここでは珍しいらしい女性プレイヤーであることと、その類稀なる美貌だ。
『駄目だ!森エルフだけは……絶対に斬らねばならんのだ‼︎』
『何を言いますか!私だって貴女を斬らずには帰ることなど出来ません!卑しい黒エルフは……』
なんだか、二人の言葉の最後の方は呪詛のようにも聞こえるような…ええい!取り敢えず止めないと……
「っ!…あのね、二人で殺しあって何になるの⁉︎どちらかが死んでも誰も得なんかしないし誰も喜ばないよ‼︎」
『っ⁉︎』
『だ、だが…』
「こんな殺し合いが正しい、正義だって思ってるんなら私達が言ってやるわ。
『……お、同じエルフだからといって、黒エルフを許す訳には…』
「…えるふっていうのが分からないけど、同じエルフならなおさら争うのは間違ってるよ。」
『『……』』
僕等の言葉を聞いて黙り込む二人のプレイヤー。僕等は二人を諭そうと、また口を開いた…
その時だった。
何か……黒いものが僕らを横切り、白い鎧のプレイヤーを襲った。
『なっ⁉︎』
そのプレイヤーは咄嗟のことに反応出来ず、攻撃を受けて怯んだ。
そして、その黒い…いや、麻布で出来た雨合羽のようなものを着た……黄土色の目をした誰かがその隙に森の奥へと消えてしまった。
『ぐ……』
『ど、どうした?』
「あなた、大丈夫なの⁉︎」
「だ、大丈夫⁉︎」
『な、なんとか……!……ま、まさか…ひ、秘鍵が⁉︎』
『な、何⁉︎秘鍵が奪われたのか⁉︎』
「ヒ、ヒケン?」
なんだろ、ヒケンって……
『……まさか、先ほどの賊は……フォールンですか……!』
……分からない単語が多すぎて訳がわからない。
『……人族の剣士!貴様が隙を作らせたせいで秘鍵が奪われてしまったではないか‼︎』
『……黒エルフに同調するのも癪ですが……どう落とし前を取ってくれるのです?』
「……君たちの言うヒケンって言うのが大切なのは分かったよ。でも、僕等はそれを奪わせるために止めた訳じゃないし、僕等とさっきのやつは無関係だよ。僕等はただ……止めたかっただけなんだ。」
『『………』』
「ユージオ先輩の言う通りよ。ここは相手が敵でも、協力すべきだわ。」
僕とティーゼの必死の説得に、沈黙が続く。
『では、人族の剣士。そう言うなら貴方達もくるのですね?』
白い鎧のプレイヤーがそう聞いてくる。黒い鎧のプレイヤーも納得できないところがあるように見えるが、反論はしてこない。
「……分かった。そうじゃないと示しがつかないだろうからね。」
「……あ、先輩。あたし達、キリト先輩達のこと、忘れてません?」
そして、大事なことを忘れてた。
「あぁ……」
「ユージオ!ティーゼ!どこいってたんだ⁉︎」
どうしようか、考えていると後ろの茂みからキリト達が走って来た。
「あ、キリト……あのさ、ちょっとばかり相談が……」
「なんだよ、相談って………ッ⁉︎」
今からしようと思ってること、それをキリトに相談しようかと話しかけると、キリトは後ろにいる二人のプレイヤーを見て目を見開いた。
「おまっ、そ、そいつらって……⁉︎」
「?」
『何者だッ!』
『敵ッ‼︎』
そう言って後ろの二人は警戒して持っていた剣を中段に構えた。
「ちょ、ちょっと待って!この人達は僕等の仲間だから。」
『……そうでしたか……』
『驚かしてくれるな……人族よ。』
「……ごめん、少し待ってて。仲間と相談してくるから。」
そう言ってキリト達に訳を話し、奪われたという『秘鍵』を取り戻す為に手伝おうと言うと、キリトは戸惑いながらも答えた。
「……と、取り敢えず行こうか。まあ、お目当てのクエストは受けられた………みたいなのか?」
「なんで疑問形なのよ。」
「そうですヨ!キリトはβtesterだから、知ってるんじゃないデスカ?」
「……移動しながらでも説明するから………でも、こんな事ってあり得るのか……?」
「分かった、ありがとう。みんなも来てくれる?」
「ええ。私にとってここは未開の地なんだもの、キリト君の案内がなきゃ無理だから……断ることなんて出来ないわ。」
「もちろん私も行きます!」
「ボクもボクもー!」
「もちろん行きますヨ!」
みんな快く受け入れてくれた。
『それで、人族の剣士……相談とやらは終わったのですか?』
しびれを切らして白い鎧のプレイヤーが聞いてきた。
「あ、ご、ごめん。今終わったよ。秘鍵奪還だけど、僕らで良ければ手伝わせてもらうよ。」
『それでは、フォールンの奴を探すぞ。ついて来てくれ。』
僕等は二人のプレイヤーについて行った。
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「それで、キリト。説明って何?」
「ああ、そのことなんだが……みんな、俺たちを先行するあの二人はな、クエストNPCなんだよ。」
「「「「「…………は?」」」」」
僕等、キリトとユウキを除く五人がキリトの言葉の意味が分からず、呆然としていると、キリトは説明の続きをする。
「……気が付かなかったのか?あの二人の頭の上にカーソル、見てみろよ。」
そう言われて、機械的に二人の上にある『カーソル』という光の柱を見ると、黄色だった。プレイヤーのカーソルは緑色だったはず。黄色のカーソルは確か……
「黄色ってことは……本当にクエストNPCなんですかっ⁉︎」
「……ああ。俺たちがさっき相談してる時とその前はあの二人のカーソル……はてなマークか、ビックリマークだった筈だぞ。」
それを聞いてみんな驚愕する。特に僕とティーゼは驚いた。だって人だと思ってた人が人じゃないなんて……
「彼女らの種族はエルフさ。鎧が黒いほうが《
よく見てみると本当にとんがってた。
「……俺の受けたかったクエストのNPCなんだけど…なんか、展開がβテストの時と全然違うな。」
「β時代はどんなクエストだったの?」
「ああ、このクエスト……いや、このソードアートオンラインで初の大型キャンペーンクエストだったんだ。本当なら俺達プレイヤーがあの二人のどちらかに味方して、もう一方と戦うっていう感じだったんだけどなぁ………知らぬ間に、戦闘がなくなってた………そんなことある筈ないんだけど……ちなみに、βの時は黒エルフが女騎士で、森エルフが男騎士だった……でも、今回は
アスナに聞かれて歩きながら答えるキリト。
「……多分、ここからはβ時代の経験があっても今はないと思うんだよ………つまり、ここから……」
キリトは真剣な表情で呟いた。
「……誰も知らないクエストになる……
《予告》
ロニエ「第三層へ無事辿り着き、アインクラッド初の大型キャンペーンクエストを受けようとするキリト達。
だが、ユージオ達がこの世界に来た影響なのか、二人のエルフの戦闘は起きず、代わりに二人のエルフと共に第三層では出てくるはずのないフォールンエルフとの戦闘を強いられる。
ユージオ達の進む道はどこへ繋がっているのか。そして、キャンペーンクエストの行方は⁉︎
次回、《未知の世界》!次回も、さーびすさーびすぅ!
……これでいいですか?作者さん。」
「はい、いい感じですよ。」
ユウキ「……どこかで聞いたことあるような気がするなぁ……」