ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
今回こそ、毒蜘蛛退治です!……が戦闘シーンをバッサリカット……で、でもサービスシーンもあるから許してくださいっ(泣)
それではどうぞ!
☆
暗い洞窟の中、僕らは松明を片手に奥へ奥へと進んでいた。
「……やっぱり僕、こういうダンジョンあんまり好きじゃないな……」
「まあ、確かにな」
「なんだか、暗いですし…」
「何よりジメジメしてて…あたし、あんまりこういうのは…」
「ボクは平気だよ!」
「私も平気デスネ!」
「……さて、さっさと終わらせて帰りましょう」
「そうだな。このクエストは兵士の遺品を見つけるのと、奥にいる女王蜘蛛を倒さなきゃならないんだ。んで、今探してるのがその遺品」
「……遺品で確定してるんだね」
「まあ、少なくともβ版はそうだったからな」
クエストの内容を確認し、先へ進んでいると、ロニエがこんな質問をした。
「キリト先輩……蜘蛛って、この…小さな蜘蛛も倒さなきゃならないんですか?」
「ああ、それは『クリッター』って言ってな、モンスターじゃない、背景扱いの小動物のこと……だと思う。別にこっちが攻撃しても意味ないし、向こうから攻撃してくることもないよ」
「……クリッターって、じゃらじゃら言うの?」
「……じゃらじゃら?」
「そうよ。『clitter』って、英語でじゃらじゃらっていう擬音のことなの」
「んー……多分言わない、はずだよ。」
「じゃあ、キリト先輩。そのくりったーって言うのは、森の中に飛んでる蝶とか街中にいる猫とか……ですか?」
「正解」
またまた分からない単語が出てきた。これも覚えておいた方が良さそうだね。
「また蜘蛛がきたぞー、戦闘準備!」
そして、僕らはまた現れた蜘蛛モンスターと戦った。
『皆、どんな魔物にも臆せんな。人族の女は強いな』
『頼もしい限りですよ』
蜘蛛を大方倒し、ひと段落つくとエルフの2人がロニエたちを褒めた。
「そう、かな?」
「私の妹ティルネルも実体のある怪物なら虫だろうとウーズだろうと苦にしなかったものだ……」
「……ちょっと待って。じゃあ、実体のないモンスターって、いるの?」
いきなりアスナが汗を掻きながら、キリトに聞いた。
「へ?」
「実体のないモンスター、か…」
「実体のない、ってどうやって倒すんですか?」
「やっぱりそれは、巫女の出番デスネ!お祓い棒とお札で妖怪退治、封印!キリト、お祓い棒ってアインクラッドにあるんデスカ?」
「……いや、分からん…少なくともβ版の時はそんな話聞かなかったな」
「しょ、しょんな〜…」
「うーん……まあ、実体の無いモンスターなんていない、とは思うけど…」
「ということは、お化けってことかな?」
実体のないモンスターなんかがいたら、僕らはどうやって対処したらいいんだろう。な、なんか、怖い。
「……そう、なら良いのよ」
アスナが安心したような顔でそう言った。
「そう言えば、ここのダンジョンって前にキリト先輩が言ってた『インスタンス』なんですか?」
キリトがエルフの野営地で話していた、インスタンス……一時的にマップから隔離された場所なのかをティーゼが聞いた。
「インスタンスの対義語は、ええと………パブリック・ダンジョンかな。そんでここはパブリックの方」
キリトはわかりやすく解説してくれる。
「何故パブリックなのかというとだな、ここは俺たちのやってる《毒蜘蛛討伐》の他にも幾つか別のクエストのキースポットになってるんだ。」
「どんなのデスカ?」
「例えば、村で受けられる迷子の子犬探しのクエストとか、主街区で受けられる《ギルド結成クエスト》とかだ」
「ギルド結成……じゃあ…」
「ああ。多分ディアベル達も受けてるだろうな。幾つか進行ルートがあるんだけど、その一つはここなんだよ。」
ここは誰でもくることが出来る場所。ということはほかのプレイヤーにも会うことがあるってことか。
『……!みんな、どうやら我々以外にも他の訪問者があるようだ』
『そのようですね』
その時だった。2人が他のプレイヤーがいると言ってきたのは。
「ああ。多分、俺達の仲間だと思う。」
「二人とも身構えなくても大丈夫だよ」
そういった時、パーシーが真剣な顔で首を横に振って、言った。
『……うっすらと会話が聞こえるのですが、どう考えてもそうは思えないですよ』
「はいっ?」
「……どんなことを言ってるか分かるか?」
キリトはす少し不思議に思いながらパーシーに聞く。
『……断片的ですが……『攻略組は我々……ディアベルとやらには好きにはさせん』……と」
「……はぁ?」
「えっと……話がつかめない…まず、来てるのはディアベル達じゃないのは分かったが……その人達がそんなことを言ってるとなると、なんか胡散臭いというか、怪しいね」
「と言うより、彼を目の敵にする理由も
アスナがかなり厳しく非難する。僕もそれが得策ではないと思う。他のみんなも同じ考えみたいだ。
「………嫌な予感もするからな…ここはどうにかしてやり過ごしたいとこだが…」
キリトが不安そうに呟くと、二人の騎士は仕方がないといってある提案をした。
『どこか隠れられる場所はあるか?』
「ん?ああ……無いこともないんだが……情報に信頼性があんまないんだよ」
『「善は急げ」、という言葉が人族にはあるのでしょう?ならば直ぐに行動に移すべきです』
「そ、そうですね……」
「キリト先輩、その情報というのは?」
「ああ……このダンジョンにいくつか隠し穴があるらしくてな…その穴は小さいし狭いけど、結構奥に続いてるらしいんだ」
「なら早く探そうよ!」
「穴デスネ、わかりましタ!」
その噂の隠し穴を探すと意外にも早く見つかった。
「あったよ、みんな!」
「じゃあ早く入ってください!」
「分かってるよ!」
ティーゼに急かされて足から穴に入ると何か嫌な感触が僕を襲った。
「ッ!?(うわっ!?まさか、蜘蛛の巣が!?)」
「ユージオ先輩早くっ!」
「わ、分かってるってば!」
そして、僕らは奥から順にいうと僕、ティーゼ、ナギで穴に入ったが、その時もう僕は一番奥までたどり着いていた。
「もうは入れまセンヨ!」
「ええ!?」
『そうか、仕方がない。キリト、アスナ、松明の火を消せ』
「「わかった!」」
どうやら他のみんなは違う場所に隠れたらしい。
『静かに…来ます!』
パーシーの声がした直後、幾つもの足音と鎧の擦れるガチャガチャという音が洞窟の中で響いた。
『何故……何故宝箱が全て開けられているのだッ!?』
どこかドスの利いた声。キバオウさんより低い声だ。
『くそッ…早く行くぞ!一刻も早くギルドを立ち上げて攻略組として名をあげるのだ‼︎』
と、欲望まみれ?な言葉が出てくる。
『まあまあ、焦らずゆっくり行きましょうよぉ。イヴァンさん』
男の後に間抜けたような声が聞こえた。粘りつくような、嫌な声。
『ふんっ、お前も急げ!早急に済まさねばならんのだぞ!?』
すぐさま怒号が飛ぶ。足音からして5、6人はいるみたいだ。
『分かってますよぉ、イヴァンさん』
もう一人の男はそうおどけたように答えて歩き続ける。
そして、足音が遠ざかっていった。
「……もう、大丈夫……デスカネ?」
「……よし、みんな出てきていいぞ」
キリトの言葉と同時にため息をつくみんな。
「さて…早く出よ……むぐっ」
「ひゃうっ⁉︎」
僕は穴から出ようと前へ進むと、何か、柔らかいものが僕の顔に当たった。続いてティーゼの可愛らしい悲鳴。
「……?何が…」
「ひう…////…っ⁉︎///////」
「ぐはっ⁉︎」
と次の瞬間、僕の顔面に優しめの蹴りが飛んできた。
「痛たた……」
何が起こったんだろうと思った、その時、僕は思い出した。
ここは狭い洞穴。入っているのは僕とティーゼとナギ。一番奥に僕、真ん中にティーゼ、出口のところにナギがいる。そして、僕らは後ろ向きに入ってきた。
即ち、前にいるのはティーゼ。正確には、ティーゼの……
「痛っ!////痛たたたた、てぃ、ティーゼ!ちょ待って!?///」
「~~~~~ッッ!!!!///////」
ティーゼはそのままぐりぐりと足を突き出してくる。
「……何してるんだ?」
「何かあったの、ティーゼ?」
「なっ、何もありませんっ!!!////」
『『「「「「「?」」」」」』』
キリトとロニエが訝しみながら聞いてきて、ティーゼが顔を真っ赤にしながら答える。
「……なんと言うか、モンスター相手よりも緊張したわ」
「同感だ。別に見つかっても戦闘にはならない……筈だけど…」
「今のは、怪しいところですね」
『なんだ、知っている者ではないのか?』
「初対面デス!」
「……まあ、行こうか、みんな。多分後二つの部屋の内一つは階段……さっきのパーティが行ったところで、もう一つがキーアイテムがあるところだと思う」
「それじゃあ、早めに済ましておこうよ!ボクら、また戻ってこなきゃいけないんでしょ?」
「ああ。」
ユウキに急かされて僕らは先を急いだ。
「……えっと………本当に、ごめんね、ティーゼ…」
「………っ!!///」
その間、ティーゼは黙ったままだった。
◇
それから、無事に兵士の遺品を見つけた僕らは一度野営地に戻ろうと来た道に振り返ったとき、ガシャガシャというやかましい音が聞こえた。
「ねえ、これって……」
「向こうから来てるな」
『先程の小隊ですか?』
『面倒なことになりそうだな』
どんどん近づいてくるパーティ。
「ああ……皆、どうす…」
『『『キリト(先輩)どうする(んですか)!?』』』
『キリト、そなたに任せよう!』
『キリト、頼みますよ』
「………る…」
キリトが僕らの言葉に時を止めていると、再びあの声が聞こえた。
『どうなっている!?あれほど巨大な蜘蛛がいるなど、聞いていないぞ!?』
『イヴァンさん、どうするんだ!?』
『今は逃げることだけを考えろぉ!?』
「っ……皆、よく聞いてくれ。あいつらを見殺しにするのは気が引ける。だから、あいつらを追っている女王蜘蛛のタゲを俺達に移動させて、彼らを逃がそう。あのままだと、入り口付近にいるハシリグモ系のモンスターと女王蜘蛛に挟み撃ちされてやられかねない。俺がすれ違い様に攻撃してタゲを取るから、皆は先にルームに行ってくれ。」
珍しく饒舌に話すキリト。
「……私達で倒せるんですか?」
不安そうにロニエが聞くとキリトは、
「ああ。俺は奴との戦闘経験もあるから、的確に指示していく。それに俺達のレベルなら大丈夫だ。勝てる」
そう、宣言した。
「それじゃあ、行きまショウ!」
「キリト君がそう言うなら、大丈夫そうね。分かった」
『ふむ、行くとしよう』
「頼むよ、キリト。」
「ああ」
キリトの作戦にそって僕らはひとつのルームに集まった。
「皆!戦闘準備!!」
『キシャシャアアアッ!!』
その数十秒後にキリトと、少し遅れて大きな蜘蛛がルームに入ってきた。
「こいつの攻撃パターンは随時教える!皆、行くぞ!!」
『『『おおーっ!!!』』』
そして、戦闘が始まった。
◇
「よし、なんとか行けたな」
「まあ……なんとか、ね」
あれから二分後、僕らはあの女王蜘蛛『ネフィラ・レジーナ』を無事討伐することができた。
「……無事、じゃないかな?」
そう言いながら向かうのは、白く太い蜘蛛の糸によって壁に貼り付けられ、拘束されているティーゼのもとだ。
「……す、すいません…////」
「いや、僕も悪いよ。攻撃が来ることを伝えられなかったからね…」
「…//////」
皆の剣で糸を斬っていく。
「それで……これからどうするんデスカ?」
「ああ…野営地に戻ろう。二つ目のクエストも、達成されそうだし、な?」
キリトはさっき倒した女王蜘蛛からドロップした、『女王蜘蛛の毒牙』を片手に笑った。
次回『剣と共に』
これからも不定期更新、並びに亀更新になるかも知れませんが、何卒よろしくお願い致します!