ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
大変遅くなりました…!
今回は予定を変更してユージオがティーゼに告白をした後日談を書きました。
次回からは本当に圏内殺人事件を書いていきたいと思います。
………ほんとにかけるのかな…?
○
とある宿の一室。
「____」
そこに彼はいた。
「……もう朝、か」
部屋の窓から降り注ぐ太陽の光が朝が来たことを知らせた。
「んん…」
ベッドで上体を起こし、両手を伸ばす。裸だった為、布団がめくれて上半身が顕になる。その体は10代にしてはかなり鍛えられており、どちらかと言うと女子と勘違いされるユージオも男らしく見える。いつも男らしくないという訳では無いが。
実はユージオはこのアインクラッドではかなり人気の男性プレイヤーで、3ヶ月に1度出される『鼠の攻略本番外編』にて掲載されている《人気男性プレイヤーTOP10》では常に3位圏内にいるのだ。因みに大体ユージオは1位か2位で、ついでディアベル、リンドと続く。何故キリトがそこに入っていないかと言うとアルゴがロニエのためにと名前を伏せているのだ。と、いうより常に真っ黒装備のキリトに対して王子様風イケメンのユージオはコーディネートもしっかりしており、キリトのようにいつも黒という訳では無い。だが、ユージオも無意識に青系の色を基調にしていることが多いのは否めない。
昨日、ユージオはティーゼと一緒に街へ出かけ、その後、37層のユージオにとって秘密の場所でティーゼの想いを伝えた。ティーゼは涙しながらも彼の
それを思い出すとあれは幻だったのではないか、夢を見ていただけではないのかと考えてしまう。
ふと、左側を見ると薄い布団の中にティーゼが眠っていた。
ティーゼもユージオと同じく裸で、布団がめくれて居ないので肩が露出している。
「……やっぱり、恥ずかしいね…////」
昨夜あったことを思い出してユージオは思わず顔を赤くしてしまった。
「……んぅ…、?」
その時、ティーゼが目を覚ました。彼女はまだ完全には起きていないようで、右手で目を擦りシーツを左手で胸に抑えながら上体を起こした。
「おはよう、ティーゼ」
「おはようございます、ユージオ先輩……いえ、ユージオ」
「無理して呼ばなくてもいいんだよ?まあ、そう呼んでほしいって言ったのは僕だけど…」
「いえ、これは、その……実感したいの。貴方の隣に入れることを」
顔を赤くしながらティーゼは彼の言葉にそう答えた。
「今日はどうする?昨日は休みだったけど、今日から攻略再開だし…」
「名残惜しいですけど、行きましょう。私達も攻略組の一員ですし、攻略を休むにしても連絡はすべきです。直接会って連絡した方がいいかと」
「そう、だね」
ティーゼは先程の言葉遣いとは違う、いつもの攻略時に見せる真面目な声をだした。
「じゃあ、支度をしてみんなのいる所へ行こう。多分会議が教会の近くでやるって聞いたし」
2人は支度を済ませて宿を出た。
○
「多分もうそろそろだと思うけど…」
59層の主街区に着いた2人は攻略組の会議が始まるであろう教会近くの広場に向かっていた。
その前に1度ユージオがとあるお店に寄ったが、それでも会議まで時間はたっぷりある。余裕を持って30分程前に到着するよう来たのだ。
「……♪」
ティーゼはご機嫌よく、周りに変に思われない程度に笑顔だった。何故なら今、ユージオとティーゼが手を繋いでいるからだ。しかも指を絡め合う俗に言う『恋人繋ぎ』。ユージオの右手を握るティーゼの左手には小さな蒼い宝石がはめられた指輪があり、ユージオの左手には小さな紅い宝石がはめられた指輪があった。これは彼女が心の底から望んだであろう幸せの絶頂。彼女にとってこれからの時間はどんなことにもかえられない、宝物となるだろう。
幸せの絶頂にいる2人を見て、周りのプレイヤー達は砂糖を吐きそうになったことだろう。
しばらく進むと、攻略組であろう団体が見えた。
「みんな早いね…?」
すると、攻略組の女性陣が走り寄ってきた。
「「「「ユージオさん、ティーゼ(ちゃん)!ご結婚、おめでとうございます!!」」」」
「「え!?」」
何故か彼女達はユージオとティーゼが結婚したことを知っていた。このことに2人は今までにないほど驚いた。何せこのことは誰にも知らせていないのだ。何故……と考えていると、キリトやエギル、クライン達もやって来た。
「おいユーの字ィィィィィ!!おめでとさんッッ!!」
「あたっ!?」
「コノヤロー!何俺より先にゴールインしてんだよォ!クッソォォ!羨ましいぜコンチクショー!!」
ユージオに突撃して右手を肩に回し左手で頭をグシャグシャにするクライン。約一年ほど前に攻略組に参加することとなったギルド《風林火山》のリーダーを務めている。こちらはうっすらと涙が浮かんでいるが、これは悔し涙か、嬉し涙か…
「クライン、そこまでにしとけよ。とりあえず………ティーゼとの結婚おめでとう、ユージオ。」
「Congratulation!!ユージオ!やっとって感じだな。もう待たせちゃいけねえぜ?」
「みんな、なんで知ってるの?僕らは何も言ってないのに…」
「まあ、こういう情報っていうのは以外にも広まりやすいんだよ、ユージオ」
するとキリト達の後ろからディアベル達がやって来た。
「ディアベルも知ってるのかい?」
「ああ。もうとっくに攻略組には広まってるよ」
「い、一体誰が…あの場にいたのは僕とティーゼだけだったハズ…」
「私達、常時索敵スキルを発動させてるのに……なんの反応もなかったですよ?」
するとナギが言った。
「二人とモ?餅は餅屋と言うことわざが日本にはありますヨネ?じゃあは情報は……?」
「「……も、もしかして…!」」
その言葉にはっとなる2人。すると真後ろからこの情報を流した犯人の声が聞こえた。
『にゃはは、そのまさか、なんだよナ』
「「あ、アルゴ(さん)!?」」
「いやぁ、ユー坊を探すのに手こずったゾ。昨日鍛冶屋で指輪を作らせて欲しいだなんて言うのを偶然聞いちゃったもんだかラ、何かあると思って尾行してたけド、いきなりペアの指輪を作っていかにもって感じの箱に入れてストレージにいれるなんてサ………誰でも追いかけたくなるダロ?」
「………待って。ってことは、あの話も聞いてたの?」
見事な情報屋魂……もといストーカー魂を見せるアルゴにユージオは恐る恐るあることを聞いてみた。そう、ユージオが話した『学院』や『キリトの過去』、現在の人間であるアルゴには分からない、そして、怪しい言葉を聞かれたとなると厄介なことになる。それについて質問されればどうしようもない。
「あの話?ああ、プロポーズの言葉カ?聞いたヨ。『家族や友達としてではなく、その______異性として。卑怯だと分かってる。けど、伝えなきゃ収まらないんだ。この気持ちは____結婚して欲しい』ってサ!」
「…そ、そっか……ならいいんd………って良くない!!!!誰がストーカーしていいって言ったのさ!普通ダメなくらいわかるでしょ!?」
「情報屋の性サ!でもそのうち言うつもりだったんだからいいだロー!」
「……はぁ」
「あははは……」
するとディアベルがユージオとティーゼがここに来た理由を聞いてきた。
「じゃあ、休暇が欲しい…ってことでいいか?」
「あ、うん。報告とそれを頼みに来たんだ。」
「分かった。そうだな……10日……いや、2週間程くらいならどうだい?こちらもシヴァタとリーテンも休暇を取ってるから、そこまで長くは出来ないが……」
「いいよ。休みが貰えるだけでも十分だよ」
「そういや、ユージオ。結婚したってことは、家も買ったのか…?」
「当たり前だろう?それこそ宿に寝泊まりなんてティーゼにそんな可哀想なまねなんかさせないよ……ティーゼにも帰るべき場所って物が必要なんだよ」
「…そうだな。心配御無用だったな」
「ティーゼ!そろそろ行こう。」
「ん?おいユーの字!もう行くのかよ!」
「うん。この後ちょっと用事があってね。」
「できる男は違うな、ユージオ。尊敬するぜ?」
「エギルは僕なんかよりもっと出来てる気がするけど……」
「もう行くんですか?」
「君に見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの……?」
「うん。まぁ、目的地に着いてからのお楽しみって事でね」
2人は攻略組と別れ、32層……2人の結ばれた層へ向かった。
○
「これって…!」
「うん。僕らの家だよ」
2人が辿り着いたのは、山の上に立つ、一軒の家だった。二階建てでは無いが、2人で済むには広過ぎるのではないかと思うくらいのログハウスだった。
「こんなものをいつ……?」
「攻略組のみんなと会う前にちょっと買い物に行ってくるって言ったでしょ?あの時にね」
「ユージオ……!!」
ここが、彼らの帰る場所______2人、アンダーワールド人にとって現実世界に帰る場所はないかもしれない。だからこそ、ユージオはどこか帰る場所が必要だと考えた。ここが我が家だと、安心できる場所が。
「まあ、まだ家具の方は準備出来てないから、少し部屋を見てその後で家具を買いに行こうか」
「そうね…ありがとう!ユージオ……!!」
2人は我が家になったログハウスの前で熱い抱擁を交わしたのだった______
これから、結ばれる事のなかった2人の、幸せな日々が始まろうとしていた___