ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
今回はいつも以上に長くなりました。まあ、元々オリジナルで書くつもりをしていたので結構時間がかかってしまいました(´・ω・`)
タイトルでお察しの通り、ユージオVSヒースクリフになっております。
頑張れユージオ君!
では本編へどうぞ〜
○
次の日。
お昼を食べ終わったユージオとティーゼ、そして一緒に来たシャロとシリカはコロッセオ付近に来ていた。
シリカはシャロに一緒に行こうと誘われた為、来ている。シリカはシャロにとってユージオとティーゼ以外で1番仲の良い人だ。「しりかねぇ」と慕われている。
シャロから誘われたが、家族水入らずで行った方がいいのではと遠慮したのだが、シャロが来て欲しいと言っているので是非一緒に行こうとティーゼに誘われた。子供によく懐かれるシリカは、もしかするとベビーシッターや幼稚園の先生が向いているのかもしれない。
が、その日に限って人集りが出来ていた。
「……今日って、お祭りでもあったんだっけ?」
「なかった筈だけど…」
「おかあさん、きょうおまつり?」
「うーん…お母さんも分からないわ。何がどうなっているのか…」
「何かあるんですかね?あたしもお祭りなんて聞いたことありませんし」
そして、ユージオは____その人集りがコロシアムに集中しているのに気付いた。
「もしかして、この人集りって……僕らの
「なんでお祭り騒ぎになるのかしら…?」
「でも、納得じゃないですか!アインクラッドに3人しかいない《ユニークスキル》の使い手が1箇所に集まって…しかも決闘するんですから!」
「…まさか、ヒースクリフさんの目的って…?」
「いや、あの人はそんな事のためにしないって………………タブン」
自信なさげにユージオは答える。
「…とりあえず、コロシアムの裏入口に来てくれってメッセージが来てたから、そっちに回ろう」
このコロシアムには正面入口と裏のいわゆる《関係者入口》がある。ヒースクリフがそっちから入ってきてくれと言っていたので一行は回り込んで裏の入口へ。
「あ、キリト!」
「…よ、ユージオ」
そこにはもうキリトとロニエ、そしてアスナが既に来ていた。キリトはかなりテンションが低いようだ。
「アスナ、もしかしてこの人集りって…」
「ごめんね、ユージオ君。私もこうなるなんて思ってなかったの」
「あいつの狙いってこういうことじゃないよな?ホント」
「団長はこういうのに興味無いからねぇ…多分経理担当のダイゼンさんだと思うわ。あの人、こういうのに敏感ですぐ何でも商売にしちゃう人だから」
「……後で文句の一つや二つ、言っとくか」
「もしかすると、自営業をしてらっしゃる方なのかもしれませんね」
「…まぁ、気にせず頑張ろうよ。キリト」
見られるのはあまりユージオも慣れないが、気にする必要は無い。
「おお、キリトさんにユージオさん!」
「…誰?」
「さっき言ってたダイゼンさんよ」
「お二人のお陰で設けさせていただいてますよ!ありがとうございますねぇ!」
「……解せぬ」
○
「きりとおにいちゃんがんばれー!」
「頑張って下さいねー!キリトさーん!!」
コロッセオの関係者席にて応援するシリカとシャロ。
先にキリトが戦うことになったのだが、二刀流というわかり易すぎる強スキル名が影響したのか、後ろの観客からの応援もすごい。「斬れー」「殺せー」などという物騒な事を言う者たちもいるが_____
「……チラホラと知ってる顔があるのはあまり気にしないでおくべきね…」
ユージオの隣で自分に言い聞かせるようにティーゼは言う。観客の中にはクラインやキバオウ、リンドやネズハ、月夜の黒猫団のメンバーの姿まで見られた。
「……」
ユージオはコロシアムの中心にいるヒースクリフとキリトを凝視し、黙ったままだった。
「ユージオ君はどう思うの?どっちが勝つと思う?」
「…分からない。ヒースクリフさんの《神聖剣》が未知数過ぎるし、キリトと比べようにもプレイスタイルも何もかも違うからね」
とアスナの問いに答えるユージオだったが、不安でしょうがなかった。何せキリトの記憶ではヒースクリフに負けているのだ。確かに今のキリトはその時より強くなっているかもしれないが、それはヒースクリフも同様だ。
それに、次にはユージオの決闘も控えている。このキリトの決闘からヒースクリフの対人戦のパターンやそのソードスキルを確認しておかなければ。
と、ユージオがそう考えていたその時、決闘開始までの秒数がキリトとヒースクリフの丁度間___その中心で現れた。
「…頑張ってくれ、キリト…!」
そして、秒数がゼロになり《
○
_______結果だけを端的に言うと、キリトは負けた。
互角の戦いを繰り広げ、両者のHPゲージが60%を下回った直後、ヒースクリフが見せた初めての隙にキリトがそれを狙う形で
ヒースクリフは途中まで防ぎきっていたが最後の一撃____その直前に盾を弾かれ体勢を崩し、キリトの最後の一撃がヒースクリフに直撃し、決闘は終わる_____筈だった。
その一撃がヒースクリフの顔面に当たる___その直前に、尋常ではない速さでヒースクリフの左に装備していた紅白の十字盾がソードスキルのエフェクトに包まれたキリトの《
決め技を完全に防がれて技後硬直に入ったキリトは為す術なく、ヒースクリフの単発ソードスキルによってトドメを刺された。
だが、ユージオには不気味に思えた。記憶でもこの結果を見たが、あのスピードはありえない。プレイヤーとしてはありえない速度だった。例えユージオやアスナでも再現不可能なものだった。あれでは、どれだけ速くて、彼の盾を退ける程の強い攻撃であっても、即座に______
「______防がれる」
ユージオは必死に考える。キリトの剣技さえも完全に防いでみせた絶対の守りを持つヒースクリフを、自分は倒せるのか。
「……普通の戦い方じゃ不可能だ」
結論付ける。
自分には不可能だと。
正面切っての戦いでは彼の守りは破れない。
「_____
だが、ユージオにも、切り札がない訳では無い。ユージオの《青薔薇》にはソードスキルの他にも武器がある。だが、それはあまり大っぴらに見せられるものでは無い。いや、見せたくない。
「それは、最後の手段に取っておこう」
キリトとヒースクリフの決闘から10分が経とうとしている。ヒースクリフの休憩時間として10分空けようとユージオが言い出したが、やはりそのまま連戦にした方が良かったか。
「____行こう」
ユージオは装備欄からしっかりした指先だけない___ハーフフィンガーグローブを選んで装備する。
東入口の控え室。ユージオは意を決して、コロシアムの中心へと歩き出した。
○
「君も済まなかったね、ユージオ君。私もこんな風になるとは思っていなかったんだよ」
「いえ、観られていてもやる事は変わりません」
「そうか、では早速始めよう。私も君とこうして戦うのを楽しみにしていたんだ」
「…なら良かったです」
コロシアムの中心にて、ユージオとヒースクリフは対峙する。ヒースクリフは既に十字の盾と同じ意匠の剣を装備している。
ヒースクリフが右手を動かし、ユージオに決闘申請のメッセージを送る。ユージオは即座にそれを受け入れた。
決闘までの残り秒数が二人の間、コロシアムの中心に表示される。
それを見た観客はどっと沸き上がる。
「_______(彼に勝つには、先ず彼の守りを破らなければならない。でも僕はキリトのように二刀流で手数をもって押し通るのは不可能だ。それに、彼にはソードスキルの類が効かないように思える。)」
キリトとヒースクリフの決闘中、ユージオは不思議に思っていたことがあった。
ヒースクリフはアインクラッド中で恐らく1番守りが硬い。防御力はトップクラスだ。
だが、それでも全てを防ぐことは困難だ。
キリトが片手直剣ソードスキルを使っていたなら確かに、ヒースクリフによってソードスキルを完封されて負けるというのはかなり現実味がある話だ。片手直剣スキルは誰でも習得できるコモンスキルだ。おおよそ、刀スキルも完封されてしまうのではないだろうか。刀スキルはエクストラスキルだが、刀スキル所持者は少なくない。多分、血盟騎士団にも何人かいるだろう。
だが______二刀流スキルは別だ。
二刀流スキルはエクストラスキルではあるが、それを持つのはこのアインクラッドで唯一人。
そして、二刀流スキルが世に知られたのは2日前だ。それに、ソードスキルの軌道や型を知っているのはあの74層ボス戦に参加していたアスナやギルド《風林火山》のメンバー、のみ。
しかも、彼らはキリトの二刀流ソードスキル、その中でもスターバースト・ストリームに関しては1度しか見ていない。アスナ達はソードスキルについて誰にも公言していないと言っていたので、そこは信じている。
故に、ヒースクリフは完全に初見の状態で16連撃という大技の軌道をテンポが少し遅れ、体勢を崩しかけていたとはいえ最後の一撃までを見切っていた。
天性の才能や天才、などの言葉では済まされないものだった。
そして_____キリトとの決闘で見せたありえない速度で最後の一撃を防いだあの芸当が何なのかを自身で確かめなければ。
それにユージオは一つ、許せない事があった。
「____(血盟騎士団では常にギルド本部に居ることを支持されることもあるってアスナから聞いた)」
血盟騎士団の本部に留まることを命じられてしまえば、
「_____!!(つまり、ホームであるあの家に帰れなくなるってことだ。ティーゼと、シャロと僕、3人の団欒の時間を_______潰されるということ!!)」
そう、単純にユージオは怒っている。
ユージオにとってあのホームでの時間は何よりも大切な物だ。
それを邪魔するのなら_____
「____(絶対に負けない、負けるもんか、僕らの時間を潰すならそれ相応の覚悟をしてもらいますよヒースクリフさん、この決闘どんな方法を使ってでも勝ってやる、勝てるなんて思うなよ__!!!!」
ヒースクリフに聞こえないくらいの小声で、そして確かな怒りを込めて早口でユージオは呟いた。
「………っ?」
流石にヒースクリフもその視線を感じて何か不吉な物を感じ取ったようだが、そんなものはお構い無しにユージオはヒースクリフを睨みつける。
決闘開始まで、あと5秒。
「______ふぅ」
深く深呼吸。
先程の怒りを沈め、精神統一を始める。
《青薔薇》のスキルはもう立ち上がっていた。
「行くぞ_____!!」
ユージオは決闘開始の合図を直接目に入れることなく、ヒースクリフへと襲いかかった。
○
さて、どうしたものか。
私にとって、これが初めての
キリト君の《二刀流》は私自身が設定したものだったから私もあそこまで対応出来たが______それでも私は追い詰められた。
まさか、システムアシストを使う羽目になるとは。
彼の反応速度も去ることながら、純粋な速さだけならこのアインクラッド一では無いだろうか。《二刀流》スキルの獲得可能プレイヤーは3人程いたようだが、紙一重という所で彼が選ばれた。元々攻略組でもトップの実力を持っていたのだ。彼がシステム的に選ばれたのも頷ける。ユウキ君とユージオ君もキリト君に肉薄していたが____やはり、彼の才能なのだろう。
「______」
そして、彼こそが私にとっての
今まで出会ったことの無い剣士。
ユニークスキル《青薔薇》の所有者。
私もシステム管理中にユニークスキルの保有状態を確認して驚いたよ。
まさか______正体不明のスキルが、カーディナルシステムによって作られていたとは。
カーディナルシステムにそんな命令は設定していなかった。私が設定していたのはある一定の基準をクリアしたものに《ユニークスキル》を与えること。
確かにクエストは任せていたが、それがどういうことか、スキルまで作っているなど私も考えることなどなかった。
だが_____
「____それも、面白い」
カーディナルシステムは私の制御を離れた訳では無い。故に、カーディナルシステムが作ったスキルを、消そうとは私は思わなかった。
名前さえもカーディナルシステムは秘匿してきたが____それも一興だ。
正面から受けて見せよう。
未知のソードスキルが見られるなど、製作者側である私には味わえなかった物だ。
故に______純粋にこの瞬間が楽しい。
年甲斐もなく、子供のようにわくわくしている私がいる。
ユージオを見据える。
彼はボス攻略時と全く変わらない面持ちと装備で______
「_____?」
彼はいつもは見ない黒いグローブを手に着けていた。
彼はいつもグローブは付けていない。それに_____あのグローブを身につけているのを見たことがないな。
他のものより分厚い。
確か、あれは_________
もうすぐ決闘が始まる。あと、7秒。
私も切り替えなければ。
「さあ、見せてくれたまえ______ユージオ君。君の剣を___」
後、今一瞬殺気のような物を感じた。悪寒がする。
ユージオ君が私を睨んでいる。
「…………っ?」
……彼は、何故怒っている…?
○
「ぜやあぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!」
決闘開始の音が鳴ると同時にユージオはヒースクリフに斬りかかった。
「__ふッ!!」
ヒースクリフは難なく盾でその攻撃を防ぐ。
ユージオも負けじと斬撃を繰り出す。
ヒースクリフはそれを冷静に盾で防いでいく。
「はぁッ!!」
苛烈に攻めたてる。普段の慎重なユージオには考えられない程の攻撃的な試合運びだった。
だが、無茶苦茶に斬っている訳では無い。如何にヒースクリフの守りを突破するかを思案し、その道をなんとか切り開こうと足掻いている。
ソードスキルは使わず、なるべく通常攻撃を用いて。
が、ヒースクリフの守りは硬い。一撃も入ることはなく、虚しくユージオの斬撃は盾に防がれる。
しかし、アルマスは攻撃の手を緩めない。
「_____っ!!(駄目だ、ただ斬りつけようとするだけじゃあの守りは破れない!なら…!)」
ユージオは一旦ヒースクリフへの攻撃をやめて後退し、別の策へと移行する。
が、ヒースクリフはその隙を逃す訳もなく。
「ッ!!」
「くぅっ!!?」
すかさず攻撃を仕掛けてきた。
「やぁッ!!」
それを無理矢利退けて下がるユージオ。
そして___
「おおおおッ!!」
ソードスキルを発動させる。
《青薔薇》ソードスキル、突進技《雪那》。
瞬速のその剣技を___
「_____!!」
ヒースクリフは防いでみせた。すれ違いざまに視線がぶつかり合う。
距離をとった2人。
「キリト君も大概だが、君も素晴らしいな」
「人のこと言えませんよ、ヒースクリフさん」
「お互い様か」
観客が沸く。
「…(守りを純粋な剣技だけで突破するのは不可能だった。なら、意地汚く、足掻くくらいかな)」
ユージオはキリトやティーゼとの対人戦に使っている、いつもの戦い方をとることにした。
「ッ!!」
再び攻撃を仕掛けるユージオ。
「___!!」
それを無言で防ぐヒースクリフ。
ユージオはそのまま、
「ぜやぁッ!!」
《青薔薇》4連撃ソードスキル《
「むぅ……!!」
ヒースクリフはそれをぎりぎり防ぐ。彼は反撃をしようと盾をずらし、ソードスキルを放とうとして___すぐさま盾を構え直した。
「ぐッ!?」
「___らぁッ!!」
体術スキル《
ヒースクリフは予想外の攻撃に盾による防御が少し遅れたようで、上手く威力を相殺出来ず、後ろへと後退する。
その隙を、ユージオは逃さなかった。
「はあああああッ!!」
「ぬぅ……!!」
防御が遅れたのが幸いしたか、ユージオの剣をヒースクリフは紙一重で防ぎ、去なす。
が、先程のそれよりも明らかに戸惑いが見られる。ヒースクリフがなかなか見せない焦りを隠せない表情。
その瞬間、ユージオは勝機を見た。
「うおおおおおおッ!!」
放つは、最多13連撃ソードスキル《
繰り出される怒涛の剣技にヒースクリフは、
「ぬ、ぅぅぅぉぉお…!?」
必死に防ごうと盾を突き出すが、防御が間に合っていない。
そして___
「ぐぅッ_____!?」
12連撃目で盾を弾き、ヒースクリフは盾を離すことはなかったが、絶対の守りであるその十字盾は_____あらぬ方向へ。
「あああッ!!」
「っ!?」
だが、ユージオの攻撃はまだ終わっていない。それに気付いたヒースクリフは盾ではなく、剣をもって何とか防ごうとする。
最後の一撃はヒースクリフの剣さえも弾いて彼の体勢を完全に崩した。
後ろへと倒れこむヒースクリフ。受け身さえ取れていない。
それと同時にソードスキルはそこで終了し、光は消える。だが___
「っ、うおおおおおおッ!!」
技後硬直が終わった瞬間、ユージオは再び剣を振りかぶる。
まだヒースクリフは盾を構えていない。完全に倒れ込む寸前だ。
今なら間に合う。彼の守りを完全に突破し、一撃を見舞い、この決闘に勝利する_____
_______筈だった
「_________ 」
時が止まる。
ありとあらゆるものの動きがゆっくりに____いや、剣が、観客の声が、ユージオの体さえも動きを止める。
「_________(何が、起きて……!?)」
その時ユージオが見たものは
____時が止まったその世界で、ヒースクリフの盾を持つ左手だけがユージオの一撃を防ごうと、動いている。
その異様な光景だった。
盾がユージオの
「_____!?」
「____はあッ!!」
ユージオの一撃を防ぎ、その倒れざまにユージオへと斬撃を繰り出している。
ユージオはその一撃を______紙一重で避けきった。
「うっ______!!」
転がりながらもヒースクリフから距離をとる。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ______?」
すぐさま起き上がり剣を構えるが、追撃は来なかった。
ヒースクリフは既に立ち上がっていた。
「______君達には、ほとほと驚かされるよ」
「……お世辞をどうも」
「いや、お世辞などでは無いよ。よもやここまで______キリト君でさえあの一撃は避けきれなかっただろう。完全に防御を捨てた攻撃だった。それを私が逆に攻め返したというのに……全く、末恐ろしい」
「………」
ヒースクリフの表情が読めない。
いつも彼はそんな感じだったが、今は余計にそうだった。
「……」
「では、続きと行こう。時間も無い。残りは______1分」
「____!!」
この決闘は初撃決着と言われる、ある一定のダメージ量を1回の攻撃で与えられる、またはHPゲージが5割を切った方が負けとなる。だが、これには時間制限がある。その制限時間が、あと1分を切ろうとしている。
瞬間、2人は己が武器を構えて、その勝負の決着をつけようとした、その時_______
「おとーさん、がんばれーーー!!」
「________(……さぁ、この勝負…簡単に負けられないね_____!!)」
ユージオの闘志に再び、火がつく。
「うおおおおおおおお!!!!」
「______!!」
再びぶつかり合う二人。ユージオの攻撃は先程より苛烈になっている。
防御をかなぐり捨てた、特攻。
ユージオの連続剣技をヒースクリフは全て防いでいく。
「おおおおッ!!」
ユージオは《青薔薇》単発ソードスキル《
が____
「はあッ!!」
ヒースクリフが珍しく、気合を入れて盾を突き出し___
完全にユージオのソードスキルを押し返す。
「____!!」
「ッ!!」
そして、右手の長剣でユージオの剣を、弾いた。
「______ぁ」
完全にソードスキルを弾かれ、技後硬直を課せられたユージオの唯一の武器、
「____終わりだ」
ヒースクリフはとどめの一撃を放とうと、ソードスキルを発動させた。
「_____(確かに、彼は強かった。システムアシストを使って尚、トドメをさせなかったのも、体術スキルとの併用による
ヒースクリフは勝ちを確信した。
____そしてふと、ユージオの顔を見て、何かに気づく。
「_____?(彼の瞳から、闘志が消えていない…?)」
ユージオの眼はまだ____諦めていなかった。いや、あれは_____
「シッ______!!」
直後、彼の盾は視界から消し飛んだ。
「な_______」
左手から消えた盾。バランスを崩すヒースクリフ。同時にソードスキル特有のライトエフェクトを失うヒースクリフの剣。
技後硬直を課せられたヒースクリフは気づいた。
「_____っ(そうか!彼のバトルスタイルは、
正解だった。
ユージオはこの好機を作るためにわざと誘導させた。ユージオらしくない力任せのソードスキルの使用。これこそがユージオの罠だった。
体術ソードスキル《
ユージオは追撃が来る前に素早く着地を決める。
「_____、しっ!!(上手く行った!僕も剣を飛ばされたけど、彼も盾をなくした!アスナから聞いていた通り、彼の《神聖剣》のソードスキルは盾が装備されている状態でなければ使えないんだ。今、彼のソードスキルが盾を吹き飛ばした瞬間、中断されたように!!)」
「ぬぅ____!!(だが、彼も唯一の武器を無くしたのだ。盾はないが____私には剣がまだある。直ぐに一撃加えれば、勝てる。負ける道理はない。彼は撃ち合う剣がない。確かに、君も素晴らしいものだったが、その先がなければ、話にならな___)」
ヒースクリフは動揺こそしたが、その動きに迷いなく通常攻撃をユージオに叩き込もうと剣を振り上げる。
確かに、ユージオは唯一の武器を自ら放棄し、彼の絶対的守りを突破した。だが自らが攻撃、そして守る方法がなければ、勝つことはできない。
_____
ヒースクリフは剣を振り上げて____即座に首を曲げて避けた。
彼が剣を振り上げた瞬間に拳が迫っていた。
「_____ぐぅッ!?」
「__あああああッ!!」
間一髪、その拳を避けて、ヒースクリフは後退を余儀なくされた。
「ぬぅ、おおおお……っ!?」
「シッ!!ハッ!!りゃァァァァァ!!!!」
拳と蹴りがヒースクリフを襲う。
「っ!!(そうか!あの黒いグローブは、
避けて、下がって、不可避な攻撃は剣で防ぐ。
ヒースクリフの剣は片手直剣の中でも長剣の類に入る。故に、ある程度距離を保ったままでないと戦いにくい。それに対しユージオは
「っ_____ハァッ!!(アスナから聞いた話だと彼が盾を失って使うスキルは、片手直剣スキル。それを使い続けてきた僕なら、初動のモーションの前兆を見ただけで分かる!!)」
片手直剣はユージオの使い続けてきた、アインクラッド流。ならば、対処など簡単。
「っ、ぬぅっ!!(だが、私の盾は私の後方に吹き飛んだ。ならこのまま形勢不利を装って、盾を______)」
「ゼァァァアッ!!(_____取り戻せばこちらの勝ち、だと思っている筈!なら___!!)」
ユージオはヒースクリフの思考を読み、
「な_______」
ヒースクリフの頭上を飛び越えて______彼の盾の目の前へ。
「しまっ_____(読まれた____!?)」
「う、ラァァァァァァァァァァア!!」
そして、逆方向へと攻め立てる。
下がるヒースクリフ、進み続けるユージオ。
彼の思惑は、今絶たれた__
「く、ぬぅっ!!ぐッ!?(ダメだ、攻撃をまともに食らっているわけではなくとも、余波でダメージが蓄積してきている!もう既にHPは6割を切っているっ)」
「おおおりゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
ヒースクリフの焦りは止まらない。何せ、このアインクラッドで戦ってきて1番のピンチだ。怒涛の拳技に、下がることしか出来ない___
「っ、おおおおッ!!(ダメだ!今すぐ、彼に一撃入れなければ負ける!)」
焦って無理矢理ユージオとの距離をとって、ソードスキルを発動させようとするヒースクリフ。
ユージオは大きく踏み込んだ。しかし。
「____」
ユージオは______攻めなかった。
「____(攻撃を、止めた___?何故___)」
そのままヒースクリフはソードスキルを発動させて、ユージオに一撃を___
入れる、直前。
ヒースクリフは目を見開いた。
「な_____(剣を持って、いる__!?)」
ユージオの右手には、
ヒースクリフはユージオによって誘導されていたのだ。ユージオの剣が弾き飛ばされ、落下した場所に。
そして、ヒースクリフの剣がソードスキルによって突き動かされる直前、今までに見せなかった構えを見せる。
右手を顔と同じ高さに上げて、ヒースクリフのソードスキルを迎える。
「っ、おおおおッ!!(今止めれば、技後硬直が2倍になる。止めた方が形勢不利だ、このまま振り切るしか____!!)」
ヒースクリフはソードスキルをそのまま止めることなく、ユージオへと当てようとして_____
「_____ッ!!」
「____!?」
ユージオに完封される。
ヒースクリフの剣は、ユージオのソードスキルによって、弾き飛ばされた。ヒースクリフは剣を離してはいないが、完全に体制が崩れた。
《青薔薇》
敵の攻撃に対し、決められた構えで相手の武器を剣に当てた時のみに発動する、《青薔薇》スキルの
相手を斬る事ではなく、相手の武器を弾き返すことに特化したスキルだった。
「うおおおおおおおおおおおおッッ!!!!」
そして、間髪入れずに放たれる通常攻撃。
避ける事は許されないその一撃に、ヒースクリフは絶句する。
システムアシストを使おうにも、コンマ1秒、間に合わない。
「私の、負けか______」
このままでは、彼の正体もバレてしまう。この観客の前で。だが、これは純粋に負けたのだと、ヒースクリフは受け入れた。
ユージオの攻撃は、ヒースクリフに当たる____筈だった。
ガキィッ!!
そんな甲高い音と共に、ユージオの剣は紫の障壁によって防がれた。
「___!?」
「_____」
そして、2人の間、その上に、決闘結果が告げられる。
《
《制限時間 : 0 : 00 》
と。
『『___________』』
観客も、息を飲む。
ユージオも何も、言えなかった。
ヒースクリフは尻もちをつき、ユージオは前のめりに倒れ込む。
という、勝敗付かずで終わりを迎えたのだった。