ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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大変遅くなりました!クロス・アラベルです!
リアルの方がかなり忙しくなってしまい、投稿ペースがガタッと落ちてしまいました……ごめんなさい…m(_ _)m
ちょっと短めですが、投稿します!
それでは、どうぞ!



努力は実ると信じて

 

 

「はッ……サチ、スイッチ!」

「う、うん!……ひゃっ⁉︎」

キリトがソードスキルの直後、モンスターがディレイしたのでサチに交代を指示する。サチは言う通りに片手剣と盾を構えてモンスターと戦おうとするが、モンスターがディレイから解かれ、攻撃しようと鎌を振り上げる。するとサチはその攻撃に対し目をつぶりながら盾を構えた。そのせいでうまく防御出来ずに反動でダメージを少し受けてしまった。それをみたキリトはギルド唯一の前衛であるテツオに指示を出す。

「…テツオ!サチのフォローに入ってくれ!」

「わかった!」

ここは20層《ひだまりの森》。キリト達と月夜の黒猫団の一行はそこでレベリングに励んでいた。

「おりゃあぁっ‼︎」

テツオはトドメとばかりにカマキリ型モンスターへ単発ソードスキルを打ち込んだ。するとHPゲージがゼロになったのか、モンスターはポリゴンとなって四散した。

「やった!レベルアップだ!」

全モンスターを殲滅し終わり、メンバーの各々レベルアップした。

月夜の黒猫団の指導に入ってから一週間、キリト達は五人を効率のいい狩場へと連れて行き、ただひたすらに戦った。今や月夜の黒猫団の平均レベルは30を超えていた。スキルの熟練度も程よく上がり、繰り出せるソードスキルの連撃数も増え、戦い方の幅も広がった。

だが、一つうまく行っていないことがある。それは、サチの盾持ち片手剣への転向だ。

この一週間、キリトが付きっ切りで教えていたのだが、やはり使いこなせていない節がある。

「………」

他のメンバーが喜び合っているそれをよそに、サチは片手剣と盾を見下ろして黙りこくっていた。

「……よし、じゃあそろそろ昼飯にしよう。もう12時過ぎてるからな」

「お!やっと昼ごはんか!」

「よっしゃー!早く食べよーぜ!」

「そうとなれば早くこのダンジョンから抜けよう。街に戻ってからにしないと…」

「じゃあさ、今日も天気いいしあそこで食べようよ」

「お、いいな!ピクニックだな!」

「おい、お前らはしゃぎ過ぎだぞ。モンスターが集まって来たらどうするんだ?」

メンバーは仲良く主街区へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

主街区のはずれにある草原で一行は昼食をとっていた。

「美味ぇ……疲れた体に行き渡るな!」

「サチの料理スキルも上がって来たね。なんだか前より美味しいよ」

「……えっ?そ、そうかな…」

美味しそうにサチの作った料理を頬張る月夜の黒猫団のメンバーの褒め言葉にぼーっとしていたのかそれとも考え事をしていたのか、遅れ気味に反応するサチ。今までより少し変なサチに月夜の黒猫団のメンバーは気づくことはなかった。因みに、キリトとユージオはロニエとティーゼが作った昼ごはんを食べている。ロニエ達は料理スキルを熟練度800まで上げており、その味はプロそのものだ。

遠目に見ていたキリト達は気づいていた。サチは悩んでいるのだ。自分の転向に時間がかかり、他のみんなに迷惑をかけているのではないか、と。キリトとユージオはそれにかろうじて気付いた。

「……俺、声かけてくるよ」

「待てよ、キリト。サチは女の子だよ?男の僕らが行っても快く話してくれると思うかい?」

「……まあ、確かに」

「…ティーゼ、ロニエ、頼めるかい?」

「はい、分かりました」

「任せておいてください、ユージオ先輩!」

ユージオはキリトを止めてティーゼ達に声をかけさせた。するとサチは笑顔で応じた。

「…大丈夫そうだな」

「まあ、女の子同士の方が話せるだろうし…」

ユージオ達はそれを遠くで見ていた。するとリーダーであるケイタが二人に話しかけてきた。

「二人とも、本当にありがとう。今までのレベリングなんか目じゃないほど効率がいいね」

「まあ、な」

「平均30台まで上がったから、ここら辺も楽になったんじゃない?」

「ああ、技術面で少し不安なところもあるけどね」

「仕方がないさ、プレイヤースキルって言うのはそう簡単に上がるもんじゃない。数値で表される訳じゃないからな。こればかりは実戦を積むしかない」

「ところで二人とも、新聞見たよ!」

「新聞?ああ、ボス戦か?」

「ああ!攻略組三十階層突破!」

「…新聞読んでるんだね、ケイタ。僕も読んでるよ」

キリト達は昨日、指導を休んでボス戦に挑んだ。結果、死者を出すことなくクリアした。

「すごいよ、キリト達は……俺たちじゃ、追いつかないのかって思っちゃうくらいに……!」

「いやいや、追いつけるさ。後レベルを7か8上げれば十分前線にも出られる可能性はある」

「そう、かな……なあ、キリト、ユージオ。俺たちと攻略組、何が違うんだろう?」

「……ンー、そうだな…………情報量、かな?」

「でもキリト。ディアベル達は全層の情報は全て公開してるから、それは大差ないんじゃない?」

「まあ、確かに……後は、プレイヤースキルとか、細かい所だろうな」

「そうか……俺は、やっぱり意志力だと思うんだ。仲間を守り、このアインクラッドにいる全プレイヤーを守ろうって言う意志の強さ……アインクラッドを攻略して、この世界から脱出する…そして、全プレイヤーを解放するっていうね。まだ俺達は守ってもらう側かもしれないけど、気持ちじゃ負けてないつもりさ」

ケイタはキリトとユージオの前で熱弁してみせた。それはまるで子供のような純粋な夢だった。

「さっすが、俺達のギルドリーダーだな!目指せ迷宮区ってか?」

「それも夢じゃないね!」

「うっひょー!そうなったら女子にモテモテなんだろうなー!」

ケイタの熱弁を聞いたダッカー達が口々にもて囃す。

「……一部盛大に勘違いしてるような気もするけど……でも夢じゃないよ。なれるさ」

まだ初々しい月夜の黒猫団のメンバーは、キリト達にとってとても眩しいものだった。前の自分達……第一層のボス攻略戦の時を思い出させる。

「先輩!」

ロニエ達がこちらに戻ってきた。どうやら話は終わったようだ。

「よし、それじゃあお昼ご飯を食べ終わったらまた一狩り行こうか」

『『おー!』』

こうして月夜の黒猫団とキリト達はレベル上げに勤しんだ。そのおかげでレベル的には攻略組との差は二、三レベルとなり、攻略組参加も目前に迫っていた。

 

そして、あの日も迫りつつあった。

 

 




次回《未来(ハッピーエンド)》来たれり》

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