今回の話の戦闘はあっさりしてると思います。
それとほとんど会話がありません
では、第二十三話をどうぞ
Side鏡夜
あの夜から数ヶ月が経った。その間に、ビリエルさんが二つ程情報をくれた。
一つ目は、全員がダンビール―――つまり人間と吸血鬼の混血種だったことが分かった。
二つ目は、最悪なことにここ数日、この辺りを彷徨いているらしい。
そんな情報も有り、俺達紅魔館の全員は夜の時は警戒するようにした。
そして、今日は俺が結界の担当だった。
「さて、今日も来なければいいのですが・・・」
「そうね」
今、俺達全員は例の紅茶を飲む部屋に集まっていた。
「鏡夜さん・・・」
「大丈夫かい、咲夜ちゃん」
咲夜ちゃんを見ると、震えていた。俺はそんな咲夜ちゃんの頭を撫でて、落ち着かせた。
「大丈夫、私が守るから」
「・・・はい」
「私達も守ってね」
「勿論ですよ・・・! 来たか」
レミリアお嬢様は笑いながら言う。俺もその返事に笑顔で答えた瞬間、結界に反応があった。
「人数は四人、そしてどれも人でも吸血鬼でもない、当たりですね。しかも、真正面から入ってくるとは、恐れ入る」
俺は皆にそう言うと、服を整えて窓に向かった。
「では、皆、行ってくるよ。もし、見るなら屋根の上で結界を張りながら見てね」
「ええ、気を付けてね、鏡夜」
レミリアお嬢様はそう言うと、手を振ってきた。手を振り返すと、フランお嬢様がやって来た。
「鏡夜・・・」
「どうしました?」
フランお嬢様は心配そうな瞳でこちらを見てくる。そして、俺に抱きついてきた。
「・・・死なないでね」
「勿論ですよ」
俺は笑顔でフランお嬢様の頭を撫でた。頭を撫でられたフランお嬢様は安心したのか俺から離れた。
そして俺は、皆に笑顔を見せて窓から外に出た。
「よっと」
俺は門の前に降りて、前方を見つめる。相手との距離は大体二十メートル程。そのまま、俺が前方を見ていると、ようやく敵さんの姿が見えた。しかし、敵さんの姿はローブを着ており、顔は見えなかった。
敵さんは俺の十メートル程前で止まった。
「・・・人間?」
「ああ、そうだ、人間だよ」
敵さんの一人が呟いたのに対して返事を返すと、敵さんは静かに佇んだ。
「哀れな人間め、吸血鬼に操られたか」
「はっ、ちげえよ、俺は俺の意思でここに立ってんだよ」
「ならばそこをどけ、我々は人間には用はない」
「それはできねえ」
「何故だ?」
「それは、俺の大事な家族がいるからだよ」
俺がそう言うと、今まで静かだった敵さんが笑い始めた。
「ククク」
「何がおかしい?」
「いや、化物を家族だと? 笑わせてくれる」
「てめえ、今何つった?」
俺は大事な家族を化物と聞いた瞬間、イラッときた。自分の家族が化物呼ばわりだぞ、イラッと来なくてどうする。
俺は敵さんを睨むが、敵さんは何も感じていないらしい。
「・・・チッ、まあいい、で、テメエらは何故、吸血鬼を殺す?」
俺がそう言うと、敵さんは一斉に殺気を放ってきた。
「何故、何故だと?」
敵さんの一人は拳から血がにじむくらいの力で拳を握った。
「我らは、吸血鬼のせいで家族、友人、恋人を殺されたからだ」
「故に、吸血鬼は全て殺す、一片の躊躇なく殺す」
敵さんはまるで呪いでもつぶやくように言った。俺はその話を聞いた瞬間・・・呆れた。
「・・・ようは俺の家族に対しては八つ当たりか」
「何だと!」
俺が呆れながら呟くと敵さんが一気にキレた。
「八つ当たりだっつってんだよ。そんなことで、俺の家族は殺させねえ」
俺はそう言って、軽く体に力を入れた。
「お前らが何が何でも俺の家族の吸血鬼を殺すというのなら、もはや言葉を交わす必要は無くなった」
敵さんは俺の言葉を聞いた瞬間、嵐の前の静けさのように殺気を引っ込めた。
「・・・人間は殺したくないのだがな・・・仕方ない我らの邪魔をすると言うのなら、殺すまで!」
敵さんがそう言うと、一人が後ろに飛び下がり、杖を取り出した。
「私はここにいて、ここにいない」
杖を取り出した奴がそう呟いた瞬間、砂埃が上がり世界が変わった。
「めんどくせえ」
俺は腕を振って、風圧で砂埃を吹き飛ばす。砂埃を払って世界を見ると、地面は石で出来ておりかなり広い、空の色は形容し難い色となっている。そして、後ろを見るとかなりの距離があいて紅魔館があった。
「結界、シュレディンガーの猫」
敵さん側を見ると、ローブを脱いでその姿をあらわにした。
敵さん三人の姿を見た俺は、固まってしまった。違うと信じながら―――
「そっくりなだけだよな」
まず、一人目は神父のような格好をしており、メガネを掛けていた。
そして、二人目は執事のような格好をしており、こちらもメガネを掛けていた。
最後に、三番目の男は真っ赤なマントのようなものを着ている。
「嘘だろ、あいつらに本当に超そっくりなんだけど」
そう俺が呟くと敵さん側が各々の武器を取り出した。取り出した武器を見て、俺は更に嘘だろと思った。
「純銀製マケドニウム加工弾殻、マーベラス科学薬筒NN9、全長39cm重量16kg13mm炸裂徹鋼弾、ジャッカル!」
赤いマントを着た男が取り出したのは、黒鉄の銃だった。
「Dust to dust.塵は塵に」
次に神父はそう呟くと服の袖から二本の銃剣(バヨネット)を取り出した。
そして、最後の奴は無言で黒革の手袋をはめ手首をちょっと動かした。すると、男の周りで見えないくらいの鋼線がヒュンヒュンと鳴っていった。
「完全に出るところチゲえだろ」
そう呟いた俺は苦笑いしつつ、霊力で二本のダガーを作りだして逆手で持ち、つま先でトントンと地面を叩いた。
「まあ、殺ってやるか、例え300万以上の命があろうと、殺し尽くすまでだ」
そう言って、俺と敵さんは互いにぶつかり合った。
「ふっ!!」
まず、俺と神父が一瞬で互いに詰め寄った。神父は俺に詰め寄ると右手に持っていた銃剣を振り下ろしてくる。
俺はすぐさま銃剣に左手のダガーを当て、滑らすようにして銃剣を受け流す。
「ぬあ!?」
俺は体を沈めて、驚いた声を上げた神父の脇腹を右手のダガーで切りながら走り抜ける。走り抜けながら神父の傷を見ると、すぐに傷口は塞がってしまった。
(チッ! 吸血鬼の再生能力も持ってるのか)
俺は舌打ちをしながら正面に立っている、赤マントに向かって走る。
「いいぞ、いいぞ! 楽しくなってきた!」
赤マントは歪な笑を口元に浮かべると、黒鉄の銃を撃ってきた。俺は銃弾を避けるため飛び上がり、持っていたダガーを赤マントに投げつけた。
「ククク!」
赤マント躱そうとせず、両肩にダガーを食らった。両肩にダガーを食らったにも関わらず、黒鉄の銃を撃ってきた。
「チッ!」
俺は上体を反らすことでなんとか躱した。だが、今度はいつの間にか右腕を執事の鋼線が絡まっていた。
「やべ!」
執事は鋼線を引っ張り、俺を地面に叩きつけた。
「グッ!」
俺はまともに受身が取れず、地面に叩きつけられた。
「キエエエエエ!!!!!」
俺が地面に叩きつけられた瞬間、すぐさま神父が奇声を挙げながら俺の上に落ちてきた。
「っ! ウラァ!」
俺はすかさず、右腕に絡まっている鋼線を引っ張り、空中にいる神父にぶつけた。
「ぬう!」
「グッ!」
ぶつかった衝撃で右腕の鋼線が緩んだため外し、寝たまま後ろに回って両手で地面を押して飛び上がった。
右腕に痛みがあった為見ると、鋼線を引っ張った時にできたのか、右腕に少し切り傷を負っていて血も出ていた。
俺は腕を振って赤マントの近くに血を落とす。そして、すぐさま霊力で大量のダガーを作り出して、赤マントに向かって撃ちだす。
「それしかないのか! 人間よ!」
赤マントはそう言うと、俺の放ったダガーを全て撃ち落とした。だが―――
「計算通り」
「な・・・に・・・」
俺は血を操って、赤マントの近くの血を槍状にして、赤マントの胸を貫いた。
地面に降り顔を上げた瞬間、息つく暇もなく今度は、神父から銃剣が飛んできた。
「舐めるなよ」
俺は銃剣の一本を掴むと、飛んできた全ての銃剣を叩き落とした。
「やはり、これも効かぬか」
神父はそう言うと、赤マントのところまで下がり、執事もそれに続いて赤マントのところにまで下がった。
肝心の赤マントは未だ俺の作った血の槍に貫かれていた。
「・・・く、クハハハハ!! 面白い、実に面白いぞ人間!」
赤マントは笑いながらそう言うと、俺の血の槍を胸から抜いた。
俺はやれやれと思いながら敵さんの弱点を考えた。まあ、一つしか思いつかなかったんだけど。
「さて、じゃあ狙うか」
俺はそう言って、神父に向かって突っ込んでいった。神父も同様にこちらに突っ込んでくる。
神父に近づいた俺は、霊力で両腕を強化する。神父は近づいた俺に反応して銃剣を振り下ろしてくる。
銃剣を強化した右腕で弾く。だが、すかさず神父は左手に持っていた銃剣を振ってくる。それも左腕で弾き、すかさず神父の顎に膝蹴りを入れる。
「ぬう!」
神父が少しだけよろけた瞬間、右腕を引いて腰を落とす。そして・・・
「終われ」
神父の心臓めがけて音速を超えた突きを放つ。
「ぬあ!」
神父の体を貫いた時に、俺は右腕で神父の心臓を取り出して握りつぶした。
流石に心臓を潰されての再生は無理なのか、神父の体から徐々に力が抜けていった。が、神父は最後の悪あがきとばかりに、俺の右腕を銃剣で肘の辺りからバッサリと切った。
「グ!」
俺は即座に傷口から出た血を操り、切られた右腕を傷口に引き寄せる。そして、傷口を治していく。
俺が右腕を治すのに集中していると、腕足首に鋼線が巻きつけられた。
「く・・・そ・・・」
鋼線を絞めていくため、首と腕、足から血が滲み、呼吸ができなくなってきた。俺は多少の傷を負うのを覚悟して、勢いよく鋼線を引っ張る。
「ウラァアアア!!」
「なっ!」
引っ張った勢いで執事は空中に飛んだ。すぐに鋼線を外し、外した鋼線を掴んで地面に叩きつけた。
「ククク! 油断するな人間!」
執事を地面に叩きつけて、正面を見ると、顔面に向かって銃弾が飛んできていた。
俺は躱すことはせず、銃弾をおもいっきり・・・奥歯で噛んだ。
「きはねー!」
赤マントは少しだけ驚いた顔をした。俺は銃弾を口から吐き出して、地面に叩きつけた執事に向かって走り出した。
「く!」
執事は鋼線を出して俺の進行を阻む。顔や足、腕などに切り傷を負うがそんな事は気にせず執事に向かって走り続ける。
執事との距離が腕一本ぐらいまで縮まった瞬間、走った勢いのまま右腕を突き出して、心臓を抉り握りつぶした。
「これで、残るは貴様と魔法使いだけだ」
俺は執事に突き刺さったままの右腕を引き抜いて、赤マントに言った。
赤マントは俺の言葉を聞くと、俯いて・・・笑い出した。
「・・・く、ククク、ハハハハハハハ!!!!」
俺は急に笑い出した赤マントを無言で見た。
「面白い! 酷く面白いぞ! まさか人間がここまでやるとは」
赤マントはそう言うと、黒鉄の銃を何処かにしまいマントを脱いだ。
「では、人間、最後の戦いだ。一撃で終わらせよう」
赤マントはそう言うと、俺に向かって走り出してきた。俺も同様に赤マントに向かって走り出した。
「「ハアアアアアアアアアアア!!!!!!」」
俺と赤マントはお互いに叫び、そして音速にも近い突きをだした。
互の腕同士がぶつかり、少しだけ拮抗した。だが―――
「ハアアア!!!!」
俺が更に力を入れると、赤マントの腕は裂け、俺の腕は赤マントの肩の辺りで止まり、赤マントは吹き飛びそうになった。
吹き飛びそうになった赤マントの残っている方の腕を掴み、俺は左腕を引いて赤マントの心臓めがけて左腕を突き出し心臓を抉った。
「ああ・・・人間よ・・・楽しかった」
俺が左腕を引き抜くと、赤マントはゆっくり地面に向かって倒れながら死んだ。
「・・・流石に三百万の命はなかったか」
俺はそう呟き、魔法使いの方を睨んだ。
「さて、最後はお前だ」
魔法使いは未だローブを着ており、無言で立っていた。
「何か言ったらどうだ」
俺がそう言うと、魔法使いは無言で杖を持ち上げた。
「・・・また・・・いずれ会いましょう鏡夜さん」
「何故・・・俺の名前を!?」
魔法使いはそう言うと、杖でトンッと地面を叩いた。
「クソ、待て・・・」
魔法使いが杖で地面を叩くと、砂埃が上がった。俺は砂埃を腕を振った風圧で吹き飛ばす。
「・・・もういないか」
砂埃が晴れると、そこには魔法使いの姿は無かった。俺は周りを見て元の世界だと確認した。
「!? これは・・・」
俺は周りを見ている時に、先ほどまで戦っていた敵さんを見つけた。だが、敵さんの姿は先ほどとは違う姿だった。
「どういうことだ?」
俺は疑問に思いながら、紅魔館へと戻っていった。
Side 魔法使い
「ふ~疲れました」
「お疲れ様じゃ」
私は部屋へと戻りローブを脱いだ。ローブを脱いで部屋を出ると、ある人がいた。
「どうじゃった? 鏡夜は」
「強かったですよ、劣化版とはいえあの三人を倒したのですから」
「そうか、そうか」
ある人は私がそう言うと、嬉しそうに頷いた。
「楽しみじゃの~成長した鏡夜に会うのは」
「ええ、楽しみですね」
ある人はハッハッハと笑った。私もそれに続いて微笑んだ。
さて、意味深なフラグがありますが、これはものすっごい後に回収します
それと今回のネタは分かりましたかね?
批判、感想、誤字報告お待ちしております