ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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お待たせ致しました!クロス・アラベルです!
さて、今回はリズ編(結構端折り)です。本当に……リズの出番は無いです。ていうか、殆ど面倒のいい姉ちゃんと化してます。リズファンの皆さん。本当にごめんなさいm(_ _)m最近はかなりスランプ気味でして……更新も遅くなってしまいましたし、今回の話は駄文です。ホントに…(白目)
因みにこの話で出てくるリズさんはロニエが持つキリトへの想いを既に知っています。
それでは、どうぞ〜…
それではどうぞ〜


ロニエの悩みとキリトの想い

 

 

「うーん……」

「まあ、キリト先輩は確かにその……鈍感だものね…」

ユージオとティーゼが復帰してから1週間と少し。

ロニエとティーゼは第3層の大樹の喫茶店に来ていた。その理由は1つ。

ロニエの恋愛相談である。

「むぅ…」

「……でも、ロニエも攻め無さすぎなんじゃない?」

「え?」

「私だって何回だってアピールしたのに、ロニエったらキリト先輩の後ろで……」

ロニエはキリトに対して恋心を抱いてはいるものの、やはり、前世の……アンダーワールドでの記憶がキリトに対する想いを隠している節がある。アンダーワールドでは、キリトはステイシア神として降臨したアスナと夫婦となった。ロニエは知らないが、ロニエが死んでからも星王として、アスナはその王妃としてアンダーワールドを治めた。

それが歯止めとなっているのか……ハッキリとロニエはキリトに想いを伝えられないまま、引きずっている。

ロニエも自覚しているが、なかなか出来ていない。

「もう、告白しちゃえばいいじゃない」

「ええ!?でも、キリト先輩は、その……」

「……はあ、あなたってそんなに奥手だっけ…」

キリトもチキンだが、ロニエもロニエである。

「早くしないと取られちゃうわよ?アスナさんは勿論、シリカちゃん……もしかするとユウキや、ランさんだって可能性があるわ。これから増えるかもしれないし…」

「ぅ……そ、そうなんだけど…」

「学院でも先輩人気だったし……あの時はアタックする子がいなかったけど、今は違うわ。私だってサポートしてあげるから…」

「……う〜〜!////」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶえっくしょい!?」

「……やっぱり寒いんじゃない」

「う、うるさいな……寒さのクシャミじゃない、誰が噂してるんだよ」

「誰がアンタを噂すんのよ」

「分からないけどさ」

「そらそうよねー。店の商品(最高傑作)を店長の前で叩き割るしねー」

「そ、それはごめんって言ってるだろ…」

「ふん」

「そんな恨みを持つなy……へっくしょい!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まず、あなたはもうアスナさんよりも長くキリト先輩のそばに居るんだから……もっと自信を持っていいのよ?」

喫茶店を後にし、プレイヤー達の営むバザーを歩きながら見ていく二人。

「…でも、キリト先輩はアンダーワールドのことを知らないし、勿論私達の事も全て知らないし……」

「何言ってるの?アスナさんの事だってキリト先輩にとっては知らない人と同じなのよ?だってキリト先輩達の元々の世界……リアルワールドで会ってもないんだから。キリト先輩の事よ。最近分かってきたけどあの人結構人見知りな所あるから」

「…初めはちょっと距離を取ろうとしてたもんね…」

ロニエ達がこの世界でキリトと初めて会って少し。キリトはロニエ達のことを少し避けていた。本来現実世界のことを持ち込まない事がルールのこの世界。だが、誰しもが思うであろう。

《現実世界ではどんな人なんだろう》

この世界で見ている姿と実際に現実の姿。たとえデスゲームになってアバターと現実の姿が一緒になったとしても……

やはり、キリトにとって現実とかけ離れていることに違いはないのだから。

ロニエ達は知らないだろうが、キリトは周りとの繋がりを断つかのようにゲームにのめり込んだ。血の繋がりの無い両親、そして妹。それはこのゲームに入る時の…齢14だった桐ヶ谷和人にとって、十分すぎる理由だった。

「今やあの人の右腕なんだから、もっと猛烈にアタックすればすぐ堕ちると思うけど」

「……」

「まあ、どうするかはロニエ次第よね。言い過ぎちゃったわ。ごめんね」

「ううん、私もその……もうちょっと主張すればいいんだけど…いざ先輩が目の前にいると…」

「まあ、緊張しちゃうのは分かるわ。でもいつかその緊張を跳ね除けて先輩にアプローチすることになるんだから」

「……うん」

「暗い顔しない!はい、これ」

ロニエはティーゼに何か紫色の丸い粒が入ったドリンクを渡された。

「……これは?」

「巷で噂のタピオカアイスティーだって。私、飲んでみたかったのよね!」

「タピオカ?」

ロニエ自身、アイスティーの意味は知っていた。だが、タピオカがイマイチ分からない。

「モチモチしててね、なんて言うか、その……パンをもっと柔らかくしたみたいな感じかしら」

ストローからチューっと飲んでティーゼが感想を述べる。

「…ん、ちゅー……あ……美味しい…!」

それにつられてロニエも3粒ほど口に入れてみる。すると色とは裏腹に案外美味しかったようだ。現実世界で流行っていたタピオカを出来るだけ再現したその擬似タピオカはロニエ達にも気に入られたらしい。

「……いつかは、私自身の気持ちに…正直にならないと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アインクラッド55層、西の山。そこを総べる白竜の巣の中にて______

「で、ロニエとはどうなのよ」

「は?」

鍛冶屋リズベットからキリトは尋問を受けていた。

「……どう、と言うと?」

「分からないフリしてるんだったら凶悪よね」

キリトは新しい剣を作ってもらう為にリズベット武具店へと訪れた。(因みにロニエの勧めでやってきた)その後初対面の彼女の目の前で自信作だった紅い片手剣をキリトの剣___エリュシデータ(魔剣級の化け物)でへし折ってしまった。ドロップ剣なんかには負けたくなかったリズベットはキリトにぐうの音も出ないような最強の片手剣を打ってみせると怒鳴り散らした。その最強の片手剣の材料回収のためにこのフィールドダンジョンに来たのだが、目的の白竜に二人まとめて大穴___まだ2人はこれが白竜の巣だとは知らない____に落とされてしまい、その大穴の底で一夜を過ごすこととなった訳だが…

二人は寝袋(2セットともキリト持参)に包まって寝ようと思っていた。が、ふと、リズベットが言った言葉にキリトを喉を詰まらざるを得なかった。

「結構長くいるんでしょ?だったら普通より熱い想いってものがあるんじゃない?」

「……」

リズにそう聞かれてキリトはふと考え込む。そして、途切れ途切れに話し始めた。

「……確かに、このアインクラッドではお世話になってるな。アインクラッドが始まって、第1層のボス攻略前からの付き合いだし…」

「ふーん……それで?」

「気付いた時にはいつもそばに居てくれたし、一緒に戦ってくれた。ユージオ達もそうだし……何より、ロニエは…俺が辛くてたまらない時に、何も言わずに頭を撫でてくれたんだ。なんか、その……結構落ち着くんだよな…アレ…」

「……で?」

「ここまで約1年と4ヶ月。俺たちにとって長くも短いもんだったなぁ…って思うけど、その、さ…」

「?」

「確かにロニエは可愛いさ。料理スキルも裁縫スキルもカンストしてるし、いいお嫁さんになるんだろうなって思う」

「……あんたはその戦闘面、家庭面両立のロニエのどこがダメだっていうのかしら」

「…いや、ロニエはさ。俺の事を初めて会った時から『先輩』呼びなんだよ」

「それがどうかしたの」

「……だって俺自身俺を先輩って呼んで慕ってくれる人なんていなかったからさ」

「それで?」

「…俺、ロニエとは本当に初対面なんだ。けど、ロニエの言動を見てるとあっちはそうでも無いらしくて…」

「気にしすぎなんじゃない?そんなこと、些細なことだと思うけど」

「そうだとは思うんだけどさ。やっぱり俺なんかじゃ、ロニエには…その、似合わないと思うんだ。ロニエは本当にいい子だし俺よりいい人を……あて!?」

「……何よ、タラシだと思ってたらチキンだった訳ね」

「ち、ちきn」

「あんたはどうなのよ。あの娘が好きか嫌いか、ハッキリしたらどう!?」

「…好き、だよ。でも、」

「でもでも言い過ぎよ!!もっとシャキッとしなさい!」

「………ああああ、もう分かったよ!!好きだよ!!はっきり言って滅茶苦茶好きだよっ!!」

「なら、なんで…」

「…チキンなのは分かってる。でも、まだ心の準備ってモノが…」

「こりゃ、あと2ヶ月くらいかかりそうね」

「……」

「ま、あんたなりに頑張りなさい。ゆっくりでもいいから、1歩ずつ、ね」

「……ありがとう、リズ」

「礼を言うよりも早くいい知らせを持ってきなさい。そしたら、剣の代金、チャラにしてあげる」

「それは言い過ぎなんじゃ…」

キリトがロニエに想いを告げられるのはいつになるのか____

キリトが告白するのが先か、ロニエが先か。

時間の問題である。

 

 

 

 

「……やっぱりいないわね」

「うーん……リズさんが店に居ないなんて…それにメッセージ送っても圏外って出るだけだし」

「リズ1人で行くとは思えないわね」

リズベット武具店。そこにロニエとティーゼ、アスナはいた。

「キリト先輩もいない…」

「先輩にリズの店のこと言ったのっていつのこと?」

「一昨日だけど…」

「素材探しに行ってるのかしら…?」

キリト、リズ、両名が姿を消してから一日がたった。3人は心配して探しに来たようだ。

「ユージオ先輩にも探してもらってるけど、今のところは空振りなんだよね?ティーゼ」

「ええ。ユージオも探しに行ってるけど中々…」

と、その時、扉が開き、扉に付いていたベルが鳴る。

「やっと帰ってきたわ!ただいまー!」

「丸一日かかったのか。予想外のことがあったとは言え、時間かかったな」

噂をすれば何とやら。当の本人達が帰ってきた。

「まあ、目的の物は手に入ったんだし、良いでしょ…って、アスナ?ロニエとティーゼまで…」

「「リズー!」」

「リズさん!」

「心配したのよ、リズ!」

「メッセージ送っても圏外って出るから…」

「あ、キリト先輩!」

「よ、ロニエ。もしかして、俺の事も探してたのか?」

「当たり前じゃないですか!ヒヤヒヤしたんですからっ」

「…ごめん、ロニエ。その……なんか、奢るよ。高いのでもなんでもいいぜ」

「私はそういうのを求めてるんじゃなくて…もう〜!」

仲睦まじい二人をみて3人は胸焼けがしてくる。

「ホント仲良いわね。あの二人」

「…あれで付き合ってないって言うのが驚愕よ、ホンっト」

「…でも、ゴールは近いと思いますよ?」

「そうね。時間の問題ってとこかしら」

その後、キリトはリズに渾身の一振りを打ってもらった。

その剣の名は、『闇を払う者(ダークリパルサー)』。エリュシデータと並んでキリトの愛剣となる一振である。


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