ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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こんにちは!クロス・アラベルです!
今回は攻略会議のシーン。オリジナル(?)の展開になる筈です。
短めのお話を2話連続投稿します。
それでは、どうぞ!


青の騎士団とオプリチニク

ここは第三層の主街区、ズムフト。

 

俺達攻略組はその町の広場の一角に集まっていた。そして、他の今まで会議に参加したことのないプレイヤーが何人も参加している。ディアベルは攻略会議を攻略組のような高レベルプレイヤーだけでなく、他の第一層や第二層で燻っている期待の中レベルプレイヤーやこれから第三層を攻略しようとしているプレイヤー達にも参加してもらうために、始まりの街や第二層の主街区《ウルバス》で攻略会議を開くことと、会議の参加は誰でもいいという事を公言したのだ。これは攻略組の人数が増えることに繋がるし、攻略組をよく知ってもらういい機会…まさに一石二鳥だ。

 

「……眠い…」

 

「キリト、我慢してよ。この会議が終わったらぐっすり眠れるから」

 

第三層に来てから1回目の攻略会議が開かれる。

 

「………やっぱり、ネズハさん達…いませんね…」

 

「……そこんとこについては仕方がないとしか言えないな。あんなことがあったんだから…」

 

その集団の中にネズハ達のパーティ《レジェンドブレイブス》の姿はなかった。そして……

 

「……ベルも、いないか…」

 

第二層のボス攻略戦の時にははいた筈のベルの姿も無かった。

 

「……キリト。ベルは……どこにいるんだろうね…」

 

「…フレンド登録も消えてたし、索敵スキルも使えないから……こればかりはどうしようもないな…」

 

「……大丈夫ですよ!ベルもボス戦には参加してくれますって!」

 

空気が悪くなったのを察したのか、ティーゼが声を大にして言った。

 

「……だと、いいんだがな…」

 

俺は決して楽観視している訳では無い。嫌な予感だが、ベルはもう戻ってこない気がする。信じたくも無いが…

 

「ナギ、ロシア語で剣士ってなんて言うの?」

 

「ロシア語で剣士は、фехтовальщик(フェフタバリシチク)って言うんですヨ!」

 

「そうなんだ…覚えとこうっと!」

 

ユウキはナギからロシア語を教えてもらっているみたいだ……と言うか、ナギはやっぱりロシア人なんだな。

 

「みんな、今回も集まってくれてありがとう!それじゃあ、攻略会議を始めようか!」

 

ディアベルが会議の開始を告げる。

 

「今回は今後の攻略の注意事項と予定、そして、ある重大な報告を二つだ!まあ、ほとんどの人が知っているとは思うけど…じゃあ、攻略に関する注意事項をしていこうと思う。この第三層ではこのソードアートオンライン初の大型キャンペーンクエストがある。そのクエストに関してだが…」

 

会議はいつも通りだ。第一層の(いつぞやの)時のように乱入者がいる訳でも無い。というより、キバオウはディアベルと仲がいいからそんなことをするはずが無い。たがら、このまま会議は何事もなく終わる…そう思っていた。ディアベルがギルドの紹介、そして勧誘をした時までは。

 

「ここで重要な報告をしたいと思う。俺達は今日、ギルドを設立した‼︎ギルド名は《青の騎士団》だ!」

 

「このギルドの入団基準レベルは無しや!誰でも入れるけど、ボス攻略戦に参加できるんはレベル11以上のプレイヤーだけや‼︎注意してや!」

 

「そのレベルに達していない人は効率の良い狩場を紹介するから、レベリングに励んでほしい!」

 

案の定、ディアベル達はギルドを設立したみたいだ。《青の騎士団》か…中々良いネーミングだ。

 

「入団したい人はこの攻略会議の後に俺のところまで来てくれ!二つ目の報告は……」

 

『待ってもらおうか、犯罪者‼︎』

 

「……?」

 

「だ、誰やッ‼︎」

 

誰かが口を挟んできた。その広場に入ってきたのは計20人のプレイヤー達。

 

「あんたら誰やねん!ディアベルはんが犯罪者やとォッ⁉︎」

 

「……あんたら、人のことを罵る前に名乗ったらどうだ‼︎」

 

キバオウとリンドが激昂してその集団の先頭に立つ男を怒鳴りつけた。

 

『ふん、貴様らに名乗る名はない……イヴァンだ』

『『『(いや名乗るのかよ)』』』

 

毒蜘蛛討伐のクエストの時に見たあのパーティの一人だ。ディアベルの事を悪く言っていた時点でディアベルのことをよく思っていないのは分かっていたが……まさか、会議に乱入してくるとは思わなかった。しかも、集団で。

 

「……この声、あの毒蜘蛛討伐の時の…」

 

「ああ、張本人だ」

 

ユージオはあのイヴァンの顔を見ていなかったからわからなかったんだろう、ティーゼも。

 

「貴様らはこのアインクラッドを揺るがす大事件に出くわしたな……わかっているだろう‼︎強化武器すり替え事件だ‼︎」

 

「ああ。そのことについては他のプレイヤーにも伝えたよ。この事件は話し合いによって解決した。本人も自主してくれたし、そのパーティメンバーもそのことについては自分達が悪かったと謝罪した」

 

「何⁉︎解決だとぉッ⁉︎どこが解決しているんだ!()()()()()が解決出来ていないぞッ、自称騎士(ナイト)様ァッ‼︎」

 

「……じゃあ、その根本的な事、とはどういうものか説明してくれるとありがたいんだが…」

 

ディアベルはその明らかに焚きつけるような言い分を聞いてそれでも最後まで聞こうとする。ディアベルは人が出来すぎてると思ってしまうほど、寛容だ。横のキバオウとリンド(ふたり)は青筋を立てて怒りを露わにしている。

 

イヴァンなるプレイヤーは根本的な事が解決していないと言っているが、ネズハは武器を詐取された被害者達に謝罪もしたし、賠償もした。そんなのはない筈……俺はそう思っていた。

 

「その犯人にはどういう刑を下した……?その殺人者をどうやって処刑したんだァ‼︎」

 

「処刑……?言っておくが、彼はまだ存命だ。俺達攻略組は彼を殺してはいない!」

 

「甘っちょろいことを……他人に死を与えたるものには、死あるのみッ!これこそが正義だ‼︎」

 

爆弾発言の連発に攻略組全体が動揺を隠しきれない。俺だってそうだ。

 

「攻略組は犯罪者を野放しにするのか⁉︎それはそれは、良いご身分だなぁ‼︎それで他のプレイヤーはどう思うか……さぞ恐ろしかろう‼︎」

 

「待って‼︎彼らは直接人を殺したわけじゃ無い!彼のしたことは確かに許されないことだ……けど、殺すのは間違ってる!」

 

ユージオがその言葉に反論する。こちらもかなり怒り心頭なようだ。

 

「ユージオの言う通りだ!その人を殺して何になる?それで死んだ奴は帰ってくるのか⁉︎」

 

俺もすかさず加勢するとイヴァンは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。

 

「処刑を止めた貴様が言うなッ‼︎この攻略組にはその時処刑を実行しようとした勇気と正義を持ったものがいた……貴様がそれを邪魔したのだ、キリトォォッ‼︎」

 

奴の怒りの矛先が俺に向いた。理不尽極まりないが、俺はここで言い返さなければ、攻略組の面子に関わる。

 

「違う!それは正義なんかじゃ無い……その場の怒りや憎しみに身を任せた八つ当たりだ‼︎」

 

「キサマァァァッ‼︎‼︎」

 

「言い返せないから怒鳴っているんだろう!ここはこのデスゲームをクリアするために開かれてる攻略会議の場だ!そんな曲がった信念のある奴は出てってくれ‼︎」

 

「覚えていろッ、攻略組!私達のギルド《オプリチニク》の名を!今度会うときは殺す時だァッ‼︎」

 

俺の最後の言葉を聞いて負け犬の遠吠えをして広場を去って行った。

 

「……なんだったんでしょう…キリト先輩」

 

「……分からない…オプリチニク、か…」

 




次回《鼠との会合》

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