ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
今回は単なる会話回です。はい。
現在、アンケート(ディアベルのギルド名の妙案募集)をしております。何か、いい名前がありましたら是非教えてください!
それでは本編をどうぞ!
◇
『それでは、気をつけて行くのだぞ?』
「分かってるわ、キズメル。」
僕らは今、ダークエルフの野営地の入り口にいる。
蜘蛛退治のクエストが終わってから2日後。僕らは一度主街区に行って攻略会議に参加することにした。因みに二日間はエルフのクエストをあらかたこなしてみんなのレベルが一つずつ上がった。でも、僕とキリトは上がらなかった。
「よし、みんな準備出来たよな?」
「出来ました!」
『私も大丈夫ですよ。いつでも行けます』
「……それじゃあ、行こうか。みんな!」
『『『おー!』』』
キズメルに一時の別れを告げて僕らは主街区へ向かった。
◇
「キリト先輩、あの野営地には戻って来られるんですよね?」
「ああ。マーキング出来てるから戻れる……筈だ。」
森の中。僕らは遭遇するモンスターを薙ぎ倒しながら進んでいた。
「キリト、ここの層の主街区ってどんなとこなの?」
「ンー、一言で表すなら……三大大木、て感じだ」
「三本の……大木?」
「そう、本当にそれだけだから。」
「それだけっテ……なんだか、味気ないデスネ」
「ほ、他に特徴はないんですか?」
「……あるとするなら……景色が綺麗って言うことぐらいだ」
「それいいじゃない。さっさと行きましょう」
アスナがそう言って先頭に立ったとき、僕の索敵スキルに反応があった。
「……あれは…」
「狼だ。皆、戦闘用意!」
キリトが警告を飛ばす時には、皆得物を構えていた。
このパーシーを入れた八人の中で三人が武器を新調した。ティーゼはもちろんアスナ、ロニエまで。三人とも幸運なことに
出てきたのは2匹の狼。名前は《ロアリング・ウルフ》。
「HPゲージが黄色くなったら仲間を呼ぶから、半分まで少しずつ減らしてそのあと一気に叩くぞ!」
キリトのアドバイスに皆頷いた。僕は昨日限界まで強化したアニールブレードで左の狼に抑えぎみに一撃入れる。
『キャウン!?』
狼がその一撃で怯んだところをティーゼが生まれ変わった相棒《セルティアンソード+5》でソードスキル『バーチカルアーク』を叩き込んだ。すると、HPゲージは面白いほど減っていき七割、六割を超えて______黄色くなった。
「あ。」
『『『あ…』』』
皆の呟きが重なった。ティーゼも『やっちゃった!』みたいな顔で吹き飛んでいった狼を目で追った。
『……っ!アオーーーーーーン!!』
地面に叩きつけられた二匹の狼がすぐ起き上がり、遠吠えをした。
「………やっちゃったな、お嬢さん方!」
「「「だ、だって一撃であんなに減るとは思ってなかったんだもん!」」」
その後、追加と12体の狼と戦うことになった。
◇
「三人とも気にしないで。武器を新調したんだし、威力が分からないのは当然だよ。だから、ね?」
「……ぐすん」
「…ユージオ、甘過ぎないか?さすがの俺でも…」
「…す、すいません……」シュン…
「っ!?い、いや、大丈夫だ!だからシュンとしないでくれっ、ロニエぇっ!!」
落ち込むロニエに焦るキリト。
「泣〜かした〜泣〜かした〜!」
「せーんせいにーいってヤロ!」
「ちょっと待てっ!な、泣かしてはいないぞ⁉︎」
そんなキリトをおちょくるユウキとナギ。
「……」じとー
キリトを白い目で見るアスナ。
「……もう、なんとでも言えぇ……」
あ、キリトが沈んだ。
「あれ?キリト先輩、いつの間に落ち込んで…」
「……気にしない方が身のためだよ、ロニエ。」
漫才のようなトークを続けていると、森の奥から剣戟の音が微かに聞こえた。
『皆さん、何か聞こえませんか?』
唐突にパーシーが尋ねてくる。
『『?』』
「…ああ」
「確かに聞こえたわ」
「僕も聞こえたよ」
キリトと僕とアスナ以外は聞こえてなかったようだ。
「……向こう、か。俺達が様子を見てくるからユージオ達はここで待機していてくれ。もちろん、パーシーもな」
『分かりました』
今、パーティが二つに別れていて、僕とティーゼ、ユウキ、パーシーのパーティと、キリトとロニエ、アスナ、ナギのパーティだ。多分、パーシーに見られると不味いものがあると踏んだんだろうか、キリトは僕らのパーティに待機指示を出した。
「よし、じゃあ、行くぞ」
「はい」
「分かったわ」
「了解デス!」
キリトはロニエ達を連れて森の奥、剣戟の音の発生源を目指して進んで行った。
「……先輩、奥で何が起こってるんでしょうか…」
「分からない。僕じゃ、この世界では無力だから…」
キリトに任せるしかない。そうは分かっていてもやるせない気持ちになってしまった。
◇
その五分後、キリトは戻ってきた。
「キリト、どうだった?」
「ああ……リンド達がキャンペーンクエストを受けていたよ」
「そっか……話しはしたのかい?」
「一応な。攻略会議、必ず来てくれって言われたよ」
「それで、少し気になることがあったの。」
「気になる…こと?」
「はい。私も驚いて……」
キリト達から聞くところによると、リンド達が受けていたエルフのキャンペーンクエストは僕らの時と全く違ったらしい。
一つ、二種族はやはり争っていたが、ダークエルフの騎士がフォレストエルフを殺す一歩手前まで追い詰めたが、リンド達を守るためにフォレストエルフが自爆攻撃で相手を巻き込んで死んでいったと言う。
二つ、その二人は両方とも男性騎士だったらしい。
「……じゃあ、キズメルとパーシーは…」
悩みながらキリトは答える。
「分からない。キズメルの方はβ時代と同じだったが、パーシーはβじゃ見たことがない。正式プレー版で仕様が変わったって言うのも無いわけじゃ、無いけど……」
「あたし達だけ、あの二人なんでしょうかね…」
ティーゼは不思議そうに呟く。
「確かめるにはあと十回くらいは見ておかないと、分からないわね…」
「……パーシーは?」
「ナギとユウキとお話してますよ」
「……仕方ない、この件については後々話し合うとして、次の町へ急ごう。ロニエ、三人を呼んでくれ」
「わかりました」
キリトはナギ達と談笑しているパーシーを見て、溜め息をはきながらそういった。
「……でも、キリト君がこのゲームの知識を覚えてて良かったわ」
三人を呼び戻し、僕らは雑談をしながら、主街区へと向かう。
「……でも、覚えられるのはゲームのことばっかりで、勉強は頭に入ってこないんだよな…」
「知ってるよ」
「おい、ユージオ。なんだよそのさも知ってます感たっぷりの台詞は」
「……もしかして、キリト君って定期テストの時、内容を一夜漬けしてたヒト?」
「その通り。終わったら全部忘れてるヒトだった」
「まあいいよ。キリト、主街区はここから近いんだろう?」
「ああ。この先の別れ道をずっと東に行けばすぐ見える筈だ。名前はえーと、何だったかな……す……ス…なんとか…」
「……誉めたの、撤回」
アスナは呆れ顔でそう言い、ロニエとティーゼは苦笑いした。
次回『青の騎士団とオプリチニク』