ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
では、この年始一発目のお話は、前回に引き続きキリロニ回です!
ここまで来るのにどんだけ時間かかってんだ…
この次もキリロニ回になります。
ラブコメを書くのが苦手ではありますが、頑張りました!
では、初恋同士のウブな2人の甘ーいお話をどうぞ〜
○
「………」
「………」
宿の一室。
そこに二人は居た。
クラディールの一件から1時間後、身体的にも精神的にも疲れているだろうから2人で休んでほしいとアスナとユージオ達から言われ、主街区の宿に泊まることにした二人。ここには一応キッチンも備え付けてあるので現在ロニエが夕飯の支度をしているところだ。
「……………」
「……………」
が、残念な事に会話が全く無い。
キリトの方は理由は言わずもがな_____
「………(ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!何やってんだ俺っ!?あの状況でっ!?キスゥ!?頭おかしくなったか!?もう変態扱い確定だろ!!ああもう……!ロニエがあんなに号泣するもんだからどうにかして慰めないとって思ってたらなんか愛しいなぁって思ったぁ!?考えおかしいぞ!?ヤッバイ声掛けづらい!!あんなことした手前、明るく話しかけるのもおかしいしいっそ完璧な土下座を決め込むのも視野に入れなくては______しかしてロニエの事が愛しいなぁって思ったのも事実ではあるし俺がその後口にしたセリフもホントの事だから____うああああああああああああああ!!!!ロニエとキスしたあの感覚がまだ残ってるぅぅぅ………柔らかかったなぁ……じゃない!!何思い出してるんだ俺ぇぇぇぇぇええええええええ!?)」
この通りである。
コミュ障男子15歳、絶賛大パニックだ。
一方ロニエの方は____
「………(……………先輩が……せ、接吻を……ああもう!考えちゃダメよロニエ!!考えたら頬が緩んでしまいそう…!それに先輩の前であんなにみっともなく大泣きするなんて…気が動転してたからってあれは……!!でも、先輩の唇……結構柔らかかったなぁ……って何考えてるの私!?ダメダメ思い出しちゃダメっ!!こんなのじゃ先輩と顔合わせられない〜!!)」
こちらもまぁ、だいたい同じようなものである。
キリトは備え付けのソファーに座り頭を抱え、ロニエは料理をしながらも両頬に手を当てて顔を真っ赤にしている。
その時、グラタンを焼いていたオーブンから焼けたことを知らせるベルが鳴る。ロニエはそれで我に返り、サラダやその他の料理の盛りつけを済ませ、キリトの待つテーブルへ。
「せっ、先輩!出来ましたよ!」
「おお!で、出来たか!こりゃ美味そうだな!」
微妙に焦る2人のぎこちなさと言ったら、他の人達が見ればニヤケが止まらないだろう。特に女性陣の反応は目に見えている。
「じゃ、頂きまーす…!」
「はい、有り合わせのものですが…」
「ぁむ、ぐ……ん、ん、ん……んんんぅ!!」
「ホントですか?良かったです♪」
ほとんど一緒にこの1年半パーティを組み、同じ釜の飯(というよりロニエ手製の料理の数々)を食べてきたが、キリトは飽きることは無いだろう。
今思えばこの2人はこの1年半の間、殆どの時間を共に過ごしてきた。
あんなことがあったけれど、二人の関係は変わらず______
「……」モグモグ
「……」モグモグ
に居られるわけはなかった。
先程と同じく頭の中は大混乱、次に何を話そうか、相手がどう思っているのだろうか…とずっと考え続けている。
そのまま、会話が出来ることなく。
完食である。
「ご、ご馳走様でした。美味かったよ」
「い、いえ!こちらこそお粗末さまでした!」
食後のティータイム。
ロニエが用意してくれた紅茶(的な飲み物)を飲みながら、沈黙は続く。しかし、二人は意を決して同時に口を開いた
「……あのさ、ロニエ!」
「…あの、キリト先輩!」
「あ、お先にどうぞ…」
「いえ、その、先輩からどうぞ…」
「いやいや、ロニエから…」
「いえ、私はその後でいいので…」
顔を赤くしながら譲り合う2人。
「…じゃあ、俺からでいいか?」
「はい、どうぞ!」
「……えっと、その…だな」
「……」
「…このSAOが始まってすぐにロニエと出会ってここまでずっと一緒に走ってきてくれた。俺は凄く感謝してる、ありがとな。ロニエ」
「…!いえ、私がしたいと思ってやっている事なので…」
「…俺さ、ホントはあんまり人付き合い得意じゃないんだ。
「…はい」
「それに、俺の家にいる家族は……ホントに血の繋がってる家族じゃないって4.5年前に知った。だからかな……いつしか、目の前にいる人が本当に誰なのか分かんなくなったんだ。」
キリトの独白。キリトが抱えてきたモノ。
「今まで育ててくれた母さんや父さん、一緒にいたスグ…いや、妹も、信じられなくなって………それで、ネットゲームとかに沼りだした。_____思ったんだ。現実世界も、ネット……だけじゃないな。この
「……ここだって、目の前の人間が本当は誰なのか分からない。現実世界も同じだった。それに______俺にとっては、桐ヶy……いや、現実世界の俺でいなくて済む、このネットの世界……いや、仮想世界にのめり込んでしまった」
「これは《逃げ》だって分かってた。それでも止められなかった。だからかな……このSAO事件に巻き込まれたのも」
「…でもさ。ここに来て、ようやくわかった気がするよ。この仮想世界でも、友達が出来て、仲間が出来て____それで、その___信頼出来る人がいる。でも、多分この関係は現実世界に帰ったとしても、続いていくと思う」
「現実世界も仮想世界も、そう変わらなかった。人を……想う気持ちがあれば、人が本当は誰なのかなんて、関係なかったんだって。俺は、この世界に来て気付けた」
「…それに気付けたのは、ロニエのおかげでもあるんだ。ずっと一緒にいてくれてこのことに気付けた。まぁ、今じゃロニエがいないと死にかけるダメ人間になってるけどさ」
「ダメ人間だなんて、そんな…」
「ん。でも一応事実だからなぁ。」
なんて、あははと笑いながらキリトは続けた。
「……それで、だな。その………ロニエが良ければなんだけど…」
「…?」
するとキリトは顔を赤くして頭を掻きながら言った。
「……これからも一緒にいて欲しいなって…さ」
キリトにとって、大告白。
結構コミュニケーションが苦手で、今も恥ずかしさに打ち震えているキリト。
それに対しロニエは_____
「はい!勿論です。これからも私は先輩の傍付き…では無く、パーティメンバーとして_____」
____悲しいことに、気付かなかった。
いや、ロニエが悪い訳では無い。
「いや、その…そういう意味じゃなくて………ああもう!まどろっこしい!!遠回り過ぎて分からないよな!ごめん!!」
「え?」
「____ええいっ、この際だ。ハッキリさせとくけどな、ロニエ!俺は______」
「は、はい…」
「_____ロニエの事が好きだ!!」
_____言い切った
「___ぇ?」
いきなりのことに思考回路が停止するロニエ。それに畳み掛けるようにキリトは思いの丈をぶつける。
「分からないか!?なら何回でも言うぞ!俺はロニエが好きだ!!1年半前、初めて出会って、ずっとパーティを組んで一緒に戦って、ご飯も食べて、時には探偵の真似事さえした!この1年半は俺にとってかけがえのないものだった!!特に、ロニエと一緒に居る間は!!」
「え_______ぇっ?」
「気づいた時にはもう完全に、その、惚れてたんだよ!!戦ってるのその凛々しい表情に、スイーツを食べる時の幸せそうな顔も、幽霊が怖いってちょっと怖がってる顔も……!!」
「ぇ、え、ええええ…!?////」
出る。
「歩きながら服を選んでる時の悩んでる顔も、可愛いし!寝巻き姿は反則級に可愛かった!!」
「ふぇっ…!?//////」
出る出る。
「シャワー浴びた直後なんかホント、危なかった!!色々と!!」
「……っ!?////////」
今まで心の中で思っていた事が、堰を切ったように溢れ出す。
「俺の歩くスピードを合わせようと隣を歩いていたのも、控えめに今日何が食べたいか聞いてきたのも、全部……凄い嬉しかった!!」
「俺は_____そういうとこ全部ひっくるめて、ロニエが好きなんだ!!今だって心臓バックバック言ってる!!多分顔も人に見せられないくらい赤くなってると思う!!」
「___さっきのは、そのなんて言うか…………ぷっ、プロポーズとして言おうとしたんだけどあまりにも恥ずかしさが後から出てきて上手く言えなかった!!」
「だから言わせてくれ!!俺は、ロニエの事が大好きだ!!これからずっと一緒に____俺の隣にいて欲しい!!その、つ、妻として!!」
「_____ぁ//////」
トドメ。
今の今までロニエの猛アタックに反応しなかった(心の中ではめちゃくちゃ過剰反応してた)キリトが絞り出す、ロニエへの《好き》の気持ち。
キリトがメインメニューを操作し、アイテムストレージから何かを取り出した。
キリトの右手にのる小さな、綺麗な箱。
キリトはそれを左手で、ぱこっと空けてロニエへ差し出す。
その中には______一つの指輪が入っていた。
「け、結婚……して、くれ…!!」
それは、今から2ヶ月前。
キリトがリズから恋愛相談へのアドバイスを貰った2日後。
リズにアドバイスを貰いながら指輪を選びに街へ行った。
結局キリト、及び
それが、これである。
指輪の裏には、キリトとロニエの名前が彫ってある。
因みにネズハ渾身の作だ。
『キリトさんとロニエさんの為なら』と、手を貸してくれた。
およそ______このアインクラッドで、ただ一つしかない。
キリトの想いが詰まった指輪だった。
「______ 」
それに、ロニエは______一筋の涙を零した。
「___本当に、良いんですか?」
「何が?」
「私、なんかで…だって、他にもいるじゃないですか。アスナさんだって、リズだって、シリカちゃんだって_____」
キリトは、本当ならアスナと結ばれていた筈だった。なら、そうなるのが普通ではないか。そんな言い訳じみた言葉がこぼれる。これ以上の幸せは、彼女にとって怖かった。
アンダーワールドで。
彼女はその想いを誰にも明かすこと無く、墓まで持って行こうと決めていた。そんな彼女にとって今この状況が、信じられなくて。
これが実は夢で。
ふと、起きる時が来たら。
この1年半は、夢となって消えてしまうのではないか。
そんな根拠の無い、悲劇。
それが現実になりそうで怖くて。
でも、キリトはそれを吹き飛ばす。
「俺は、ロニエがいい」
確固たるそのロニエへの想い。
「私_____貴方を守れなかったんですよ?」
「いいや、ロニエは俺の事を守ってくれたよ。俺は充分助けられた。塞ぎ込むことしか出来ないだろう俺を、ここまで変えてくれた」
「こんな____幸せになっていいんですか?私なんかが…」
「俺は、ロニエじゃなきゃダメなんだ。だって_____ロニエ以外、有り得ない」
「______っ!!」
「あの時も言っただろう?ロニエが俺の事を守るって、そう言うなら。俺はロニエ、君を守るよ」
「______ぁ、ああ…!!」
最後のダメ押し。
「至らない所も沢山あるだろうけどさ。一緒に、いてくれないか?」
認めるしか無かった。
これが、キリトの本心であることを。
彼と出会って、ずっとしまい込んでいた想いが溢れ出す。
「________はいっ…!!」
そして、彼女は涙を流し、笑顔でキリトの