ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
前世
序章
「プロローグ」
黒い大木の下。
そこで、彼らは出会った。
記憶の奥底、もう消されてしまったはずの思い出。
大木の下、斧を交換し合いながら、斬った。
昼時、日陰でもう1人の少女と共に昼食を食べた。
夕日を背に共に歩いたその道は、もう覚えていない。
3人で共に洞窟へ探険にいったことも。
そして、また彼らは出会った。
共に斧でその大木を斬り、共に旅をし、剣を振った。
共に学び、たまに喧嘩し、共に笑いあった。
様々な人たちと出会った。
そして、共に戦った。
あの世界の中心、『セントラルカセドラル』の整合騎士と渡り合い、白亜の塔を登った。
2人は、いつも一緒だった______
視界の中央にいる黒い外套を羽織った黒髪の純黒の瞳を持つ少年。
対峙する黒い人間…いや、堕天使のような形をした虚無の闇。
そして、キリト……桐ヶ谷和人の全てを知る少年……だが、この少年はすでにその世界にいない。キリトの唯一無二の大親友、ユージオは人界の最高司祭アドミストレータにキリト、アリス・シンセシス・サーティとともに戦い、命を落とし、アリス・ツーベルクとともにアンダーワールドから消滅した。それにも関わらず、少年はキリトの後ろに他の者には姿は見えないものの空中に浮いている。
そして、闇と2人の少年が一斉に攻撃を仕掛ける。闇は闇の剣と背中にある6本の翼を鋭い剣のような形に変形させ、キリトを切り裂こうと突進してくる。キリトは両手に携えた2本の神器である『夜空の剣』、ユージオがかつて使っていた、そして、ユージオの魂がいる『青薔薇の剣』を『スターバースト・ストリーム』で流星の如く振るい、虚無でできた6枚の翼から放たれる攻撃を弾く。
最後の一撃の直前、キリトは闇の攻撃を受け、左腕を切断されてしまった。切断された左腕は消滅した。
『○€#☆〒〆*/&#@‼︎‼︎‼︎‼︎』
訳のわからない、耳をつん裂く虚無の叫び。
飛び散る血。
そして、キリトに迫る虚無の剣。
その時、後ろにいたユージオが吹き飛ばされた青薔薇の剣を両手で持ち、虚無の剣を防ぐ。
そして、最後の言葉を紡ぐ。
『キリト、今だよ‼︎』
「ああ_____ありがとう、ユージオ‼︎」
これがユージオとキリトの最後の会話となってしまった。
キリトとユージオは見事、虚無の闇に打ち勝った。
そして、消える。もう、失った物は戻って来ない、そう言うかのように。
青薔薇の剣士、ユージオは『アンダーワールド』から消滅した。
『アンダーワールド』からは。
遅れました‼︎
クロス・アラベルです!
「前世」をお送りしました。
連続投稿です‼︎