ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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遅くなりました〜
クロス・アラベルです。
えー…もう、春ですね(白目)
大学も始まるので、また投稿ペースが落ちると思いますが、何卒、よろしくお願いします…
では、本編へどぞ( ˙꒳˙ )キリッ



《ヌシ》VS《黒の剣士》

 

 

 

 

「………うへぇ……何故こうなった」

「先輩、しっかりしてください。ほんの40人超える程度ですよ。100人超えないだけまだマシです!」

「うーん…いや、五十歩百歩だな」

 

次の日。昼前に湖にやってきたキリト、ロニエ、ユイは予想外のギャラリーに驚いていた。

ヌシを釣り上げるだけだと思っていたキリトは結構なダメージを受けている。

しかし、村に住んでいる釣り好きのプレイヤーやその他のプレイヤーにとってここまでのイベントなど中々無いのだ。一番難易度の高い湖に潜む謎の《ヌシ》を吊り上げる____それだけで大イベントだった。

 

「攻略会議の時は今よりもっと多いじゃないですか!」

「いや……アレは、これから一緒に戦う仲間たちなのであって、コレはジロジロ見られるんだぜ…?」

「別に変な格好している訳じゃありませんから、大丈夫です。だから自信を持ってください、先輩」

「……いつも通り真っ黒なのに?」

一応キリトとしては自身のファッションセンスの無さは自覚している。

 

それに、キリトが人混みを避けたい理由は_____アインクラッドでも有数の美少女であるロニエがこんな所で結婚して2人暮らしをしていることがバレると、なんだかんだで面倒なことになりそうだと予想していたからだった。彼女は自覚がないものの結構な有名人で、男性人気、女性人気共にある。故にそれなりにファンも____

 

「_____それでは皆さん!!今回のメインイベントである、ヌシとの対決に移りたいと思います!」

と、その時。丁度ニシダさんが仕切り始めた。そろそろ始まるようだ。キリトはユイとロニエに頑張ってくるよ、と言ってニシダの元へ向かう。

「では、キリトさん。よろしくお願いしますね」

「はい。ヒットしてからの力勝負は任せて下さい」

「期待してますよ!」

短く挨拶を交わして、彼は釣竿を掴んだ。直後、ワクワクしていたその笑顔が真剣なものに変わる。

「_______」

すいっ、と釣竿が湖へと振られる。特大の餌が湖に落ちた。

ここからは根気の勝負。

キリト達やギャラリーは固唾を呑んで見守った。

 

 

 

 

 

沈黙が破られたのは、その五分後だった。

「______ッ、来ました!!」

「_____ホントですか!」

ニシダがそう言った直後、竿がぐいっと引っ張られる。

「キリトさん、スイッチ…!」

「はい、スイッ_______チぃぃいいい!?」

ニシダから受け取った釣竿はキリトの予想以上の重さで、キリトは体を持っていかれそうになって、踏みとどまった。

「ぐ、ぐぐぐ……コイツは、確かに化け物級だな…!!」

しかし、引っ張られたのは最初だけ。キリトも筋力値には自信がある。それに、ここは22層。ならば適正レベルなどとうに超えている。彼はアインクラッドの中でも最高レベルと言っても過言ではない。

 

「さァて……さっさと、出て来やがれ____!!」

思いっきり力を入れて釣竿を引く。確かにここのそうにしては要求筋力値が高過ぎる気がするが、キリトには関係ない。このまま______引き上げられる。

「お、影が見えてきましたぞ!!」

そんなニシダの声に、ギャラリーはこぞって湖に集まる。

「おお、大きいな!!」

「こんなの見た事ねェや…!」

「先輩、頑張って下さい!」

「ぱぱ、がんばれー!」

ロニエとユイの声援に答えるようにキリトはより力を込めた。

「あ、そろそろ見えて_______」

「先輩、あと少しで_________」

 

直後、全員の声が消える。

 

「_______!!」

そして、全員が一目散に陸地へと走り出す。ロニエもユイをだき抱えて走っている。キリトにはみんながみんな、顔を青くしているように見えた。

「お、おい!何逃げてるんだよ…?」

「先輩、逃げた方がいいですよー!!」

「はぁ?何を言って______」

遠くからそう呼びかけるロニエにキリトが首を傾げた、その時。

 

ブチンッ、と何かが切れる音が聞こえた。釣竿にかかっていた重さが一瞬で消える。

「_____づッ!?」

思いっきり頭を打ったキリト。HPが少し減ったのではないだろうか。

「____つぅ……って、まさか釣り糸が切れたのか!?」

と、急いで湖へと駆け寄る。

 

そして、キリトはみんなが何故逃げたかを悟った。

湖から現れたのは、魚________ではなく、四足歩行で歩いてくる魚に似たナニカだった。

言うなれば……魚類から両生類へ進化した原生生物…といったところか。現実世界の生き物的にシーラカンスにほんのちょっぴり似ている気がしなくもない。どちらかと言うと、全体的に身体がドス黒い黄緑色なせいか蛙を思わせる。

 

「______いや、化け物級じゃなくて……これホントにモンスターじゃないか!?」

 

グォアオオオオオオオオオオオ!!!!

 

という雄叫びに全速力でロニエ達の元へ走るキリト。

「先輩、大丈夫ですか?」

「大丈夫だけど……いや、言ってくれよ…ビビるじゃないか…」

「す、すいません。ユイを守ることに必死で…」

「む、それじゃあしょうがないか」

ロニエの答えに納得するキリト。

「あわわわ…!!」

混乱するニシダやギャラリー達。それに対し、2人は落ち着いている。

「ユイ、怖くなかったか?」

「うん、怖くないよ?」

「そうか、やっぱりパパの子だな!」

 

ユイは意外にも全く怖がっていないようだ。

二人が四足歩行のモンスターに目を向ける。

 

モンスターのレベルはそこまで高くないので二人にはカーソルがピンク色に見える。プレイヤー自身のレベルに合わせてカーソルのカラーリングは変わっていくので大方、ニシダ達には真っ赤を通り越して黒く見えているのではないだろうか。

そんな気色悪い湖のヌシはのっしのっしと鈍くはあるが、しっかりとこちらに迫って来ている。

「……あれは、生物学的に言うと何に入るのか……肺魚とか?」

 

因みに『肺魚』とは幼魚から成長するに連れて肺が発達し、人と同じく呼吸ができるようになる魚のこと。が、肺に頼り過ぎて魚だと言うのに定期的に息継ぎをしなければならないという変わり者。それなりにメリットがあるらしいが____

しかし、キリトはそんな事よりも…と、とある事を思い出した。

「あー……しまったな」

「?」

「ごめん、ロニエ。武器、家に忘れてきた…」

「え…」

ロニエ持ってるか?と聞くキリト。

「一応持ってますけど…」

「頼めるか?ユイは俺が見ておくから」

「もうっ……分かりました。ユイ、すぐ終わらせてくるから、パパと待っててね?」

「まま、だいじょうぶ…?」

「ええ、大丈夫。見ててね、ユイ」

「大丈夫だ、ユイ。ママは凄く強いからな!」

ユイをキリトに任せてロニエは一人、モンスターへと歩いていく。

「き、キリトさん!お、奥さんが…!?」

「大丈夫ですよ、アレくらいならロニエ1人で充分だ」

「そうは言っても…ああ!こうなればワシが……!」

焦るニシダに対し、落ち着いているキリト。結果は分かりきっていた。ロニエ位の実力ならば、あの程度のモンスターは上位ソードスキル一本で充分だと。

 

ロニエは愛剣をストレージから実体化し、鞘から剣を抜く。

 

「______はああああッ!!」

 

裂帛の気合。鋭く、引き裂くようなその声はあの繊細そうな少女のそれとは思えない程のものだった。

彼女が攻略組のトッププレイヤーである事を知らない、気づいていないギャラリー達は驚きを隠せない。

片手剣上位ソードスキル《ウォーパルストライク》。射程距離は突進技故に長く、威力も高めで、尚且つクールタイムが短い。キリト達片手直剣スキルを扱うプレイヤーが愛用する、万能技だ。突き技なので攻撃対象を一体に絞らなければならないが、それも些細な事。

 

為す術なくロニエのソードスキルをまともに食らった四足歩行の魚型モンスターは、一撃でHPゲージを根こそぎ持っていかれて、絶命。ポリゴン片となって砕け散った。

 

『『__________』』

「まま凄い…!ままー!」

「____うん、凄いな。何度見ても綺麗な技の立ち上げ方だ。一部だって隙もない」

ポカン、と口を開ける周りと、目を輝かせてロニエに手を振るユイ、そして満足そうに頷くキリトだった。

 

「終わりました、先輩」

「ああ。綺麗に決まったな」

「はい!ドロップアイテムも結構出ましたね」

「ふーん…ヌシとあって結構アイテムが豪華な気がする」

「ニシダさん、ドロップアイテムありますよ!豪華そうな釣竿も…!」

「____はっ!?ホントですかな!?」

2人に駆け寄るニシダ。ドロップ一覧を可視化しニシダに見せつつ、ロニエはユイを抱っこする。

「おかえり、まま!」

「ただいま、ユイ」

「まますごかったね!すごくはやかった!」

「そう、かな?えへへ、ユイに褒められると恥ずかしいなぁ…」

ユイに褒められてロニエはちょっと顔を赤くして照れた。正面からの賛辞はやはり恥かしいようだ。それも子供の純粋なものであるが故に余計だろう。

「あ、あの……もしかして、攻略組のロニエさんですか…?」

と、その時。ギャラリーの中から質問の声が上がった。若い男だったが、ちょっと笑顔がひくついている。

「はい、そうですよ」

「えっ……じゃあ、お隣の人って…!」

 

「はい……えっと、その……………夫の、キリトです」/////

「っ!?」

「___はい、夫です」

恥ずかしがるロニエと驚愕する男達を後目にキリトはロニエの肩を寄せて宣言した。

「……えっと、じゃあ、その子は……?もしかして、お子さんですか…?」

「ん、と……ちょっと込み入った事情があるんですけど、まぁ、そんな感じかな」

ちょっと迷ったがキリトは濁しながらそう答えた。

ユイの事情を話すのは時間がかかるし、何よりあまりいい反応はされないはず。

このアインクラッドで子供を産むことは出来ない。だから、必然的に現実世界での子供をログインさせた、と思われるのもそれはそれで問題なのだが…

 

「なんと、こんなアイテムがドロップして……!?あ、き、キリトさん!このドロップアイテムですが_____」

「ニシダさんが全部受け取っちゃってください。俺、そんなに釣りスキル熟練度高くないので……ニシダさんが使った方が有意義ですよ」

「あ、ありがとうございます!!」

と、ニシダさんの元へ集まるギャラリー達。もとよりギャラリー達はほとんどが釣り師であり、湖のヌシが落としたという釣竿には興味がある模様。

 

「……ま、クエストクリアだな」

「はい!結構楽しかったですね、先輩♪」

「最後はロニエに任せちゃったけど………ユイ、楽しかったか?」

「うん!楽しかった!!」

「そうか、良かったな!」

 

こうして、この村一大イベント《ヌシとの対決》は幕を閉じたのだった。

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