ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~   作:クロス・アラベル

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こんにちは!
クロス・アラベルです!
早めの投稿で第5話『悪夢の再来』どうぞ!


悪夢の再来

クラインは剣を構え、突進する。

 

クライン「おりゃーーー‼︎」

 

クラインの雄叫びと共に、クラインの『リトルサーベル』が薄い赤く光り出した。

 

曲剣カテゴリー、突進系ソードスキル『リーパー』だ。

 

ズバッ‼︎

 

パリィィィイン!

 

フレンジーボアのHPを削り取り、ポリゴン片となって四散した。

 

クライン「おっしゃーー‼︎また倒したぞ!」

 

ユージオ「順調だね、クライン。」

 

キリト「いい感じだな。」

 

パラリラリラリーン!

 

クライン「おっ!レベルアップしたぜ!」

 

キリト「よかったな。」

 

クライン「ようやくレベル2か………2人はどうないんだ?」

 

キリト「俺は結構前、レベル3になったぞ。」

 

れ、れべる?なんだろう………

 

キリト「ユージオは?」

 

ユージオ「えっと………めいんめにゅー………開いて…………これかな?…………3って書いてあるよ。」

 

クライン「何⁉︎もう2人ともレベル3か⁉︎くそぅ!」

 

キリト「まだまだだな。………あっ、もう6時前か。早いな………」

 

クライン「はあ⁉︎何分だ?」

 

キリト「んーと、5時50分。」

 

クライン「ヤベエわ、もうログアウトしねえと。」

 

ろぐあうと…………これって、キリトと初めて会った時にキリトが言ってた事だったね。確か意味は……………家に帰る……だったような………

 

キリト「!…………そうか………」

 

クライン「6時にアツアツの照りマヨピザとジンジャーエールを予約済みよぉ‼︎」

 

キリト「準備万端だな……」

 

クライン「おう!」

 

…………キリト、寂しそうだな………

 

キリト「ユージオ、お前は………どうする?」

 

ユージオ「!えっと………」

 

まずい!………僕、あの時死んだはずだから、帰れないし、帰るところがない!

 

ユージオ「うーん、僕はここに居ようかな………。」

 

キリト「!そうか!」

 

クライン「よし、じゃあログアウトするな!」

 

キリト「ああ、じゃあな」

 

ユージオ「またね、クライン。」

 

クライン「ああ!また、後でな!」

 

もうクラインが帰っちゃうんだ。早いな。もう6時前だし…………………というか、ここには『時告げの鐘』は無いの?

 

キリト「それじゃあ、続き………やるか!」

 

ユージオ「………そうだね!」

 

さあ、続きを………

 

「あれ?」

 

キリト「?」

 

ユージオ「?」

 

気づいたら、後ろでクラインが唸っていた。

 

ユージオ「クライン、どうしたの?」

 

クライン「いや………『ログアウトボタンが無いんだよ』。」

 

キリト「?んなわけないだろ。メインメニューの一番下に………」

 

リリーン!

 

キリト「?なんでだ?ないぞ、俺も………ユージオもか?」

 

ユージオ「えっ?………まって、めいんめにゅー……」

 

リリーン!

 

ユージオ「…………ログアウトボタンなんて、『ない』よ。」

 

キリト「‼︎」

 

クライン「はあ⁉︎まさかエラーか?故障か?」

 

キリト「…………いや、故障だったら多分すぐに強制ログアウトがあるはずだ。」

 

クライン「いきなりエラーとはな!多分今、上の奴らは半泣きだろうな!」

 

ユージオ「…………じゃあ………一体…………」

 

キリト「一体、何が起こってるんだろうな…………。」

 

ユージオがどうなってるんだろう、そう思った。その時だった。

 

激しい頭痛がユージオを襲った。

 

ユージオ「うっ⁉︎」

 

キリト「?どうした⁉︎」

 

クライン「おお⁉︎大丈夫か⁉︎」

 

一体…………何……が⁉︎

 

そして、僕の頭の中に、何かが、流れ込んできた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 

ここは、始まりの町の広場の真ん中。

 

そこにいる、たくさんの人。1万は軽く超えるだろう。

 

そこに浮いている、ローブを着た巨大な男。

 

伝えられる驚くべき真実。

 

驚きおののく人々。

 

怒りの声や恐怖の叫び声。

 

そして、そこにいる黒髪の少年。

 

その少年は1人で、走り出す。

 

夕日に照らされた、遠く続く一本の道を。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

ユージオ「…………?この記憶は………」

 

あそこにいたのは………キリト?

 

キリト「どうしたユージオ?」

 

クライン「大丈夫か⁉︎」

 

ユージオ「………うん…………」

 

まさか、さっきのは、キリトの記憶……なの?

 

キリト「⁉︎なっこれは⁉︎」

 

その時、キリトを青色の光が包み込む。クラインも。

 

クライン「うおおお⁉︎」

 

ユージオ「⁉︎」

 

そして、ユージオも。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

シュワン!

 

ユージオ「うわっ!」

 

………ここは……はじめに来た、広場?

 

シュワワン‼︎

 

キリト「!」

 

クライン「うおお⁉︎」

 

ユージオ「2人とも、大丈夫?」

 

キリト「………ここは、広場か?」

 

ユージオ「みたいだよ。」

 

クライン「一体どうなってんだ⁉︎」

 

そこには、たくさんの人がいる。他の人たちもこうなっちゃったのかな?

 

ユージオ「……?」

 

そして、ユージオは不意に、空に紅いものが浮いているのがわかった。紅い細長い六角形。それに書いてあるのは………

 

《WARNING》

 

この文字が『警告』を意味しているのはユージオでも感じた。

 

キリト「あれは…………」

 

そして、それがどんどん多くなっていき、空を埋め尽くした。

 

そして、それから流れ出てくる血のように紅い液体。

 

そして、それが落ちて来て人型を描き出した。

 

それは、赤いローブを着た巨大な男。

 

ローブを着ていて、顔がわからないが、男とわかる。

 

ユージオ「‼︎あれって………」

 

キリト「……………」

 

クライン「…………なんじゃありゃ…………」

 

そして、その男はこういった。

 

『プレイヤー諸君、私の世界へようこそ。』

 

そこら中から、声が聞こえる。

 

『諸君が知っての通り、私が茅場晶彦だ。』

 

キリト「………」

 

クライン「………お……」

 

ユージオ「………‼︎」

 

『これから、ソードアートオンラインのチュートリアルを始める。』

 

そして、茅場は真実を語った。

 

現実の世界にはもう帰れないと、ここでの死は現実での死でもあること、助けは来ないこと、100層を全てクリアしなければ、現実世界には戻れないことを。

 

周りから響く怒号、悲鳴、懇願の声。

 

『そんなプレイヤー諸君にプレゼントがある。受け取ってくれたまえ。』

 

キリト「…………プレゼント?」

 

クライン「んだよ、それ‼︎ふざけんなよ‼︎」

 

キリト「とにかく、プレゼントってのを見てみよう。」

 

ユージオ「うん…………」

 

クライン「おう………」

 

これは………さっき見た、キリトの記憶と同じ…………

 

シュワッ!

 

キリト「……?手鏡?」

 

ユージオ「えっと……あった!これだね。………本当だ、手鏡だ。」

 

クライン「んでもよ、こんなの何に使うんだ?」

 

キリト「さあ、わからないけど………⁉︎」

 

次の瞬間、キリトはまた、青い光に包まれた。

 

クライン「キリト‼︎」

 

ユージオ「キリト!大丈夫⁉︎」

 

そして、クラインもユージオもその光に包まれた。

 

ユージオ「うわあ‼︎」

 

光が止んで手鏡を見てみると、そこには、いつもの自分がいた。

 

亜麻色の髪、緑色の目、中性的な顔立ち。

 

ユージオ「これは………」

 

そして、周りをみた。

 

???「………ユージオ、クライン、大丈夫か?」

 

???「おお、大丈夫………」

 

そこには、漆黒の髪に同じ目、中性的な顔立ちをした少年と、なんだか山賊のような男が立っていた。

 

???「?お前は………誰だ?」

 

???「おめえこそ誰だよ。」

 

そして、2人は事を理解したような顔で指を指して叫んだ。

 

???「お前が、クライン⁉︎」

 

???「おめえがキリトか⁉︎」

 

そう、キリトとクラインだった。

 

「「じゃあ、お前がユージオか?」」

 

2人は同時にユージオに聞いて来た。

 

ユージオ「うん、そうだけど………」

 

だが、その時ユージオはほとんど話を聞いてはいなかった。

 

…………キリト、君だったんだ。また、会えたんだね、キリト。

 

ユージオが考えに浸っている間に、ローブ姿の茅場が喋り出した。

 

『諸君は、現実世界の姿で生活してもらおう。それではプレイヤー諸君、健闘を祈る。』

 

そして、一瞬の沈黙。

 

また、怒号と悲鳴が広場全体に響いた。

 

キリト「ユージオ、クライン、こっちに来い!」

 

キリトはユージオとクラインの腕を掴んで走り出した。

 

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

キリトは細い路地にユージオとクラインを連れて来た。

 

キリト「ユージオ、クライン、これから俺は次の町に進もうと思う。始まりの町周辺はモンスターのポップの奪い合いになるだろうからな。2人とも来てくれ。」

 

クライン「キリト、ダメだ。この町には俺のMMOのダチがいるんだ。そいつらを置いてはいけねえよ………」

 

キリト「‼︎………そうか………ユージオはどうする?」

 

ユージオ「………僕は………もちろんキリトと一緒に行くよ。僕はもう決めたんだ。」

 

キリト「そうか!わかった。クライン……ここで別れることになるけど………いいか?」

 

クライン「ああ!大丈夫だよ!お前に教えてもらったテクを使って俺もお前に追いついてやるからよ!」

 

キリト「……………わかった。」

 

キリトはこのまま、クラインと別れてしまうんだ。たぶん、キリトのことだから、後悔するんだろうな………

そうだ‼︎

 

ユージオ「キリト!クラインに今持ってる情報をあげたら?」

 

キリト「!………そうだな………今すぐは無理だけど、後でまとめてメッセを送るな。」

 

クライン「サンキューな!キリト!」

 

キリト「…………それじゃあ、またな、クライン。死ぬなよ。」

 

ユージオ「またね、クライン。」

 

クライン「おう!お前ら、結構可愛い顔してんな!俺、好みだぜ!」

 

「「お前(君)はその野武士ツラが良く似合ってるぜ(よ)‼︎」」

 

そして、僕らは走り出した。

 

キリト「…………」

 

ユージオ「大丈夫だよ、キリト。クラインなら大丈夫。クラインを信じよう!」

 

キリト「………ああ!そうだな!」

 

僕たちは町を出た。

 

出てすぐ、道の先に2匹の狼が青い光を放ち現れ、2人に向かって走ってくる。

 

キリト「………!」

 

ユージオ「……!来たよキリト‼︎」

 

キリト「ああ!」

 

剣を抜き走りながら、構える。

 

キリトの剣は薄い青色に、僕のは薄い緑色に輝いた。

 

キリト「はあっ‼︎」

 

ユージオ「やあっ‼︎」

 

『レイジスパイク』と『ソニックリープ』だ。

 

狼を一撃で仕留め、走り続ける。

 

キリト「うおおおおおおおおおおおおお‼︎」

 

ユージオ「はあああああああああああああ‼︎」

 

そして、僕らは夕日に向かって、吠えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回『アニールブレードと悲しき裏切り』

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