ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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案の定遅くなってしまいました、クロス・アラベルです。
原作を読みながら間違わないようにしたのが仇となりました(汗)何回か書き直してしまう結果に…
が、多分間違ってるとこもあると確信しています。
はい、ちょっと今回はサブタイトル通り推理のお時間です。原作にはなかったロニエから見た圏内殺人事件も書いてますのでちょっと展開の仕方が違うと思います。
それではどうぞ!



推理

 

 

「先輩、どうでしたか?」

「ダメだった。まぁそもそもこの圏外じゃ攻撃しても弾かれるだけだから無意味だったかもな」

「犯人には逃げられて、ヨルコさんは……」

「……ヨルコ…」

帰ってきたキリトとロニエを混じえて結果を出し合う。キリトは犯人を取り逃し、ロニエは証拠品を持ち帰り、アスナは他のプレイヤーを見ることは無かった。

「……シュミットさん、あんたは宿の部屋出ないでくれ。分かっていると思うが、外出は出来るだけ控えてくれ」

「……ああ」

「俺達はあんたを元の宿に送って行く。ロニエ、アスナ。話はその後だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とあるレストランの向かいにあるテーブルに3人は集まった。そこはグリムロックがよく通っていたというレストランだ。3人はもう直接本人に聞くしかないという結論に至った。

その向かいにて三人の会議が始まった。

「じゃあ、さっきの事件についてまとめておこう」

「……ヨルコさんが亡くなりました」

「それだけしかないじゃない…」

沈み込む二人に、キリトは真剣な表情で言った。

「いや、今回ヨルコさん殺人事件で新たな情報を得られた」

「新たな、情報ですか?」

「ああ。今回、ヨルコさんが短剣で刺された直後、その窓の向こう側の建物の屋根の上に黒いローブを着た誰かがいた。しかもそいつは幽霊みたいに音もなく消えたわけじゃない。ヤツは転移結晶を使っていた」

キリトは黒いローブのプレイヤーを追って見たことを報告した。

「少なくとも相手は幽霊なんかじゃなく、プレイヤーだってこと?」

「ああ。間違い無いぜ。幽霊ならそんなもの使わなくとも瞬間移動でもなんでも出来るだろ」

「それについては分かんないけど、十中八九相手はプレイヤー……なら私達も渡り合える」

「そうですね。あとはこの事件の最重要事項でもある…」

「圏内殺人のカラクリを暴くだけだな」

「さて、改めてどう思う?」

「……私から言える事は無い、かな」

「俺も、あんまり無いな」

「えっと……私、ヨルコさんが消えるところをずっと見てたんですけど……」

するとロニエはヨルコの死際に見た出来事を話し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何かを、呟く……でもさ、死ぬ寸前に何かを言い残すことって当たり前じゃないか?そんな特別な理由があるようには思えないけど…」

「確かに、キリト君の言う通りね」

ロニエが説明した出来事に二人はあまり関係がなさそうだと答えを出した。

「でも、あの口の動き……どこかで見た気がするんです」

「……少し、無理矢理過ぎないか?」

怪訝な表情でキリトは言う。

「ならもうひとつ、ヨルコさんが消える瞬間に何か違和感があったんです」

「その心は?」

「先輩、プレイヤーがHPゲージを全損して消える時のエフェクト、見た事ありますか?」

キリトはロニエの問いに顔を顰めつつ答えた。

「…………ああ」

「プレイヤーのHPゲージが全損し、プレイヤーか消える瞬間……プレイヤーの体全体がブレるんです」

「…そうね」

このアインクラッド……デスゲームの中では全てがシステムによって支配される。全てを、平等に。HPゲージが全損したプレイヤーは数秒後、必ずそのアバターが無数のポリゴン片を散らして消え、現実世界でナーヴギアが現実の体、脳を電子レンジで生卵を温めるが如く焼く。どんなプレイヤーであっても、これだけは変わらない。

そして、残念ながらユージオ達はすべての命を救えたわけでは無い。救えなかった命もあった。目の前で消えていった命もある。

「はい。私はヨルコさんが何かを言った直後、ヨルコさんを助けることは不可能だと思ったのでヨルコさんが消える瞬間を注視したんです。そしたら……」

「そしたら…?」

「ヨルコさんの体自体はブレてなかったんです」

「…?」

ロニエの言葉に首を傾げるアスナ。黙り込むキリト。

「ぶれていたのはヨルコさんの来ていたローブでした」

「……待ってくれ。ロニエが言いたいのは、死亡エフェクトが通常より違うから、若しかするとヨルコさんは死んでないって事か?」

「はい」

ロニエの証言からキリトはロニエが言いたいことを当てるが、やはりそうだとは思えないらしい。

「…ロニエ、でもそれはおかしくないか?」

「一体死んでいないヨルコさんが今何処にいるか、ですよね?」

キリトの疑問。それについてはロニエも予想していた。

「ああ。それにヨルコさんにもそんなことをする動機がない。ヨルコさんは奇跡的に死なずに何処かに行ったとしても、何故俺達の前に現れない?普通知らせてくれるだろう?」

「それに……ヨルコさんがどうやって別の場所に移動したの?ロニエちゃんは見ていたんでしょう?ヨルコさんが消える瞬間を。なら尚更じゃないかしら」

「はい、私じゃその方法や動機がわからないので、3人で議論したかったんです」

ロニエの証言と、ロニエの推理。ロニエは確かに現実世界の住民では無いが、ロニエなりの答えを出した。不完全なものではあるが、彼女にしては上出来だろう。

「でも、死んだように見えて尚且つ何処かに瞬時に移動する方法なんて無いでしょう?」

確かにアスナの言う通りである。彼女が生きていて、違うどこかに瞬時に移動しているとするならば、システム的に様々な壁がある。

「そりゃそうだろ?瞬時に遠くに移動するくらいだったら、転移結晶で……」

そう、キリトが唯一の瞬間的転移方法である転移結晶のことを言った直後。

「……まさ、か…」

「先輩?」

キリトはこの圏内殺人の謎を、完全に解いた。

「………俺とした事が、忘れてた…」

「何をですか?」

キリト自身も同じことを過去にしたことがあるではないか。

「Pohに俺が殺されかけた時のこと、覚えてるか?」

「覚えていないとでも言うんですか?」

「滅相もございません」

ロニエが一瞬キリトをゴミを見るような目で返事をした。ロニエがキレるのも仕方ない。それなりの事をキリトはしてしまったのだから。

キリトも理解しているようで肩を震わせながら即答した。

「…その時、俺は確かに奴に殺されそうになった。あのままいけば死んでただろうな。でも俺は生きのびた。どうやって逃げたかはみんなにも話しただろ?」

「はい。確か、コートが消える寸前にそのコートの消えるそのエフェクトをカモフラージュにしながら転移結晶を使ってはじまりの街に…」

「そう。それなんだよ!」

「……じゃあ、あの時キリト君がしたって言うその方法を使って私達の目を欺いたってこと!?」

「ああ。ロニエ、言っただろ?ヨルコさん自身の体はぶれてなかったけど、マントだけブレてたって」

ロニエの証言とキリトの過去の体験、それが完全に一致した瞬間である。

「多分そうだと思う。ロニエがヨルコさんが消える寸前何かを呟いていたって言うんなら、確定だろう。転移結晶による転移時に転移先の街の名前を言わなきゃならないだろ?ヨルコさんはそれを聞かれたくなくてわざと窓の外に体を投げ出したんだ。下に落ちて仕舞えば街の名前も聞かれづらいだろうからな」

「じゃあ、カインズさんの死も同じと考えて良さそうですね」

「んー……それは…」

「ロニエちゃん、それは流石に無理があるわ!だって私たちは実際に見たんだもの!カインズさんの名前が生命の碑から消されていたのを……!2人も見たでしょう!?」

「それについてだけど……」

アスナの疑問にキリトが答える寸前、キリトの後ろから聞き慣れた声がした。

『何故生命の碑から名前が消されていたカ……それは、生命の碑を見る以前の問題サ』

「「アルゴさん!?」」

「お、思ったより早かったな」

そう、情報屋『鼠』のアルゴだ。

「ヨっ!ローちゃん、アーちゃん。事件解決はもうすぐダゾ」

「何故アルゴさんが…?」

「情報屋のおれっちが来たんだ、何故来たかなんて聞く方が野暮ってもんだゼ?」

「んで、頼んでた情報は調べられたか?」

「でなきゃ来ないヨ。全く、たった4時間で調べてきたおれっちの努力を褒めて欲しいくらいダ」

「それはお見逸れしました、っと」

キリトはアルゴに依頼の代金を500コル金貨を指で弾いて渡すと、アルゴは「毎度アリ」とそのコインを落とすこと無く受け取った。

「はい、これが例のブツダ」

「なんかその言い方だと変な薬受け取ってるみたいに思えてくるから止めてくれ…」

「ニシシ」

アルゴが巫山戯ながら渡してきたのはとあるスクロールだ。

「じゃ、おれっちはこの辺でナ!依頼が結構立て込んでるんだヨ」

そう言ってアルゴは夜の帳へと消えていった。

「先輩、何ですか?それ…」

「アルゴが調べてきてくれたとれたてホッカホカのブツだ」

「真面目に答えなさい」

「アッハイ」

アスナに冷たい声で言われながらそのスクロールを開く。そこに書いてあったのは______

「……プレイヤーネーム?」

「イエス。さあ、この書かれた名前からどんな共通性があるか答えなさい」

「……黄金林檎のギルドメンバーですか?」

「ロニエよ、早く言い過ぎると面白くないじゃないか…」

「面白みは求めていませんので」

「……ロニエまで冷たくなってるぞ…」

そう、ギルド『黄金林檎』のギルメン全員の名前だ。

「…フムフム………よし、やっぱりか」

「やっぱりって……何がやっぱりなんですか?」

キリトはそのスクロールを俯瞰し、思った通り、と言わんばかりに2人に問いかける。

「さて、ロニエ君、アスナ君。このスクロールを見て何かおかしいと思わないかね?」

「「?」」

そのスクロールを渡された2人はそれを見て、考える。

そして、先に気付いたのは意外にもロニエだった。

「あれ?カインズさんの名前がありませんけど…」

「正解だ、ロニエ君。だがそこには既にカインズさんの名前は書いてあるぜ?」

ロニエはキリトのその言葉にすぐさま気付いた。

「…あ、もしかして、綴りの違いですか?」

「素晴らしい観察力だな。正解だ」

「綴り?」

「はい。私達が知っているカインズさんのプレイヤーネームは『Kainz』ですが、ここに乗ってるのは『Caynz』なんです。だから、若しかすると私達が生命の碑で探していたのは全く持って別人の名前…ということになります。」

これにはアスナも思わず舌をまいた。

「おおよそ、お二人はもう1人のカインズさん…Kainzさんの死を知ってこのトリックを思いついたのではないでしょうか?同じ日、同じ時間、同じ死に方…それを色んな人達の前で再現することで幻の復讐者による裁きだ、と……そういう風に仕立てたんだと思います」

「何から何まで解説ありがとう、ロニエ。ま、そういうことだ。」

「でも、ヨルコさんは『Kainz』って……まさか、それが嘘だった……てこと?」

「そう。団長さんが言ってただろ?『自分たちの目で見て耳で聞いて肌で感じたことを信じることだ』ってさ。それ以外は虚偽が入り込む余地がある……だったか」

「正に的をいていますね」

「ああ。ホント、団長サマサマだぜ」

「ヨルコさんが嘘を言っていた……なら、カインズさんとヨルコさんは共謀してこの事件を起こした…?」

「ああ。理由は多分、半年前のギルドリーダーであるグリセルダさん殺害事件だろうな。噂の指輪のことを知っていたのはギルドメンバーだけ…なら、身内に犯人がいる。それでどうにか犯人を探し出そうとして2人が考え抜いたのが、このトリックだったんだな。」

「…じゃあ、犯人は誰だったんでしょうか…?」

「多分シュミットなんじゃないか?俺たちの知ってる奴でまだ生き残っているのはあの人だけだしな。今頃ご本人に2人が問い詰めてるとこじゃないか?グリムロックさんと一緒に」

「グリムロックさん…!」

「それはそうよね…だって自分にとって一番大事な人を殺されたんだもの。でも………シュミットさんを殺したりなんかしてない…わよね?」

不安そうにアスナは声を零した。

「保証しかねるけど…多分大丈夫なんじゃないか?あの二人は殺さずに問い質すことを目的としてるんだと思う。」

「お二人はどこにいるんでしょうかね…」

「……グリセルダさんのお墓、でしょうね」

グリセルダの墓、19層のとある圏外のとある丘にある小さな墓石だ。そこにはグリセルダが遺した唯一のアイテム_____剣や盾、ギルドシギル、結婚指輪などの遺品が埋められた場所だ。剣や盾などの大きなアイテムはもう壊れてなくなってしまったが、指輪などの小さなアイテムは耐久力が絶対に減らないという魔法のアイテム『永久保存トリンケット』の中に入れられて当時のままだ。

「ああ、あそこまで恐怖していたんだ。自分がいつ殺されるかもう分からない、そうなったら、この仇討ちをしている本人の前で罪を告白して懺悔する…そうなると、思う」

「2人はこの『幻の復讐者』を作り出した結果、唯一恐怖に駆られて行動を起こしたのがシュミットさんだった……」

「……じゃあ、シュミットさんが半年前グリセルダを殺した犯人という事ですか?」

「そうなるな」

「でも、あの人にはそんな殺人鬼の狂気じみたものは感じませんでしたよ?それに彼は攻略組ですし…」

「…人を殺す奴誰もが狂気じみてるわけじゃないけどな。でもシュミットの反応からして演技ではなかったような気がする。例の指輪を巡って言い合いになり、カッとなって……いや、グリセルダさんが1番強かったって言う言葉を信じるなら簡単に負けるとは思えないし…若しかすると本当に睡眠PKを…?」

「どちらにせよ、俺達が首を突っ込むのもあれだしな。今回は2人に任せよう。多分、2人なら正しく裁いてくれるさ」

キリトはそう言って胸をほっとひと撫でした。

「……先輩。本当に…グリセルダさんを殺した犯人なんでしょうか?」

「?」

が、ロニエはその結論に疑問をぶつける。

「いえ、その……プレイヤーに故意にダメージを与えた場合そのプレイヤーのカーソルが緑色からオレンジ色になるんですよね?」

「……確かに、1度プレイヤーを傷付けたらオレンジプレイヤーになるから、ギルドメンバー達にすぐ勘づかれるわね。すぐさまカルマ回復クエストをクリアするのは不可能って聞くし…」

「あれ3日ぐらいかかるからな。やっぱレッドを雇って…?」

「……先輩、3人を追いかけませんか?すごい不安なんです」

不安、とロニエは言うが本当の理由は違う。

ユージオはこの事件についてキリトの記憶から予知()ていた。そして、彼はこう言った。『この事件はラフコフが関係している。Poh達が絡んでいる』と。

今の今までPoh達が直接的な関与をしていない。キリト達と対峙していたとするなら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「あの二人は殺しまではしないよ。グリセルダさんのお墓の前でそんなことしないと思う。だって、グリセルダさんは正義感が強かったって聞くけど…多分彼女は犯人を殺してくれとまで願っていない筈さ。本人に会ったことも無い俺が言うのも可笑しいかもしれないけどな」

ロニエはユージオの未来視の事を言うのは憚られる。ならば他の理由を提示するまで。

「先輩。シュミットさんがもしグリセルダさんを殺したとして彼はその例の指輪を手に入れられたんでしょうか?」

「どういう事だ?」

「いえ、その……確かに、普通のプレイヤーが死んだらアイテムは普通装備している剣や盾以外は消える訳じゃないですか。なのにどうしてシュミットさんはグリセルダさんの寝首をかく要領で殺して手に入れようとしたんでしょうか?」

考えながらも言葉を紡ぐロニエ。

「…いや、でも、彼女は指輪を装備していたらその指輪も落ちるだろ?」

「……ヨルコさんからグリセルダさんとグリムロックさんはとても仲が良かった夫婦だと聞きました。それに、戦闘中であっても結婚指輪を外さないと…」

「?」

「グリセルダさんはギルドリーダーだった訳ですしギルドシギルの指輪もしていたとしたら、グリセルダさんは左手に結婚指輪、右手にギルドシギルの指輪も装備していたことになります。このアインクラッドでは片方の手につき1つしか指輪を装備出来ない…なら、その例の指輪をはめる手は……無かったことになるのでは?」

「…じゃあ、ロニエはこう思う訳だな?『グリセルダさんは例の指輪を装備せずストレージに入れていた』って」

「はい」

「確かに…一理あるわね」

「…でも、その時はたまたまどちらかを外して例の指輪をはめていたら?」

「いえ、その……」

「キリト君。ヨルコさんは言っていたでしょう?グリセルダさんのお墓には結婚指輪とギルドシギルがあったのよ?その2つがあるのなら……分かるでしょう?」

ロニエの意見にアスナは賛同する。

「…そうか、確かにな…」

「じゃあ、例の指輪は消えた…ってこと?」

「いや、その事を知らないシュミットじゃないだろ。知っている筈だ。例え彼がレッドに頼んだとしても、そのレッドが気づく筈_____」

その時、キリトは気付いた。

「まさか、指輪が消えることなんて分かってて殺したのか…?」

「でもそれじゃあ彼女を殺す理由にならないじゃない」

「……先輩」

「なんだ?」

「結婚している2人のうち、片方が死去した時って、アイテムってどうなるんですか?」

「…いや、結婚とかの情報は分からない…」

「代わりに答えるけど、多分生きている方のプレイヤーに渡るんじゃないかしら。結婚したら2人のアイテムストレージって()()()()()らしいし」

「「___________」」

その時。

2人の中でバラバラになっていたピースがひとつになった。

「行くぞロニエ!!」

「はい!!」

「え?2人ともどこに行くのよ!?」

2人は居てもたってもいられず19層のグリセルダの墓へと急いだ。

 

 

 

 




ちょっと端折ってる所もありますので、御容赦を…
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