ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
今回はそこまで重要な場面では無いので、すすっと書きました。
アニメの方もキリト君が復活し、終わりも近づいてきました。ああ……早いなぁ…後、ムーンクレイドルアニメ化してくれないかなー(白目)
本編の進行に関するアンケートを作りました。期限については8月中にしたいと思います。お気軽にどうぞ〜
では、本編をどうぞ〜
○
「キリト君ってさ、いっつも黒いよね」
「なんだよ急に…」
「だって、アインクラッドで初めて出会った時もそうだったでしょ」
「そうですね。キリト先輩ってずっと黒を基調とした服ばかりで…それ以外を見たことありません」
「いや、別に黒以外も着るぞ…?」
「僕も見た事ないね。大抵キリトは黒いから」
「何おぅ…ユージオ、お前だって大体青色じゃないか。人のこと言えないぞ」
「確かに、青が中心なのは認めるけど…黒一色って訳じゃないよ」
「ユージオ先輩の
「なぬ…それは狡いぞ、ユージオ……じゃあ言い出しっぺのアスナだって…」
「私のコレはギルドの制服ですー。ギルド全体に紅白を基調とした装備をって、会議で随分前に決まってるんだもの。副団長である私が実行しない訳には行かないでしょ」
「んぇ……いいじゃん、黒い服だってさー…」
「悪いとは言ってないわよ?」
「くっ…」
「まぁ、装備をころころ変えるっていうのも中々ありませんからね。私達も軽装ではありますが、装備を帰ることはありませんし」
「そ、そうだよなぁ!ロニエ!分かってr…」
迷宮区への道中、キリトたち一行はたわいもない会話をしながら進んでいた。
その時、
「____索敵スキルに反応あり、だな」
「__うん」
「え?」
キリトとユージオの索敵スキルに反応があった。
「確かに、プレイヤーの反応ありですね」
「人数は……12人くらい…?」
直後、ロニエとティーゼの索敵スキルにも反応があった。
「…なんか、変だな」
「確かにね。隊列を組んでるような感じだ」
「隊列…?」
「隊列組む必要って、あるんですかね?」
「ないと思うぞ。別に何か得する訳でもないし…」
「…もしかして、例のギルドじゃない?」
「例のギルド、というと……ああ、アイツらか」
彼らは一応、攻略組を名乗っては居るものの、その方針はめちゃくちゃなものだった。
『我らが攻略組であり、このアインクラッドの救世主だ。我らの言うことは絶対である』
いや、めちゃくちゃである。
いっそ、大昔の独裁政治と変わらない。これにはキリトたちも呆れを通り越して、無関心にさえなってしまった。
ただ、向こうも方針がおかしいとはいえ、攻略組として活動していた。故にキリトやディアベル達も他のプレイヤー達への迷惑行為は辞めるように言うだけで、止めはしなかった。何せ大事な戦力でもある。
が、それはアインクラッドの攻略が始まって半年______25層までだった。
こんなことをして、どうなるかなど、誰でもわかる。
______そう、全滅である。
ディアベル達はアルゴから雷帝直属解放軍がボス部屋に行ったとの情報を得て、その頃に攻略組に入ってきた血盟騎士団と共に急いでボス部屋へ向かった。が、そこに拡がっていたのは地獄絵図だった。
ボス部屋にはリーダーであるイヴァンしかおらず、その他のギルドメンバーの姿は無かった。
そして、ディアベル達によってイヴァンは半ば強制的に救出され、2時間もの長期戦を経て辛くも勝利した。
犠牲はゼロではあったものの危ない場面もあった為、やはりもっと計画を練っておくべきであることを痛感したディアベルやキバオウだったが、イヴァンはそこで驚くべき言葉を口にした。
彼曰く_____お前たちが情報を秘匿していた故に起こった大惨事だ、責任を取れ___と。
こればかりは攻略組全員が激怒した。
お前らがろくに情報も集めないで何の計画も無しに突っ込んだのが悪いんだろう。
それから雷帝直属解放軍______ギルドメンバーはイヴァンしかいないが______は前線から退き、全く姿を見せることは無かった。
そんな集団がまた再構築され、前線で見かけられるようになったとアルゴから情報を得ていた。
しかし、まさかあんな事をしでかした彼がまだギルドを解散せず再び前線へ出ようというのか。
「……流石にアレを繰り返す…訳じゃないって信じたいな」
見つかったら何を言われるか分からない。
「ここは、隠れましょう。彼ら、本当に何するか分かったものじゃないし」
「賛成だよ。アスナって
「あー…そういえば…」
「アスナさん、こちらへどうぞ。私と一緒に隠れましょう」
「ありがとう、ティーゼちゃん」
「よし、そこの木の影にでも隠れよう。アイツらに見つかっていざこざ起きるのはゴメンだ」
そして、キリトたちは隠蔽スキルを使って姿を隠し、様子を見ることにした。
重装備特有の金属音を響かせ、彼らは現れた。
全員がバイザーをしていたので顔は見れなかったが、先頭以外のメンバーが消耗しているように見える。
そして、彼らの鎧に刻み込まれているのは______黒い斧に金色の雷のマーク。
間違いなく、雷帝直属解放軍だ。
そして、彼らは迷宮区へと足を踏み入れていった。
完璧なハイディングのおかげで全く気付かれずに済んだようだ。
索敵範囲外へと彼らの反応が消え、安心して全員が隠蔽スキルを解除する。
「キリト、どう思う?」
「……前線に出てるって話はアルゴから聞いてたからな。若しかすると、本当にボスモンスター攻略を狙ってるのかもしれない」
「にしても人数が少なかったわよね」
「調査隊、みたいな感じじゃないか?流石にあの人数でボスに挑もうなんてアホなことしないだろ」
「普通、ボスモンスター攻略はギルド間で協力してするものですよね…?」
「ああ。現時点でアイツらにどれくらいの戦力があるのかは知らないけど、レイドが組める程にギルドメンバーがいる…って考えた方がいいか?」
「でも、全員が最前線で戦えるほどのレベルかどうかは分からないよ」
「…そこなんだよな。多分さっき見た12人は少数精鋭部隊ってとこか。おおよそ、ボス部屋までの道のりだけ確認しておこうって腹だろうな」
「………嫌なことにならないといいけど」
ユージオはこれから起こる事を知っている。そう、キリトの記憶から見たのだ。解放軍のメンバーたちがボスモンスターに特攻をしかけて、返り討ちにあうこと。そして、そこでキリト達が助太刀に入り、ほぼキリト1人でボスを倒してしまう事も。
その解放軍がキバオウが率いるギルドだとはユージオも知らない。なぜなら、キリトの記憶は視覚だけしか情報が見れないことも多々あるのだ。今回の記憶もそうで、彼らアインクラッド解放軍に関するはユージオに一切伝わっていない。ただ、無謀にもボス部屋に突っ込んで行ったパーティが居た、ということしかユージオには分からない。
ユージオは不安を募らせながら、先に行くキリト達に着いていくのだった。
74層迷宮区最深部。
そこで戦闘は行われていた。
『_____!!』
無言で片手剣を振るう骸骨。
正式名称をデモニッシュ・サーバント。直訳すると『悪魔的召使い』だ。
身長2m近くの大柄な体に、肉のない骨の体。右手に長い直剣、左手に円形の盾を装備している。
この迷宮区でもかなりのハイレベルモンスターで、筋力パラメータがかなり高い。
そんなモンスター相手に_____アスナは骸骨の放つ四連撃ソードスキル《バーチカルスクエア》を完全に回避し、細剣を閃かせる。
「___やぁッ!!」
中段の突き3連、下段に斬り払い攻撃を往復し、上段へ2度突きの強攻撃。
全攻撃を食らった骸骨が怯んだ瞬間にアスナは後ろへと下がった。
「ロニエちゃんスイッチ!!」
「はい!!」
アスナの掛け声でスイッチするロニエ。
「はぁッ!!」
ロニエの単発ソードスキル《スラント》が骸骨の盾を斬り上げる形で盾を剥がす。
「先輩スイッチ!!」
「おう!」
ロニエの掛け声でキリトにスイッチし、
「ぜあッ!」
一閃。
キリトの一撃をモロに受けて体をバラバラになる骸骨。
「ナイス!」
「アスナさんも流石です!」
「ふぅ…結構上まで来たな。ダンジョンの雰囲気も重くなって来たし」
「そうだね」
向こうでも同じく戦闘を終わらせてきたユージオとティーゼも戻ってきた。
「…マップを見ていても、埋められていないのはこの先の道だけですね」
「そろそろ、ボス部屋かな」
「いいとこまで来てるからな。見つかってもいいと思うぜ」
みんなでマップを見ながら道を進むと、その先に他とは違う___8〜9メートルありそうな大きな扉が見えてきた。装飾もおどおどしく、怪物のレリーフが目立つ。
「噂をすれば、だな」
「ボス部屋にもう着いちゃったんですね」
「どうする?覗くだけ覗いとく?」
「アスナの案に賛成だ。ボスモンスターはボス部屋からは出てこない。ボス部屋への扉を開けて中を少し見る程度なら、戦闘にはならないだろ」
「うん。でももしかしたらって言うのもあるし、転移結晶だけは持っておこうよ」
「よし、それで行こう。覗くだけだぞ?」
「はい。それなら問題なしですね」
この人数でボス部屋に入れば確実に全滅するため、今日はボスの姿を見るだけに留めた。
「よし、準備はいいか?」
キリトの言葉に無言で頷く4人。
「では…………オープン____!」
レリーフを力強く押し開ける。
床と扉が擦れてゴゴゴゴ、と大きな音を立てて扉は開かれる。
扉の向こうは真っ暗で何も見えない。が、直後、青白い光がボウッとつく。
それは周りへと伝播し、ボス部屋全体が青白く照らされる。
そして、そのボス部屋の奥になにか黒い影が浮かび上がる。
キリト達は息を呑んだ。
6メートルもあろうかという巨大な体躯。
盛り上がった筋肉に、全身深い青色の肌。
頭は山羊の顔にねじれた太い角が顔の両側からそそり立つ。
眼は青白く燃えているかのような輝きを放ち、しっかりとキリト達を見据えていた。
かなり距離があるがその威圧感は相当なもので、キリト達の足は動かない。
そして、ボスの頭上にHPバーが4本現れ、名前が表示される。
《 The Gleameyes 》
輝く眼、という意味だろうか。
キリトがそのボスの固有名を確認した直後、その怪物は動き出した。
1歩、前へとその大きな足を踏み出す。
キリトやユージオ達は1歩後ずさる。
そして、ボスは斬馬刀とでも言うべき巨大な剣を右手にユージオ達へ走り出した。
『ヴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
「「うわあああああああああああああああああああ!?」」
「「「きゃあああああああああああああああああああ!?」」」
キリト達も脱兎のごとく、ボスを背にして逃げていった。