二人の吸血鬼に恋した転生者   作:gbliht

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書けたので、ちょいと早く投稿。さてさて、今回は急ぎで書いたので、表現がわかりづく、更には誤字が多数あるかもしれません。
それと、残酷な描写、紫家の若干酷い描写がございますので、お気を付けてください。




第五十一話 あ~あ

Side鏡夜(女)

 

異世界、というか結界の中に入ったのだが、その中は意外と広い。紫ちゃん達の背後を見ると、端が見えず、後ろを振り返ってもやはり結界の端は見えない。天井はあるのかと、今度は上を見るが、天井はずっと紫色の空が続いているだけだった。

 

「さて、紫ちゃん。どうやって戦うのかしら?」

 

「もちろん、三対一。私達と鏡夜、貴方一人の戦いよ。ついでに言うと、貴方に付き添ってた咲夜・・・だったかしら? は、外で見ているから、安心して頂戴」

 

成程。どうりで、先ほどから咲夜ちゃんの姿が見えないとおもったら、そういうことだったのか。これで、咲夜ちゃんを庇いつつ戦うという懸念がなくなったわけだ。

 

「一つ質問していいかしら?」

 

「どうぞ」

 

「この中から、どうやったら脱出できるの?」

 

いざとなったらスキマを使って脱出できるのだが、それはあまりしたくない。できるだけ、正当な方法で脱出できるのなら、能力を使うことなく脱出したい。

 

「脱出できる方法は二つあるわ」

 

紫ちゃんは指を二本立てる。

 

「一つ目は、この空間で気絶する、負けを認める、もしくは死ぬこと」

 

「死ぬの?」

 

「正確には、死ぬほどの攻撃を受けること。この二つのどちらかになった場合、強制的に外に出されるわ。勿論、死ぬほどの攻撃を受けて外に出た場合、その傷は気絶程度のものになっているわ。例え、首を落とされたとしてもね」

 

よかった。これで、懸念事項が一つ減った。このまま、戦っていれば、私は三人を殺してしまうかと思ったが、殺したとしても気絶で済むなら、安心して戦える。

 

「二つ目は、相手を倒したとき。これは言葉通り、相手側が全員この結界から出たら、残ってる方もこの結界から脱出できるわ」

 

「ようは、相手を全滅させればいいのね」

 

「・・・・・・そうよ」

 

肩を落として、呆れながらため息を吐く紫ちゃん。何故だろう、私、何か悪いことでも言っただろうか?

 

まあ、そんなことは置いといて、さっさと戦いたい。久しくの間、戦ってなかったし、さらに今回はあの紫ちゃんだ。どんな手を使ってくるのか、ワクワクしてしまう。アリスとの戦い? あれは、遊びよ。

 

「もう、聞きたいことはないかしら?」

 

「ええ、もういいわ。ありがとう、紫ちゃん」

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

妖艶な笑みを浮かべて、紫ちゃんは首を横に振る。

 

「それじゃあ、始めましょうか・・・お師匠様」

 

「ええ、来なさい。これまでの修行の成果、見てあげるわ」

 

楽しみ過ぎて、自然と頬が緩んでしまった。そのせいかは知らないが、藍ちゃん、橙ちゃんの緊張の表情が少しだけ緩んだ。

 

「藍、橙、油断しては駄目よ。でも、緊張しすぎても駄目よ」

 

「はい」

 

「わかりましゅた」

 

「それじゃあお師匠様、始めましょうか」

 

二人に軽く注意した紫ちゃんは、スキマを開くと、その中から一枚のコインを取り出した。

 

これは、多分あれだ。あの西部劇とかである、コインを投げて、地面に着いたら勝負開始というあれだ。

 

「このコインを投げて、地面に着いたら勝負開始よ」

 

予想通り。私は軽く首を縦に振ると、紫ちゃんは含みのある笑顔でコインを指で弾き上げた。

 

指で弾き上げられたコインは空中クルクルと飛ぶ。その間、向こうの三人を見ると、紫ちゃんは笑顔で、藍ちゃんと橙ちゃんは申し訳なさそうな顔をしている。何故そんな顔をしているのだろうと普通の人は考えるだろうけど、私は違う。私は、二人の顔のことについて考える前に、その場から、横に飛んだ。

 

すると、先ほどまで立っていた場所に弾幕が通過した。弾幕が通過した場所の後ろを見ると、スキマが展開され、そこから弾幕が撃ち出されていた。つまり、紫ちゃんによる不意打ちである。

 

「やはりよけられたわね。藍! 橙! 行きなさい!」

 

「鏡夜さん、覚悟!」

 

「紫しゃまの為、その命、貰います!」

 

本気の殺意を放ちながら、横に飛んだ私に向かって、二人は突っ込んできた。

 

「覚悟? 命? 面白い! やってご覧なさい!」

 

突っ込んできた二人に向かって、私も突っ込む。突っ込んだ速度のまま、右手で橙ちゃんに向かってストレートを放つ。だが、その小柄な体型のせいか、私のストレートは躱されてしまった。

 

「右腕、貰います!」

 

伸びきった右腕を引き戻そうとしたがその前に、橙ちゃんが右腕に飛びついて、肘の関節を決めてきた。流石にこれはマズイと思い、力づくで解こうとしたが、以外にがっちり決まり、折れはしないが振りほどけない。だが、ここで先ほど突っ込んできたスピードのまま、藍ちゃんが顔面に向かって、跳び回し蹴りを放ってきた。

 

躱そうと、上体をずらそうとしたが、少しでも動いたら関節が折られるため、動けない。そして―――

 

「くっ!」

 

顔面に跳び回し蹴りが入った。強烈な衝撃のせいで上体が後ろにそれる。そのせいで、橙ちゃんに決められていた右肘が、ベキっという音と共に完璧に折られてしまった。

 

右腕が折れた瞬間、橙ちゃんは私の右腕を離し、先ほど跳び回し蹴り放った藍ちゃんと共に地面に着地した。私はというと、さっき食らった跳び回し蹴りのせいで後ろへと吹き飛んでいた。顔面の痛みで意識が飛びそうになったが、右肘の関節を無理やりはめ込み、その痛みでなんとか意識を覚醒させた。

 

なんとか右肘は無理やり治したが、多分この戦闘中は防御にしか使えないだろう。そんなことを考えながら、吹き飛んでいる体を一回転させ、地面に着地する。だが、地面に着地したと思った瞬間、地面にスキマが開かれた。

 

「全く、流石に三対一は不利ね」

 

愚痴を零しつつ、スキマから逃れるためその場から上に跳ぶ。跳ぶのはいいのだが、やはりという、案の定というか、藍ちゃんと橙ちゃんは体制がまだ整っていない私に向かって、突っ込んできた。

 

「藍! 橙! 今よ!」

 

紫ちゃんが二人に向かって叫んだ瞬間、目の前まで迫っていた二人は急に私の左右に分かれた。二人が攻めてくるのかと思ったが、二人は攻めてこない。

 

「飛行中ネスト!」

 

「!?」

 

紫ちゃんが何かを叫ぶと、私の目の前を白いレーザーが通過した。何事かと思い下を見ると、一つしか開いてなかったはずのスキマが何十にも開いており、その一つ一つから、何百という数の白いレーザーが放たれていた。

 

「これは・・・」

 

マズイ。そう思い、横に躱そうとするが、下からの範囲が広く、更には速さの境界でも曖昧にしているのか、その一つ一つの白いレーザーが光速の領域にいっているのでよけられない。それがなくても、左右から壁のように逃げ場なく弾幕を撃ってくる、藍ちゃんと橙ちゃんのせいでまともに移動もできない。

 

曲げる能力を使って弾幕を躱そうとしたが、何故か曲げる能力が使えない。紫ちゃんのせいかと思い、そちらを見ると、ほくそ笑んでいた。

 

「流石」

 

声を出さず、口元だけ動かして言うと、紫ちゃんは私と同じように口元だけを動かして―――

 

「それほとでも」

 

「・・・ふふ」

 

私は微笑みを浮かべると、下から飛んでくる白いレーザーに向かって、腕を顔の前で、右腕も無理やり動かしてクロスして防ぐ。

 

「ク、アハッハッハッハッハ!!!!!!!!!!!」

 

弾幕を防いでる最中、私は久しぶりに大声で笑っていた。楽しい、面白い、強い、やられる、そんな感情が私の胸の中に浮かんできたとうのに。

 

腕はズタボロで、皮一枚でなんとか繋がっている。足は傷だらけでまともに動かせやしない。服やその下の素肌なんかには裂傷や火傷が数え切れないほどある。

 

久しぶり。本当に久しぶりに追い込まれていた。例え、この状態でも負ける気のなかった私が、負けそうになっている。面白い。実に面白い。

 

「ハッハッハッハ!!!!!!!!!」

 

笑いながら、白いレーザーを防いでいると、急にその弾幕が止んだ。終わりかと思い、正面を見ると、藍ちゃんの足と橙ちゃんの足が左右から目の前に迫っていた。

 

「「ハアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!」」

 

二人の蹴りをボロボロの両手でガードするが、勢いは殺せず、そのまま地面にクレーターができるほどの威力で叩きつけられしまった。

 

「グ、ガハッ!」

 

起き上がろうとしたが、先ほど防いだせいか、私の両腕は肩から先が無く、血が止めどなく流れていた。更には、蹴り飛ばされて地面に叩きつけられた衝撃で、口から血を吐いてしまった。内蔵をやられたみたいだ。

 

「お師匠様、これで終わりです!」

 

寝たまま空を見ると、紫ちゃんが空中でスキマを何百という数で作り出していた。そして、その一つ一つのスキマからあるものが見えていた。

 

「ハ、ハハ・・・」

 

マスタースパーク。それも、超特大マスタースパーク。一発で、幻想郷全体の妖怪全てを一瞬で消し炭にするような威力。そんな威力のマスタースパークが、何百。一体どこから集めたのやら。

 

唯笑うことしかできない私に向かって無情にも、紫ちゃんは持っていた扇子を私に向かってゆっくりと振り下ろした。扇子を振り下ろすのが合図なのか、スキマから見えていたマスタースパークは、私を狙って撃ち出された。

 

「ハ、ハハ、ハッハッハッハッハッハ!!!!!!!!!!!!!!」

 

舐めていた。この三人を舐めていた。見ろ、三人を舐めた結果がこれだ。全く、私も落ちぶれたものだ。

 

「リミッター解除」

 

そう呟いた瞬間、私の目の前は真っ白になった。

 

 

 

Side紫

 

「ハア、ハア、ハア」

 

流石に疲れた。あそこまでの威力のマスタースパークを量産し、更には飛行虫ネストまで使い、能力もフルで使ったのだ。もう、妖力は空っぽでスキマの一つも開けない。

 

「・・・やったのでしょうか?」

 

「これで、終わってくれるといいのだけど」

 

息を肩でしている私に肩を貸しながら、藍が聞いてくる。

 

終わってくれてるといいのだけど、というか終わっててくれないと、もう勝てない。

 

「紫しゃま、流石にこれはやりすぎなのでは・・・?」

 

「橙、お師匠様相手はこれぐらいやらないといけないのよ」

 

なんせ、鬼と殴り合って生きている人間だ。これぐらいやらなければ、師匠は倒せるはずがない。

 

ゆっくりと呼吸して、なんとか息を整える。

 

「藍、ありがとう、もういいわ」

 

「はい」

 

藍から離れて、師匠のいた地面を見る。未だ砂煙が上がって、何も見えない。

 

「これで、終わりなのかしら・・・」

 

見下ろして、一息つく。やられたと思いたい。だけど、何故だろうか、先ほどから冷や汗が止まらない。手が震える。そして、また呼吸が乱れてきた。

 

砂埃が徐々に晴れていき、師匠の姿が見えるとなった瞬間―――

 

「「「!?」」」

 

圧倒的な威圧感に襲われた。いや、違う。これは妖力だ。圧倒的すぎる妖力のせいで、私達の肩に、何千キロという重さが乗っていような気がして、その場から動けない。

 

妖力の量は私の数千乗。更に、妖力の濃さも異常すぎる。私達と同じ妖力だというのに、肌で感じるだけで、肌が裂けそうだ。

 

「・・・紫しゃま、これって」

 

「・・・・・・・・」

 

「紫様、これは流石に・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

何も言えない。強烈な妖力のせいで、言葉が出せない。言葉を出せば、その瞬間、やられる気がする。

 

砂埃はとうとう全て晴れた。そして砂埃が晴れ、クレーターの中心が見えた。そこにいたのは、女性の師匠でもなく。ましてや男性の師匠でもない。真っ赤で血のような色の、真紅の鎧を着た何かがいた。

 

「ブラッティアーマー」

 

鎧の声は、間違いなく師匠の声だった。だが、その鎧には、両手が付いている。先ほど、完膚なきまでに師匠の両腕を破壊したはずなのに、その鎧には両手がついているのだ。

 

再生した? いや、そんな能力は師匠には無かったはずだが・・・

 

「紫様、紫様!」

 

そんな風に考えていると、藍に肩を揺さぶられた。どうやら、随分と考え事をしていたらしい。

 

「紫様! 来ます!」

 

「ッ!」

 

藍の言葉に真紅の鎧の方を見ると、真紅の鎧はその両手に何かを持って突っ込んできた。いや、何かではない。剣だ。だが、その剣は、剣というにはあまりに大きすぎ、赤くぶ厚く重くそして大雑把すぎる、まさに血の塊であった。

 

「ヴォォオオオオオオオオ!!!!!!!!!」

 

真紅の鎧は、人の声とは思えない、獣のような声を上げて突っ込んでくる。

 

「紫しゃま!」

 

「紫様!」

 

その突っ込んでくる真紅の鎧に、藍と橙が迎え撃つように飛び込んだ。突っ込み、二人が殴りかかる。

 

真紅の鎧は何もせず、ただ雄叫びを上げて突っ込んでくる。藍と橙の拳は、そんな真紅の鎧に当たった。だが―――

 

「ヴォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!」

 

「え!? キャアアアア!!!!!」

 

「キャッ!!!!!」

 

真紅の鎧に拳が当たった瞬間、その鎧から、真っ赤な槍が何百という数が飛び出し、藍と橙はその真っ赤な槍に貫かれた。そして、貫かれた二人は、光の粒子となって消えた。結界の外に出たのだろう。

 

「ハ、ハハ、流石お師匠様。こりゃあ、勝てないわ」

 

「ヴォオオオオオオ!!!!!!!!!!!!」

 

真紅の鎧が両手に持った剣を振り下ろした瞬間、私の視界は真っ暗になった。

 

 

 

「・・・はっ! ここは?」

 

「紫様!」

 

「紫しゃま!」

 

「藍・・・橙・・・」

 

寝た状態で目が覚め、状態だけを起こして周りを見ると、藍と橙が飛びついてきた。その二人を抱きしめて解ったのだが、二人の傷が一切ない。

 

気絶すると言っても、ある程度の傷はあるはずなのだが、二人には一切傷がない。不思議に思い、私の体を確認してみると、私の体にも傷が一切なかった。

 

「これって・・・」

 

「鏡夜さんが治してくれたんです」

 

「鏡夜が?」

 

鏡夜の方を見ると、咲夜と何か言い争っていた。

 

「そう、鏡夜が・・・」

 

鏡夜を見た私は、ゆっくりと立ち上がる。その時きづいたのだが、いつもより体の調子が良い。これも、鏡夜が治してくれたお陰だろうか。

 

「鏡夜」

 

「やあ、紫ちゃん」

 

いつもの、男性の状態の鏡夜が、笑顔でこちらを見た。

 

「体調はどうだい?」

 

「すこぶる好調よ。むしろ、いつも以上に好調よ。それより鏡夜。貴方、男性の姿に戻ったのね?」

 

「ああ、別にあの姿でいる必要もないしね。紫ちゃん達と戦ってる時・・・あの鎧の姿の時に戻ったんだよ」

 

「へ~あの時に・・・」

 

話しをしている中、少し目を凝らしてわかったのだが、鏡夜の妖力が戦う前よりも多い。一体同したなのだろうか気になったが、それよりももっと気になったことがある。それは―――鏡夜の両腕である。先ほどの戦いで完全に破壊したはずの両腕が完全な形でそこにあるのだ

 

「鏡夜、その両手は一体・・・?」

 

 

取り敢えず、妖力のことはいいとして、完膚なきまで破壊したはずの両腕のことについて聞いてみた。気絶する前も言ったかもしれないが、確か鏡夜には回復系の能力は無かったはずだ。

 

「ああ、これ? 全く、完膚無きまでに破壊してくれたおかげで、作り出すのに苦労したよ・・・」

 

「・・・・・・・・」

 

今、鏡夜は何と言った? 回復ではなく、作り出した? 

 

「なんでそんな顔してるの・・・って、そういえば知らなかったけか」

 

鏡夜はそう言うと、左手で手刀を作り自らの右腕を肩からバッサリ切り落とした。

 

「ちょ、ちょっと鏡夜!?」

 

いきなりのことで驚いた私は、ただ慌てることしかできなかった。

 

「大丈夫、見てな」

 

右腕を切り落としたというのに、鏡夜は笑顔のままでそう言った。鏡夜が言うのだから、大丈夫なのだろうが、それでも心配だ。

 

内心そんなことを思いながら、血がドバドバ流れる鏡夜の右腕を見ていると、突然血が流れていたはずの右腕から血が流れなくなった。その代わりに、右腕の傷口部分がグチュグチュという嫌な音をたて始めた。

 

「形成開始」

 

鏡夜が何かしらボソッと呟くと、先ほどまで嫌な音をたてていた右腕の傷口部分から血が溢れ始めた。血は、地面に落ちる前に空中で止まり、何かの形を作り始めた。

 

「構築・・・変換・・・再生・・・硬化・・・終了」

 

鏡夜がボソボソと呟くと、その何かを作り出していた血は、徐々に腕になっていった。

 

まず骨が再生され、次にその周りを筋肉が埋めていく。そして、神経らしきものが作り出され、最後に肌が再生された。

 

呆気に取られつつその光景を見ていると、鏡夜は右腕を大きく上から下に振り下ろした。

 

「ふむ、こんなもんかな?」

 

「きょ、鏡夜・・・一体、何したの?」

 

鏡夜に聞くと、鏡夜は心底面白そうに笑い出した。

 

「ハッハッハ!!!!! 紫ちゃん、君はどうやら俺の曲げる能力だけを封じてたよね?」

 

「え、ええ」

 

というか、それともうひとつしか知らない。この前の異変の時、偶然見たからそれが鏡夜の能力だと思っていた。もう一つの能力は、たいして脅威じゃないと思い、封じてなかった。

 

「ふふふ、まあ実の話、俺の能力は曲げる能力と、限界を超える能力だけじゃないんだよ」

 

「え!?」

 

「その話しは長くなるから、また今度として。今回使用した能力は、血を操る能力」

 

「血を操る・・・?」

 

「そう、血を操る能力。これで、自分の血を、筋肉、骨、神経、皮膚、その他諸々に変換して、両腕を作り出したの。ついでに言うと、あの真紅の鎧、真紅の剣も同じようにこの血を操る能力で作り出したの」

 

「・・・・・・・・」

 

唖然として言葉が出ない。てっきり、妖力で擬似的な腕を作り出していたのかと思ったが、そんなチャチなものではなかった。

 

「ま、そういうことさ」

 

鏡夜はそう言うと、先ほど切り落とした腕から、布を剥ぎ取り、ちぎれた部分を肩のちぎれた部分に当てた。そして、服のポケットから裁縫道具を取り出すと、ちぎれた部分を一瞬で縫い直した。

 

「完了っと、さて紫ちゃん。実験も終わったことだし、元の場所に戻してくれるかな?」

 

「え、ええ、わかったわ」

 

先ほどまで、妖力が空っぽでスキマ一つ開けなかったが、今は何故かいつも以上に妖力があるため、簡単に開けた。

 

「このスキマは、貴方達を拉致った場所と同じ場所に出してあるから、飛ぶことを忘れないでね」

 

「ああ、ありがとう、紫ちゃん」

 

スキマを開くと、先に咲夜が入り、その次にお礼を言いながら鏡夜が入って行った。だが、その体が全部入る前に、何かを思い出したかのように鏡夜の上半身がスキマから現れた。

 

「そういえば、はいこれ」

 

「何、これ?」

 

鏡夜がそう言って渡してきたのは、三つの飴玉だった。

 

「それは、紫ちゃん達の傷と妖力を治した飴玉。なんとなく一応、渡しておくから」

 

「あら、ありがとう」

 

「それじゃあ、またね~」

 

「ええ、また・・・」

 

そして、今度は本当に鏡夜はスキマの中に入っていった。鏡夜達が行ったのを確認してから、私はスキマを閉じた。

 

「・・・・・・は~」

 

仮にも、この幻想郷の賢者と言われている私が、人間に負けるなんて・・・もう、ため息しか出ない。いや、鏡夜は人間のなのか曖昧だけども。

 

「紫様・・・」

 

「紫しゃま・・・」

 

ため息を吐いていると、藍と橙が私の隣に立った。

 

「・・・藍、鏡夜はどうだった?」

 

「鏡夜さんですか・・・」

 

考える仕草をした藍は、しばらくの間その姿勢で考え、数秒後、口を開いた。

 

「・・・化け物ですね。人間・・・なのかは知りませんが、私から見て、あの人の力は異常です。それに、あの余裕。悔しいです」

 

「そう・・・橙、貴方は?」

 

「私も藍しゃまと同意見です。ただ、まだあの人は、力を隠していると思います」

 

「橙、貴方そこまで気づいたの・・・」

 

事実、鏡夜は実力をまだ隠している。多分、あれで二割・・・いや、いつもの調子から見ればあれで、私の過大評価でなければ一割程度だろう。そう考えると、やはり化物ね。

 

「そうね、鏡夜は本気は出してなかったわ」

 

「やはりそうでしたか・・・」

 

「でしゅが、あれでも、かなり出している気がしたのですが」

 

「何言ってるの橙。鏡夜はあれで、一割程度しか力を出してないわよ」

 

「「・・・・・・????」」

 

私の言葉に、理解できないという顔で、二人はこちらを見てくる。

 

「・・・どうやって勝とうかしら・・・」

 

あ~あ本当にあんな化け物にどうやって勝てばいいのかしらね。もうね、師匠には一生勝てない気がする。

 

「紫様・・・」

 

相当落ち込んでいたのか、苦笑いを浮かべた藍に肩を叩かれた。

 

「無茶かもしれませんけど、頑張りましょうよ。私達も頑張りますから」

 

「そうでしゅよ、紫しゃま。私もこれからいっぱい頑張りましゅんで、諦めないでがんばいましょう!」

 

「藍・・・橙・・・そうね、やられっぱなしっていうのも癪だしね」

 

藍と橙の言葉に、自然とやる気が出てきた。勝てなくてもいい。でも、鏡夜に全力を出させてみたい。そんな気持ちが溢れ出してきた。

 

「よし、なんかやる気が湧いてきたわ。藍、橙、これから、鏡夜打倒の作戦を練るわよ!」

 

「「はい!」」

 

そうして、私と藍と橙は、夜まで、鏡夜の隠し技の攻略も考慮した、鏡夜打倒の作戦を練り始めた。

 




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