ソードアート・オンライン ~時を越えた青薔薇の剣士~ 作:クロス・アラベル
今回はキリユジによる天誅の回です。
この《朝露の少女》編は後2話ほど続く予定です。
気付けば、アインクラッド編もこんな所まで来てしまいました。
早いなぁ…(遅いわ)
では、本編どうぞ〜
○
「_____見つけた」
「ああ。人数は話より少ないが___」
始まりの街の、建物の上。
屋根から屋根へと飛び移り、迷い路地を駆ける。
索敵スキルにプレイヤー反応が計8人。
六人と二人に固まっている。
2人の方はおおよそ子供たちだろう。
人数が少ないのが気になるが。
あとの六人が___
「_____く、諦めろよ。こんなとこまで助けなんて来ねえよ。何せここまで来るのにかなり時間かかるだろうからよォ」
「嫌だ!ミナをどこにやったんだ!!返せよ!」
子供達が誰かに向かって叫んでいる。
必死に抵抗しているようだ。
男の子がもう1人の女の子を守るように男たちの前に立っていた。
「だからよ、そこの女の子をオレたちに____うお!?」
その子供と男たちの間に割って入るキリトたち。
サーシャはティーゼに担がれていた。
「______もう大丈夫よ、装備を戻して」
ロニエが二人の子供に近づいて頭を撫でる。
キリトとユージオは剣以外の武装を付けたまま、ユイとシャロをおんぶしている。
相対する、オプリチニクのプレイヤー達とキリト、ユージオ。
「な、なんだよテメェら…!」
「やめてください!子供たちに何をしていたんですか!!」
サーシャが叫ぶ。
子供達は鎧などの装備を解除し、簡素な服のみの格好だった。
「ちっ、アンタがこのガキ共の保護者か。手間かけさせやがって…」
毒づくリーダーと思しき男。
キリトとユージオはユイとシャロを下ろして___
「アンタら_______この子達に何しようとしてたんだ」
「まだ幼い子供なのに……一体何をしようとしたのか____聞かせて欲しい」
殺気の篭った目で男達を睨みつける。
普段穏やかなユージオでさえ、嫌悪を_____何より、怒りを隠せない。
「んだよ…オレたちゃ、お金を借りたいだけで___」
「___その理由なんて聞こうとは思わないけど、じゃあ何故あの子たちは全ての装備を外してるのかな?」
「___お前らいい歳してよくもまぁこんなことしてるな。あの子たちが震えてるのが分からなかったか?」
「___なんだ?ああ?文句あんならよ……」
すると男は腰に差していた剣を鞘走らせて言った。
「____殺るか?」
「どうせやるならよ、圏外に行くか?お?」
___もう、説得の余地など無かった。
既に、堕ちるところまで堕ちている。
キリトとユージオの怒りも有頂天である。
「__先輩」
「大丈夫だ。俺たちに任せろ___いや、
「…わかりました。任せます」
「____今、《殺る》…って言ったよな?」
「おお?そうだよ。お前らじゃ数秒も持たねぇよ。俺たちのレベルは60超えてんだぜ?勝てると思ってんのかぁ?」
「圏外に行く必要は無いよ。だって____」
二人は剣を実体化させる。
もう会話は意味をなさない。
この手の輩は言葉では聞かない。だから__
「____ッ!!」
「が____ぁ!?」
実力を持って場を収める。
ユージオの剣が閃いて、男の顔に衝撃が走る。
吹き飛ぶリーダー格の男。
圏内において、絶対にプレイヤーにはダメージが発生することは無い。
圏内ではシステムによって全てのプレイヤーが守られる。
「安心してよ。HPは絶対に減らない。死ぬ事なんてないんだから…ほら、ここって圏内だからさ」
「____一時期、圏内でキルが出来るっていうデマが流れたけど、それも嘘だったし、これなら安心じゃないか。なぁッ!!」
「____ひっ…!?」
次は男にキリトの剣が閃く。
そのシステムによる絶対の護り。それを利用したのが《圏内戦闘訓練》であり、悪用したのが《ブロック》だ。
ブロックは相手のHPゲージを減らすことは出来ないし、無理矢利動かすことが出来ないという圏内のルールを悪用したもの。だが____これには抜け道が二つある。
一つは相手の頭上____プレイヤーの上を飛び越えるように逃げること。
これに関してはそれなりのレベルになれば可能だ。それをブロックしているプレイヤー達が許してくれるかは別にして。
二つ目。それがキリトとユージオが行っていること。
レベルがあがってある一定の
システムによって守られている、と言うのもやはり限界がある。一定のレベルを超えて攻撃力が____
俗に言う、
「____圏外に行ってもいい。けど、危険すぎるもんな?俺もオススメはしない。だから……ここでずっと、叩きのめしてもいいんだぜ?HP減らないしさ、永遠に続けてやるさ」
「_______君達がやってきた愚行を、あの子達が味わったその恐怖、何倍にしてでも返すよ」
「____お、お前らぁ!!?見てないで助けろよぉ!!」
リーダー格の男の悲鳴。
ざわ、とオプリチニクの男達がどよめく。
そして、悟ってしまった。
_____ああ、
数分後。
オプリチニクの男達は一人を残して全員気絶してしまった。
まさにフルボッコである。
「___さて」
「__いっ…!?」
一人気絶していない男に歩み寄るキリト。剣を肩に担いでぺたりと座り込んだ最後の男にしゃがみながら話しかけた。
「運が良かったな。アンタには聞きたいことがあったんだ……なぁ、正直に答えてくれるよな?」
「わ、分かった!分かったからアイツらみたいには…!!」
「まぁ、アンタが正直に答えられるか。それ次第かな」
先程の地獄絵図を見て完全に脅えている。
それをいい事に、キリトとユージオは尋問(脅しながら)を開始した。
「じゃ、質問その一。アンタらがオプリチニクであってるよな?」
「ああ、いや、もうあのギルドはほぼ崩壊してるし、イエス…とも言えないかもしれない…」
「…元、オプリチニクってことか?」
「そうなる…かな。団長____イヴァンさんが死んでから、おかしくなったんだよ。俺は、その、仲間に脅されて____」
「アンタがなんでこんなことしてたかなんて知りたくない。そんなこと質問してないぞ?」
「_____ぁ、すいません…」
「質問その二。子供、もう一人はどこやったんだ?」
「____ぇ?」
「いやな、教会に飛び込んできた子が言ってたんだ。ギン、シエナ、ミナ。この三人がアンタらに捕まってたって。けどここにいたのはギン、シエナの二人だけ。ミナって女の子がいない」
「___それに、君たちの人数もその子の話より少ないんだよね。知らせに来てくれた子はね、『10人くらい』って言ってたよ。君達、六人しかいないじゃないか。少なく見積っても、4人は足りない______どこに行ったか、知ってる?」
「____」
静かに、淡々と。
二人は尋問する。
「____えっと、その……」
じっ、と男の目を見る二人。
「___ここだよ」
その眼力に負けて、男は指を刺しながら答えた。
___地面のレンガに。
「____巫山戯てるなら…」
「ちっ、違う!!本当だ!!本当に……!」
「待って、キリト。彼、僕らをバカにしてるんじゃなくて___」
「______まさか、地下ダンジョンか」
ぶんぶんと首を縦に振る男。
嘘は____ついていないようだった。
「確か、始まりの街の下に隠しダンジョンあったよな」
「___はい。最前線の攻略具合で解放されていくタイプのダンジョンです。私達も2、3回行きましたね」
「ふむ、じゃあもう一つ。お前ら以外___女の子を連れ去った奴らの人数は?」
「5人だ……」
「___貴重な情報をありがとう。因みに聞くけどさ、なんでその子を地下ダンジョンなんかに連れていくんだ?」
「____それ、は…」
言い淀む男。
連れていかれたのは、女の子。
恐らくは_______
「____そうか、大体分かった。理解も納得も出来ないけどな」
そう吐き捨てて、キリトは立ち上がった。
「___じゃあ俺は、何も__!!」
「ま、俺は
「_____ぁ」
「____らァッ!!」
「がっ____」
特大威力の《ウォーパルストライク》を食らって気絶する男。
「ふぅ、さて。ユージオ、回廊結晶もってたっけ?」
「流石に持ってないよ。あれ高級品だよ?」
「あー…ギルドにも入ってないオレたちが使うものじゃないしな。どうするかな」
気絶してレンガの道路に延びる男を後目に、キリトはうーん、と首を傾げた。
その時だった。
「___誰か来たな」
「うん。数は___七、いや八人かな」
この迷い路地に誰かがやってきたようだ。いくつかの足音が聞こえてくる。
『_____ニクだった場合は即無力化して下さい!一応警告はしますが、彼らは聞いてはくれない!いいですね!?』
『『『はいっ!』』』
「あれ、この声って…」
「…なんか、聞き覚えあるな。攻略会議で何回か」
鎧のガシャリガシャリと擦れる音と共に姿を現したのは___
『止まりなさい!!今すぐに武器を____え?』
「あ、ユリエールさん」
「そうそう、そうだった。忘れてた」
攻略組の中でも始まりの治安維持のグループに所属する幹部、ユリエールだった。
「ごめん、助かったよ。ユリエールさん」
「いえ。まさかキリトさんとユージオさんが来ていたなんて思ってもいませんでしたよ」
「僕らも元々パトロールをしていた訳ではなかったんですけど、ちょっと状況が…」
「すみません、本当に助かりました」
その後、オプリチニクの男達は
「にいちゃん…」
その時、先程まで後ろにいたギンという男の子がキリトとユージオを指さした。
「ん?あ…」
「あ、えっと……」
二人は一瞬戸惑った。
あんな怖い所を見せてしまったら、子供達は怖がるに決まっている。
どう言い訳したものかとキリトが悩んでいると、ギン少年はぱっと笑って言った。
「___すっげぇ…!に、にいちゃんなら、ミナを助けられるよな!?」
そう、まだ全て解決していない。
ミナ、という少女が行方不明だ。当てはあるので今からでも早く行かなければ。
「_____ああ、任せとけ。俺も、そこのお姉さんたちもみんな強いんだ。だから、待っててくれるか?」
そう言ってキリトはニヤリと笑った。