ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
今回でこの『殺人鬼編』は終わりです。次回からは月夜の黒猫団の話の続きになります。
次は、皆さんご存知『竜使い』のストーリーになると思います!
それでは、どうぞ!
○
「で、キリト。キッチリ話を聞かせてもらうよ」
「お、おうっ」
PK集団との一悶着があった後、僕ら攻略組は15層の主街区のとあるレストランに集まっていた。大きめの店だったが攻略組だけで埋め尽くされた。そして、ユージオ達に問い詰められている最中だ。
「まず、どうやって君が殺されずに済んだかっていうのはあの時話していたから置いておこう。けど、色々分からないこともある。まず、助太刀に来てくれたレジェンドブレイブスのみんなや、えっと………ランさん、そして、ベルとどうやって合流して来たか。特にベルについてだけど」
「じゃあ、ベル達との合流についてだな。まず、始まりの街に転移した俺はアルゴに連絡してユージオ達に偽の情報を流してもらってから、俺は他の協力者を探し始めた。とは言っても知り合いなんて限られてるから行くとこなんてそうそうなかったんだけどさ。それで俺はまず『レジェンドブレイブス』の協力を得るためにネズハに連絡を取った。協力してくれないかと頼んだら二つ返事で来てくれたよ。あの時は本当に助かった。ありがとう」
キリトがネズハ達に礼を言うとネズハは微笑みながら言った。
「いえ、どちらにせよ僕らは攻略組に参加する為に行く訳ですから。それに、やっぱりキリトさんの助言が欲しかったところです。攻略組の皆さんとは例の事件でご迷惑をかけてしまったので………やはり、入りづらいというか、何と言うか……」
二層攻略時に起きたあの事件の結末。それをまだ気にしているようで気まずそうにしている。
「……それで、だ。その時に剣を砂漠に落としたことに気づいたんだ。奴に剣を弾かれて砂漠に突き刺さってたろ?」
「うん、確かにそうだけど」
キリトの言うように剣は砂漠に抜き身で突き刺さっていた。それをロニエが拾った訳だ。
「それで、クイックチェンジとか、全アイテムオブジェクト化も試したんだけど間に合わなかったんだ。武器が無いことに気づいて試した時にはもう手放してから1日半経ってたからな。それで、武器のことは諦めて新しい武器を手に入れることにしてさ。それで、アルゴに15層のクエストで強力な片手剣がクエストリワードに出るものを調べてもらって、そのクエストを受けたんだ。そのクエストがスローター系のクエストでさ。その時にたまたま一緒になったランと効率良くクエストをクリアしようってことになって共闘した。それで、ランが『ユウキって言うプレイヤーを知りませんか?』って言うから、ユウキの事と俺の今の境遇を教えたら、手を貸してくれるって言ってくれたんだ」
「そうなんだ……ありがとね、キリト!姉ちゃんを連れてきてくれて!」
「いや、こっちこそクエストを手伝って貰ったんだ。礼を言うのはこっちだよ」
「ありがとうございます、キリトさん。私も助かりました」
「片手剣とカモフラージュ用の両手剣に鎧まで手伝って貰ったから、本当に感謝してるよ。ありがとう」
ユウキがキリトに無邪気な笑顔で感謝の意を伝えた。ランも微笑みながら礼を言った。
「それで、キリト。ベルとはどう会ったの?」
「………ベルとは、三日前に会ったんだ。事情も事情だったから、一応話は聞かせて貰ったけどさ」
「……それについては、俺が説明します」
キリトが話そうとした時、ベルが初めて口を開いた。
『『『………』』』
「………攻略組から身を引いた……あの詐取事件の時、俺は冷静ではありませんでした。少し、
「…良ければ、そのトラウマについて話してくれる?」
アスナがそう聞くとベルは俯きながらこう答えた。
「……………母親を事故に見せかけて殺された…それだけです」
「……ごめんなさい、思い出したくないものを…」
「いえ、あんなことをしてしまったんです。話さなければならないのはわかっていました」
ベルはあまり聞かれたくないのか、そのまま話を続けた。
「……それであれから二ヶ月程経った今、俺はやっと自分のやってることが何なのかを冷静に考えられました。だけど、俺は分からなかったんです。何故、キリトさんが彼を……ネズハさんを庇ったのか。だから、その理由を聞くために俺はPohを欺いてキリトさんを救う事を決意しました。だから奴に嘘をつき、キリトさんを守ろうとしました。結果、それは奴にはお見通しで、先にやられてしまいましたが………」
「でも、俺は気付いたんです。キリトさんが消える寸前、キリトさんの身体じゃなくて、コートの方が散っていくのを」
そう、その時自力で気づいたのはベルだけだったのだ。
「それで、キリトさんが奴らに自分が死んだように見せかけて何処かに移動したんじゃないかって考えたんです。このアインクラッドには転移結晶って言うからものがあるって聞きましたから。まだドロップしたって言うのは聞いてなかったですけど」
「キリトさんとはこの15層の主街区で会いました。キリトさんにはトラウマの件と詐取事件の時の暴走を止めてくれたお礼とお詫びをして、キリトさんの手伝いをする事を始めたんです。」
「……それについては俺も分かったよ。じゃあ、一つ聞きたいことがある」
その時、ディアベルが口を開いた。
「はい」
「……君は、攻略組に入る気はあるかい?」
ディアベルの問いに驚きながら俯いた。
「………」
「攻略組はこのデスゲームが始まった今、この人数では少ないぐらいなんだ。多いに越したことはないしね。それに君はボス戦経験者だ。君が入ってくれれば、百人力なんだが……」
ベルはしばらく答えなかった。
「……すいません。それは出来ないっス」
そして、悩んだ結果____いや、もう決めていたのかもしれない。彼は強い意思のこもった声で答えた。
「理由を、聞かせてもらって良いかな?」
「…俺に、攻略組に参加する権利はありません。俺は一度道を踏み外してしまいました。キリトさんやユージオさんに、剣を向けた事が何度もありました。俺は……償わなければならない。俺は、PK集団……
「……分かった。君の本当の意思が聞けてよかった。キリトやユージオ達も、そう思うだろう?」
「……ああ」
「君が、決めたっていうんなら……僕は止めないよ」
ディアベルもキリト達も止めはしなかった。
「……ありがとうございます」
「…ベル。聞きたかった事は、聞けたのかい?」
「_____はい」
最後のユージオの問いには微笑とともに答えた。
「俺はすぐにここを発ちます。奴らはオレンジカーソルになっている。カルマ回復クエストを受けるのも回数が限られてますし、奴はもう三回は受けました。あの時の為に3回とも使ったんです。だから、もうカルマ回復クエストのクリアは実質ほぼ不可能……そして、オレンジになっているから、アンチクリミナルコードが働く主街区のような圏内には入れない……なら、あの15層からは簡単には動けない筈。だから俺は今すぐに15層に行って奴らを追わなきゃいけない」
そう言ってベルはそのまま店を出て行った。『ありがとうございました』とその一言を置いて。
「……死ぬなよ」
「……お互いにっス」
別れ際にキリトとベルはそう言葉を交わしたのだった。
○
「さて、キリト君。まあ、色々とお疲れ様」
「ああ」
攻略組が各自解散した後。アスナがキリトに労いの言葉をかけた。先程まで話を聞いていた筈のロニエは疲れたのか、キリトにもたれかかるようにして眠っていた。
「君が何故攻略組の皆や、ロニエちゃんにさえも生きていることを教えなかったかは分かったわ」
「……うん」
「……でもね、許すとは言ってないから」
「……え?」
予想外の言葉にキリトが呆けた顔で振り返る。そこには何やら赤黒いオーラのようなものを揺らめかせたアスナが立っていた。
「例え死んだふりをしなきゃならなくなったとしても、ね」
「女の子を泣かせるなんて……サイテーです。キリト先輩」
「さすがの私でも、擁護できませんヨ」
「あやふやになってお終いなんて、駄目だよね!姉ちゃん」
「ええ」
「ちょm」
ティーゼやナギ、ユウキにランもキリトを責める。
「ごめん、キリト。止められないよ」
「え"」
ユージオにも見放され、キリトは完全に孤立してしまった。
「……罰は受けてもらうわ」
「ま、待ってくれ!確かに俺が全面的に悪いけど…だ、誰か俺の味方はいないのか⁉︎あ、アルゴ…ってもう居なくなってるし‼︎あいつ、裏切りやがったな⁉︎」
アルゴを頼ろうとするも、すでにその場からいなくなっていた。実は店の端から見ていたりするのだが、キリトが気付くことはなかった。
「……観念して下さい」(^言^)
「……ハイ」(´;ω;`)
その後、キリトは女子達にこってりと
ロニエ「皆さん、アニメ『ソードアートオンラインアリシゼーション』はご覧になりましたか?」
ティーゼ「いよいよ公理教会との戦いも終盤に近づいてきましたね。そして、なんといっても、先輩達の勇姿が思う存分に見られました!」
ロニエ「前回は騎士長ベルクーリ殿との戦いでしたね」
ティーゼ「……かっこよかったぁ……」
ロニエ「次回はカセドラル戦の総集編になるみたいです」
ティーゼ「皆さんもアニメを楽しみましょう!」
ロニエ「この『青薔薇の剣士』シリーズもよろしくお願いいたします!」
ティーゼ「それでは次回も」
「「お楽しみに‼︎」」