そんな訳で、第六十八話。今回は、キャラ崩壊激しいですから、気をつけてくださいね。それとレミフラを楽しみにしていた方々、申し訳ございません。今回は、その描写はありません。
それと、ちょっとギリギリな描写が……
ではでは、第六十八話をどうぞ。
Side鏡夜
さてさて、鏡夢を犠牲に、紫ちゃんたちから逃げた俺は、ぶらぶらと庭を歩き回っていた。
「どうしましょうかね~」
三姉妹のところに行こうにも、三姉妹はまだ演奏中だし、他のみんなの所には行ったし……いや、まだ行ってない所があるな。
ぶらぶらと目的も無く歩いていた俺は、その場で向きを変え、ある場所に向かって歩き出した。
「どうよ、調子の方は?」
「あ……師匠……」
「あら、鏡夜じゃない」
その場所とはまぁ、幽々子と妖夢がいる場所なんだが。二人は屋敷の縁側に座り、お猪口にちょっとずつお酒を注いで飲んでいた。
「調子はすこぶるいいわよ~」
「そうかい。泣いたからスッキリしたんだな」
「もう、からかわないで頂戴。恥ずかしいんだから」
「はっは、すまない」
謝りつつ、妖夢と幽々子が間を開けてくれたので、その間に座る。
「よっこいしょっと」
「あら、お爺さんみたいね」
「これでも、生きてる年月だけなら爺だよ」
軽口を言いながら、スキマから日本酒の酒瓶を取り出して、幽々子にお酌する。
「ありがとう」
「いやいや、別にいいさ」
幽々子にお酌をしてから、自分のお猪口に注ごうとすると、横から妖夢ちゃんが日本酒の
酒瓶を取り上げてきた。
「鏡夜ふぁん……わさしがおさくしまふよ」
酒瓶を取った妖夢は、呂律が回らない程に酔っているのにも関わらず、お猪口に日本酒を注ごうとしてくる。
手は酔ってるせいでふらふらしている。更には、顔面真っ赤。更に更に、俺の嫌な予感が働いている。これはもう……あれな感じだ。
「よ、妖夢ちゃん? 別にいいかな~……」
「えんろしなくへいいれふよ」
酒瓶を持って近寄ってくる妖夢から後ずさっていく。そして、徐々に迫ってくる妖夢から後ずさると、後頭部が柔らかいものにぶつかった。
これは……これはまさか……!
「あらん、私に抱きつきたいの?」
「しまった、こっちもか!」
後ろを振り返ろうとするが、幽々子に肩の辺りから抱き寄せられ、後ろを振り向けられないようにされた。
そして、柔らかいものが更に後頭部に押し付けられる。
「ゆ、幽々子! お前もか!」
「別に、私はちゃんと意識があるわよ? これは、自分の意志で……当ててるのよ」
「なん……だと……」
驚愕のあまり、俺は固まってしまった。
この世界に来てからの数百、数千の間、女の子からそんな言葉を聞いた事がなかったからだ。
お嬢様達は、アレだからやられたところで何も感じないし。文やカロは、巨乳ではあるが、した事ないし、やってもらおうとも思わない。美鈴は友達みたいなものだからないし。咲夜ちゃんは、ぶっちゃけ娘みたいなものだから、やった瞬間後悔する。パチュリー様や小悪魔は……無いな。
その他の女の子達にも……された事はないな。
……って、俺は自分で何考えてるんだ! いや、別に俺は、やってもらおうと思ってないし、巨乳好きと言う訳でもない。
別に貧乳だろうが巨乳だろうが関係ない。だって、お嬢様達のあの慎ましい胸だって好きだし、俺も男だから、カロや文みたいな巨乳も……まぁ、嫌いじゃない。
あれ? 俺ってこんな人でしたっけ?
「なんて考えてる間に服が!」
「あら、バレちゃった?」
色々と考え事をしている内に、シャツのボタンが幽々子によって全て外されていた。一切俺に気づかれずにだ。
「そして妖夢! お前は何故俺に抱きついてくる!?」
「いいじゃにゃいですか~お師匠さまなんれすから~」
「関係ないだろ!」
シャツの胸元に妖夢は顔を埋めながら、まるで猫のように頬を俺の胸へと擦り付けてくる。
その姿にちょっと可愛いと思っていると、背中の素肌に風が当たった。
「じゃ、私も」
「ちょ!? 幽々子さん! あんた何してはるんですか?!」
幽々子は俺のシャツを捲ると、俺の腹を包み込むように腕を回し、肩の辺りから顔を出してきた。
「やっぱり、鍛えてるのね。それも、とてもとても美しく鍛えられてるわ。食べてしまいたいくらい」
「そ、そんな腹を触るな! ……あ! こら! 胸元に手を持ってくるな!」
上半身をくまなく触ってくる幽々子に、俺の胸元に頬ずりして、甘えてくる妖夢。
なんとか、理性を保っている俺ではあるが、そろそろやばい。男としてもやばいし、なんかさっきから殺気を感じる。……なんちゃって。
いやいや、んな冗談を言ってる場合じゃない! 割と本気で殺気を感じる。それも屋敷の隅っこ方から。一体何なん……だ……?
「……」
「……」
目があった。それもがっつりと。
屋敷の隅っこにいた人物、それは……妖忌だった。
(お前、助けろ!)
(断る、そして死ね!!)
(なんで!?)
妖忌に目線で意思疎通を交わすが、一瞬で断られてしまった。しかも、ご丁寧に、どこで覚えたのか知らんが、左手の中指を立てるジュスチャーまでしてくる。
(うっさい! 儂の可愛い妖夢に抱きつかれおって!)
(なら出てこいよ! 今すぐ代わってやるから!)
(無理じゃ)
(なんでだよ!)
(だって……恥ずかしいではないか)
(お前は乙女かあああああああああ!!!!)
もういい! 自分で解決する!
妖忌が口元に手を置いて、少女にみたいに頬を赤く染める光景を目の端で見ながら、俺は胸元にいる妖夢を見つめる。
「……」
「……えへへ~」
妖夢を見つめると、首を少し傾け、真っ赤な顔のままはにかんだ。その瞬間、妖忌方から、赤い物が流れてる気がしたが無視だ、無視。
「どうかしまふたか~きょうやふぁん~?」
「おいちょっと待て! 何故にじり寄ってくる?!」
はにかんだ妖夢は、俺の胸にくっつけていた頭を離すと、俺の顔めがけて、ゆっくりと近寄ってくる。それも、唇めがけて。
まずいまずい! 後ろから幽々子によってガッチリと上半身を掴まれてる為、動けない。更に、妖夢に両足を器用に両足で抑えられている為、足も動かせない。
これは、絶体……絶命?
いや、考えを変えればこの状況は天国だろう。綺麗な美少女達に挟まれ、キスを迫られている。うん、天国だろう。
だが、俺にとっては地獄だ! こんな状況を文やお嬢様にでも見られ……れ……ば……。
「兄~さ~ん?」
「あ、文?」
妖夢と幽々子の拘束から逃れようとしていると、庭の方から、頭を下げて、顔が見えない状態の文が現れた。
異様なその雰囲気に、俺は固まってしまうが、妖夢と幽々子は固まらず、激しさをましてくる。
幽々子は、ズボンの中に手を入れてこようとするの、右手で本気で阻止し、妖夢は左手で口を抑えて近づけなくする。
「む―――――!!」
「いいじゃないの、鏡夜」
「駄目だよ! 何しようとしてくれちゃってんの!?」
妖夢は両手を伸ばして、少しでも俺との距離を縮めようとしてくる。幽々子は、割と本気の力で、俺のズボンに手を突っ込んでこようとする。
「兄さん!!」
「は! はい!」
二人の行動を阻止していると、文が突然、大声を上げた。
び、びっくりした。昔一緒に暮らしてた時でも聞いたこともない声だぞ!
思わず、その大声に対して、文の方向を向くと、ゆったりと文がこっちに歩いてきていた。
「兄さん? 私はね、今まで会えなかった分の愛の力が溜まってるんだよ」
「いきなり何言ってるの!?」
ゆったり歩いてくる文に、なんか得体のしれない恐怖を感じる。
「でもね、私にだって仕事があるから、あんまり会えないじゃない? でもね、それでも精一杯会おうと頑張ってたんだよ。でもね、でも、もう限界なの!」
文は、俺から一歩離れる所に止まると、顔を上げた。
文の表情は、ヤンデレのような表情……なのではなく、唯顔面真っ赤にして、体をもじもじとさせている。
……なんか、デジャブを感じる。それも、ついさっきあったばかりのような。
「体が火照ってね? ダカラ、にいさあああああん!!!!」
文はその場でしゃがむと、ありえない速度で飛びかかってきた。
「きゃああああ!!!!!」
乙女のような悲鳴を上げたのは、オレだよ?
文は、俺達三人を巻き込むような形で、一緒に屋敷の中に転がり込んでいく。
「ってぇ……て、まずいよ~」
俺は転がりこんだ際にぶつけた後頭部を摩りながら起き上がろうとするが、起き上がれない。起き上がれない理由としては、俺の上半身に三人の少女が乗っているからだろう。
うん、それはいいんだ。問題はね、俺の上半身のシャツが全部脱がされていて、上半身が裸だってことだよ。
「うふふ、いい体してるわ~」
「うへへ、兄さんの生肌~」
「師匠、暖かふぁいれふ」
三人の少女は、それぞれ言いたいことだけ言うと、俺にしがみついて押し倒してきた。文が真ん中となり、左右に幽々子と妖夢。
そして、三人は、俺の体から離れると、三人とも馬乗りで俺の上へと乗っかてきた。
「うふふ、これからすること……わかるわよね?」
「兄さん、私、そろそろ我慢できないんだけど」
二人は、舌なめずりしながら言ってくる。
「師匠、あつふないれふか~」
妖夢に至っては、服の上を脱ぐ始末。
………………誰でもいいから助けてえええええええ!!!!
「あら、いいわね~私も脱ごうかしら」
「私も脱ごう」
妖夢に便乗して、二人も脱ぎ出す。
目の前の光景は……天国です。む、胸が俺の前に……。
「……え―――これから私は、逃げます」
「あら、逃がすはずないじゃない」
「逃がさないよ、兄さん」
「にふぁしまへんよ」
三人はそれぞれ、俺を逃がさんとばかりに抱きついてくる。それはもう、上半身はアレな状態で。
(鏡華ちゃん、おいで―――――!!)
(はい、なんでしょうか?)
(地獄は任せた)
(はい?)
俺は、すぐさま三人の後ろに俺の分身を作り出し、今の俺の場所と代える。そして、三人の後ろへと移動した俺は、スキマからシャツを取り出して、即効で着替えて縁側を飛び出す。
今までいた俺の場所には、鏡華ちゃんを置いとく。
「へ? え、あ、兄さん! 何ですかこの状況!!!」
「あら、女の子に変わっちゃたわ?」
「別にいいですよ、これも兄さんですから」
「ししょう~かわいい」
「ちょ!? 皆さん、なんで生気のない目で、私の上着を脱がそうとするのですか!? あん! ちょっと! どこに手え突っ込んでるんですか!?」
「鏡華ちゃん、ごめん。この償いはいつかするから」
「ダメ、ダメですってば!! あ、いやあああああああ!!!」
鏡華ちゃん、本当にごめん。
「はてさて、気分一転して、三姉妹のところに行こう!」
着替えを済ませ、三人から、鏡華ちゃんを犠牲にして逃げてきた俺は、演奏の終わった三姉妹の所に向かっていた。
後ろから、鏡華ちゃんの悲鳴が聞こえるが、それはまぁ、ドンマイ!! 仕方ない犠牲だったのさ。
「や! 演奏お疲れ様」
「あ、鏡夜さん!」
「あらあら、鏡夜さんじゃないですか」
「こん、ばんは。鏡、夜」
演奏の終わった三人の元へ行くと、それぞれ暑くて汗をかいたのか、タオルで汗を拭いて、襟をぱたぱたさせて、空気を入れてたりした。
「やっぱり素晴らしい、演奏だね」
「どうもありがとう! 鏡夜の作った料理も美味しいよ」
「お酒も美味しいですし」
「き、鏡夜、その……か、かっこいいし……」
メルランちゃんとリリカちゃんの言葉はよく聞こえたが、ルナサちゃんの言葉は、顔を真っ赤にして俯いて言った為、よく聞こえなかった。
あ~、やっぱ癒されるわ~。こう、安心感とかがあるとね、疲れが取れるよ。いや、別に彼女たちの相手が疲れるとかじゃないんだよ? でもね、やっぱおとなしい子がいるとね、それだけで癒されるんだよ。
「ほらほら、立ってないで、ここ座ってよ!」
「あぁ、ありがとう」
「ひゃ……!!」
座ってよと言われて、座った場所は、ルナサちゃんの隣だ。
隣に座った時、ルナサちゃんは顔を真っ赤にし、ちょっとだけ息を詰まらせてリリカちゃんの方に後ずさってしまった。
「ほら姉さん! 頑張って」
「……うん、頑張る」
ルナサちゃんは意気込んだように頷くと、俺の隣にちょっとずつ距離を詰めてきた。
「ふふ」
そんなルナサちゃんを可愛いと思う。本当にね。お嬢様達より先に出会っていたら、惚れてたかも。
「そ、その、お酌します」
「ありがとう」
震えながら酒瓶を持ったルナサちゃんに、俺はそっとお猪口を差し出す。
やはり、緊張が抜けてないのか、ルナサちゃんは危ない手付きながらも、ちゃんと注いでくれる。そして、注ぎ終わると、急いでリリカちゃんの元まで近寄っていった。
「で、できたよ!」
「うん、姉さん。次は、もっと迫ってみよう!」
「え、え、でもまだ」
「姉さん、鏡夜さんには彼女がいるようですから、もっと積極的にいかないとダメですよ」
何やら三姉妹でもめている様だが、それは置いといて、俺はお猪口に注がれた酒を飲み干した。
平和だ。なんて安らかなのだろう。
「あ、あの、き、鏡夜さ、ん」
「どうしたの?」
「あ、あの、その……」
おどおどしながら、ルナサちゃんは持っていたお猪口を差し出してきた。
「あぁ、成程。はい、どうぞ」
俺は差し出されたお猪口に、酒を注いでく。ルナサちゃんはそれを嬉しそうに受け取ると、その場で飲みだした。
まるで、小動物のようなルナサちゃんに、俺は内心可愛らしいと思いながら、そっと頭を撫でていた。
「ふへ……」
「気にしなくていいよ。唯、可愛いと思ったから、撫でてただけだから」
「あの、その、ふわわわ……!!」
顔を真っ赤にして慌てふためく彼女に、俺は更に可愛いなと思えた。多分、今の彼女は誰が見ても、可愛いだろう。あの暗い雰囲気を纏った彼女よりは。
「メルラン姉さん、今じゃない?」
「そうね、いきましょうか」
俺とルナサちゃんが、楽しく酒を飲んでいると、メルランちゃんとリリカちゃんから、そんな声が聞こえてきた。
別段気にはしないが。なんかこう、悪戯を考えてるような気がする。
二人は、ルナサちゃんの背後に回り込、二人とも腕を引いた。
「「どーん!!」」
「キャッ!!」
「おっと」
腕を引いた二人は、大声を出すと、ルナサちゃんの背中を思いっきり押してきた。
酒を飲んでいたルナサちゃんが、その行動に反応できる訳もなく、二人に押されるがまま、俺の方に倒れ込んでくる。
頭の高さは同じ程。目線も合うし、丁度よく俺と頭の位置が同じだ。
何て考えてる内に、俺はルナサちゃんを受け止めるような形で、後ろへ倒れ込む。すると、二人が狙っれたのかどうか知らないが、俺とルナサちゃんの唇が―――――
「……」
「……」
ガチっと歯が当たる音を鳴らして、くっ付いていた。
二人は狙っていたことが成功したのか、両手でハイタッチなんかしてる。俺とルナサちゃんの方は、驚きのあまり、目を見開いて固まってるルナサちゃんが、目の前にいる。
俺は、ルナサちゃん肩を掴み、ゆっくり離しつつ、上体を起こし、膝の上にルナサちゃんを乗っける。
そして、ルナサちゃんが膝の上で固まってる間に、俺はルナサちゃんの顎を持ち上げて、微笑む。
「良いキスだったよ」
「う、うきゅ~」
微笑みながら言うと、ルナサちゃんは一瞬で顔を真っ赤にし、後ろへ倒れ込んでしまった。
そんな後ろへ倒れていくルナサちゃんの体を受け止め、俺はお姫様だっこの要領で持ち上げ、二人へと近づいていく。
「全く、二人とも少しは手加減してあげなよ」
「鏡夜さん、貴方のせいですよ」
「いや、解ってはいるけどね」
二人の目の前にルナサちゃんをそっと寝かせ、俺は彼女のおでこに掛かった金色の髪の毛を横にずらす。
「ふふ、可愛いな」
「お! 鏡夜さん! 脈アリですか!!」
「いや、可愛いとは思うが、俺には大切な婚約者がいるんでね」
「ありゃりゃ、婚約者か、こりゃあお姉ちゃんに勝ち目はないかな?」
「いやいや、家の婚約者は寛大でね。許しさえあれば、誰とでも付き合っていいことになってるのさ」
これは割とマジだ。家のお嬢様は、最終的に自分たちの所に戻ってくるなら、誰と付き合ってもいいってことになってる。
まぁ、ぶっちゃけ。付き合ったら、付き合った相手は大抵、即紅魔館入りですがね。
「珍しですねぇ。そんな寛大な婚約者さん」
「ま、家の婚約者は、心が広いってことさ」
そう言って、俺はルナサちゃんのおでこにそっとキスする。
「それじゃあ、俺はそろそろ行くから。宴会楽しんでいってくれよ」
「わかってるよ! 未来のお兄ちゃん」
「わかってますよ。未来のお兄様」
「はっはっは、まだ気が早いぞ、義妹達」
ここはのりに乗って答えておくべきところだろ?
「じゃあな!」
俺はそれだけを言って、三人の元から去っていった。
如何だったでしょうか?
次回、レミフラ回です。レミフラをお待ちの方は次回までお待ちください。
感想、批判、アドバイス、誤字報告、お待ちしております。