ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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大っっっっ変お待たせしましたッ!クロス・アラベルです!
今回は原作アインクラッド2のストーリーになります。ただしキリト目線ではあまり書かないかもです。
それでは、どうぞ!


迷いの森と子竜使いの少女

 

 

 

『迷いの森』

それは35層にある森林系ダンジョンだ。大きな樹々がうっそうと立ち並ぶこの森は碁盤状に数百のエリアへと分割されており一つのエリアに入ってから1分経っと東西南北の隣接エリアへの連結が無作為(ランダム)に入れ替わってしまう。それに加えてその森で転移結晶を使っても街には飛ぶことが出来ず、この森の何処かのエリアへランダムにワープする。中には使う前と同じエリアに飛んだというプレイヤーもいる。そのおかげで地図を持っていないとそこから脱出するのは難しい。今までもこの森で地図を持たずに入っていったプレイヤーの多くは自力で森から帰ってこなかった。

あの攻略組でさえそれを恐れていたのだ。だが、その事を事前に調査して知っていたため、その前の街で情報を集めてその森の地図が売っている店に行き、大量に地図を買い込み、攻略組は安全にその森を抜けた。

その後も地図を持たずにその森に入って帰ってこれなくなったプレイヤーがいた。その為、攻略組は攻略組から地図を持った何人かを派遣し、この森に迷い込んでしまったプレイヤーを救助する、通称《迷子探し(ロストシーカー)》という仕事が出来る程この森は複雑にプログラムされている。

そんな曰く付きの森を抜けるためには地図が必須。それさえあれば迷うことなく抜けることが出来る。だが、その地図を全プレイヤーが持ってるかと聞かれれば、そうではない。パーティの中でも持っていないものがほとんどだろう。パーティの内1人が持っていればいいのだから。

「…っ!」

そして、少女___シリカは今更ながら後悔した。そんな森の中に1人歩いている状況に対して。

 

今考えれば些細なことだったのかもしれない。彼女はとある理由で中層付近では人気者だ。その可憐な容姿も相まって中層のアイドル的存在になっていて、パーティに誘われるのはしょっちゅうだった。

そして、二週間前、あるパーティに誘われた。男性プレイヤー4人に女性プレイヤーが1人いる、なんの変哲も無いパーティだった。『一緒に迷いの森でトレジャーハントしよう』と誘われた。断る理由も無かった。だが、パーティに加入し、森に入ってから後悔した。もう1人の女性プレイヤーのロザリアが夕方、順調にコルも稼げたので帰ろうとした時、こう言った。

「帰ってからのアイテム分配だけど、あんたはそのトカゲが回復してくれるからヒール結晶は必要ないわよね」

これにはシリカも黙ってはいられなかった。

「そういうあなたも、ろくに前衛に出ないで後ろから槍で突いていただけのように見えましたけど?私の武器は短剣です。基本的に前衛か中衛の遊撃しかこなせないんですから、私にはクリスタルが必要です!この子が回復してくれるとはいえ、クリスタルに比べればほんの少しです。あなたこそクリスタルが必要ないんじゃないですか?」

 

彼女が中層人気を博している理由、それは使い魔___テイムモンスターがいるという事だ。このSAOでは稀に攻撃的(アクティブ)モンスターがプレイヤーに友好的な興味を示してくる事がある。その機を逃さず、餌などで《飼い馴らし(テイミング)》に成功するとそのモンスターはプレイヤーの《使い魔》として様々な手助けをしてくれる。そんな稀有なプレイヤーは賞賛とともにやっかみを込めて、《ビーストテイマー》と呼ばれた。彼女もその一部だ。この使い魔獲得イベントが起こる確率は限りなく少なく、《同種のモンスターを殺しすぎていると発生しない》事が最近分かった。使い魔となり得るモンスター____殆ど小型モンスター____を狙って遭遇しても九割九分のモンスターがアクティブ状態であり、戦闘は避けられない。故意にビーストテイマーになろうものなら対象モンスターと数え切れないほど遭遇(エンカウント)し、イベントが起こらなかった時は全て逃亡しなければならない。そんな途方にくれる作業、誰がしようとするだろうか。しかし、シリカはそのイベントに偶然遭遇したのだ。何という幸運か。

種族名《フェザーリドラ》。ペールブルーのふわふわとした綿毛で身を包み、尻尾がない代わりに二本の大きな尾羽を伸ばした小さなドラゴンだ。しかもこのモンスター、そもそも滅多に現れないレアモンスターで、フェザーリドラに会う奇跡とテイミングイベントに会う奇跡、その二つが生んだ正真正銘の《奇跡》だった。

現実世界で飼っている猫の名前を取ってピナと名付けられた子竜はロザリアと喧嘩になったその時もシリカの頭の上で主人と共に怒っていた。使い魔は単なるAIで構成されているのだが、こう言う時の行動は不思議と普通のペットに似ている。

その後散々口喧嘩をした後、彼女はそのパーティを脱退し、1人でヤケになって森の奥へと入っていった。

 

それから二時間、彼女は森を彷徨った。幾度となくモンスターに出会い、その度に戦闘になった。徐々に彼女の疲労も溜まり、その度にダメージを受け、ポーションやヒールクリスタルを使った。この迷いの森は35層と中層に位置し、決してシリカが手こずるモンスターがいる訳では無い。

『きゅるるっ‼︎』

「……三体、?」

テイムモンスターにはそれぞれの特殊能力がある。その内の一つが索敵能力だ。プレイヤーにモンスターの接近を知らせてくれる。ピナはモンスターが近づいた事を鳴いて知らせた。索敵スキルによるとモンスターの反応が三つ。森の奥から姿を現したのは3メートルはあろうかと言うゴリラだった。瓢箪のようなものを背負い、粗末な木製の棍棒を持っている。ゴリラ型モンスターの《ドランクエイプ》。この迷いの森では最強に部類されるモンスターだ。だが、シリカは十分安全マージンを取っているので苦戦するような相手では無い。

「はあああッ‼︎」

シリカは戦闘を余儀なくされた。疲れた体に鞭を打ち、短剣を閃かせた。

まず前にいた一体にソードスキルを叩き込み、集中攻撃しHPゲージをレッドゾーンまで追い込む。すると、横からもう一体がシリカの目の前に入ってきた。レッドゾーンにまで追い込んだ方は後ろに下がってしまったので目標を目の前にいる二体目に変える。

「セイヤァッ‼︎」

またレッドゾーンに追い込むも先程と同じように最後の一体が横槍を入れてくる。その間に二体目は後ろに下がってしまった。そして、何故か無傷のドランクエイプ二体がシリカを襲ってきた。

「ッ⁉︎」

シリカは攻撃を回避して状況を確認する。

「え⁉︎」

シリカは数が増えたのかと思っていたが、それは違った。数は増えていない。後ろにいるドランクエイプHPゲージをよく見てみるとなんと回復している。手に持っていた瓢箪の中に回復薬(ポーション)が入っているようでそれを飲んで回復している。このモンスターの特徴はこの回復行動だ。二体から三体のドランクエイプは低レベルながらもお互いに連携を取ることが出来、初見のプレイヤーはこれによく驚く。この回復行動をさせない為に速攻で確実に倒さなければならないのだ。

シリカはこのモンスターと何度か戦闘しているがこんな経験は初めてだった。シリカが過去にこのモンスターと遭遇した時、パーティを組んでおり、この回復パターンを見ることなく素早く倒していたのだ。その為、この回復パターンをシリカは知らなかった。そして、彼女はソロプレイに慣れておらず、戦いにくい状況下での戦闘だった。

「っ!」

その間もドランクエイプの猛攻は続く。それでもシリカは三体目のHPゲージをイエローゾーンまで削り取った。

そして、トドメを刺そうと連続技のソードスキルを繋げようとしたその時、無理にソードスキルを発動しようとしたのが祟ったのか、上手くソードスキルを発動出来ず、空振りに終わってしまった。

それをモンスターが見逃す筈も無く___

『グルォオオオッ‼︎』

「きゃあっ!?」

ドランクエイプの攻撃がクリティカルヒットした。自分のHPゲージを見ると3割近く減っている。

レベル的にはこちらの方が上だが、ドランクエイプの持つ棍棒は木を削ったままの粗末な物だったが、その重量による基本ダメージとドランクエイプの筋力補正並びに片手棍スキルによりダメージが予想以上に高かった。

直後彼女の背筋に冷たい何かが走った。

このダメージ量だとあと3回食らえば____そう考えるだけで体が動かなくなる。辛うじて右手を動かし腰にある回復アイテムを使おうとするが、前の戦闘で回復アイテムを全て使い切ってしまった。

逃げようとするが、体は動いてくれない。当然だ。まだ齢十三歳、現実なら中学一年生なのだ。死の恐怖を直接感じた事など一度もない。

「…ぁ、あぁっ___」

『グルゥオォォオオ‼︎‼︎』

「がッ______⁉︎」

また一撃受けた。今度は通常攻撃ではなくソードスキルだ。先程よりダメージ量が多い。あと残るHPゲージは3割、イエローゾーンに突入した。先程のソードスキルを食らえば一撃で終わる。

顔が恐怖に染まり、きゅっと目を閉じた。その時_____

 

「きゅるるるっ!_________きゅ____」

 

鳴き声とともに何かが重い鈍器のようなもので殴られたような音と共に苦しそうな悲鳴が聞こえた。

 

「_______」

 

____信じたく無い。

その一心でゆっくりと目を開ける。彼女はゆっくりと錯覚したが、現実的には一瞬だった。

宙を舞う小さな一対の翼を持った体。()()は彼女の目の前に落ちてきた。

それは_____

 

彼女の心を支え続けた、《相棒(ピナ)》だった。

 

 

「________ピナぁッ!?」

すぐさま小さな腕で抱く。残酷にもドランクエイプの一撃でHPゲージが全て削られてしまったようだ。だが、このSAOではHPゲージは瞬間的に削れるわけでは無い。とても短いが、ゲージが削れるのにも時間がかかる。

使い魔とその主人に許された一瞬の猶予。その一瞬、ピナは主人(シリカ)を無垢な瞳で見つめて、目を閉じた。

そして、ピナはその小さな体をまるでガラスが割れるように儚く消えていった。

「嫌……私を置いていかないでよ!ピナ‼︎」

儚く散るポリゴン片をつかもうととする彼女だが、それは出来なかった。

『グルオオ……!』

悲しみにくれるシリカに追い打ちをかけるようにドランクエイプが棍棒を振り上げた。

が、それは振り下ろされることは無かった。

「_____?」

ドランクエイプはシリカの目の前で止まり、ポリゴン片となって消えていった。その直前に見えたのは白銀の一筋の閃光。

そこに立っていたのは______

 

 

黒髪の剣士だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、キリトからメッセージだ」

35層の主街区、そこにユージオ達はいた。

「誰か見つけたんですか?」

「みたいだね。これで今日の迷子探し(ロストシーカー)は終わりかな?」

「ですね。あと五分で交代ですし…」

今日はユージオ達の迷子探し(ロストシーカー)の当番だった。当番は2日置きに変わり、だいたい四、五人で回す。なので今回はキリト、ユージオ、ロニエ、ティーゼのいつものメンバーで来たのだが、ひとかたまりになって探しても効率が悪いということで、全員ばらけて捜索していた。その後、今日も計十人そこそこを無事森から連れ出し、残るはキリトが帰るのみとなったところで、キリトから迷子(ロスト)を発見したとメッセージが送られてきたのだ。そして、今回ユージオ達がここに来たのには迷子(ロストシーカー)の通常の理由ではなく、特別な理由があった。

「……ビーストテイマー、ですか」

「うん。キリトの記憶にあった通りだ」

そう、ユージオはここに取り残された少女がキリトに救われるというキリトの記憶を見たのだ。そして、その後に起こるであろう事件も。

「……よし、今回は話し合った通り、キリト一人に護衛を任せて僕らは例の《タイタンズハンド》がキリトとその娘を追うのを僕らも追うよ」

「…本当にそうするんですか?相手はレッドプレイヤーですし、キリト先輩の方がレベルが高いとは言えやっぱり私達もキリト先輩と一緒に行った方が…」

「大丈夫。彼らがキリトとその娘を襲うのは例のアイテムを手に入れたあとだから。ロニエ、そんなに心配しなくてもキリトはそんなやわじゃないよ」

「ですが……」

「大丈夫よ、ロニエ。キリト先輩がそこらの人に倒されると思う?」

「……思わない、けど………それでも万が一のことがあったら…」

「もうっ、キリト先輩を信じなさいよ!」

「……うん」

このユージオの提案にロニエはずっと不安を感じていた。やはり想い人が危険に晒される……もとい一人にするのは心配なのだろう。だが、本当の理由はそうではない。

「ユージオ先輩、あの事って知ってます?」

「あの事?」

ティーゼがロニエに聞こえないようにユージオとコソコソ喋る。

「……ロニエがキリト先輩のこと好きってことですよ」

「ああ、そのことね。一応知ってるよ。まあ、今までのキリトに対するロニエの行動を見てたらね」

「……(なのに私の想いは知らないんですか……?)」

「え?何か言った?」

ティーゼのボソリと吐露したユージオへの不満はユージオに聞こえなかったようだ。

「いえ……その、好きな人が他の異性と二人きりってなんだか不安になりませんか?もどかしく思ったりイライラしたり……」

「確かに感じたことはあるね」

「……今、ロニエはそれなんですよ」

「…ごめん、空気読めなくて……」

「いえ、まあ、自覚があるのなら日々意識してくれると助かるんですけど…」

ユージオは完全に理解したようで、今度から気をつけようと思った。

そして、ティーゼはユージオの好きな人が他の異性と二人きりになってイライラしたことがあるという事にすこしショックを感じた。

「じゃあ、キリトが戻り次第、キリト達の尾行に移ろう」

こうして、キリトとシリカ______この時点で三人は彼女の名前を知らないが______を見守る作戦がスタートした。

 

 

 




まさか、もうアニメ人界編最終回ですか……(´-ω-`)
ユージオぉ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
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